【PSF】お味はいかが!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 大林さゆる
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/17〜09/21

●本文

 【PSF】と言うのは、平たく言うと『芸能界運動会』のことである。
 芸術の秋、食欲の秋などと言うが、運動会も忘れてはならない。
 春に運動会をやる所もあるだろうが、それは稀であり、運動会と言えば秋に行われるのが通説だ。
 と言うことで、芸能界でも個人・団体の技を競う大運動会が行われることになった。
 今回の種目は『お味はいかが!』‥‥出された料理に対して、どれだけその料理が上手いのか熱く語る大会である。
 ただ、普通に語るのでは味気ない。ここは芸能人らしく、演技、歌、演奏、気合、根性などなど、自分の持てる技を駆使して表現するのだっ!
 もちろん料理を実際に試食して味見をするのだが‥‥そこからが勝負だっ!
 どんなにその料理が上手いか、熱く熱く熱く、魂のある限り語りまくるのだっ!

 さて、どんな料理が出されるのか、見てみよう。
 無名な中華料理人が作ったチャーシューメン。
 大会会場の近くにあった店のナポリタン。
 スタッフが用意した青汁入り炊きたて御飯。

 上記3つのうち、1つを選ぶ。あくまでも1つだ。
 ちなみに、2つ以上選ぶと失格となる。
 
 青汁入り炊きたて御飯は、難易度が高いが、芸能人にとっては避けては通れない道だ。挑戦してみるのも悪くはないだろう。確実にポイントを取りたいならばチャーシューメンかナポリタンだが、演技力が足りなければ点数は低めになる。
 
 いきなり本番‥‥という訳ではなく、期間は5日間だ。
 初日は打ち合わせ、2日目と3日目がリハーサル、4日目が本番。
 最終日は反省会と後片付けの予定だ。

 表現に自信のある方は、ぜひチャレンジして欲しい。
 スタッフも、チャレンジ精神溢れる芸能人たちを期待している!

●今回の参加者

 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa0513 津野雪加(20歳・♀・牛)
 fa0928 舞腹 旨井蔵(33歳・♂・豚)
 fa3510 宝塚菊花(23歳・♀・一角獣)
 fa3635 甲斐・大地(19歳・♀・一角獣)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa3822 小峯吉淑(18歳・♂・豚)
 fa4643 夕波綾佳(20歳・♀・犬)

●リプレイ本文

●リハーサルです!
 参加者は会場付近の旅館に泊まることになった。
 初日はスタッフとの打ち合わせで、今日はリハーサル2日目だった。
 タブラ・ラサ(fa3802)の予想通り、ナポリタンは会場近くにある喫茶店の料理人が作ることになっていた。リハーサルとは言え、ラサは真剣に味の表現を検討していた。
「僕の得意なものと言ったら、演技‥‥それをどうお客さんに伝えるかだな」
 ラサがナポリタンを食べていると、甲斐・大地(fa3635)も試食とばかりに食べ始めた。
「ナポリタンか、チャーシューメンか、悩むよね‥‥どっちもそれなりに美味しいしね」
 夕波綾佳(fa4643)はとりあえずと言いながら、一口ずつ三品を食べてみた。三品目は青汁入り炊きたて御飯だ。その味により、綾佳はしばらく何も食べれなくなったらしい。
「むむ、綾佳さんはやはりダウンか‥‥だが、俺はグルメレポーターの誇りにかけて敢えて、青汁入り炊きたて御飯に挑む!」
 舞腹 旨井蔵(fa0928)は食べる気満々であった。
「し、しかし‥‥青か緑か判断し難い色だな‥‥御飯の熱気で青汁の匂いが凄まじい‥‥」
 一口、旨井蔵の感想であった。次第に額から汗が滲んでくる。想像以上の味だ。これは本当に食べた者にしか分からない領域に達していた。
「い、今のうちに舌を慣らしておきましょっと」
 津野雪加(fa0513)はフードファイター。その名にかけても心意気は前向きだ。ただひたすら青汁入り炊きたて御飯を食する姿は健気でもあった。はっきり言って、美味しいの反対だったが、そんなことは一言も言わなかった。
 そして、予想外の参加者がいた。バイオリニストの水鏡・シメイ(fa0509)もまた、青汁入り炊きたて御飯に挑戦する一人だ。
「‥‥?! こ、これは‥‥!!」
 シメイの口に広がる衝撃は、よく分からない領域を突破していた。
「な、なんだ? この衝撃は‥‥?」
 今までにない味であった。生まれて初めての疾風怒濤と言っても過言ではなかった。
「この衝撃を曲に託すしかない!!」
 芸術家として、シメイは燃えていた。
 一方、小峯吉淑(fa3822)はチャーシューメンを試食していたが、何故か焼き豚は避けていた。


●皆さん、本番です!
 会場付近、白いテントが風に吹かれていた。
「よっしゃ、いくぜっ! 芸能界運動会、表現種目!! お・あ・じ・は・い・か・が!!」
 司会はロック・グループ『A』のヴォーカルIRITO。前座で新曲を披露した後、大会が開始された。
「一人目の挑戦者は、水鏡・シメイだ! 俺とは正反対だっ!」
 バイオリンを持ち、小粋な着物姿の男性がステージに登ってきた。
「初めまして。バイオリニストの水鏡・シメイです。僭越ながら、青汁入り炊きたて御飯に挑戦します。どうぞよろしくお願いします」
 御辞儀をした後、バイオリンを横に置いてあった椅子に置き、白のテーブルに目を向けた。見ると、スタッフが用意した白い御飯に青汁たっぷり。
「なんとも食欲を引き立てる色合いですね。では、いただきます」
 椅子に腰掛け、味わいながらの一口。
「こ、これです! この衝撃を曲に!」
 シメイはバイオリンを持って立ち上がった。音色は優しく靡き、いつしかそれが教会音楽だと誰もが気付いた。安定した弦の響きには温もりが感じられた。一曲弾き終わり、シメイが言った。
「人を優しさで包み込むような、そんな味わいをこの料理は秘めています。とても美味しいです」
 静かに微笑むシメイだが、観客から見れば青汁入り炊きたて御飯は未知の味。どうやら判断に悩んでいるようだった。
「二人目の挑戦者は、巨乳グラドルの甲斐・大地だ! 胸からも目が離せないぜ!」
「こんにちは、大地です。よろしくね♪」
 手を振りつつ、大地が躍り出る。椅子に座り、早速食べ始めた。
 選んだのはチャーシューメン。
「うふふ、美味しいわ〜」
 両腕を伸ばし、身体を揺らすと、胸元が戯れる。助兵衛なヤツが喜ぶのは言うまでもない。
「ふぅ、良い味だったな」
 食べ終わり、大地が立ち上がると、その拍子に箸が転げ落ちた。
「ご、ごめんなさーい。お詫びと言ってはなんだけど、おどっちゃうね!」
 計ったようにダンスミュージックが流れ出す。スタッフさん、用意してくれたんだね〜。
 心踊る胸踊る、大地らしいダンスであった。
「さて、三人目の挑戦者はタブラ・ラサだ!」
 曲がダンスミュージックから、鳥の囀りに変わった。小鳥たちが鳴く声はスタッフが録音したものである。
「子役のタブラ・ラサです。今日は参加できてうれしいです」
 自己紹介ということもあり、丁寧語で告げた。椅子にちょこんと座り、フォークを持ち、ナポリタンを一口食べた。ゆっくり味わいながら、うれしそうに笑っていた。
「これを僕が言うのはどうかと思うけど‥‥懐かしい味だね」
 一昔前の素朴な味、という意味だろうか?
「ソースが麺に絡んで‥‥染みてるっていうのは、こういうことかな?」
 ラサは一口食べる度に、顔が穏やかになっていった。
「ベーコンもカリっとしてて、ナポリタンの味を際立たせているね」
 もぐもぐもぐもぐ。美味しくてたまらないといった表情だ。観客も思わず生唾を飲み込む。
「あ、気がついたら全部食べちゃった。他にもいっぱい言いたいことあったのに、あんまり美味しいから食べ終わっちゃったな」
 茶目っ気たっぷりの笑みでラサはそう言うと、ペコリと御辞儀をしてステージから降りていった。
「続いて、四人目の挑戦者は、津野雪加だっ!」
「フードファイターの津野雪加と申します。どうぞよろしくお願い致します」
 すかさず黒子のスタッフが現れ、テーブルの上には青汁入り炊きたて御飯。いただきますと告げた後、一気に食べる。
「おかわり!」
 青汁入り炊きたて御飯を手にした黒子が出現。雪加は何杯も何杯も食べ、終いには炊飯器の中にある御飯まで食べようとする勢いだ。「ちょっと待って下さい」と言って、すばやく青汁をかける黒子。
 雪加も負けじと平らげる。「おかわり!」と「ちょい待ち!」が繰り返される様子は、まるで一種の芸のようにも見えた。
「すみません、時間切れです!」
 黒子の叫びで、ようやく試合は終了した。
「それは残念です」と言いつつ、ステージを後にする雪加であった。
「さて、五人目の挑戦者は、舞腹 旨井蔵だっ!」
「みんな、こんにちは〜! グルメレポーターのウマイさんだよ〜! 食べ物は大事に! お箸をつけたら必ず平らげよう!」
 またもや黒子出現。手に持っているのは青汁入り炊きたて御飯。
「こいつを待っていた! いただきまっす!」
 にこやかな笑顔で食べ始める旨井蔵。味を感じる前に飲み込む‥‥それが彼の戦法だ。それだけではない。ムシャムシャと大きく口を動かし、飲み込んだ後に一言。
「おいしぃ〜! お米の甘味と青汁の仄かな苦味がベストマッチ! お米も香ばしいね!」
 箸を握り、決めポーズ。立ち上がり、ステップを踏む。
「う〜まいぞっ! うまい〜ぞぅ! うっまいぞ〜♪」
 軽やかな足取りで『ウマイさんダンス』を繰り広げた。巧みに踊る様はなんとも面白い。
「チャッチャッウッ、チャッチャッウッ、う〜まいぞっ! うまい〜ぞぅ! うっまいぞ〜♪」
 次第に自分で間奏まで口ずさむ旨井蔵。ノリノリのダンスだった。
「やあ、みんな、騙されたと思って、食べてみてね!」
 隠し持っていたA3サイズのホワイトボードを取り出すと、観客に見せるように掲げた。
『本当、騙されます!!』と大きな文字。旨井蔵の雰囲気に飲まれて、観客が笑い出した。
「いよいよ、最後の挑戦者! キルキルこと、小峯吉淑だっ!」
「タレントの小峯吉淑と言います。食べるのはチャーシューメンです」
 吉淑が椅子に座ると、近所の中華料理人がバイクで登場。「へい、チャーシューメン一丁!」と威勢の良い声でチャーシューメンを卓の上に置いた。割り箸を差し出すと、バイクに乗って走り去る中華料理人であった。
 特にコメントもなく、麺と汁は残さず、焼き豚だけ残して平らげた。ふと真顔になる吉淑‥‥と思いきや、徐に立ち上がった。
 待ってましたと、ロックの音楽が震撼した。バックバンドはロック・グループ『A』だ。
 16ビートのリズムが鳴り響き、吉淑は曲に合わせてステージの上をクルクルと回った。黒子が大きな白い箱を押して、横から現れた。アシスタントとして、チャイナドレスを着た綾佳が観客側の面を開いた。一メートル四方の箱の中身は空っぽだ。
 それを確認して、吉淑はさっと上着を脱ぎ、一回だけターンして箱の中に入った。綾佳が蓋を締め、鎖を箱に巻き付けた。鍵まで閉める。黒子が最後に箱の上から赤い布を被せた。布は箱が隠れるくらいの大きさだ。
 エレキギターの小刻みな音に合わせて、ドラムが鳴り響き、綾佳が布を取った。
「うまーい!」
 上半身だけ黒豚に変身した吉淑が、両手を広げて箱の上に立っていた。綾佳と黒子がクラッカーをパンパン鳴らしていた。この演出で、観客の誰もがマジックだと思い込んでいた。
「なるほど‥‥チャーシューメンに焼き豚が入ってたから、豚に変身したのか」
 客の一人がそう呟いていた。
 その後、拍手喝采であった。間近でマジックが見れて、喜んでいる子供もいた。
「つーわけで、大会は終了だ! 参加者及び、お客のみんな、今日は来てくれてサンキューな!」
 IRITOの元気な叫びは、空まで届きそうであった。
 最終日、旨井蔵が残った青汁御飯をスタッフ全員に食べさせたのは言うまでもない。


●審査の結果
バイオリニストの水鏡・シメイ 1点
フードファイターの津野雪加 1点
グルメレポーターの舞腹 旨井蔵 3点
巨乳グラドルの甲斐・大地 1点
子役のタブラ・ラサ 2点
タレントの小峯吉淑 2点

赤組、7点。白組、3点。