DARKライダーアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
小田切さほ
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや易
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報酬 |
1.1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/08〜03/12
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●本文
TOMI TVがお送りする青春特撮アクション番組「DARKライダー」では、ただいまキャストを募集中です。
「DARK〜」は、闇の組織によって囚われた青年が、人工知能を組み込んだバイクの力を借りて組織の手から逃れ、両親の復讐をはたすというSF風味の特撮アクションです。
バイクを使ったカーアクション、そしてバイクと青年との友情を描くこの作品に、あなたも出演してみませんか?
☆ストーリー☆
星野裕也は大学生。運動神経に恵まれた彼は、学生としてのみならずスポーツ選手として、将来を嘱望されていた。ところがある日、両親と食事に出かけた帰り道で何者かに襲われ、気を失う。見知らぬ場所で目覚めた彼が目にしたものは、両親の惨殺死体。 そして、目の前に現れた、仮面の人物。
その人物が告げる。
「お前はこれから、サイボーグ化され、わが組織の忠実な兵士となるのだ‥‥」
必死に抵抗する裕也。彼に呼応するかのように、組織の地下室から現れた黒いバイク。
誰も乗っていない。なのにそのバイクは仮面の男を体当たりで倒し、裕也に言った。
「乗レ」
と。
そのバイクは、組織によって開発された、人工知能バイク「DEATH666」。
自ら考えて動き、人語を話すという、夢のような機能を持つバイクだった。
だが、高度な頭脳を持つがゆえに、組織に反発し、解体されようとしていた。
裕也は「DEATH666」に乗り脱出。
そして、DEATHとともに、追い迫る組織と死闘を繰り広げる。
☆募集キャスト☆
※DEATH666(「デス・トリプルシックス」と読みます)の配役は、声のみの出演となりますので、ご了承ください。
※下記以外のキャストはまだ確定しておりません。自由に設定を考案の上、ご応募下さい。
●星野裕也‥‥大学生(外見年齢は二十歳前後が目安です)。アクション要(スタント可)。
●DEATH666(声の出演)‥‥高度な人工知能を持つバイク。ドリル、銃などの武器が内蔵されている。
●仮面の男‥‥闇の組織のリーダーらしい。
☆補足事項☆
正義の味方も日常にはごはんを食べたり風呂に入ったりしなくちゃならないので、裕也の両親以外の血縁者や恋人、バイト先の上司など、主人公を取りまく人々の役もひそかに募集中です。
尚、半ばサイボーグ化されていたという設定で、劇中での主人公の半獣化・獣化はOKです。悪役も同じく、サイボーグという設定下であれば半獣化・獣化OK。
●リプレイ本文
闇。
俺は目を開く。すぐ傍に父さんと母さんが、折り重なるように倒れている。血まみれで‥‥「父さん! 母さん!」体が‥‥動かない! 声が告げる。
「これより改造手術を開始する」
「まーたバイト中に居眠り!?」
悪夢から目覚めた星野裕也(=小田切レオン(fa1102))の頭を、姉の亜矢(=愛瀬りな(fa0244))がぽこっと叩く。カウンターにもたれた裕也はまだ目覚めきらぬ様子で辺りを見回す。ここは親友橘藤次(=九条・運(fa0378))の経営する喫茶店「グラシアス」、裕也のバイト先でもある。
「あたしは仕事行って来るからね! 裕也もしっかり仕事しなさいよっ。じゃね藤次君。モーニングセットご馳走様」
元気よくまくし立て亜矢は店を出て行った。うるせぇよと憎まれ口で見送る裕也に、グラスを磨きながら、藤次がぽつりと言う。
「まだ、亜矢さんに話してないんだな、あのこと‥‥」
暗い目をして裕也はうなずく。「あのこと」とだけ言えば、2人の間ではそれで通じる。
「両親は俺のせいで死んだようなもんだ。姉貴まで巻き込みたくない。それに‥‥」
亜矢が狼の遺伝子を組み込んだ人間兵器に改造されてしまった裕也の姿を知ったら‥‥裕也の本心は、亜矢に怖がられ、避けられることが怖いのかもしれない。
「体は変わったとしても心まで変わったのか? 違うだろう? 俺が保証する。きっと分かってくれるさ」
暖かいミントティーを差し出す。親友の心遣いに感謝の言葉を口にしようとした時。店内に流れるFM放送の音楽が中断され、臨時ニュースが流れた。
『○○市△△町繁華街で、突然、竜と鷹に似た怪人が現れ、市民を襲っています』
裕也と藤次は強張った顔を見合わせた。△△町には亜矢の仕事先がある。裕也はすぐに地下ガレージへと駆け下りた。
「気をつけろよ裕也‥‥!」
ガレージのシャッターを開けると、無人のバイクが自らの意思でエンジンを入れ、裕也の前に滑り出てくる。DEATH666、人工知能を組み込まれた兵器バイク(=声:ダン・クルーガー(fa1089))だ。
「デス、ヤツらが現れた! 場所は‥‥」
『言う必要はない。警視庁の電波を傍受した。ヤツらの狙いは901ビルだ』
901ビル。まさに亜矢の勤め先である。若者向けのファッション関係の店が入ったそのフロアの内装デザインを任されているのが亜矢だ。
「急いでくれ、デス‥‥!」
祈る裕也と一体化したかのように、DEATHは街中を駆け抜ける。一方、901ビルでは‥‥「ギエエエッ!」異形の鷹怪人ホークストーカー(=志羽・武流(fa0669))・竜怪人ムチャリング(=伊達正和(fa0463))がともにガラス張りの一階の壁を突き破り、ビル内へと侵入する。マネキンの服をコーディネイトしているところだった亜矢は、悲鳴を上げてビル内を逃げ惑う。警官隊も、突入し竜怪人に向け発砲する、が‥‥「ハアアアアッ」ムチャリングの吐く息で倒れる。
一人逃げ遅れ、追い詰められた亜矢が、ついに捕らえられた。
「姉貴ッ、伏せろ!」
バイクの唸りとともに声がした。とっさに伏せた亜矢、その頭上を飛び越えて、裕也を乗せたバイクが軽々と宙を舞い、竜怪人に裕也ごと体当たりを見舞う!
「ギエエッ」
竜怪人が吐く息を避け、空中から飛び降りた裕也が竜怪人につかみかかり、宙へ投げ飛ばす。そして助走をつけてジャンプし、強烈なキックを放った!
「グエエーッ」
竜怪人の急所にそれは命中したらしく、怪人は一声あげて爆発した。
「姉貴、立てるか?」
手を差し伸べた裕也‥‥だが、「いやっ‥‥裕也じゃない、こんなの」亜矢はその手にすがることなく、おびえた目をして身を引いた。ふと裕也は気づく。試着用の鏡がそこにある。そこに映るのは、半ば狼に変身しかけた自分。と、鷹怪人が亜矢の肩をつかみ、彼女の体を軽々と肩に抱え挙げた。
「我が名はホークストーカー。姉を帰して欲しくば、我等の元へ来い。さもなくば貴様の姉も貴様同様に改造してやろう」
ホークストーカーが翼を広げ、飛び去る。裕也とDEATHは、警官隊に見られぬように姿を隠すしかなかった。
「グラシアス」に戻った裕也はガレージで、DEATHに語りかける。
「姉貴は俺を見て怖がってた‥‥姉貴を取り戻したとしても、もう家族には戻れないんだ‥‥」
『血は水より濃い‥‥という。家族の絆は切っても切れぬものだ』
「ことわざまでインプットしてあんのか、お前‥‥機械の癖によく知ってんな」
『というより、客観的に見てお前が知らなさすぎなんだろう』
ムッとする裕也。そこへ藤次が降りてくる。
「出かけるなら、腹にあったかいものを入れてからにしろよ」
コトリとカツどんを乗せた盆を置いて去りかけて、振り返り。
「亜矢さんを救い出すのを迷うようなやつには罰ゲーム! そのカツどん、底に辛子仕込んであるからな!」
「ウプッ‥‥それをさ、先に言え!」
激辛カツどんによるものか、それとも‥‥裕也の目に透明なものが光った。
「組織」の地下研究所‥‥囚われた亜矢はホークストーカーと白衣の青年に見下ろされていた。亜矢は彼が史上最年少のノーベル賞候補と騒がれながら、あまりにも常軌を逸したバイオ技術への傾倒ゆえ闇の組織の一員となった紫苑博士(=神楽坂 紫翠(fa1420))とは知らない。‥‥が怜悧すぎる瞳は亜矢を畏怖させるに十分だった。
「まったくあなた方姉弟は改造しがいのある遺伝子をお持ちだ。おっと、少し‥‥騒がしくなってきたようですね」
うっすらと笑う紫苑博士が部屋を出て、姿を消した。間もなく、壁を破壊し、裕也とともにDEATHが飛び込んでくる。
「姉貴、目をそらさずに‥‥見てくれ! 姿は変わっても、俺は俺だからッ! 命がけで姉貴を救うから!」
変身してゆく裕也‥‥見守る亜矢に恐怖の色は既にない。弟を心配する姉の思いだけがそこにあった。その思いが遠い昔のやんちゃな弟を叱るような言葉となって迸る。
「裕也ッ、無茶しちゃ駄目―っ」
裕也を迎撃するホークストーカーの動きに乱れが生じた。
(「姉‥‥弟‥‥家族‥‥俺にも家族がいた‥‥?」)
ホークストーカーもまた、婚約者を殺され、真相を探るために組織に潜入しようとして改造された‥‥裕也とほぼ同じ身の上だったのだ。その記憶と、改造怪人として操られていた時の記憶がもつれあう。ホークはめちゃくちゃに暴れ、研究室を破壊した。だが、亜矢をかばう裕也の姿がもつれた糸をほぐした。亜矢をつないでいた鎖をひきちぎり、
「早く逃げろ! 俺の家族はもう救えない‥‥だからせめてお前たちは生きろ」
「血迷ったな、ホーク‥‥」
仮面の男(=烈飛龍(fa0225))が破壊された壁の奥の暗闇からゆっくりと現れた。ピエロに似た笑いを宿したその面は、しかしピエロの愛嬌はなく、冷たく凝った嘲笑を浮かべ、目からは暗い色の涙を流す。
「お前ならば、我が右腕にもなれたものを惜しいことだ。お前が私を裏切った以上、お前には破滅しか待っていないと言うのにな。良かろう。私直々に消してやろう」
ゆっくりと仮面を外した、その顔に虎の紋様が生じ。牙が伸び‥‥
「グワアアアッ!」
文字通り、踊りかかる! 仮面の男‥‥いやトラ怪人から裕也とホークは身をかわすのが精一杯だった。
牙に腕が切り裂かれ、苦しげに傷口を押さえるホーク。にやりとトラ怪人は笑った。先に手負いのホークを倒し、それからゆっくりと裕也にかかるつもりか。
「行くぞ!」
裕也が呼びかけ、ホークも傷をこらえ立ち上がる。2人が同時にジャンプする。そしてダブルジャンプ&ドロップキック! ごっ、といやな音がして、トラ怪人が地に倒れる。倒れながら怪人は嘲笑した。
「私が倒れようと、おまえの運命はすでに決まっている。‥‥私にやられていた方が良かったと後悔するが良い‥‥」
トラ怪人はついに爆発した。
爆風の中‥‥紫苑博士の冷たい笑いが響いた。
「いずれにせよ、これで終わりではない。今度はもっと強力な敵がお前たちを襲うだろう。それまで精々不安な日々をすごすがいい‥‥ククク‥‥」
だが、その言葉も今は、改めて絆を感じている裕也達には、風の一部にしか過ぎない。
「裕也‥‥ごめん、ごめんね‥‥裕也じゃないなんて言って‥‥」
裕也は、亜矢にしっかりと抱きしめられていた。
「く、苦しいっ‥‥つか姉貴、そこさっき打ち身が‥‥いててて」
『2人とも、落ち着け』
DEATHの声に一瞬驚いた亜矢だが、
「やだ、しゃべるんだぁこのバイク‥‥でもバイク君もあたしを助けてくれたから、お友達♪」
『バ‥‥バイク君?』
亜矢に抱きつかれ戸惑い気味のデス。そして、2人を見つめ、
「また‥‥ともに戦うことになるかもしれんな。命を大切にな」
ホークは裕也と堅い握手をかわし、去っていった。
◆
DEATH666の吹き替え収録を終えて、スタジオを出たダン・クルーガー。完全獣化で演技したため、終始ほぼ一人でのアフレコ形式の収録となった。少し寂しい仕事風景ではあったが。駐車場に降りると愛用のバイクに、一枚のカードが結びつけてあった。
「もう一人のdarkライダーへ、お疲れ様‥‥darkライダー出演者一同、右代表小田切レオン」
「違うな。私の通り名は‥‥『黒狼』さ」
それでも、頬に嬉しそうな笑みを刻んで、ダンは愛機のエンジンをキックした。