バトルロイヤル舌切り雀アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
小田切さほ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや易
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報酬 |
3.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/27〜10/31
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●本文
舞台劇「バトルロイヤル舌きり雀」では、ただいまキャストを募集中です。
おとぎワールドの田舎、とある名家で下働きとして奉公していた少女「おちゅん」。だが名家の莫大な財産をめぐる壮絶な争いに巻き込まれーーそんなストーリーに、貴方も参加して見ませんか?
☆ストーリー☆
おとぎワールドの名家で、広大な竹林山をいくつも所有する富裕な「大神家」一族。
大神家は、知られざる魔法使いの一族でもあった。
おちゅんは、その大神家の家事手伝いとして雇われていた。
大神家の現当主・佐兵衛は穏やかな老人で、おちゅんのことを非常に可愛がってくれた。
おちゅんの仕事はおもに次期当主である佐兵衛の孫「助清」の世話。助清は病気がちということで、ほぼ毎日自室にこもっており、おちゅんはその話し相手をつとめたり、食事を作ったりするのだった。なぜか助清はマスクをかぶせられており、素顔は見えないのだが、おちゅんといると助清も心が休まるようだった。
「おちゅんのお陰で、助清も元気が出て来たようじゃ」
佐兵衛老人も感謝してくれた。
ところが佐兵衛はある日突然死んでしまう。
そしてその遺言状には、おちゅんに大神家の全財産を相続させる、とあった。
「なぜ血のつながりのないおちゅんなんかに‥‥! お前、遺言状に細工でもしたんだろう!」
佐兵衛の娘、魔女三姉妹はおちゅんを拷問し、相続放棄を迫る。
だがおちゅんも実はただものではなかった。雀一族という忍者の末裔だったのだ。スキを見て逃げ出したおちゅんは、自分に優しくしてくれた佐兵衛老人の死の真相を探り、魔女三姉妹に復讐すべく仲間を集め、密かに動き始める。
そして彼女を取り巻くおとぎワールドの住民達、
「ピピピ、ワタシハ月カラ来タ『かぐや姫』。地球ノミナサン、コンバンハ」
救助を求める電波を受信してUFOに乗りやってきた宇宙人かぐや姫。
「おじさま、マッチはいかが? とびっきり楽しい幻覚が見えるわよ」
深夜の裏通り、真紅のチャイナドレスで幻覚作用のあるマッチを売りさばく「マッチ売りの少女」‥‥その正体は魔法界の実力者らしい‥‥が入り乱れる。
佐兵衛老人の死の真相は? そしておちゅんの味方は一体誰だ‥‥?
☆募集キャスト☆
●おちゅん‥‥忍者の末裔「雀一族」の娘。佐兵衛殺しの犯人探しと復讐を誓う
●助清‥‥なぜかマスクをかぶせられている一族の跡取り息子。病気がちとされており、ほとんど毎日自室にこもっている
※上記以外のキャストは確定しておりません。自由に考案の上、ご応募下さい。おとぎ話のキャラ限定‥‥とは今回ちと言いにくいので、フィクション世界で著作権に差し支えない範囲のキャラを選んで下さい。
その上で「利息取立ての厳しい消費者金融を経営する『青ひげ』」など、トンでも設定を付け加えていただけると、より楽しく遊んでいただけるかと思います。
●リプレイ本文
佐兵衛老人の死後、葬式の用意もそこそこに、魔女三姉妹が広大なお屋敷の中を駆けずり回っています。
「無いわ‥‥どこにも」
「椛、何か手がかりはないの?」
桜、楓という姉二人達の報告を受け、
「ヒントをおちゅんに託したという可能性もあるわね‥‥やはり、おちゅん捕獲が最優先になりそうだわ‥‥今度捕まえたら、とことん痛めつけて白状させなくちゃ」
三姉妹の末娘、椛(=神楽坂 紫翠(fa1420))が形のいい唇に残酷な微笑を浮かべます。三姉妹は佐兵衛老人と似ていないので、佐兵衛老人が実は海から戻った浦島太郎で、三姉妹の正体は愛人として連れてきた鯛・ヒラメ・鮪の化身ではないかと噂されています。
三姉妹が探しているのは、発明マニアだった佐兵衛老人が生前開発したと思われる、不老不死の秘薬「ヨキコトキク」です。
「助清、あんた何か聞いてないのっ!?」
マスク姿の助清(=河辺野・一(fa0892))は黙って首を横に振ります。
そのマスクは、佐兵衛老人の発明品です。額部分にはなぜか「賢者の石」がはめ込まれていました。これは本来、変身ベルト『オルタリング』にはめるべきものだったのですが(以下略)。
「そうよね、あんた花粉症ひどいから部屋にこもりっきりだもんね‥‥いいから部屋で寝てなさい」
「わかりました、ごほっごほっ」
「ところでカカッシーが呼んでくるといっていた、髪の毛ボサボサの謎解き名人はどうなったの?」
「そういえば‥‥遅いわね。北神急行に乗り遅れたのかしら」
大神家の屋敷は、相当な山中にあるようです。ちなみに屋敷内には金と銀の温泉があったりします。
と、そこへドタバタと駆け込んできたのは件のカカッシー(=桐尾 人志(fa2341))。
「すんません! 間違いました」
ぺこぺこ頭を下げています。ひょろりと痩せた体躯のカカッシーは、元はオズの魔法使いを探してドロシーと旅していたあの案山子です。ですが婚約していたドロシーがライオンと不倫したりブリキマンと切れていなかったりして、ストレスからとうとう家出し、今は魔女三姉妹に拾われてした働き中の身です。
「事件の謎を解くために名探偵の耕助先生を呼ぶつもりが、間違えて国語学者の春彦先生をを呼んでしまいました!」
「ベタなお約束のボケをかますんじゃないわよ!! 仏の顔も三度までよ? 毎回失敗ばかりしていると、給料下げるわよ? きりきり働きなさいー! 次はおちゅんを探して捕まえてくるのよ!!」
「すっすいません名前が同じ「金田一」だったもんで‥‥」
かわいそうなカカッシーは謝り倒すのでした。
◆
一方おちゅん(=宝野鈴生(fa3579))は山中を一人彷徨っていました。
忍者の携帯食料の定番・干し飯をぽりぽり食べています。まるで雀の餌付けだという噂もあります。ですがおちゅん本人は雀どころか身長スラリとモデル真っ青の八頭身美人です。
「いったい誰なの、佐兵衛おじいちゃんを殺したのは‥‥? 家族のない私にとても優しくしてくれたいい人なのに」
おちゅんの胸に生前の佐兵衛老人の姿と、無残な死に様が過ぎります。佐兵衛は口から血を吐いて倒れ、その血を指につけて床に「し」とダイイングメッセージらしきものを書き残して息絶えていたのでした。
「『し』‥‥一体誰を指すのかしら‥‥犯人はあの三姉妹としか思えないけれど‥‥だって顔はまあちょっと、綺麗だけど‥‥あのおじいちゃんの娘とは思えない程内面が悪鬼で外道でエンガチョだもの」
と、そこへ、パラリ〜ララ♪ と笛の音。
「誰っ!?」
ガラガラと屋台を引いて、ハーメルンの笛吹き男ことクラウス・ハイネス・レイ・ハーメルン(=百鬼 レイ(fa4361))が現れた。
「ドーモ、コンニチワ★。鼠退治から暗殺まで なんでもごされの便利屋「ハーメルン」でございます。こんな山の中、お嬢さん一人で何やら心細そうなのでお手伝いさせていただこうと」
「噂に聞いたことがあるわ‥‥笛の音で何でも操る凄腕エージェントね。とりあえず、味噌ラーメンにして頂戴」
「へいっ、お待ち!」
ラーメンを食べながらおちゅんは佐兵衛老人殺人事件のことをハーメルンに語りました。ハーメルンは「莫大な遺産」と聞くと、キラーンと目を輝かせました。
「なっ‥‥遺産ですと!? お‥‥お金が一杯!? つ、ついていきます!!」
もみ手をしつつハーメルンが仲間になります。続いておちゅんがであったのは、ツンデレラ(=シヅル・ナタス(fa2459))でした。シンデレラではなく、ツンデレラです。
ツンデレラはやり手の女社長で、ガラス製グッズの工房&販売店を営んでおり、成功した今は一大ベンチャービジネスです。ツンデレラの所有する巨大なビル郡は、ツンデレラ工房の目玉商品である、ガラス製ハイヒールにちなんで「六本木ヒールズ」と呼ばれていました。
「オーッホホホ、あなたが望むなら、あたくしが手を貸してさしあげてもよくってよ? ‥‥いわばベンチャービジネスへの投資の一環として、事件の探索費用をご融資するわ。実質年率3.6%でいかがかしら」
ツンデレラは、六本木ヒールズの軒先を借りて休憩するおちゅん達にそうもちかけます。
「‥‥結構よ。私は私自身の手で、おじいちゃんを殺した犯人を捕らえてみせる‥‥」
「あら、深い事情がありそうね?」
ツンデレラは根はいい人らしく、おちゅんの身の上に同情して事件解決に無料で手を貸してくれることになりました。ツンデレラの愛車・かぼちゃの馬車を駆って一同はなおも協力者探しのたびを続けます。
また続く旅の途中で、おちゅんは可愛いお地蔵さんの前を通りかかりました。おちゅんはお地蔵さんにお供えをして、殺人事件解決を祈りました。するとお地蔵さんが、
「お手伝いしマ〜ス!」
ずしーんずしーんと動き出しました。
「私はかつて優しいおじいさんに手ぬぐいをかぶせてもらた笠地蔵(=マリアーノ・ファリアス(fa2539))デ〜ス! その正体はレムリア文明によって開発された自律型機動石兵、『カッサジゾー』デ〜ス! ぜひお手伝いさせてクダサイ〜!」
「‥‥も、好きにして」
あまりに登場人物が濃いのでおちゅんはちょっと考えるのが面倒くさくなってきたようです。
ともあれ、おちゅんは佐兵衛老人の死の状況を仲間達と今一度分析して見ることにしました。 おちゅんは佐兵衛老人のダイイングメッセージを仲間達に話しました。
「『し』の付く名が身近にいないなら、他の文字を書きかけて力尽きたと解釈すべきでは?」
「あっ! すると『も』の書きかけ‥‥?」
おちゅんの脳裏に、椛の冷たい美貌が過ぎりました。
他に証拠もないので、その線で椛にぶち当たって見ることにしました。
◆
さて大神家では、椛達が着々と佐兵衛老人の葬式の手配をしています。
佐兵衛老人(=河田 柾也(fa2340))の亡骸は、部屋の中央に棺に納められ、横たえられています。かっぷくのいいその顔は、まるで眠っているようでした。
「それにしてもヨキコトキクって一体なんだったのよ」
「それよりこんな古ぼけた屋敷は売り飛ばして、豪華な世界一周旅行よ♪」
と、艶っぽい喪服姿に黒いヴェールで横顔を隠した姿で、既に旅行かばんを用意し、その中に真紅のチャイナドレスを納めながら椛が言ったときです。
妖しい老婆が、椛たちが出かけようとする玄関前に訪れました。大きな風呂敷包みを背負ったその老婆は、ぶつぶつと呟いています。
「おりんでごぜえます。おりんでごぜえます、なにぶん可愛がってつかあさい」
「あら『悪魔の手まり歌』やるんだったら、鬼首村は三宮から乗り換えないと」
すると、老婆はザッ! と変装をとき、おちゅんの姿になりました。
「くのいち、野雀おちゅん参上! ‥‥佐兵衛おじいちゃんを殺したのは貴女ね、椛!」
「なんですって‥‥違うわよ!!」
「とぼけないで、おじいちゃんのダイイングメッセージの謎は解けたわ!」
斬りかかるおちゅんのクナイを短刀仕込の扇子で受け流し、椛は妹達と手下に「あの小生意気な小娘をやっておしまい!」と命じました。かねて一杯くわされたおちゅんへの復讐準備を進めていたカカッシーを筆頭にした手下達が襲い掛かります。
「へっへっへ現れたなおちゅん。くくく‥‥このミニカカッシー藁人形に貴様の髪の毛を仕込んで、五寸釘でコチョコチョしてくれる! そして今度こそ常々妄想してた通りに(ピー)を(ピー)して(ピー)してくれるわ!!」
「ふっ私もくのいち、そう簡単に(ピー)を、(ピー)なんてさせやしないわ!」
ちなみに今回の舞台は15R指定です(嘘)。
腹部の藁苞から納豆ボンバー(糸を引いて敵をからめとる攻撃。臭気ガスを含み特に関西地方出身者への精神攻撃の意味合いが濃い)でおちゅんに襲い掛かるカカッシー。
ハーメルンはすかさず笛を催眠波を仕込んだフルートに持ち替え、手下達を眠らせます。
「‥‥おのれ、こしゃくな‥‥」
椛が呪文を唱えます。すると、庭に飾ってあった菊人形が動き出し、花びらを撒き散らしながらハーメルンに襲い掛かります。菊人形ロボはおちゅんがクナイで斬っても、ツンデレラが強化ガラスの矢を放っても、また花びらを集めて下に戻ってしまいます。
「くっ‥‥これじゃきりがない!」
「今こそ出番デスネ〜!」
乱闘のさなか、笠地蔵が憤怒の形相に変わりました。すると攻撃力は今までと桁違い、ずしーんずしーんと手足をふりまわし、菊人形ロボや手下達をふっとばし、押しつぶします。
「さわぐな手下ども! 操っているおちゅんさえ倒せば物の数ではないぞ! くくく‥‥このルネ・ヴァンダール・ハギワラ・ナガレが秘術・藁人形の呪いをかけてくれるわっ!」
カカッシーがおちゅんの髪を切ってくれようとその髪をつかみます。
すると、笠地蔵はカカッシーを抱え上げました。
「フルネルソン、アーンド、パワー・ボーム!」
カカッシーは‥‥何しろ体重が藁ですから軽いので‥‥ひゅーんと窓からすっとび、大神家の裏庭にある用水池にどぼーんとまっさかさまに落っこち、池の中に逆立ち状態にハマりました。
「や‥‥八つ墓村のたたりじゃ!」
と、池から脚が逆さに生えるという怪奇現象に村人がおびえています。笠地蔵は続いて、
「アーンド、ときめいてメモリアル!」
と椛を羽交い絞めに。
「そ、それだけはっ!」
椛がプロレスの、唇を強引に奪うという反則技をかけられそうになって、喪服の裾を乱してもがいています。
そのあまりに無残な光景に、おちゅんは思わず叫びました。
「やめて‥‥巨神へ、じゃなかった笠地蔵!!」
その時です。
「とうっ!」
助清が駆けつけ、助走で弾みをつけた宙返りキックで手下達をなぎ倒します。
「みんな、やめるんだ! これ以上誰かの涙を見たく無い! みんなに笑顔でいてほしいんです! だから、見てて下さい! オレの‥‥、変身!!」
叫びながらマスクを外した助清。なぜか「ピキーン!」という擬音が響きます。意外にもその下から現れたのは、爽やかな童顔でした。キラーンとその白い歯がまぶしく光ります。
「ぐわ!?」
その眩しい光で、バタバタと手下が倒れます。女性たちも一瞬腰砕けになり柱につかまります。これが大神一族に伝わる当主だけが使える必殺技「フェイスフラッシュ」でした。
「ふあ〜、なんじゃ騒がしい」
と、棺から佐兵衛老人が起きだしてきました。
「な、ななな‥‥!?」
腰を抜かさんばかりに驚く皆に、佐兵衛老人は説明しました。
「いやあ、ヨキコトキクを開発するつもりが、たまたまええアレルギー性鼻炎の薬発見したんで、試飲してみたんや。抗ヒスタミン剤入れ過ぎて眠くなるのが欠点やね。ゴクリ、ばたんきゅーや」
「血を吐いて死んだはずじゃ‥‥!?」
「薬が苦かったんでイチゴシロップぶち込んだんや」
「じゃあなんだったのよ、ダイイングメッセージの『し』って!」
「いや、『6時に起こして』って書くつもりが6の字の途中になってしもて」
「つまらん労力を費やさせてくれたわね、八つ裂きにして八つ墓明神に祀ってくれるわー!」
佐兵衛老人をしばきまくる三姉妹をあとに、孤高のくのいち・おちゅんは大神家を後にした。
「あれが家族の団欒‥‥うらやましい‥‥私は孤独だから‥‥」
‥‥なんか激しい誤解を胸に秘めつつ。
ともあれ、おちゅんはその後しのびの隠れ里‥‥「雀野里」に戻って巨神へ、じゃなかった笠地蔵を封印したそうです。大神一族の謎を解いた勇気ある娘として里の子供達に慕われました。なぜか「姫姉さま」と呼ばれながら。
そして魔女三姉妹は宝探しが快感になり、夜になるとレオタードを着てお宝を盗みまくる怪盗になりました。追い詰められるとキャッツカードと呼ばれる名刺サイズの板手裏剣を投げつけるので、人々に大変恐れられました。
ツンデレラは六本木ヒールズに戻り、経営に専念しています。そのうちプロ野球団を所有するという噂もあります。ハーメルンはCDを出しオリコンチャートに上ったようです。
助清はその後、佐兵衛老人の発明品のひとつ、出力140PS超と思われるバイクで日本を縦断しながら、グロンギとかアンノウンとか、とにかく色々な悪を懲らしめています。その愛用のちょい不気味なマスクと合間って、世間の人々は彼を「MASKED RIDER」と呼び、尊敬しています。
‥‥ところで、例の莫大な大神家の財産ですが、佐兵衛老人の発明研究で使い果たされ、もはや某消費者金融会社に屋敷と広大な土地すら抵当に入っていることを、誰も気づいていません。