オオサカ帝国の攻防アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
小田切さほ
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
08/17〜08/21
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●本文
まだ駆け出しの新人女優・泉本れいらは緊張の面持ちで、映画プロデューサーとの打ち合わせに臨んだ。
決して主役でも、準主役でもなく、狂言回し的な端役レベルとはいえ、初めての映画出演。地方の小劇場を回って公演する大衆演劇出身の彼女としては、やはり新境地の感が強い。
「ほんで、れいらの‥‥じゃなかった、ワタシの役どころって、どんなんなんでしょうか?」
れいらは出来るだけ標準語ぽいアクセントを意識しつつ、プロデューサー氏に聞いた。が、氏は、コテコテの大阪弁で答える。
「忍者や。真田十勇士の末裔で、オオサカの町を守ってるという役どころや」
「えーっ、時代劇? しかもそんなクールな役どころなんですかあ」
テレながらも嬉しそうなれいらに、次なるプロデューサーの一言がガツンと脳天直撃。
「いや、どっちかというと『アホ』な役やな。しかも時代劇やない、パラレルワールドギャグや」
といいつつ手渡された脚本をぱらぱらと眼を通したれいらは、
「な、なんやこれ!?」
思わず悲鳴を上げた。
☆特撮トンデモ歴史映画「コテコテ帝国の攻防」
160X年、関が原の合戦で徳川家康に敗れ母親・淀君と共に自刃したと思われていた豊臣秀頼は、影武者を使って生き延びていた真田幸村と、その手下・猿飛佐助をはじめとする真田忍び軍に守られ、再び挙兵する。
天下はもはや我が物と思い油断しきっていた家康軍は、真田幸村の奇襲と巧みな戦術の前に敗れ去り、ここに秀頼を征夷大将軍として頭に戴く、大阪幕府が誕生。
以後数百年の長きにわたり、大阪幕府は日本の最大権力として君臨する。
そして時は流れ、2007年。
日本の首都は大阪。そして日本の治世は大阪政府の「コテコテ憲法」(略してコテ憲)に委ねられていた。
しかし「コテコテ憲法」の、
・国民は一人一日一ギャグ(最低限)
・義務教育期間は、「ボケツッコミが完璧に出来るまで」。※師匠(担任教師)のOKが出るまで義務教育でも何年でもダブる。
・結婚・入学・出世・大阪地元球団の優勝など、めでたい出来事はすべて道頓堀川へのダイビングで祝うべし
・粉もんをおかずにご飯を食べられない人間は軽犯罪法違反
等の非情とも言うべき制定内容に反発し、主に関東地方の住民を中心とした反乱軍が立ち上がる。
反乱軍は大阪政府にスパイを放ち(もともとの大阪住民の親戚を装う、そっくりさんな大阪政府役員と入れ替わる等)、首都を江戸に変えようと企む。
大阪政府の権力の象徴たる「ビリケン像」を盗み出し、その統率力を失わせる作戦だ。
しかし反乱軍の動きをおぼろげながら察知した大阪政府も、現在も政府の間諜として動く猿飛萌菜(さるとび・もえな=泉本れいら)を始めとする真田忍びの末裔たちを使ってスパイを探し出そうとする。
「ええ服着てはるやんーそれなんぼ?」と着ている服の値段を聞かれ、
「これな、にいきゅっぱ!(2980円)」と安さを誇れるか。
買い物の際、店の人間に、
「はい、お勘定700万円」と言われ、ためらうことなく千円札を出し、
「おつり300万円ちょうだい」と即答できるか。
真のカンサイ魂を持つ者でなくてはクリアできぬ、熾烈なスパイあぶり出し作戦が敢行された。
しかし反乱軍・大阪政府ともに、予期せぬ事態が起こる。
それは萌菜がスパイに一目ぼれしてしまったことだった!
スパイの正体に感づきながらも、非カンサイのいいところを熱く語るスパイに萌菜も揺れる。
はたしてスパイはビリケン像を奪取できるのか‥‥!?
☆募集キャスト☆
●カンサイ人側‥‥大阪政府の役人、豊臣秀頼の末裔、真田忍びの末裔、大阪パンサーズ選手、謎のたこやき屋台の店主など
●非カンサイ人側‥‥政府に潜入するスパイ(一名は必ず役柄上猿飛萌菜に惚れられちゃってね。)、徳川家康あるいは家康ゆかりの武将の末裔、服部半蔵の末裔(徳川側の忍者です)、謎の外国人観光客など
※キャスト不足の場合は、適宜NPCが友情出演します。
※参考までに俗に真田十勇士と呼ばれるめんつを挙げておきます。
猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、穴山小助、由利 鎌之助、筧 十蔵、海野 六郎、根津 甚八、望月 六郎
●リプレイ本文
●来訪者
通天閣前広場に、一人の男(=常盤 躑躅(fa2529))が縛り付けられ晒し者になっていた。
「なんでも着ぐるみ着て通天閣で盗撮してたらしいで。自分ではオオサカ転覆を目論むスパイやって言うてるらしい」
通行人が冷たい視線で通り過ぎる。観光客らしき修道女姿の外国人女性(=雪城かおる(fa4940))が、その姿をパチパチと写真に収めている。
「OH。さすがはオタクの聖地ポンバシ、珍しい見ものですわ」
カメラを収め、歩み去ろうとしたその女性の足元に、カッと刺さる矢。矢文である。
『シスター・プリシラへ。ロケット広場にて待つ』
その文面を読んだ女性はたおやかな姿に似合わぬ不敵な笑みを浮かべた。
「フ‥‥ようやく、動き出したようですね。例のニンジャ達が‥‥」
通天閣に近い、数多くのエリートを輩出してきた名門お笑い芸人養成学校・「なんばスタークラブ」略称NSC。オオサカ帝国を守る忍者の末裔・猿飛萌菜(=泉本れいら)は表向き、ここの生徒である。NSCは今日、一人の転校生を迎えていた。
「ええとお名前は藤林‥‥?」
「豊。よろしくー」
教師の紹介に、藤林(=月岡優斗(fa0984))はニコッと笑って頭を軽く下げた。
(「おっ!? 萌菜のタイプのヤンチャボーイやん」)
一目でビビッときた萌菜だが、藤林少年は両親の仕事の都合で神奈川に長く暮らしたとかで、オオサカの常識にうとかった。授業中の先生の問いにも珍答連発で教室をパニックに陥れた。
「はい、今日の練習問題。この問いにオオサカ人らしく答えてみましょう。『えっらいオシャレな服着てはるやんー、それなんぼ?』」
「そんな見つめられると照れんじゃんか」
てな具合。
「ちょ‥‥あの転校生、『じゃん』やて。訛りきつっ!」
と級友達は遠巻き状態だが、萌菜がガタッと立ち上がる。
「方言かて個性やんか! 文句あんのんかコルア!」
授業が終わると、藤林少年は、廊下で萌菜を呼び止めた。
「さっきは、フォローありがとな。お礼といっちゃなんだけど、今度泳ぎに行かない? 湘南の海なら案内してやっからよ」
「湘南‥‥ってどこ?」
「ここからならほんの一万秒くらいしかかかんねーべ?」
(「それ、僻地やん」)
だが、少年を傷つけたくない萌菜はあえてつっこまなかった。
そんなカルチャーギャップを超えて、二人は急接近。
「俺、横浜生活が長かったじゃん? あまり関西の記憶ってないんだ。よかったら案内してくれねーかなー」
「え‥‥ええけど」
「じゃ、通天閣行きたいんだけど、広場で3時ごろでどうよ?」
「おっけ。ほな炊飯器(=じゃあ)」
スキップで去っていく萌菜を見送って、藤林少年はこっそりと、シャツのポケットの極小通信機にささやいた。
「第一関門突破。今日午後3時より通天閣に接近」
●影の軍団!?
「うまく潜入したようですね‥‥」
こちらは東京‥‥田舎の中の田舎と呼ばれる六本木である。広大なみかん畑の広がる中にぽつりと建った純和風家屋。そこに春日(=都路帆乃香(fa1013))はいた。
春日はかつて真田忍軍に滅ぼされた徳川家康の重臣、本田忠勝の娘・小松姫の子孫で、現在のオオサカを中心とした日本のあり方を憎んでいた。
「皆の者、今こそ大阪政府を転覆させ新政府として江戸に場所を移した江戸幕府を設立するのです。その手始めとして大阪政府の権力の象徴たる「ビリケン像」を盗み出すのです!」
「ははっ!」
ずらりと膝まずくは黒ずくめの、同じく真田に滅ぼされし服部忍軍の子孫達。
「なんとしてもあの憎むべき「コテ憲」を覆さなくては‥‥婚礼の儀の後に結婚衣装のままで道頓堀川のような溝川に突き落とされるなんて絶対に嫌です!」
「姫がそのようなお姿になるなど、思うだにおいたわしいっ」
忍者の一人がよよと泣き崩れる。
「半蔵、手を御上げなさい。ああ、旋さえ離脱しなければ、もっと早く日本はわが徳川方のものになっていたものを‥‥馬を引きなさい!」
執念の表情に凄艶ささえ漂わせ、春日は命じた。
「ははっ!」
半蔵が引いてきた白馬に春日はひらりと飛び乗った。
「姫、三宅坂JTから高速に乗られた方が」
「わかっています。はあッ!」
ぴしりと鞭をくれ、春日は白馬を駆って一路大阪へ‥‥って、着くのか?
● スパイ攻防戦
午後2時40分。萌菜との待ち合わせより若干早く通天閣傍の商店街を歩く藤林少年がいた。
「お、なんか見覚えある顔やな? っと思ったら、豊っくーん! 久しぶりぃ」
思いっきり陽気な声で本名を呼ばれてギクリとする藤林少年。
「せ、旋ちゃん‥‥!」
それはかつて、少年と同じ服部忍軍の一人として徳川方の間諜を勤めていたくノ一・旋(=虹(fa5556))。アロハにショートパンツの男装で、見た目イケメンの青年に見える。浴衣姿の少女数名にきゃいきゃいと取り巻かれているのも本物の男顔負けだ。
確か数年前、潜伏していた関西に馴染みすぎたとかで『あのなー、なんかこっちの水合うしー、元々騙し騙されって性に合わんねんわ。ごめんやけどこっちで暮らすわな♪』
というメッセージを最後に消息を絶っていた。
「いやー、久しぶりやしー。そこらでたこ焼きでもおごったろか?」
「いらねーよっ。第一、任務が‥‥」
飄々としたペースに誘われてうっかり漏らしそうになる藤林少年は、慌てて口をつぐむ。
「と、とにかく今忙しいから、じゃーなっ!」
無理やり振り切って、少年は通天閣へ。
一方、めいっぱいオシャレをして約束時間ちょうどにやってきた萌菜は、入り口を警備していた僧形の巨漢に呼び止められていた。その巨漢、萌菜の育ての親で、忍術の師匠でもある三好蒼海(みよしそうかい=伊藤達朗(fa5367))。真田忍軍の怪力僧兵・三好清海入道の子孫である。聖地・通天閣の守護が、彼の任務。
「おっ、えらいめかしとるな。なんや、ええ男でも出来たんか? おっちゃんに紹介してみい。萌菜の彼氏ならわいの息子も同然や」
「か、彼氏やなんて。今日知り合うたばっかりやし」
「何、知り合ったばかりでもうデートかいな。手ぇ早っ! 油断ならん奴ちゃのう! よっしゃ、どんな面しとるか見てこましたる!」
「も、もうっ、おっちゃんに見張られたら盛り上がらへんやんか!」
と、そうこうする間に藤林少年の方が萌菜を発見し。
「お。学校の制服よりずっとカワイイじゃん」
軽く挨拶する少年。
「もう、ダーリンたら正直者〜」
目がキラキラになる萌菜。
「萌菜を泣かしたらおっちゃんが黙ってへんで? え?」
ずいっと萌菜の前に出てすごむ蒼海。しかし藤林少年は臆せず。
「誰? このハゲたおっさん」
「おっ、ええ度胸やの。しかしわいのはハゲやのうて、剃っとんや。そこんとこ間違ったらあかんで」
「もう〜、師匠はそればっかりやな。それよりダーリン、大阪の聖地・通天閣ツアーへれっつごー☆や」
萌菜と藤林少年が通天閣に足を踏み込んだとき。怪しい少年が二人の先へ割り込むように入ってきた。胸の前後に「私はボケツッコミが出来ません by三葉葵(=山南亮(fa5867))」というプラカードをぶら下げた、見るからに怪しいというよりヤバイ少年だ。
「ふふふ‥‥ビリケンさんの頭を撫でてボケツッコミ野の活性化を」
ぶつぶつ呟きつつビリケン像のあるフロアへ続くエレベーターへ乗ろうとする彼を、上空から響く声が呼び止めた。
「待てぃ、そこな東夷!」
続いて全身ヒョウ柄の野球服――地元球団大阪パンサーズのユニフォームであるーーを長身にまとい、サングラスで眼光を隠した一人の男がバリーン! と窓ガラスをぶち割り隣のビルの屋上からロープにぶら下がって突入してきた。
「とうっ!」
男は怪しい少年にタックルし少年を捕縛する。
「あ、餅月のおっちゃん!」
と萌菜。
「ふははは、おっちゃんやない、お兄様じゃ!」
言い切った男――餅月六十六郎(=緑川安則(fa1206))は、元プロ野球団・大阪パンサーズの4番打者である。萌菜や蒼海と同じく真田忍び・望月六郎の子孫なので二人とは親戚同然のつきあいだ。
「危険や、一般人は離れろ! 納豆テロや!」
餅月が手早く触査すると、少年が腹巻に包んで隠し持っていた納豆の匂いが広がり、通天閣を訪れていた人々は鼻をつまんだ。関西人の多くが苦手とする納豆を関西名所に塗る恐るべき納豆テロは、近年多発しており恐れられていた。これに対抗すべく餅月はパンサーズ選手達を率い大阪防衛軍を組織していた。
「今丘、ファブ○ースを噴射して納豆臭を消せ。屋野と朱星はテロの残党に気をつけろ。東夷に容赦はいらんで」
餅月の指揮で防衛軍が動き始め、通天閣内は騒然とする。
(「今がチャンスだ! さて、ビリケン像はどっこかなっと♪」)
甲賀流忍術を叩き込まれた藤林少年は、とっさに判断した。警備員がこのフロアに駆けつけ、ビリケンのある上階層が手薄になっていたのである。
藤林少年は階段を駆け上がった。
「あっ、ダーリン!?」
追おうとする萌菜の目の前に、「ごめん!」と、煙幕弾を投げつける。もくもくと湧き出る煙に阻まれる萌菜を蒼海が抱きとめる。
「ぬぅっ。この煙幕の匂い、さては甲賀忍びかっ! 萌菜! 騙されるんやないで。そいつはお前を利用しようとしよったんや。おっちゃんがもっとええ男紹介したるさかい、あいつのことは諦めるんや!」
「蒼海はん、ここはワシにまかしとき! 東夷は足が遅い。ワシらカンサイ人は時間を大事に使こうとるから自然と足が早いもんや! こういうときのために、動く歩道の上でも早足で歩いとるんじゃい」
餅月が持ち前の俊足で走り出す。彼は武器のバットを振り上げた。
「くらえ超必殺! ガトリングノック! これでパンサース優勝じゃああ!!」
しゃきーん! バットに仕込まれたハリセンが開き、空を斬って少年に襲い掛かる。
しかし、藤林少年は一瞬早く振り向くと、どこからか取り出したサッカーボールを蹴った。
ドオッ!
砲丸のごとき勢いでボールが飛ぶ。餅月が「ふんっ!」とハリセンの一閃で弾き飛ばして防御したものの、ボールは壁にズシンとめり込む。キック力増強シューズの恐るべき威力だ。
「へへっ、今は野球よりもサッカーの時代じゃん!」
「飛び道具とは卑怯な!!」
餅月は壁が破壊されたために塗装中の壁から落ちてきたペンキ缶で全身真紅に染まりつつ叫ぶ。
ビリケン像を抱えた藤林少年はターボエンジン付スケボーを駆り通天閣前商店街を駆け抜ける。
そこへ、ぱからっぱからっ と馬に乗りやってくる服部忍軍の皆さん。普通ならありえないがニンジャですから。
「でかしました藤林、さあ、ビリケン像を半蔵へ!」
白馬にまたがった春日姫が手を叫ぶ。
ビリケン像を藤林から受け取ろうと、馬上の半蔵が手を伸ばす。
と、餅月六十六郎が現役時代の盗塁を髣髴させるダッシュで追いすがり、ハリセンを振り上げた。
「熱血、必中、ひらめきに! ついでや努力、根性、幸運! オドレは動き遅いんじゃ! 食らわんか! ナン・D・ヤネーン!!」
ひゅるるるる‥‥
半蔵は星になった(マテ)。
「ヘイ、ユー達にクエスチョンがあります。ストップしなさい!」
びゅんびゅんと十字架のついたチェーンを振り回しながら、修道女姿のプリシラが現れ襲い掛かる。逆上して斬りかかる忍者を担ぎ上げ弓なりに締め上げる。
「なぜストップしませんか! お仕置きです、忍法タワーブリッ〜ジ!(ゴキッ)」
「何者!?」
きっと睨む姫に、プリシラは嫣然と微笑んだ。
「アーユーキディング? 貴方が私を呼んだのでしょう? ニッポンのロケット発射地といえばタネガシマだと思っていたのですっかり遅くなってしまいました」
「なんのこと‥‥?」
「OH。人違いね。ソーリー」
プリシラは去っていく。なんなんだ。改めて春日姫が藤林少年からビリケンを受け取ろうとした。
その間を、フォン! とエンジン音を響かせ、一台のバイクが駆け抜けた。
そのライダーに、ビリケン像は一瞬のうちにかすめとられた。
ライダーは歩道脇にバイクを寄せて止めると、ヘルメットを脱いだ。旋だ。
「もう、大阪VS関東の喧嘩なんてやめへん? 春日ちゃんは大阪毛嫌いし過ぎやと思うし、確かに俺は大阪おもろーて好きや。けどな、今みたく、日本全国みーんな大阪人になってしまうのはどうかと思うんよ。いつか、都道府県それぞれの持ち味を生かしながら、楽しく共存できる日が来るまで、これはしばらく俺が預かるわ。
春日ちゃん、相変わらず元気そうやな。久しぶりに半蔵兄さんたちとも会えて嬉しかったわ。‥‥アメちゃん食べへん?」
と、ジーンズのポケットから色とりどりのあめちゃんを出す。
「いりません、そんな大阪のおばちゃんの社交アイテムは! なんですか関西に染まりまくって!」
春日に叱られ、旋は肩をすくめて、「ほな」と微笑む。
フォォン! バイクは走り去っていった。
長居は無用、と春日と服部忍軍の皆さんは馬をターンさせ、駆け去る。藤林少年も仲間に馬の上へ引き上げられ、去っていく。萌菜が叫んだ。
「なあ、ちょっとだけ、信じてもええよね? スパイやったとしても、萌菜のこと可愛いって褒めてくれたんだけはホンマやって‥‥!」
少年は黙っていた。心の中で呟きながら。
(「ごめん‥‥」)
数日後。プリシラはとある城にいた。
「成るほど、ユー達でしたか、大ブリテン忍者軍団の手を借り日本に革命を起こしたいと私に呼びかけて来たのは‥‥」
プリシラは玉露を含みつつ目の前のある人物に微笑みかけたーー
(つづく☆←たぶん)