【探検】未発掘洞窟の奥ヨーロッパ
種類 |
ショート
|
担当 |
大林さゆる
|
芸能 |
1Lv以上
|
獣人 |
4Lv以上
|
難度 |
やや難
|
報酬 |
17.3万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
06/17〜06/21
|
●本文
アイルランドは、パワー・スポットと呼ばれる有名な遺跡や聖なる樹フェアリー・ツリーが点在している魅力溢れる国だ。南西部のバレン高原の近く‥‥『巨人のテーブル』という遺跡付近には未発掘の洞窟が多いことは事実であった。
現在、一般公開されているのは『アーウィーの洞窟』くらいで、他にも無数の洞窟があるらしいのだ。今回は、その無数の洞窟のうち、一つの未発掘洞窟を探索することになったのだ。
そして、俳優のティル・シュヴァルツ(fz0021)が今回の依頼人となる。
「なんにせよ、数ヶ月前に調査した結果、ケルト神話との関連性のある遺跡だということが分かった。さらに奥へと進めば、新たなオーパーツが見つかるかもしれん。だが、ナイトウォーカーが住み着いている可能性もあるから注意してくれ」
調査することによって、ようやく洞窟内がどのような構造になっているのかが明らかになるのだ。洞窟の内部は暗いため、照明道具等も用意するのが良いだろう。洞窟の内部では半獣化、完全獣化も可能だが、外では人の姿が望ましいだろう。蛇足であるが、洞窟の中では携帯電話などは使えない。圏外になるからだ。
ティルは洞窟の入口付近で待機しつつ、本部と遺跡内部の通信を主に、参加者のサポートをすることになっている。今回は前回探索した洞窟の続きで、分岐点の『左側のみ』を調査することになった。続きと言っても、新たな参加者でも問題ない。どこまで調査が進展するのかは、参加者の腕次第だ。皆の健闘を祈っている!
●リプレイ本文
●洞窟の奥へ
今回の依頼で集まったのは8人。そして、依頼人は俳優のティル・シュヴァルツ(fz0021)である。
天音(fa0204)、ベス(fa0877)、尾鷲由香(fa1449)、森里時雨(fa2002)、
ユージン(fa2270)、各務 神無(fa3392)、パトリシア(fa3800)、神保原・輝璃(fa5387)。
8人は洞窟の分岐点に辿り着くと、左側の道を突き進む。ティルの話では、行き止まりの場所に人工的に塞がれた壁があるらしい。それを破壊して、さらに奥へと進むことになった。
「確か、ケルノヌスの神は、月の女神様の夫でしたよね。ヨガみたいな格好してて、それから‥‥」
パトリシアはそう言った後、あらぬことを考えていた。それに気付き、森里がふとこんなことを言った。
「パティもいろいろと調べたみたいだな。今回もよろしく頼むぜ?」
そう言われて、我に返るパトリシア‥‥BLのことを想像していたとは、さすがに暗闇の中では言えなかった。と言うよりも、森里に『パティ』と呼ばれたことがパトリシアはうれしくて、微笑んでいた。そんなこととは知らず、森里はきょとんとした顔をしていた。
「なんか、よからぬことでも考えてたのか?」
「ち、違いますよ。ちょっと、ちょっとです‥‥」
神保原とベスは天敵との戦いに備えて、前衛にいた。行き止まりまで着くと、壁が見えた。と言っても、何も描かれていない壁だった。しかし、やはり人の手で塞がれた痕跡は残っていたのはヘッドランプの光でも確認が取れた。
「ジャジャーン、ついにこれを使う時がきたね〜」
ベスは懐から火薬を取り出した。
本部から送られてきた少量の火薬を使って、壁を破壊する。すると、人が通れるほどの穴が開いた。そこを抜けると、自然に作られた鍾乳洞に辿り着いた。
「‥‥『月』か『銀の車輪』に関連するレリーフとかあれば良いんですけど、そう簡単に見つかる訳ありませんよね」
溜息混じりにそう呟くのはユージンだった。
「およそ、体育館くらいの大きさだな」
尾鷲がそう言うと、神無が無言で頷く。周囲をランプの光で照らしてみると、蝙蝠が飛んでいた。壁はフローストンという自然に作られた滝のような形をした石灰の結晶化されたものもあった。それだけでなく、天井には無数の『つらら石』もあった。専門家が見れば鍾乳洞だとすぐに分かるはずだ。
「なんだか『聖なる場所』みたいな感じにも見えなくもないですね」
ユージンの言う通りかもしれない。そう思いつつも、神保原は天敵を警戒するようにランプを照らし続けていた。ここでなら広い空間であるし、戦い易いだろう。ふと、神保原がそんなことを考えていた矢先、『エサ』の匂いを嗅ぎつけたのか、3匹のナイトウォーカーが飛び出してきた。
「ギャラの分は、きっちりとやらせてもらうぜ!」
神保原はとっさに回避したかと思うと、蹴りを放った。そして、すかさずダークデュアルブレードで斬り付けた。ベスが幸運付与で援護し、ユージンはバトルガントレットを駆使して敵の攻撃を受け流していた。逆刃刀「仇華」を持っていたのは尾鷲‥‥敵の弱点とも言えるコアに狙いを付ける。
「やっぱ、こっちの方があたしらしいか?」
闘いの最中、完全獣化した尾鷲は自分に言い聞かせるようであった。念の為、本部からは紙とペンが配布されたが、尾鷲にはやはり戦いの方が合っているのかもしれない。
「なんにしても適材適所ってヤツだな。こうなったら3匹まとめてやっちまうぜ!」
神保原は余裕の笑みで応えた。神無は白夜の日本刀で敵と渡り合っていた。
「‥‥このメンバーなら、3匹くらい、なんとかなるでしょ?」
獣化した神無は俊敏脚足を使って、敵の懐に飛び込み、コアを斬り付けた。なんにしてもコアを破壊しなければ、敵は何度でも復活するのだ。地壁走動で壁を走り抜け、神無が一匹目のコアを壊すことに成功した。残りの2匹はベス、天音、森里、パトリシアたちが相手をしていた。ベスの幸運付与のおかげか、コアへの当たりも良かったと感じたのは森里だった。完全獣化状態の天音が温存していた飛羽針撃でコアを狙い撃ち、2匹目が撃沈する。後は1匹‥‥森里、パトリシアは互いに目配せすると、敵の前へと躍り出た。
「これでもくらえっ!」
俊敏脚足を発動させて、蹴りを連発し、さらにナックルで叩き付けたのは森里であった。援護するかのようにベスが飛羽針撃で牽制し、パトリシアが試作刀「斬鉄」の日本刀でコアを破壊した。3人の攻撃により、最後の天敵も倒すことができた。
「‥‥これで‥‥ここの地図を書くのにも‥‥専念できますね」
パトリシアが息を切らしつつ、そう告げると、森里は彼女を休ませるため、ヒールミストコートを手渡した。オーボエであったが、だからと言って、洞窟内で効き目がでるとは言い難い。それでも、パトリシアは森里の気持ちがうれしかったようだ。
「‥‥なんか‥‥良いムード?‥‥ぴょ?」
ベスは思わず首を傾げていた。
皆は様子見も兼ねて、しばらく鍾乳洞の隅で休んだ後、地図を作成し始めた。森里と尾鷲はデジタルカメラで、鍾乳洞の中を資料として撮っていた。ベスと天音は紙とペンで、さらさらと書き綴っていた。ランプを照らしてくれたのは神保原だった。
ユージンは何か手掛かりはないかと、周囲を見渡していた。前回の依頼では、二つの壷が見つかったらしい。だとしたら、もう一つ‥‥『月』に関連する壷があるかもしれないと考えていた。
「前回見つかった壷だけでは、何か情報がかけていたらしいのじゃ。だとしたら、他にも壷がある可能性もあるとティル殿も言っていたが、拙者もそう思うのじゃ」
天音の言葉に、ユージンは小さく笑った。
「そうですね。僕も似たようなことを考えていましたよ。壷が見つかると良いですね」
4日目、ようやく『封印された壷』が見つかった。前回とは違い、奥の間に飾られていた。そのまま持ち帰るようにと言われたので、ユージンはそっと手に取り、本部から支給された箱の中に仕舞い込んだ。壷は結局、今回の依頼では『一つ』のみ発見できた。幸い、尾鷲が知友心話を使えたので、外で待機していたティルともすぐに連絡が取れた。
最終日、再度、地図と壷を確認した後、森里の車両で持ち帰ることになった。