Guerrilla St．St．03Bアジア・オセアニア
| 種類 | ショート |
|---|---|
| 担当 | 三ノ字俊介 |
| 芸能 | 3Lv以上 |
| 獣人 | 1Lv以上 |
| 難度 | やや難 |
| 報酬 | 12.9万円 |
| 参加人数 | 8人 |
| サポート | 0人 |
| 期間 | 07/08〜07/14 |
●本文
ショーレスリング番組『Guerrilla Stunt Studio（ゲリラ・スタント・スタジオ）』は、好調を維持していた。この興業は『ショーレスリング』である。ガチンコでやり合うのではない。『魅せる試合』を行うのだ。殺人技や流血は厳禁。セメントマッチ（真剣勝負）はありだが、あくまでショーであることを忘れてはいけない。
重要なのは演技とか演出とかである。
その番組も、今回で３本目（ライブマッチを入れれば４本目）になる。三代続けば王朝は成るというが、ＧＳＳも軌道にのってきたと言える。
その大事な一戦は、１時間枠になった。
「好評を博したこの番組『Guerrilla Stunt Studio』も、今回を成功させればかなりのものを得られると思います。ドラマ性を維持しつつ魅せる番組作りをする。必要なのは『変化』であり、常に新しい血を注ぎ続けること――つまりマンネリの回避は必要不可欠です」
口上を垂れているのは、プロデューサーＢこと高田馬場修平（たかだのばば・しゅうへい）である。すでに１０本近くの格闘番組をプロデュースし、一定の評価を得つつある。もう新米と言うには抜き目がありすぎるだろう。
修平の口上は続く。
「今回のＧＳＳは、今までの制約された枠組みでは出来なかった、新グループのプロデュースや新しい戦力の拡充。また得られるものなら『なんでも』取り入れてゆきたいと思います。もちろん出場者の皆さんの、同意と総意の上でという前提はあります。本当にゲリラになられては困ります。ですが前半３０分枠をＡパート、後半３０分枠をＢパートとし、Ａパートを新人に開放して新団体、新勢力、その他様々な新要素の取り込みを行い、Ｂパートで今まで構築してきた『モノ』――もちろん積み上げあって現在が在るわけですが、それを活かしていただく作りにします。Ａパートは新人さん、一見さんの積み上げの場。Ｂパートはベテランさん、レギュラーさんの場所と住み分けてください。問題さえ起こさなければ、以前の某アイドル軍団のような切り捨てはしません。私は『可能性』を尊重します。とにかく一試合一試合、ドラマを１本作るつもりで当たって下さい」
＊
本募集は『格闘家』の募集である。戦闘能力よりも演技力を重視している。むしろそっちが本分と言って良い。
やる気のある者の参加を待っている。
●リプレイ本文
Guerrilla St．St．03B●新生ベビー軍ｖｓ正統ヒール軍
『Guerrilla Stunt Studio』の前半戦は、混乱のうちに終わった。会場は体勢を整え直し、リングアナが会場になにやら説明している。
「いよいよか」
ＳＩＧＭＡ（fa0728）が控え室で、その様子をモニターで見ながら言った。同室に居るのは、タッグパートナーのブレード・ヤシャ（fa3581）である。実質上のヒール軍の総参謀だ。現在までのＧＳＳを牽引してきた、重要なキーパーソンでもある。
「派手にやらかしたなぁ‥‥俺も負けてられねぇや」
ヤシャが言う。隣の控え室がごそごそし始めた。アップが終わって、孫華空（fa1712）とドン・ドラコ（fa2594）がスタンバイを始めたのだろう。ＡＤ達の動き回る気配もする。
「いよいよだな」
キィーンとエレキギターをつま弾き、ＳＩＧＭＡが言う。
「派手にやるさ」
ヤシャが柔軟を開始した。
●『Guerrilla Stunt Studio』後半戦
大混乱のうちに終わった『Guerrilla Stunt Studio』前半戦も、５分少々の準備時間で平静を取り戻していた。会場の整理も付き実況と撮影が再開される。
後半戦のカードは次の２本。
・第１試合
【ベビー】リュアン・ナイトエッジ（fa1308）＆五条和尚（fa0360）
ＶＳ
【ヒール】孫華空＆ドン・ドラコ
・第２試合
【ベビー】醍醐・千太郎（fa2748）＆ダンディ・レオン（fa2859）
ＶＳ
【ヒール】ＳＩＧＭＡ＆ブレード・ヤシャ
タッグマッチ２連続という構成である。今回はちょっとしたサプライズもあるのだが、それは最後に書こう。
●第１試合 リュアン・ナイトエッジ＆五条和尚ｖｓ孫華空＆ドン・ドラコ
「あたしのサムライソウルに勝てるかしら？」
ゲイのドラコがおねぇ言葉で言った。ちなみに格好は志○けんのバカ殿風である。真面目にやる気はまったく見えないが、一応身体はしっかり作ってある。
パートナーの華空は女性だが、今回の件については特に問題なしということになっている。京劇風の登場の仕方は、彼女ならではだ。
「女性相手ならこれで勝負しましょう」
和尚はその挑発に乗らず、リング下のスタッフから四角いテーブルを受け取った。緑のフエルトの敷かれた電動麻雀卓である。
しーん。
「あの‥‥滑ってるっぽいッス」
和尚の行動に、道着姿のリュアンがツッコミを入れる。さすがにカートゥーンでは無いので、空気的にやや問題があった。
カーン！
一応ベビーとヒールという枠組み以外に、男性軍とと乙女（？）軍という構成で試合が始まった。
最初に出たのはリュアンと華空である。互いに譲らぬ打撃系レスラーだ。
空手主体のリュアンと拳法主体の華空。互いの攻防は、なかなかの速度戦になった。打撃系の試合にありがちな、展開の早い攻防。日本ｖｓ中国という看板を背負っている間柄、ばっちんばっちんと痛そうな音が響き渡る。
「これはたまらないネ」
華空がドラコにタッチした。リュアンも和尚にタッチする。互いに探り合いのようなサークリングをして、ストロングスタイルの組み合い。そこから和尚のヘッドロック！ しかしドラコが返して、腕を極めにかかる。これをさらに返した和尚がドラコをロープに投げて、和尚もロープに飛んだ。そして互いにショルダータックル！ これは和尚が体格で負けた。
和尚が倒れたところを、ドラコがロープに投げてネックハンギングツリー。派手に和尚が持ち上げられる。たまらずリュアンがカットに入った。和尚はリュアンにタッチ。リュアンはドラコに回し蹴りをたたき込むが、ドラコは効いていないとアピール。そしてリュアンを捕まえ、フロントスープレックス！ リュアンの身体が、マットに沈む。
そこから華空が、トップロープからのフライングボディープレスを敢行。がつんという音が、会場に響いた。
そのままドラコは華空にタッチ。さらにツープラトンブレーンバスターで追い打ちをかける。が、リュアンが反動をつけてそれから脱し、二人に正拳突きと回し蹴りを見舞った。
リュアンはそこで和尚にタッチ。華空がロープに飛んで和尚にフライング・ローリングソバットを放つが、これは和尚が受けた。
その後数度のパートナー交代があって勝負を極めたのは、ドラコのフランケンシュタイナーだった。フォールを取られたのはリュアンである。
ある意味、屈辱の敗北であった。
●第２試合 醍醐千太郎＆ダンディ・レオンｖｓＳＩＧＭＡ＆ブレード・ヤシャ
第２試合のベビー軍の入場は、派手だった。歌舞伎オヤジ、レオンが望んだのである。
スーツ姿で出てきた千太郎もなかなかのものだ。が、空手着の下履きに指ぬきグローブのレオンが、筋肉をぴくぴくさせながらポージングしているのは、ある意味客が引く。
対するＳＩＧＭＡ・ヤシャのコンビは、スラッシュ系ヘビーメタルをＢＧＭにしての入場だった。ギターを持ったＳＩＧＭＡと、パンクのような姿のヤシャが入場してくると、会場は沸いた。
「俺はここよりも、もっと楽しく暴れまわれる場所を見つけた。そこへの手土産に、てめえらベビー軍を完全にブチのめしてやるからな！」
ヤシャがマイクパフォーマンスをすると、ゴングを待たずに千太郎へ襲いかかった。ＳＩＧＭＡはエレキギターを、それがへし折れるほどレオンにたたきつけた（もちろんボルトを抜いたりの加工済みなのだが）。
カーン！
混乱のうちに、ゴングが鳴る。互いの先鋒はヤシャと千太郎になった。ボディスラムやショルダータックル、ドロップキックなどの定番攻撃で、危なげなく千太郎が試合を運ぶ。過去のＧＳＳをことごとく優勢に進めてきたベビー軍だけあって、なかなか安定した展開である。
優勢に千太郎は試合を進め、ヤシャをほぼ圧倒しながらレオンにつなげた。千太郎は置きみやげ代わりに、ツープラトンブレーンバスターを決めていった。
変わったレオンの攻撃は、どちらかというとねちこかった。ローキックを主体とした、徹底的な下半身攻め。ヤシャは足を取られ、何度も倒された。しかしヤシャは、組み合いから足を極めて自コーナーにレオンを引きずり、ＳＩＧＭＡにタッチする。足を極められて動けないレオンには、トップロープからギロチンドロップが飛んだ。
ＳＩＧＭＡの身上は、軽量級レスラーである。打撃系で偏っているレオンは、速度でも手数でもＳＩＧＭＡに負けていた。ロープ交錯からのドロップキックをまともに食らったレオンがリング下に落ちると、そこから自身がロープに飛んで一気にトペを決める。そしてヒールらしく、セコンドと一緒になってタコ殴りにした。さすがに千太郎が割って入る。
リングに戻ると、ＳＩＧＭＡの相手は千太郎に変わった。どちらかというと正統レスラー同士、『まとも』と言っては申し訳ないが、ちゃんと『レスリング』をしている。
ＳＩＧＭＡの手数を、千太郎はガードして防ぐ。
「なんだこりゃ？ おまえらプロレスをやってるつもりなのか。おまえらのようなガキのお遊戯に付き合わされた俺らやお客さんに、失礼だろうが！」
ＢＵＯＯＯＯＯＯＯ！ ＢＵＯＯＯＯＯＯＯ！
ＳＩＧＭＡのセリフに、会場がブーイングの嵐になる。
ＳＩＧＭＡの挑発にも、千太郎は耐えて機会を待った。そして甘く入った蹴り足を取ると、逆エビ固めに入る。身上の足を潰されては、ＳＩＧＭＡもたまらない。ヤシャがフォローに入り、ヤシャとタッチした。
再び千太郎対ヤシャ。先ほどは千太郎が優勢に進めていたが、今度は何か調子が違う。千太郎はヤシャの怒濤の攻めに押され気味で、なんともだらしない。
ＳＩＧＭＡの求めに応じて、ヤシャが千太郎にキャメルクラッチを極める。そこにＳＩＧＭＡが低空のドロップキック！ この速攻には、さすがにレオンもフォローに入れない。
そしてヤシャは、極めにかかった。いつもの毒霧から延髄斬り。そしてパワーボムからフォール！ レオンが飛び出すが、ＳＩＧＭＡがそれを止める。
１！ ２！ ３！
カンカンカンカンカンカン！！
ヤシャが千太郎をフォールし、勝敗は決した。
●新天地へ
「まあ、さっきも言ったが‥‥総統からのお達しでな、世界中を暴れまわってプロレスを知ってるヤツ、知らないヤツ、否定するヤツ、楽しむヤツ‥‥そいつら全てをヒール軍の下僕として洗脳する世界プロレス行脚の旅に出ることになった。もうここに俺の力は必要ない。俺がいなくても、てめえらベビー軍なんて総統のパワーを得たヒール軍にはかなわない。せいぜい頑張ってみるんだな！」
ヤシャの、最後のマイクパフォーマンスである。
●Guerrilla Stunt Studio３終了
総統の出現とベビー軍の敗北によって、ＧＳＳにも新しい展開が出てきた。今後の推移は、また参加者にゆだねられる。
「やれやれ‥‥これで一息つける」
高田馬場Ｐが、ほっと一息ついた。
【おわり】
