秘密結社X〜悪の文化祭アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 小田切さほ
芸能 4Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 やや易
報酬 15.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/17〜11/21

●本文

 TOMI TVがお送りする特撮コメディドラマ「秘密結社X2〜悪の文化祭」では、ただいまキャストを募集中です。
 世界征服を目指し、まずは人材確保をしようと、なぜか「学園祭」ならぬ「結社文化祭」をやることになった悪の組織。学園祭で人気の出し物を見習って色々やってみるのだが、なぜかドタバタばかりで悪の繁栄には結びつかなくてーーそんな哀愁と笑いに満ちたストーリーに、貴方も参加して見ませんか?

☆ストーリー☆
 地下深く、その組織の本部は存在していた。
 核シェルター並みの強固な壁に囲まれた上、指紋や瞳の虹彩による個人識別セキュリティシステムに何重にも防御された、まさに悪の要塞ともいうべきたたずまいである。
 今しもそこで、世界征服の計画は着々と進行していた。
 結社本部最奥部の一室、「極秘会議室」と書かれた札がドアにある部屋である。
 その室内では、漆黒のマントをなびかせた悪の大幹部が、黒板を背に、改造怪人や戦闘部員、他の幹部達に恐るべき悪の計画を語っているところである。
「諸君、秋のイベント第一弾『芋ほり大作戦』はご苦労だった。
 残念ながら強敵が乱入しイモ完全制覇とはいかなかったが、秋の味覚は格別だったな。イモが美味しかった人、手を挙げて〜!」
「は〜い!」
 結社員の改造怪人、黒覆面の戦闘部員、セクシーコスチュームの悪の女幹部達が嬉々として手を挙げる。
「以上で、前回作戦の反省会は終わり(いいのかそんな反省で)。次なる悪の計画だが‥‥」
 大幹部は黒板に達筆で「文化祭」と板書し、部下達に向き直る。
「やはり多忙な年末に向けて、新しい人材確保が焦眉の問題となってくる。
 そこで、何か若者達に向けて、我々悪の秘密結社に興味を持たせるべく、秋恒例のこのイベントを行おうと思う。‥‥去年の文化祭では結社の裏庭で育てた有機野菜即売会を行い、なかなか好評であった。しかし若い年代へのアピール度が不足していたようである。やはり文化祭といえば学園祭、本年度からの『結社悪の文化祭』では、学園祭で人気の出し物を模してみようではないか」
 大幹部の隣にいた改造怪人が、
「えっでも、ウケてたじゃないですか〜有機野菜即売会。今年もやりましょうよ〜」
「あのな。有機野菜に群がったのって近所の主婦の皆さんとかお年寄りばっかりだっただろうがっ! 悪の秘密結社に、そんな面子を勧誘してどうする! 悪の組織がマッタリしてしまうではないか!」
「でも俺、今年も愛情こめて野菜作ったッスよ!」
「知らんわ、農協に売れ!」
 そんなやり取りを無視するかのように、
「はい」
 一人の真面目そうな戦闘員が挙手をした。
「はい、戦闘員902号くん」
「ええとぉ、質問。学園祭で人気のイベントって言うと、どんなのなんですか」
 この素朴な質問に、待ってましたといわぬばかりに大幹部が達筆で板書してゆく。
「近在の高校生の皆さん35人にアンケート調査を行い、好きな文化祭の出し物をこたえてもらった。‥‥それがこの結果だ」
 悪の大幹部が達筆で、次のように黒板に板書してゆく。

●クレープ屋さんなどファーストフード系屋台

●お化け屋敷

●男子による『女装喫茶』 

「な‥‥女装だとっ‥‥!?」
 悪の美形幹部が嫌な予感を感じてか悲鳴に近い声を上げる。一方、盛り上がるのは女幹部達だ。
「だいじょうぶ、綺麗にお化粧してあげるってば♪」
「そういう問題じゃなくてだな‥‥」
 一方、
「俺お化け屋敷のお化けやりまーす♪ 久々に女の子たちに『キャー』とか言われるの、楽しみ〜〜」
「たまんね〜」
 と改造怪人達も盛り上がる。
 ハチの巣をつついたような盛り上がりっぷりに、悪の大幹部が、黒板を叩いて呼びかける。
「静かに! ただし、一般人を結社内部に招き入れるとなると、一般市民にまぎれて正義の味方が乗り込んでくる恐れもある。
 各自手分けして警備巡回をおこたらないこと!
あとは見込みのありそうな一般人はそのまま拉致して改造怪人化するべく、連携して手際よく作業をすすめること! 以上二点を忘れるな!」
 「はーい」と一部の真面目な幹部や改造怪人は返事をしているが、大多数の戦闘員達は会議と言うことも忘れてきゃいきゃいと盛り上がってるのであった。

☆募集キャスト☆
●悪の幹部(大幹部含む。女装させられる危険性もあり)
●悪の女幹部(できるだけセクシーコスチュームでご参加下さい。寒い場合は結社から腹巻・携帯カイロ・遠赤外線靴下・ババシャツ支給)
●改造怪人(お化け屋敷の主役になれそう)
●戦闘員(制服支給、三食付。制服デザインへの要望は結社総務部で受け付けます)
●何も知らずに結社の文化祭に来た一般人(拉致されて改造怪人にされちゃう恐れもあり)
●正義の味方(衣装・戦闘方法は自由です)

  ‥‥他にもなんか楽しそうな出番があればよろしくお願いします。
 あと、文化祭の出店も、上記の3つ以外でもOKです。やっぱ野菜の即売会も捨てがたいですよね(なぜ)。

●今回の参加者

 fa0669 志羽・武流(21歳・♂・鷹)
 fa1420 神楽坂 紫翠(25歳・♂・鴉)
 fa1704 神代タテハ(13歳・♀・猫)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa2997 咲夜(15歳・♀・竜)
 fa4287 帯刀橘(8歳・♂・蝙蝠)
 fa4581 魔導院 冥(18歳・♀・竜)
 fa4839 山田クリスティン(19歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

●美しき薔薇の調べ
 今日は楽しい文化祭。
「化粧、よろしくお願いします」
 女装喫茶でウェイトレス? を務めることになったシャドウホーク(=志羽・武流(fa0669))は、どくろマークのメイクボックスを手に控え室に現れた女幹部レディ・ムーン(=魔導院 冥(fa4581))にぺこりと頭を下げた。きちんと正座して背筋を伸ばしているシャドウホークにレディ・ムーンは言った。
「どうも堅苦しいなシャドウホーク君。そんな、侍が介錯を頼むような態度で臨まんでもよいではないか。せっかく女装するのだからこう、膝を崩してこう、やわらかくというか色っぽくしてはどうかな」
「‥‥はあ‥‥し、しかし」
 シャドウホーク、ぎこちない。
 着替え手伝い要員の戦闘員達がひそひそ噂する。
「おい、なんで人事部改造人間開発課の超エリートが女装喫茶の担当なんだ?」
「よくは知らんが、岐阜の保養所の優先権と引き換えに上層部が説得したらしいぞ」
「ああ、あの温泉付保養所、いつも抽選だからなあ」
(「‥‥クッ‥‥己のクジ運の悪さが呪わしい」)
 屈辱にピクピクと肩を振るわせつつ、シャドウホークは頼んだ。
「レディ・ムーン。化粧は薄めに、できれば最低限にしていただきたい」
「わかっている。元がいいから、さほどいじらなくても綺麗に仕上がるしな」
 レディが手際よく仕上げて手鏡を渡す。覗き込んだシャドウホークが驚愕の声をあげた。 
「‥‥ってなんか口紅濃いような気がしますが!?」
「だからー。化粧というものは薄くともどこかにポイントを置かねば意味が無いのだ。ベースは薄めにアイシャドウとチークはほとんど色をつかっていないぞ?」
「‥‥そういうものですか?」
「それにその赤、似合っているぞ。ディオールの752番だ。かなり濃い赤だが下品にならないのはさすがに老舗ブランドだな」
「‥‥知りませんよっ」
 涙目のシャドウホークがまさにまな板の上の鯉といったていで、レディ・ムーン配下の戦闘員達にお着替えさせられる。
「シャドウホーク様〜、一応筋肉ごまかすためにも足元は黒タイツにしていただきますね」
「‥‥保養所のためだ‥‥耐えろ、俺‥‥」
 とかやっている間に、もう一人の女装担当、作戦部参謀幹部カイン・ド・マルキ(=神楽坂 紫翠(fa1420))が到着。ただしこちらはノリノリである。
「カイン様も女装なんですか!?」
「ま、人手不足解消と資金調達のためならば、やぶさかではない」
 と、いつもの悪の幹部らしいコスチューム‥‥肩章のついた黒いミリタリー調スーツを脱ぎ捨て、「フンフフンフフン♪」と鼻歌まじりに自ら選んで調達してきた着物をチャッチャと着こなす。大正浪漫風の銀鼠色地着物に地模様入りの黒帯とお姉様風。
「こちらは日本美人風メークだな。口紅はマット系で良いか?」
「うん、口紅はMACのリッチバイオレットで、アイメークはグリッター使いが良いな」
 というわけで元々女顔の美形ではあったが、ちょっと退廃ムードの美女に仕上がる。
「‥‥やっぱり、俺には出来そうにありません」
 スカートの違和感にホークが弱音を吐くと、カインが懇々と説得した。
「我慢しろ、これもすべて我等の活動資金のためだ。それに人気の保養所は、座して待っていたら定年来るまで利用できんぞ?」
「‥‥はい‥‥」
 片や眼鏡にキリッと赤口紅のみ際立たせた知性派美人、片や妖艶系退廃美女。
 二人の美女? は地下室を改装した模擬喫茶店へと向かった。

●崩壊ラプソディ
 さてこちらは結社の入り口付近。
 愛らしい少女にしか見えない改造怪人娘タテポ(=神代タテハ(fa1704))が、クッキーを詰めた籠を手に黒いゴスロリ風ワンピースに白いエプロンドレスを着け、客引きを行っていた。
「ねえねえそこのおにいさーん♪ 美味しくて、綺麗なお姉さん一杯の喫茶店ありますよ〜」
「おっ、可愛いメイドさんじゃん。寄っていこうかなあ」
「やったぁドッキドキ大成功☆ はい、これ、試供品のクッキーです♪ タテが作ったの」
 と可愛くラッピングされたクッキーを渡され食べた客は、むぐぐっ! と白目をむいて悶絶した。
 実はタテポは凶悪料理を作り人間の理性を崩壊させる味覚破壊怪人である。ただし本人悪気なし。
 そして入り口内ではデコルテラインの広く開いた黒いローブを着込み、つば広帽子に長手袋&ブーツ、グロスのきいた赤い口紅に紫マスカラばっちりで魔女風に装い、通りすがりの男子学生集団を磁石のごとく吸い寄せ言葉巧みに引き込んでいるレディ・ムーンがいた。
「学生諸君。わが結社‥‥いや、Xカンパニー文化祭へようこそ。地下の喫茶店で薫り高いコーヒーでもいかがかな」
「Xカンパニーって、何をする会社なんですか? 窓口で有機野菜売ってるし」
「悪‥‥いや、『ちょい悪』を研究するNPO法人のようなものだ」
「へえー、今風ですね!」
 とか感心する純朴な学生達を誘導し、レディ・ムーンが女装喫茶にやってきた。
「さすがはレディ様! 無駄にガタイのいい、見るからに改造人間向きの学生達ですね」
 戦闘員が感心する。
「だな。精々色気を出して接待して洗脳してこい、ホーク。資金調達と人材確保のためだ」
 カインが無情に命じた。自らは流し目で「いらっしゃいませ‥‥二名様ですね? おひとつ、どうぞ」とサラリーマン風の客にコーヒーをお酌し、「いや〜、この喫茶店サービスいいねえ」とほっぺた緩みっぱなしのリーマン客に、ケーキだビールだフライドポテトだと鬼のように追加注文させ、売り上げに貢献している。
 ホークはぎこちなく給仕に出る。
「い、いらっしゃいませ。‥‥ご注文はなんにいたしましょ‥‥うっ!?」
 純朴そうなガタイのいい学ラン姿の男子学生(=山田クリスティン(fa4839))が、言いさしたホークの手を握り、
「こっ‥‥ここ、今話題のメイド喫茶ですか? ご主人様―とか言ってくれるんですか?」
「ちっ違っ!‥‥じゃなくてその‥‥緊張してて‥‥上手く接客できませんの、ごめんあそばせ」
 さりげに手を振りほどこうとするホークだが、メイド喫茶と思い込んだ男子学生はしつこい。
「も、もしかしてツンデレキャラ(わくわく)?」
「きっ貴様!! 改造人間開発にその人ありと言われたこのシャドウホークへの無礼、許さん!!」
 思わず地声で怒鳴りつけ、それだけならまだしも必殺ナイフシューティング(ただし今はメイド姿なのでトレイ)で攻撃してしまう。
 ビシュッ! と空を切って飛んできたトレイの刃風に髪の毛を切り取られ、
「はうっ‥‥おっ、綺麗なおねーさんじゃなくて‥‥男!? うわあ〜ん、騙された〜」
 愕然となり、泣きながら駆け出してゆく純情学ラン青年。
「あっ‥‥ここって、オカマ喫茶なんだ〜?」
 一般客の少年(=帯刀橘(fa4287))があっけらかんと指摘する。
「えっ、男!? 女装喫茶!?」
 騒然となる店内。その中、テンガロンハットを被った一人の外国人少年がすっくと立ち上がった。
「純粋な少年の憧れをもてあそぶとは、許しがたし‥‥秘密結社X!」
「我々の正体を知っているとは、貴様何者!?」
「正義と健全な男の煩悩の味方、メキシカンニンジャ・マシラ(=マリアーノ・ファリアス(fa2539))!」
 マシラはバッ! と肩に巻いていたポンチョを脱ぎ捨て、革ジャンにジーンズの姿となる。
「帽子といいポンチョといい、元々浮いてたが、正義の味方とはな。我々の本拠地で名乗りを上げるとは飛んで火に入る夏の‥‥っ!? な、何をする離せ!!」
「お、俺は男でもいいっす! 禁断の花園に連れてってくださいっす!」
 ホーク、異常な状況にのぼせ上がったらしい別な男子学生にタックルされ戦闘不能。
「ハバネロスプラーッシュ!!」
 マシラのリストバンドから激辛唐辛子ソースビームが飛び出し、男子学生を直撃。
「わっ!? なんで正義の味方が一般人を攻撃するっすかー!」
「正義のメキシカンニンジャは、不純異性交遊は許しても不純同性交遊は許さナイのっ!」
 カインが帯をしゅるりと解いて着物を脱ぎ捨て、肩章付黒コート姿で宣戦布告する。
「まったく‥‥良い所で邪魔をしに来てくれて、ありがたくて、涙が出ますよ? 全員散開して迎撃っ!」
「オゥ!? こっちも男なのっ!? ‥‥ってことは、この戦闘員達はどっちカナ? 確かめて見なければっ! ‥‥マシラリアット、アーンド、ゴートゥヘル!」
 と、手近な戦闘員をラリアットでひねりたおしては複合関節技で絞め、体を撫で回して確認している(何をだ)ニンジャ・マシラ。その目がおりしも魔女ローブを脱ぎ捨てて、リベット付ショルダーアーマーに、ビキニアーマー、その上にマントといういつもの姿になり応戦にかけつけたレディ・ムーンを捕らえキラリと輝いた。
「オゥ!? 露出度は高いがこれも女装男子かなー♪ 確かめてみなくっチャ♪」
「い、いやあああああ!」
 わきわきと迫るマシラに、さすがのレディも思わず女のコっぽい悲鳴をあげて逃げ惑う。
 と、そのマシラの頭を、どこからか飛来した銀のヌンチャクがゴッ! と一撃。
「正義の味方にあるまじき所業、例え天地が見逃そうとも、私の正義が許さない。正しい学園生活の味方、ブレザー服美少女戦士・ブレザー・ドラゴン(=咲夜(fa2997))参上! 聖なる裁きを受けなさい!」
 ヌンチャクを仕込んだ特殊警棒を手に、すっくと混沌の戦場に降り立つ、制服姿の美少女。小麦色の肌に濃紺のブレザーと白いブラウスが映える。
「クッ、現れたな邪魔者‥‥戦闘員、包囲!」
 ホークが凛然と命じるが‥‥女装なのでいかんせん迫力なし。
「ホーク様は一緒に戦わないんですか?」
「やかましい、足元がスースーして調子が出んのだ!」
 内股になってスカートの裾を押さえるホーク。
 その一方で、
「助かったぞ、ブレザードラゴンとやら。お礼と言ってはなんだが、これは私の手作り紫いもモンブランだ」
 あやうくメキシカンニンジャにボディチェックされるところだったレディ・ムーンが喫茶店の商品として作っていたお菓子をブレザードラゴンに差し出す。
 嬉しそうにぱくっと食べて、幸せそうな笑顔を浮かべた。
「んーおいしー♪‥‥‥‥って、懐柔なんかされないわっ! 今のはあなた方を油断させるための方便です、方便ったら方便なのっ!」
 我に返ったブレザードラゴン、通常の二倍速モードでヌンチャクをブンブン振り回し、戦闘員達の脚や胸部などを打ちすえ倒してゆく。
「クッ‥‥所詮正義の味方と女の友情は成立せぬのか! 各自、敵を撃退しつつ非常時ポイントに逃げ込め!」
 極細防弾繊維を織り込んだマントでヌンチャクを振り払い、レディが命じる。防戦しつつ髑髏をはめ込んだロッドから麻痺光線を出し攻撃するが、正義の味方達は目的もバラバラなら行動もバラバラなので、なかなかヒットしにくいようである。
「文化祭といえば、ラブアフェアの絶好のチャンスのハズー! それを期待してきた健全男子の期待を裏切るトハ言語同断!」
 と、尚も戦闘員達を追うメキシカンニンジャ・マシラ。
「仮にもニンジャだったらちょっとは忍ばんかいー! しかも武器がハバネロにサボテンナックルってなんか違うー! いてっ、いててて!」
 戦闘員はやられつつ突っ込みを入れまくりである。
 そして客引きから駆けつけてきたタテポがフロアモップ型ジャベリンで応戦。
「えい、えいえいー!(ずでっ)‥‥いたい〜」
 あげくスカートにつまづいて自分で転んでいる。幹部に襟首をつかまれ非常時ポイントに放り込まれる。
「ふにゃん☆」
 戦闘員や改造怪人達、幹部達も応戦しつつ、結社奥のフロアに逃げ込み、ドアを閉ざす。すると‥‥
「ちゅど〜〜ん!!」
 という爆音とともに、基地はロケット化し、地を離れ遠くはなれたどこかの新しい場所へと、旅立ったのであった。そして正義の味方から逃れた‥‥はずの秘密結社Xだが。
「‥‥アレ? 嘘〜! 空飛んじゃってるー!? どうしよ明日テストなのに!!」
 なぜか滑り込みで非常時ポイントに入ってそのまま一緒に来ちゃったブレザー・ドラゴンがいたり。
「心配するな、基地が着地したら私が責任をもって家まで送ってやろう」
「ありがと‥‥意外といい人なんだね♪」
「いや、そちらこそ正義の味方とはいえ、戦闘員の膝や腕を打ってなるべく傷つけず戦闘能力を奪う闘いを心がけていたな。悪の結社を代表して感謝の意を表しておく。改めて紫いもモンブランをいかがかな」
「わーい♪」
 敵味方を忘れてまったりお茶しているブレザー・ドラゴンとレディ・ムーン。
「カイン先輩、こいつを引き離してください!」
 まだ男子学生に抱きつかれているホークが助けを求めた。
「ん? 一般人がついて来てしまったか。まあ、どうせ人材不足なんだし、そのまま誘惑して改造しといたらどうだ? 人材確保のためなら我慢できるだろう」
 自らはいつのまにか手際よく化粧を落とし着替えたカイン、言い捨てる。
「ってことは俺達公認カップルっす♪」
「ま、待って下さいカイン先輩―!!」

 さて波乱の文化祭が終わってみれば。
 シャドウホークの姿はなく、「しばらく旅に出ます。探さないでください」と書かれた手紙が執務机に置かれていた。万年筆のインクはなぜか末尾で滲んでいた。涙のしずくが落ちたかのようだ。
「ホークの奴何か悩みでもあったのか‥‥先輩たる私に一言相談すれば良いものを」
 カインは呟き、長い髪をかきあげ憂いの色を浮かべた。
 ‥‥つか彼の悩みの大元、貴方ですから。

 次回も多分この調子でお送りする、「秘密結社x〜温泉旅情編」後期待ください(何)! 

●ピンナップ


志羽・武流(fa0669
PCシングルピンナップ
稲庭ちほ