チアガール戦隊BMアジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
小田切さほ
|
芸能 |
4Lv以上
|
獣人 |
フリー
|
難度 |
普通
|
報酬 |
19.8万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
09/05〜09/09
|
●本文
甲子園球場、夏。
カッキーン!
夏空に弧を描く白球。
それは、外野を超え、スタンドへと吸い込まれてゆく。
『ッホオオームランッ! さすがは “バンダナ王子”、清嵐学園エース加藤君、その実力を見せましたアーッ!』
実況中継のアナウンサーが声を限りに叫ぶ。
わあっ という歓声がベンチから、応援席から沸きあがり、ホームランを打った少年は会心の笑みを浮かべて白球の行方を見送ると、鮮やかなフォームで塁をめぐって駆け出した。
関西の名門私立高校・清嵐学園に在学している彼は、野球部エースの加藤直樹。
ベンチ裏で投球練習をするとき、額に汗止めのバンダナを巻くおしゃれさと繊細さが女性ファンの心をつかみ、爽やかな態度とあいまってマスコミには「バンダナ王子」なる愛称をつけられていた。
応援席では、
「ナイスファイト清嵐♪ GOGO清嵐♪」
ミニスカートに鮮やかなポンポンを手にしたチアガールが、華麗に舞う。
‥‥
加藤直樹、ついにホームイン!
だがその瞬間、上空にバラバラ‥‥とヘリコプターが飛来した。
ヘリコプターの下部のハッチが開き、箱のようなものが落ちてくる。
選手も、観客も、呆然とそれを見守った。
「とうっ!」
ひらり。
ついさっきまで華麗にダンスドリルを披露していたチアガールの一人が、応援席から球場へ飛び降りる。
すたっ、と着地すると、チアガールは加藤直樹をベンチへ突き飛ばし、自らも地面をゴロゴロと転がり、箱から離れた。
轟!
ヘリがばら撒いた何かは、すさまじい爆音を立てて、甲子園球場に土煙を舞わせた。
何者かが、加藤の爆殺を謀ったのだ。
ヘリは逃走してしまった。
「怪我はない?」
チアガールは、直樹に聞いた。
「また、君たちに助けてもらったね」
うなずいて、加藤直樹は呟く。
「それが私たちの使命だもの」
チアガールは、胸を張って応えた。
実は彼女たちは、世界的にネットワークを持つ慈善団体、
「世界青少年スポーツ振興協会」‥‥略して「WYSP」から派遣された超A級ボディガードである。
近年、優秀なスポーツ少年が狙われ傷を負わせられたり、誘拐され行方不明になったりする謎の事件が相次いでいる。
何らかのテロリストがその影にいると思われるが、今のところ犯人は判明していない。
そんな事件から、正しいスポーツマンスピリッツを持つ少年たちを守るため、結成されたのが「BATTLE MADONNNA〜バトルマドンナ」‥‥略してBMと称される武装ダンスドリルチームであった。
メンバーはいずれも何らかの格闘技に秀でた女性で、ダンスの特訓を受けている。
彼女たちの使命は、応援席でチアダンスをしつつ、スポーツ少年たちを見守り、身辺警護をすることである。
彼らが不安を感じることなくスポーツに専念し、より強靭な精神と体を育成するために。
今回も彼女たちは、甲子園で抜群の活躍を見せている、加藤直樹のボディガードとして派遣された。
直樹は何度か命を狙われているが、今までBMの活躍で事なきを得ていた。
だが、BMとて命がけである。
華麗なダンスドリルの影で、常に彼女たちは、武道の訓練を怠らず、また謎のテロリストについての情報収集を続けていた。
厳しい訓練、そして常に危険と隣り合わせ。だがそれだけに仲間たちの絆は深い。
◆
某地の、とあるハイテクビルの一角――
闇の組織のボスが新たな命令を下していた。
「またあの野球少年を捕らえるのに失敗したか‥‥まあいい。何度でもやり直せ。誘拐でなくとも殺してもかまわんが、頭だけは無事な状態でな。意味は‥‥わかっているな?」
応えるのは白衣をまとったマッドな科学者。
「くくく‥‥もちろんですよ。われわれの目的は運動神経に優れた少年たちの脳内物質を集め、最強のサイボーグ生成に生かすことですからね」
◆
明日は優勝校決定戦。
チアガール戦隊は直樹を守りきれるのだろうか?
☆募集キャスト
●チアガール戦隊・隊員
●加藤直樹
●闇の組織のボス
●マッドな科学者
他、野球部員や野球部の監督、事件を追う刑事、など☆
※チアガール戦隊は何名でも可。男性キャストで応募される場合は完璧に女装してください。ちょっとでも不自然だと怖い絵になります。
踊れる人、大歓迎。年齢はあんまし関係ないことにしましょう。ちょっとミニスカートに自信がないわと仰るお年頃なお姉さまはダンスや格闘技の「師匠」てことにするとか。
●リプレイ本文
●日常風景
試合終了、0−12、清嵐学園の完封勝利!
押し寄せる歓声。
「V・I・C・T・O・L・Y!」
チアガール戦隊はミニスカートを翻して人文字を作り、勝利を祝う。
「いやー、今日はついに157KMの剛速球が出たね」
「はい、仲間の信頼に応えられて良かったです!」
勝利投手インタビューをいつもの如く爽やかにこなし、加藤直樹(=百鬼 レイ(fa4361))は、甲子園から合宿所に帰るバスに乗り込む。
直樹がバスのステップに足をかけた時、チアガール戦隊・チアレッドこと赤崎羽矢子(=ベス(fa0877))が座席を確認しようと飛び出した。
「あ、待って。爆発物が仕込まれてないか確認‥‥っ?」
チアレッドをぐいと押しのけるスーツ姿のお姉様。
「貴方ね、野球場以外の場所まで、これ見よがしのミニスカでうろちょろするのやめてくれる」
ばいーん、と直樹と羽矢子の間に立ちふさがり宣言するその女性は、加藤樹里(=羽曳野ハツ子(fa1032))。直樹の姉にして、国際警察機構に所属する女刑事である。
「後で合宿所に特製トンカツ差し入れるからねっ、直樹!」
プロファイリング術から逮捕術まで何でもござれ、今は弟をも狙う謎のテロ組織を追うエリート刑事の身だが、んちゅっ、と周囲ガン無視で投げキスを送るあたり、ブラコンと言われても仕方ない。
「いらないよ。合宿所で十分すぎるくらい食べさせてもらってんだから」
直樹はあっさり言い捨てて、バスに乗り込む。
「最近冷たいのね直樹‥‥昔はおねーたんおねーたんって‥‥きゃっ?」
肩を落とす樹里は、バスを追おうとする直樹の追っかけ軍団の女性達につき飛ばされ、誰かに激しくぶつかった。新入り隊員で、有名なバンダナ王子の護衛任務にいつも緊張気味のチアブルーこと青木未子(=角倉・雨神名(fa2640))。
追っかけを止めようと人波に揉まれていた未子に、八つ当たり。
「子供が危ないことに首突っ込むもんじゃないわよっ!」
「あっ、あの、お姉さんも人ごみ危ないですから、気をつけて下さいですっ‥‥」
ぴょこりと頭を提げる未子を、ふんと無視して樹里は去ってゆく。
そんな未子を、チアグリーンこと香取千香(=冬織(fa2993))が叱った。
「未子、あんなブラコン刑事に気を使うことないって言ったでしょ! 次、合宿所の警備行くわよっ! ちょっと、アニタ、のんびりカレー食べてんじゃないわよっ!」
球場内の出店で、名物カレーを食べていたチアイエローことアニタ・アマリージャ(=ティタネス(fa3251))を見つけ、ついでとばかりに叱り飛ばす。
「ん? これ旨いよ、センコー」
のんびりとアニタは笑顔を向ける。千香が青筋を立てて憤る。
「センコーじゃなくてチカだって、何度言ったらわかるのっ!?」
「まあまあ、千香、アニタは日本語勉強中なんだから」
羽矢子がなだめる。そもそもチアグリーンの「香取千香」などという、蚊一匹寄せ付けなさそうな程に薫り高い名前は仲間内でもツッコミどころであり、千香の逆鱗でもあった。
名前を気にする千香を慰めようと、仲間想いの健気娘・羽矢子は一生懸命フォローを試みた。
「私は好きだな、千香の名前。日本の夏に似合うもん」
「むき〜〜っ!」
チアレッドはそんな天然ドジ娘であった。
●罠
そして優勝決定戦を控えた日の夜。
合宿所でトレーニングを終えた直樹は、コーチからの呼び出しを受けた。
「加藤〜、コーチがピッチングのことで連絡あるから裏庭で待ってるってさ」
「こんな時間に?」
と首を傾げながらも直樹は裏庭に。
「来たか、加藤。‥‥クックック‥‥」
と笑うコーチの目が尋常でない。
「イ“−ッ!」
黒覆面に顔を隠した謎の一団が、物陰から飛び出して直樹の腕を捕らえる。
「コ、コーチ!?」
「いくら一流校のコーチといっても報酬は高が知れている。だがお前を黒牡丹様に渡せば、一生遊んで暮らせる金が手に入るのさ」
「そんなっ‥‥!」
「そうはさせないのですっ!」
飛び出した人影が直樹を庇って立つ。ブルーのチアガール服に身を包んだ未子だ。
「なんだこの小娘はっ!」
「水のように愛する人の命をつなぐ‥‥予定のチアブルー!」
未子は名乗り、黒覆面軍団と愛用武器の分銅鎖で戦うが、新入り隊員で未熟な彼女には少々手ごわすぎる敵だった。あえなく黒覆面に捕まり、するすると忍び寄った車に直樹と共に拉致されてしまった。
◆
「あ‥‥こ、ここは?」
目を開くチアブルー。だがそこは、手術室のように無機質な、白い壁と銀色の‥‥用途は謎な機械に囲まれた見知らぬ部屋。しかも、直樹も自分も、手術台に皮ベルトで縛り付けられている。
「おやおや‥‥こんな可愛い娘がついてくるなんて、嬉しい誤算ですね」
黒のゴス系ドレス、その上に白衣を羽織った怪しい少女(=堕姫 ルキ(fa4852))。
ここは、直樹を狙っていた組織の本拠地だと、少女は語った。
「そして私は、この組織の科学技術を担うDr.ベレト。一応ハーバードのメディカルスクールをスキップで卒業しておりますの。人類の脳をモジュール化し必要に応じて交換する理論を発表しましたら、免許剥奪されてしまいましたけれど‥‥でも、この計画が完成すれば、私の理論が正しかったコトが証明されます。そして世の愚かなる凡人共は知るでしょう。この私こそ、人類の新たな可能性を切り開く偉大なる先駆者であるというコトを‥‥!」
うふふっと艶めいた微笑を浮かべるが、いささか狂気の影を帯びた美しさ。
そこへ、カツカツとヒールの音を響かせ、真紅のチャイナドレスの美女・黒牡丹(ホンムータン=竜華(fa1294))が手下を引き連れ入って来る。
「黒牡丹様、こちらが今日の獲物ですわ」
「ふぅん、やっぱりいい体してるわね‥‥惜しいけど後はドクにお任せするわ。‥‥お邪魔虫はこの際、良い機会だからついでに調べておいて」
「もちろんですわ♪」
言い置いて悠然と去る黒牡丹。
メスを取り出すベレトに、拘束されたままチアブルーは必死で訴えた。
「わたしはどうなっても構いません、直樹さんだけはっ‥‥!」
「では貴方には、改造サンプルにでもなって頂きましょう‥‥大丈夫、私の腕にかかれば、必ず強くなれますから」
「あああーっ!」
ビリビリとメスが未子のジャージを切り裂く。どう見ても危機一髪だが、未子はジャージの下にTシャツを着込んでいた。期待させてごめん。
本当のピンチにはまだ少しだけ間があるということで。
● 絆
一方、チアガール戦隊の面々は、未子の異変に気づき、追跡を開始していた。戦隊員の面々は全員、万一のときの備えに発信機を身に着けており、護衛対象である直樹にも同じものをつけさせている。そしてその追跡画面は、隊員達のお揃いの腕時計の画面をボタンで切り替えると、映し出される。
どうやら未子と直樹が一緒に拉致されたようだとその画面で戦隊員達は気づいたのだった。
「まさか護衛してて一緒にさらわれるなんて‥‥留守番をあんなドジっ娘一人に任せて周辺パトロールなんてするんじゃなかったわ」と千香。
「千香は未子のことほっとけないんだよね」とチアレッドがくすりと笑う。
「べ、別に未子のことなんて心配してないわよ? ‥‥してないんだからっ!」
とツンデレる千香を放置して、少女達は発信機の画面を分析し、拉致先が港近くの倉庫であることが判明。
「行くわよ、皆!」
チアレッドの声に全員が頷いた。
「大丈夫、私の腕にかかれば、必ず強くなれますから‥‥」
と、怪しげな注射器を取り出すベレト。
「ちょおーーっと待ったーーーっ!」
バーーン! とドアに体当たりして、部屋に突入してくる一人の女性。樹里だ。
「ちょちょちょちょーっと!あああああアンタ、ウチの直樹になんてことしてんのよーーーー!!」
ぷしゅー、とこみあげる怒りで眼鏡を曇らせつつ銃を構える。実は樹里、国際警察機構捜査官の立場を利用して、通信衛星システムを使った追跡ソナーを弟の体につけていた。もちろんチアガール達がつけたものとは別口。
「今すぐ手を頭の上で組んで壁のほうを向きなさーい! でないと撃つわよーー!!」
「うふっ☆ そんな拳銃なんて‥‥私の強化手術を受けた戦闘員達には効きませんわ」
ベレトが言う通り、樹里の命令をどこ吹く風と襲い掛かってくる戦闘員達は、樹里の銃も、マーシャルアーツも受け流してしまう。
「ついでだから、その眼鏡お姉さんも実験台にしちゃおうかしら」
「くっ‥‥」
「姉さん!」
そんな状況下、ふぁさっと何かが天井から落ちて、ベレトの視界を遮った。ポンポンだ。
「そこまでよっ!」
倉庫の天井に立つ、チアガール衣装をまとった3つの影が凛然と叫ぶ。
「サイボーグを作るためにスポーツ少年を誘拐するなんて、高野連が許しても私達BMが許しません!」
いや、高野連も許すまい。それはさておき、
「軽やかなステップダンサー☆チアレッド!」
とポンポンから拳法用のバトンを引き抜く羽矢子。
「鋭き舞のブレードダンサー、チアグリーン!」
同じくポンポンから仕込み小太刀を引き抜く千香。
「ダイナミックなパワフルダンサー・チアイエロー!」
力強く脚を蹴り上げてアニタ。
「とうっ!」
3人が同時に天井から飛び降り、千香が小太刀で未子の拘束を切り裂き、未子の武器である分銅鎖を渡す。
未子は分銅鎖を投げつけて戦闘員を足止めし、直樹の拘束を解いて、彼を背に庇う。
「キー! 直樹を助けるのは私の役目よー!」
と割り込む樹里。強化手術によりスピードが増強された戦闘員を、チアレッドが、
「付け焼刃のスピードでは、技の精度が甘いのよっ!」
ヒュンヒュンと短棒で急所を打ち倒す。
同じく切り裂こうと襲ってくる爪をナイフ状に改造された戦闘員を、チアグリーンが、
「武器を着けているというだけで、心が研ぎ澄まされていないキミ達如きに倒されはしないわ。‥‥出直してくるがいいわ」
びしっ! と小太刀で武器を弾き飛ばし、峰打ちで倒す。
筋力が増強され手術台を軽々と持ち上げて襲い掛かる戦闘員を、チアイエローが、床に片手をつき蹴り上げるカポエラの技で倒す。
「いくら筋肉を強化したって、体のツボは同じさ」
「うそ‥‥赤の子、詠春拳使いだったの!? な‥‥なんでチアガールの小娘がカポエラのアウー・ジ・ビコなんて使いこなすのよ〜!」
樹里は解説実況状態。
そんなややこしい乱闘の中、研究室の壁がふいに開いて、黒牡丹が現れた。ボス・黒牡丹の隠し部屋とつながっていたようだ。
「ええぃ、情けない。これしきで私の野望は諦めないわよ!」
黒牡丹は嫣然と鉄扇を構えてチアガール達を挑発。
「貴方が黒幕ね!」
羽矢子はバトンで、千香は小太刀で、アニタは蹴りで挑むが、黒牡丹はほとんど立ち居地を変えることなく、いとも軽々と鉄扇でその攻撃を受け流し、
「直樹は渡さないわよー!」
樹里の援護射撃を、黒牡丹は鉄扇で打ち砕く。
「皆、バラバラじゃダメなのよ、力をひとつに合わせなくちゃ!」
レッドの言葉に、アニタと千香が手を組み未子がその上に乗る。そして高所で立ち上がる形の未子が羽矢子を引っ張り上げて投げ落とすように。
「レッドアローキック!」
羽矢子の繰り出す蹴りが加速をつけたドロップキックとなる。
鉄扇で受け流そうと構える黒牡丹だが、鉄扇が羽矢子の蹴りで砕かれ呆然となる。
「シューティングブルーアタック!」
続いてアニタと千香の腕の上で反動をつけくるりと宙返りした未子の飛来体当たり。
「ぐっ‥‥!」
黒牡丹がついに倒れた。
「あなたのハートにビクトリーエール☆」
チアガール戦隊が勝利のポーズを決める。
ベレトが床のじゅうたんの隠しスイッチを押す。ゴゴゴ‥‥と不気味な振動がアジト全体に伝わる。
「私の‥‥私の研究を、こんな所で終わらせはしません‥‥ッ!! 行きましょう黒牡丹様」
「たとえ地獄に堕ちても‥‥野望は遂げて見せる‥‥」
黒牡丹の捨て台詞に、ドオン! という爆発音が重なる。スイッチはアジト全体を爆破するデストラップを作動させたのだった。爆炎の中へ、ベレトと黒牡丹の影は消えていった。
すべてが終わり、
「直樹君は護衛対象だから当然として‥‥未子が無事で良かったとか、思ってるのはほんのちょっとだから!」とツンデレる千香。
「さあ直樹、帰りましょ」
樹里が、チアガール達に助け出され、呆然と直樹の腕を取った。が、直樹は、
「俺‥‥試合に出たいよ」
「ダメよ、こんなことがあったのに、ゆっくり休まなきゃ」
「仲間が、俺を待ってくれてるから。仲間の大切さに、改めて彼女達が気づかせてくれたんだ」
と、直樹はチアガール達を見やる。一瞬複雑な表情になった樹里だが、
「ふ‥‥ふんっ。今回は見逃してあげるわよ、伊達にミニスカートで走り回ってるわけじゃなさそうだしっ」
弟の手を離し、『頼むわよ』というように、チアガール達へと弟の背を押した。
「急いで、もうすぐ試合開始時間になっちゃう」
直樹をアニタがバイクで送っていくことに。
「しっかりつかまっておいでよ!」
キキキキーーーッ! 急発進急加速に悲鳴を上げつつバイクは走る。
「急ぐといっても制限速度は守‥‥ってああああーーーっ!?」
「キャーッ、直樹〜〜〜〜」
樹里がたまらず後を追っかける。
そして‥‥
カッキーーーン! 青空に飛ぶ白球。
「ッホオオーームランッ! 加藤君三試合連続の好打、さすがはバンダナ王子――っ」
アナウンサーの絶叫。
(「見てくれた? キミ達への感謝のプレゼントさ」)
直樹はホームインしながら、客席で舞うチアガール達に笑顔を振り向けた。