奇跡勇士キングランダムアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
大林さゆる
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
25万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/24〜07/29
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●本文
●このアニメーションは『熱血ロボット』ものを題材にしています。
参加して下さる声優を募集。職業に関係なく、参加できます。
●主なあらすじ
時は21世紀半ば、近未来の日本。
主人公の少年は、いろいろとあって、高校を中退して父が経営していた会社を継ぐことになった。
そして、その記念として、科学者の祖父から『大きな贈り物』を受け取った。
それは、巨大なロボット‥‥キングランダムであった!!
「悪を倒すため、キングランダムのパイロットになるのじゃ!」
祖父のバックアップもあり、社長の仕事をしながら、キングランダムのパイロットとして敵と戦うことになった少年‥‥その名は「剣崎 大和」であった。
案の定、敵役が大和の会社を狙ってくる。どうやら祖父の研究結果を知るためらしい。町と人々を守るため、大和はキングランダムと一緒に今日も闘う!!
●主な登場キャラクター
剣崎 大和(つるぎざぎ・やまと)‥‥本編の主人公で、17歳の少年。化粧品会社の若社長。と言っても、中小企業の若社長になって1年くらい。中流家庭の学生であったが、訳があり、高校を中退することになった。キングランダムのパイロットとしても知られている。
キーワードは『勇気』だ。
剣崎 海人(つるぎざき・かいと)‥‥大和の祖父。会社の『御隠居』でもあるが、地下ではロボットの開発・修理も担当している科学者。推定年齢65歳前後。
朝倉 志乃(あさくら・しの)‥‥大和に恋心を抱く少女、17歳。元は大和のクラスメイトだった。実は大和も彼女のことが好きなのだが、お互いに告白しないまま、大和は中退してしまったため、時折、会社の様子を見に来ている。
北野 登戸(きたの・のぶと)‥‥大和の親友、少年で17歳。大和が高校を中退するまで、ずっと同じクラスだったくらいの腐れ縁。やはり大和のことが気になり、毎日のように会社の様子を見に来ているようだ。休日は大和と一緒に遊ぶ仲。
キングランダム‥‥ロボットだが、人工知能搭載で、日本語が話せて、人語も解釈できる。大和にとっては相棒のような存在だ。基本武器は「剣」で「盾」もあり、遠距離攻撃用に背中に「銃」を背負っている。全長20メートル。決め台詞もあると、それらしいかと。できれば男性の声が望ましい。
ロデナリアヘデム‥‥悪役(敵役)で、何かある度に大和の会社を狙ってくる美形の男性。年齢不明だが、男性であることは確か。何かとカッコつけたがる性格。
「大和とやら、この私と戦うとは、良い度胸だ。それだけは褒めてやろう」
ヴァラケイザー‥‥ロデナリアヘデムの愛機ロボット。全長25メートル。人工知能搭載で、人の言うことが理解でき、日本語と英語が話せる。口癖は「さすがはロデナリアヘデム様」と王道の台詞。
リーフ‥‥ロデナリアヘデムの部下にして、秘書。主にはとても忠実。通信連絡係兼スパイ。
●リプレイ本文
●奇跡勇士キングランダム〜キャスト
悠奈(fa2726)‥‥剣崎 大和(主人公の少年)
緑川メグミ(fa1718)‥‥剣崎 海人(大和の祖父)
美森翡翠(fa1521)‥‥朝倉 志乃(ヒロイン)
ノエル・ロシナン(fa4584)‥‥北野 登戸(大和の友人)
梁井・繁(fa0658)‥‥キングランダム(大和の愛機ロボット)
ディノ・ストラーダ(fa0588)‥‥ロデナリアヘデム(秘密結社レッドローズ総帥)
レーヴァ(fa5257)‥‥リーフ(ロデナリアヘデムのスパイ兼秘書)
楊・玲花(fa0642)‥‥ヴァラケイザー(ロデナリアヘデム専用ロボ)
●大和たちの日常生活?!
「相変らず、良い腰をしておるの〜。どう見ても安産型じゃな」
ご隠居の剣崎 海人がそう言うと、バイトと称して会社に入り込んだリーフは苦笑していた。
「あはは、それは褒め言葉だと受け止めておきますね」
海人の手をするりと抜けて、リーフはそう告げながらも『あたしの心はロデナリアヘデム様のもの』などと乙女心を震わせていた。リーフはスパイとして潜り込んでいたが、会社側はそうとは知らずに普通に接していたようだ。どうやら作戦は今のところ成功と言ったところか?
だが、剣崎 大和だけは内心、リーフの動向が気になっていた。とは言え、表向きはあくまでも『若社長』の表情であった。
「えーっと、里奈さん、でしたっけ? この書類、朝倉さんに渡してくれませんか?」
丁寧語で大和が告げると、リーフは一瞬固まったが、すぐに我に返った。
「は、はい。分かりました」
リーフは大和の経営する会社では『里奈』と名乗っていた。さすがに本名は言えないはずだ。別室に居た朝倉 志乃は書類を受け取ると、にこやかに微笑んだ。
「ありがとうございます。あの‥‥大和さんの様子、どうでした?」
志乃は高校に通っていたが、放課後は大和の会社でアルバイトをしていたのだ。
「え? べ、別にいつもと変わりませんよ」
リーフが言うと、ひょっこりと海人が現れた。
「志乃ちゃんに、里奈ちゃん、こんなところにおったのか? そろそろ休憩の時間じゃぞい?」
言葉とは裏腹に、下心見え見えである。志乃もリーフも、それが分かったのか、そそくさと大和のいる方へと向かった。
「そ、それじゃ、失礼します」
「あ、あたしも、これで」
だが、リーフだけは海人に掴まってしまった。腕を取り、海人はうれしそうに言った。
「さーて、休憩時間は何を話そうかの? ふふふふふふふふふふふ」
「‥‥。あ、あの、手‥離して」
「まま、そう言わずに一緒に茶でも」
●翌日〜ショー・タイム!
「大和、商店街の広場で誰かが『ショー』をやるみたいだよ。俺さ、これから見に行こうと思うんだけど、一緒に行かない?」
友人の北野 登戸に誘われて、大和は休日ということもあって外出することにした。ここのところ、働き過ぎであったから、息抜きには丁度良いかもしれないとも考えたからだ。
広場に行くと、すでに人だかりができていた。特に女性が多かったのは、ショーの主役が男性だったからだろう。それはロデナリアヘデムであったが、大和たちは彼の正体は全く知らなかったのだ。
「ようこそ、私の千紫万紅のショーへ‥‥これはこれは美しい御婦人方が多くて、私もうれしいよ」
そう言うと、キャーとばかりにおばはん連中が騒ぎ出す。その中にリーフが紛れ込んでいた。
「待ってましたわ〜! 美しい歌声を聴かせて下さいませー!!」
わざとではなく、リーフは本気で言っていた。任務と言うよりも、本来の主であるロデナリアヘデムを見てうっとりしていた。
「フッ、それでは始めようか。ミュージック、スタート!」
ロデナリアヘデムがパチンと指を鳴らすと、どこからともなく曲が流れ始めた。
♪私の名はロデナリアヘデム
美しき悪の申し子さ
貴方のモノは私のモノ 私のモノは私のモノ
さあ差し出しなさい 貴方の全てを
さあ差し出しなさい 私の為に♪
自己紹介も入った曲ということもあり、大和は「え?」と何かを感じていたが、最後まで聴くことにした。ここで騒いでは観客の暴動が起きるかもしれないからだ。歌が終わると、ロデナリアヘデムは酔いしれたように薔薇の花を出して、観客にアピールしていた。
「最後まで聴いてくれてありがとう、諸君。そんな君たちのために、とっておきのものを用意しておいたよ」
ニヤリと笑うと、ロデナリアヘデムは薔薇の花を天に翳した。日の光が煌き、そして闇へと変わった。その闇は、何かの影であった。その影とは‥‥ロデナリアヘデム専用ロボットのヴァラケイザーであった。優美なデザインはロデナリアヘデムの趣味であろうか。
『さすがですわ、ロデナリアヘデム様』
ヴァラケイザーが喋ると、人々はさすがに驚いたようだ。何度か攻め込んで来た巨大なロボット‥‥その名はヴァラケイザーだ! 人々は逃げ出すが、大和は歯軋りしながらロデナリアヘデムを睨み据えた。
「貴方が‥‥ヴァラケイザーのパイロット‥‥ロデナリアヘデム」
「その声は、確か‥‥キングランダムのパイロットだったな。名は知らぬが、まあ良い」
そう言うと、ロデナリアヘデムはヴァラケイザーに乗り込んだ。
「さて、ヴァラケイザー‥‥狙いは分かっているな?」
『イエス、マスター』
妖艶で甘美な女性の声はヴァラケイザーだ。
「やばい‥‥ここで俺が食い止めなきゃ、爺ちゃんたちが危ない。登戸、ここは危ないから、俺の会社まで逃げてくれ」
「うん、分かった。大和‥‥気を付けて」
そう言いながらも、登戸は複雑な気持ちであった。何故なら、登戸も志乃のことが好きだったからだ。大和もきっとそうに違いない‥‥友人だからこそ、言わなくてもなんとなく分かるのだ。
「志乃‥‥無事でいてくれ」
大和はそう呟くと、拳を握りしめ、右腕のブレスレットを左手で叩いた。
「行くぞ! キングランダム!!」
大和の呼び声に、勇猛な姿をした巨体‥‥キングランダムのロボットが飛んで来た。コクピットに乗り込んだ大和はすぐにキングランダムを動かした。
「ロデナリアヘデム! これ以上、好きにはさせない!」
通信機で呼びかけると、ヴァラケイザーから男性の声が響いた。
「ほほぅ、相変らず威勢だけはいいな。だが、そう簡単にはいかんぞ?」
ロデナリアヘデムの言葉に、大和ははっきりとこう告げた。
「『勇気』があれば、何でも出来る!!」
「ふん、勇気だと? 初々しいね」
ロデナリアヘデムは苦笑混じりに返答した。
「なんとでも言え!」
大和がそう叫ぶと、別の通信機から祖父の顔が映り、こう告げた。
「これ、大和! 何をしておる! ちんたらやってると、今夜のステーキは抜きじゃぞ!」
「そ、そんな〜‥‥ステーキが‥‥」
「ええーい、何を話している! 今は戦闘中だということを忘れたか?!」
二人の会話を盗み聞きしていたロデナリアヘデムは激怒していた。
「あ、そうだったね。ごめん、ごめん」
そう言いつつ、大和は強制的に祖父からの通信を切った。
「こ、これ、大和! 回線、切るんじゃない! 全く‥‥先が思いやられるわい」
会社の地下から援護通信していた海人は溜息をついた。物影にはリーフが潜んでいたが、海人はすぐに気がつかなかった。
場面が切り替わり、キングランダムとヴァラケイザーの戦闘シーンへと突入する。キングランダムはヴァラケイザーの刀を「剣」で受け止め、弾き飛ばした。
「おのれ、小癪な‥‥」
ロデナリアヘデムは商店街のことなど気にせず、大和の会社へと向かおうとするが、キングランダムはなんとか押し止めた‥‥は、良いが、店が一軒、壊れてしまった。
「あああ、祖父ちゃんに後で怒られるな」
おそらく、今月のポケットマネーから店一軒分の建て直し金額が引かれるだろう。そういうことも気にしながら、大和は闘わねばならないのだ!
「大和さん‥‥がんばって」
会社の窓から、志乃はキングランダムの戦い振りを見ていた。その横には登戸がいたが、やはり複雑な表情だった。こんなに近くに居るのに、何故か志乃は遠くに居るような気がする‥‥そんな想いを登戸は押し殺していた。志乃も、大和も、はっきりとは言わないが、きっと二人は‥‥登戸はそんなことを考えながら、志乃の横顔を見ていた。
戦闘はクライマックスを迎えていた。両者は一歩とも引けを取らず、互角のようにも見えたが、戦闘に慣れていない大和は疲労が隠せなかった。それを感じたのか、キングランダムが大和を励ます。すると、大和は体勢を整えた。
「ありがとう、キングランダム。俺、負けないよ!」
そう告げると、大和はアクセルを踏む。そして、キングランダムはとっさに銃を構えた。
「必殺! ランダム・シュート!!」
大和の叫びに応えるかのごとく、エネルギー弾が発射された。
「何っ?!」
ロデナリアヘデムがそう叫ぶと、ヴァラケイザーが言った。
『破損‥‥65パーセント‥‥これ以上は危険です』
「くっ‥‥仕方がない。撤退だ」
『イェッサー』
ヴァラケイザーは主の指示に従い、東の方角へと飛翔していった。キングランダムは追う事はせず、商店街の破壊状況を見渡していた。
「あっちゃ〜、思ったよりもやっちゃったかな?」
大和はそう言いつつ、会社へと戻ることにした。
●本日は赤字か?!
「大和さん、お帰りなさい」
会社に着くと、志乃が出迎えてくれた。気が抜けたのか、大和は志乃の腕の中へと倒れこんだ。
「や‥‥大和‥‥さん?」
思わず頬を染める志乃。それを見て、登戸はその場から走り出した。二人の姿は彼にとって辛いものであったのだ。それでも大和は動くことができず、まだ志乃の胸元で‥‥。
‥‥。
「‥‥。‥‥志乃‥‥腹‥減った‥‥」
「え?」
「‥‥。‥‥何か‥‥食べ‥たい‥」
とは言え、良い雰囲気であるのに変わりはなかった。
「‥‥さすがにステーキは無理でしたけど、コロッケ弁当に納豆汁なんてどうですか?」
志乃は大和に優しく微笑んでいた。
海人は黙ったまま、やれやれと思いつつも算盤で本日の修理及び被害金額を計算していた。今日の分はどうなったのか、今の大和に知る由もなかった。