退治〜メタモルフォーゼアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
大林さゆる
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
4Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
23.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/09〜07/14
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●本文
ロック・グループ『A』が新曲をリリースしたのは数ヶ月前。
そろそろ、さらに新曲を出したいところである。
ヴォーカル、IRITO。ベース、KAISE。ドラム、TAKI。
今は3人グループとして活動していた。
「未だに『A』を『エー』って読む者が多い。つーことで、ここでもはっきりと言わねばならん。『A』と書いて『エース』と読むべし!」
IRITOは何かにつけてグループ名の読み方を気にしていた。リーダーのTAKIは、そういったことには無頓着だった。『日本』に戻っても、この調子だった。
事務所の取り計らいで、3人は東北地方で『ライブ・ツアー』をやっていたが、そろそろ東京へと帰る日になった。その矢先であった。本部から連絡があったのは‥‥。
「無事にライブ・ツアーが終わったと思ったら、ナイトウォーカー退治〜? 俺、一年近くもバンド活動やってばっかで、退治とかあんましやらんけど、どうする?」
IRITOが言うと、TAKIは微かに苦笑していた。
「お前がそう言うと思ってな。何人か集まってもらうようにと依頼出しておいた」
すると、KAISEが首を傾げていた。
「それだったら、私たち3人とも、ナイトウォーカー退治とか、滅多にやらないもんね。バンド活動ばかりで‥‥やっぱり音楽やってる時の方が楽しいしさ」
その言葉に、TAKIはあっさりと告げた。
「とは言え、本部からの指令だからな。無視はできんだろう? それにもう依頼で参加者募集しちゃったし、やるしかないと思うが?」
ツアーの後、3人は岩手県某市(田舎)のホテルに泊まることになっていたが、そこで集合することになった。地元の人々の話によると、夜になると時折、熊の咆哮が聞こえてくるらしい。しかも、空港付近まで熊が出てくる始末。地元の人々は熊に慣れているせいか、いつものことだとは思っていたらしいが、真夜中に熊の声が聞こえてくるというのは珍しいようだ。
もしかしたら、ナイトウォーカーの可能性もある。熊の鳴き声は、地元の山々から響いてくるとの話もある。複数いる恐れもあるが、数は今のところ断定できない。依頼が無事に終了すれば、最終日は地元で有名な温泉に入れる。
無事に終了すれば‥‥の話だが、興味のある方は、ぜひとも温泉、もとい退治に参加してみて欲しい! 何度も言うが、退治が本来の目的だ。
『ナイトウォーカー探し、及び退治』‥‥付近の人々に危険が及ばないよう、注意して行動してもらえると合格点だ。
●リプレイ本文
●初日の挨拶
岩手県某市のホテルに集まってくれたのは伊達正和(fa0463)、緑川メグミ(fa1718)、七枷・伏姫(fa2830)、各務 神無(fa3392)、ベオウルフ(fa3425)、ドワーフ太田(fa4878)、神保原・輝璃(fa5387)、月詠・月夜(fa5662)たちだった。
「伊達正和です、声優で稼いでますが今回はよろしくお願いします」
ホテルの一室でそれぞれが挨拶を終えると、KAISEが微笑していた。
「伊達さんって、礼儀正しいんですね。皆さん、今回はよろしくお願いします。私たち、退治には不慣れなもんで、助かりました」
すると、しばらく経ってからメグミがこう告げた。
「‥‥確か『A』ってロックグループよね? 他意は全くないけど、クラシック派の立場としてはロックって、大声で叫んでいるようにしか聴こえないのよね、クラシックの方がいいわ」
それに対して、『A』のリーダーであるTAKIが応えた。
「まさか退治依頼で音楽の話題がでるなんてな。うれしいぜ。けどな、ロックとクラシックの『源』になるリズムは共通してるって知ってるかい? だから、互いにアレンジすることも可能なのさ。実際、知り合いにロック好きのバイオリン演奏者もいるし、こういうのって、好みの問題だと思うけどね」
「へぇー。それは初めて聞いたぜ」
そう告げたのはヴォーカルのIRITOであった。見た目20歳前半の男性といったところで、リーダーは20代後半の男性だ。KAISEは中性的で女性にも見えるが、実際のところ、定かではない。事実を知っているのは『A』のメンバーとマネージャー、及び事務所の関係者くらいだ。
●退治〜意外な事実
「熊の咆哮に気を取られていたが、必ずしも『熊』に感染したとは限らんじゃろうな‥‥わしとしたことが、ぬかったわい」
そう告げたのはドワーフだった。
月の出た森林は不気味であった。風が吹き、木々の葉が鳴っていた。これが御伽話であったならば、なんとも風流のある場でもあったであろうが、今回は『退治依頼』だ。気を抜くことはできない。
2日目、獣人の匂いに釣られて姿を現したのは両手が巨大な鋏をしたものと、鍵爪をもったナイトウォーカーであった。2匹は単独で行動していたようだが、『エサ』の匂いで鉢合わせになってしまったようだ。こうなれば1匹ずつ仕留めるしかない。
まずは翼を持つ伊達が上空から火炎砲弾を口から放った。巨大鋏の敵に当たったのは良いが、火が木々にまで燃え移ってしまった。
「しまった!」
伊達が舌打ちすると、メグミがとっさにコールドボウで火の元に狙いを定める。火は氷の矢によって鎮火することができた。これは幸いと言っても良いのだろうか。
「コールドボウを持ってきて正解ね。あまり無茶なことはしないで」
「分かった。できるだけ接近戦に持ち込む」
伊達は地上に降りてダークデュアルブレードを構えた。援護するように伏姫が俊敏脚足を使い、逆刃刀「仇華」でコアを斬り付けていた。身体を燃やしても、コアが残ってしまえばまた復活してしまう‥‥それを阻止するにはコアを破壊するのが手っ取り早いし、効率も良いのだ。
鍵爪を持つ敵はドワーフが完全獣化して足止めしていた。
「こうなれば時間稼ぎじゃな」
ドワーフは体力任せで体当たりをする。敵は転倒して、すかさず伊達がダークデュアルブレードでコアを破壊しようとした。だが、一度くらいで破壊できるものではないのだ。ベオウルフはナックルと蹴りの連発で敵を翻弄していた。
「‥‥今回はなんとかなるが、明日や明後日はどうなるか」
そうなのだ。敵は他にもいるかもしれないのだ。故に、初っ端から力を使いつくすのは得策ではないのだ。闘いに慣れている者ならば、それくらいは承知だ。ヘッドランプの光だけが頼りだ。
幸い、月が出ていたこともあり、神無は躊躇うことなく青月円斬で巨大鋏を斬りつけた。月夜は風を纏い、空圧風弾を放った後、日本刀に持ち替えた。やはり日本で銃を使うのは後で面倒なことになると判断したようだ。
「‥‥月夜が、ただの『エサ』ではないことを証明してみせます」
月夜はかなり気合が入っていた。これは神無も同じだった。闘いになると、何故か血が騒ぐ‥‥神無はひたすらコアを狙っていた。意外にも止めを刺したのはドワーフだった。脆くなったコアを破壊することができたのだ。これも皆の協力があればこそだとドワーフは実感していた。
3日目、山の中を探索してみたが、天敵は出現しなかった。
だが、4日目の夜だった。
「でやがったな」
しばらく待機して動向を探っていた神保原が、青月円斬を放ち、ようやく動き出した。援護に回ったのはコールドボウで遠距離可能なメグミであった。
出現した天敵は、元の姿がなんであったのか分からないほど変貌していた。固い甲羅に覆われているのだけは分かった。神保原がダークデュアルブレードでまずは甲羅の節目を斬りつけ、動きを鈍らせて、メグミがコールドボウでコアを狙い撃つ。この作戦は成功したようだ。20分くらいの戦いで敵は倒れこんだ。
5日目も2匹出現したが、皆の協力態勢により(トランシーバーによる互いの連絡も万全であった)、ナイトウォーカーを倒すことができた。伏姫はいかなる時も、闘いの備えだけは忘れなかった。
●最終日〜温泉
「今回は読みが甘かったかもしれんのぉ、じゃが、敵を倒すことができたから、任務完了といったところかのう?」
ドワーフはそう言いながらも、のんびりと温泉に入っていた。垣根から垣間見える自然の木々がさらになんとも良かった。IRITOとTAKIも疲れを癒すかのように温泉に入ることにしたようだ。連日のライブ・ツアーの疲れはすぐになくなることはなかったのだ。
神保原と言えば、一人でホテルの部屋に残っていた。神無、月夜、伏姫はKAISEの薦めもあり、露天風呂に入っていた。
「‥‥温泉卵、あって良かったです」
月夜は風呂から上がったら、温泉卵を食べようとちょっぴりワクワクしていた。