ラベルハンターヨーロッパ
種類 |
ショート
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担当 |
大林さゆる
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
19.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/10〜06/15
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●本文
●イギリスのロンドンを舞台にした『ドラマ』です。
人は、自分でも知らず知らずのうちにレッテルを貼る。
自分はこんな人間だ。自分はこう思われているに違いない。そうした想いを払う者たちを『ラベルハンター』と呼ぶ。彼らは『レッテル』のことを『ラベル』と呼ぶのだ。
それに対して、負の感情を増幅させて、人の想いから『魔物』を作り出す者たちがいる。彼らは『ラベルロード』と言う。
『ラベルハンター』は払うだけでなく『魔物』を退治することも使命だ。作り出された『魔物』は都市を暴れ廻る。『ラベルロード』たちの真意は不明であるが、必ずと言って『ラベルハンター』たちの邪魔に入るのだ。
『ラベルハンター』も『ラベルロード』も、それぞれ指輪を持っている。その指輪を天に捧げることによって、特殊な能力が使える。
『ターゲット』にされた人間は、『ラベルロード』たちによって惑わされて、ついには『魔物』を生み出す。本人は人間のままで、『魔物』だけ出没する。
●設定〜ラベルハンターの戦士たち
広野 炎(ひろの・えん)‥‥火の指輪を持つ。熱血漢で、涙脆いが、本人は「これは汗だ」などと言って誤魔化す面もある。本編の主人公。
風樹 カイ(かぜき・かい)‥‥風の指輪を持つ。大胆かと思えば、意外と繊細な面もあり、動物が好きらしい。双子のスイを見つけると「家に帰ろうぜ」と説得するが、止めることができない。
地場 博美(ちば・ひろみ)‥‥地の指輪を持つ。冷静沈着で世話好き。料理を作るのが好きらしい。
●設定〜ラベルロード(敵役)
ネレムレス‥‥闇の指輪を持つ。ネレムレスは仮名で正体不明。「ククク」と笑うことが多い。闇らしく、怪しい雰囲気。
アーシェラス‥‥光の指輪を持つ。アーシェラスは仮名で正体不明。「光が闇に協力するのは間違っている? 何かの読み過ぎじゃないのか? 光など、幻想‥‥ふふふ」と言うのが好きらしい。
風樹 スイ(かぜき・すい)‥‥風樹 カイとは双子だが、2年くらい前に行方不明になり、今はラベルロードとして行動している。その真意はやはり不明。「カイ‥‥止めても無駄だから」と、何故かそっけない態度をする。ネレムレスとアーシェラスに協力している。
●設定〜ターゲット
学生‥‥コンプレックスの塊だが、表向きは優等生。だが、現実と理想とのギャップに悩んでいる。そのせいか、ターゲットにされてしまう。
社会人‥‥上司によく怒られるせいか、ストレスが溜まっている。本来は真面目で実力もあるが、上司の言葉で内心は傷付いている。そのせいか、ターゲットとして狙われる羽目になる。
●補足事項
俳優のティル・シュヴァルツ(fz0021)は『脇役』として登場。「通行人A」として、魔物の出現に驚き、すぐに警察へ連絡。だが、警察の力でも魔物を抑えることができなかった。
●主なあらすじ
イギリスのロンドンは世界でも有名な都市だ。そこで突如、『魔物』が出現する。『ラベルハンター』たちは指輪の力ですぐに駆けつけるが、『ラベルロード』たちの邪魔が入り、魔物退治はそう簡単にうまくいかない。基本はシリアス路線ではあるが、ある程度のコメディもOK。
ラストは『魔物』を退治することができ、とりあえず一つの使命は終わる。そして、『ラベルロード』たちは知らぬ間に立ち去っていた。
●舞台の場所
ドラマということもあり、舞台はイギリスのロンドン市内(中心)です。ラストの対決は『ロンドン塔』付近になっています。シリアスですが、楽しんで参加してみて下さい。
『設定』の特殊な力ですが、ドラマですから『半獣化』でも構いませんし、『人型』でも構いません。
●リプレイ本文
●ラベルハンター〜キャスト
結城ハニー(fa2573)‥‥広野 炎(ひろの・えん)
バッファロー舞華(fa5770)‥‥地場 博美(ちば・ひろみ)
スラッジ(fa4773)‥‥風樹 カイ(かぜき・かい)
葵・サンロード(fa3017)‥‥風樹 スイ(かぜき・すい)
黒羽ほのか(fa5559)‥‥アーシェラス(光のラベルロード)
鬼門彩華(fa5627)‥‥ネレムレス(闇のラベルロード)
御子神沙耶(fa3255)‥‥留学中の学生(沙耶)
鬼道 幻妖斎(fa2903)‥‥出張中の社会人(小林竜太郎)
ティル・シュヴァルツ(fz0021)‥‥通行人A
●魔物出現
イギリスのロンドン市内。
ロンドン塔を目指して、二匹の全長3メートル程度の悪魔のごとき化身‥‥『魔物』が何か導かれるようにして暴れまわっていた。
「ふふふ、思う存分暴れなさい」
そう呟くのは、光のラベルロードのアーシェラス。彼女の隣には闇のラベルロードであるネレムレスが立ち尽くしていた。場所は夜景の広がるビルの屋上。そして、もう一人の人物がいた。
彼の名は、風樹 スイ‥‥ラベルハンターの風樹 カイとは双子であった。それが何故、ラベルロードたちに協力しているのか、風の指輪を持つカイにさえ理解できなかった。『風』の力により、一番初めにラベルロードたちの前に立ちはだかったのは風樹 カイであった。
目の前にはスイがいる。
「スイ?! スイじゃないか? 俺のこと、忘れたのか?」
そう呼びかけても、スイは返事さえしようとはしない。ただ沈黙が広がるばかり‥‥瞳は氷のようであった。
「やはり我々の邪魔に入ったようね」
ネレムレスがクスリと笑う。どちらが邪魔なのか、この際、どちらでも良い。
今はとにかく出現してしまった『魔物』を退治さねばなるまい。
それがラベルハンターの使命でもあった。『魔物』の出現に、自分が原因だと感じた学生の沙耶と社会人は、逃げ惑う人々の中、通りで身動きができなかった。ただ震えるばかりだ。通行人がすぐに警察に連絡したようだが、やはり軍事的な力では魔物を取り押さえることができなかった。物質的攻撃が、まるで通じないのだ。
通行人は社会人の小林竜太郎を助け起こして、その場から逃げ去った。学生はまだ動くことさえできなかった。それに気付いたカイが、風のように舞って、少女‥‥沙耶の前へと歩み寄る。
「‥‥君のせいじゃない。誰でも、心の中に『魔物』を持っている‥‥それは、この俺にも言えることだ。だから、心配しなくても良い‥‥さあ、立ち上がって」
カイは震える女学生の手を取って、安全な場所まで避難させていた。そんな中、ロンドン塔付近で仁王立ちしていたのは広野 炎と地場 博美であった。その名の通り、炎は『火の指輪』を持ち、博美は『地の指輪』を持っていた。
「炎お姉様、塔にある『負』の磁力を察知して、『魔物』がこっちに向かってるわ」
「承知、任せといて。攻撃は最大の防御とも言うし、こういうの性に合ってるから」
炎は、なんとなく楽しそうに告げた。
「炎、今回も慎重にいけよ」
後からやってきたカイがそう言うと、炎が頷く。が、炎のことだから、好きなように闘うのだろう。そう分かっていても、言わずにはいられないカイであった。とは言うものの、スイのことも気になっていた。騒ぎの中、何度もスイの姿を目撃したのだ。何度声をかけても、やはりスイはそっけなく、返答さえしなかった。ただ分かったことと言えば、ラベルロードたちに協力しているという事実だけ。
それが、カイにとっては重い現実にも感じられた。だからと言って、迷っている暇はない。自分にそう言い聞かせて、カイは戦いに集中することにした。
出現した『魔物』の動きを推測していたのは博美だった。『地の指輪』には、そうした能力も備わっているのだ。桃色の光に包まれた戦士に変化すると、そうした能力も使えるのだ。そして、一番の攻撃力があるのが炎であった。
「塔を破壊される前に、魔物を倒さないとね‥‥」
炎を拳を鳴らすと、魔物に向かって駆け出した。援護するように、博美とカイも走り出した。
「てめぇらの好き勝ってにはさせねぇぇぇぇ!」
炎は『火』の力により、黄金の猛虎へと変化した。
「バーニングゥゥゥゥゥゥゥ、フィンガァァァァー!!」
炎の攻撃により、1匹目の魔物が焼き尽くされた。だが、残りの魔物は火に抵抗があるのか、なかなか倒せない。これは密かにスイが結界を張っていたからだ。それに気付いたカイが、『風』の力で結界を解く。力が中和されて、結界が弾け飛んだ。
「今よ、炎お姉様!!」
「はいよ、いっちょやったるか!!」
博美の声援に応えるように、炎は体勢を整えて、さらに必殺技を放った。
「ファイアァァァァァー、レボリューショーンッッッ!!」
切り札が決まり、残りの魔物も炎と化して、消滅‥‥そして、スイの姿もいつのまにか消えていた。
「‥‥。‥‥。‥‥スイ」
消え去ったスイを思い、呟いたのはカイだった。
励ますように、博美と炎がカイの背中を叩いた。
「よし! 今回の使命も目出度く終了! 落ち着いたら、3人で酒でも飲みにいこう」
炎がそう言うと、博美ははしゃいでいた。
「うんうん、そうしましょう。景気付けにもなるしね」
「‥‥。‥‥そうだな。‥‥二人とも、ありがとう」
ふとカイが笑ったような気がした‥‥。