Voodoo People 1南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
三ノ字俊介
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
27万円
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参加人数 |
6人
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サポート |
0人
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期間 |
08/16〜08/22
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●本文
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【ブードゥー教】
ハイチで広く信じられている民間信仰。キューバやトリニダード・トバゴ、ブラジル、ルイジアナ州などのアメリカ合衆国南部でも同様の信仰がみられる。ローマ・カトリックと西アフリカ(おもにベナン)の部族の宗教の諸要素が結合して生まれたもので、宗教に自由の無い国では肩身が狭い。
ブードゥー教徒は、最高神『ボン・デュー』や先祖をはじめとする死者の霊、双子、『ロア』とよばれる精霊たちを崇めている。ロアの性質は宗派によって様々だが、それらはアフリカの部族の神々であり、しばしばローマ・カトリックの聖人と同一視されている。
例えば、蛇神は聖パトリックと同一視されている。この他ブードゥーに見られるカトリック的な要素としては、ロウソクや鈴、十字架を使用することや、祈りや洗礼、十字を切ることがあげられる。いっぽうアフリカの宗教の諸要素としては、踊りや太鼓、先祖や双子を崇拝すること、呪術的な色彩が強いことがあげられる。
ブードゥーの儀礼はしばしば、ホンガンとよばれる男性祭司やマンボとよばれる女性祭司が執り行う。儀礼が行われるのは大抵深夜で、崇拝者たちは太鼓や踊り、歌、ごちそうでロアを呼び出す。呼び出されたロアは踊っている人々に取り憑く。取り憑かれた人々は、それぞれ憑依者独特の振る舞いを示し、恍惚状態の中で病気治療を行ったり信仰者たちにアドバイスを与えたりする
【ゾンビ】
霊力によってよみがえらされた死人。言葉をしゃべらず、意志も無いとされる。また死人を蘇らせる霊力そのものを指すこともある。アフリカのバントゥー語族に属するキンブンドゥ語で『霊』を意味する言葉に由来し、ハイチの民間宗教であるブードゥーを信仰する人々の間で、その存在が信じられている。悪意を持った妖術使いは、呪術によって死人を墓場からよみがえらせることができ、そうして作ったゾンビを奴隷として酷使するとされる。
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累々と並ぶカップ麺の残骸と栄養食品のゴミ屑、そして撮影機材の山々。
最近露出が多くなって機材が増えた、ジョン・B・カーペンタリア監督の部屋である。機材を増やす前に生活の潤いを増やせと思うのは筆者だけではあるまい。
『Voodoo People』というシャシンはかなり間違った方向で制作され放映された。ジャンルはダークヒーローモノ。ゾンビを使役して悪を倒すという、キワモノなB級映画である。
「基本的には『ジャパントクサツ』のフォーマットを利用して、30分で1話完結。ブードゥーヒーローは3人にゾンビも3人。マイケルとかレイレイとかみたいな、活きのいいのがいいな。悪役は4名、首領に幹部3人。両方とも女性と有色人種をうまく入れたいな」
バチカン辺りからクレームものと思うのだが、そう言う気遣いをしないのがJ・B・カーペンタリア監督である。
ともあれ企画は通り、一応短編で6回分1/2クールの試験放送が行われることになった。これが評判良ければ、1クール13話の契約が取れることになっている。
「さて、スタッフを集めよう」
●リプレイ本文
Voodoo People 1
●序:マンボは悩んでる
ヴィイイイイイ‥‥。
黄色い『Pizza Happy☆』と書かれたスクーターが、西海岸にありがちな芝の青い建て売りの前で止まった。スクーターから降りてきたのは、ピザ屋の制服を着た小柄な黒人だ。ラテンっぽく結った髪に猫のような目。軽快な足取りでピザを運ぶ姿は、しなやかで軽やかと言えば言いすぎだろうか。
ピンポーン。
「ちわー、『Pizza Happy☆』ですー。ご注文の品お届けにあがりましたー」
「はーい」
声がして、中から中東系の女性が出てきた。
「あららららら、サラちゃんじゃない」
ぽやぽや系の女性、エレノア(ジュディス・アドゥーベ)が、玄関から声をあげる。
「あー、今日はウチの当番やからなー」
サラと呼ばれた少女(サラール)が言った。
「それよりエレノアたん。最近いろいろおかしゅうないか?」
保温パックからピザを取り出しながら、サラが言った。
「おかしいって?」
『臨時ニュースです』
そこでタイミング良く、テレビのニュースが特番を報じ始めた。
『ロサンゼルス○○で大規模なテロ活動が発生した模様です。武装したテロ組織は△△ビルを占拠し‥‥』
画面が変わった。そこにはSWATを『素手』で鎮圧する『何者か』が映っていた。SMGの集中砲火を受けてなお攻撃してくる『何か』は、とても人間とは思えない。
「あちゃー」
サラが、なにやら面倒なことが起こったような顔をした。
「今日はバイトにならんなぁ‥‥」
サラが、諦めたように言った。
タイトル:Voodoo People
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【OPテーマ曲(Fight! Voodoo People!)】
Is it courageous to your pupil?
Soldier and soldier chosen to fight.
It is someone’s message in the mind when fearing it when it is useless.
Emerald with blue space. The hand of evil expands in the earth.
Mad evil! Slash out!
Love of the twin calls each other.
Mad evil! Slash anyone!
Become an escutcheon that defends the earth.
Super−soldier.Voodoo People!
Super−soldier.Voodoo People!
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【キャスト】(※画面が音楽と共にヒーローものっぽく次々更新していると思ってください)
エレノア:ジュディス・アドゥーベ(fa4339)
ぽやぽやとした感じの中東系美少女。普段は目元しか見えない女性ムスリム(イスラム教徒)のような衣装を着ているが、それを脱ぐとグラマラスな肢体が現れる。ブードゥー人形などの術具を多用する。
サラ:サラール(fa1335)
ピザの宅配のためにスクーターを駆る元気少女。軽快なアクション中心で変身後の布率は少ないが、ないんぺたんなのでセクシーとは言い難い。
ゾンビ・ツィー:プリムローズ・リベルテ(fa0666)
何もない空間から現れるカンフールックの少女キョンシー(ゾンビ)。ヴィジュアル系。拳法が得意で修羅のごとく苛烈に戦う。
ゾンビ・チャン:音井ネミ(fa0335)
陰陽道陣から出現するキョンシー(ゾンビ)。導士のような服装で、暗器を使う。
幹部ガルドン:南雲良(fa0404)
スーツ姿の虎獣人。変身すると衣服が破れて鎧のようなものを身にまとう。凶悪そうな顔がなかなか特徴的。
幹部グラント:マサイアス・アドゥーベ(fa3957)
中東戦士風の筋骨たくましい男。怪力無双。街頭などをへし折り車をぶん投げる。
監督:ジョン・B・カーペンタリア
『第1話:ブードゥーの戦士たち』
●200X年8月18日13時22分
「がーっはっはっは、壊せ、潰せ、破壊せよ! 我らが首領ヴァレスさまのために、破壊の限りを尽くせ!!」
ジョニー・デップを3周りほど膨らませてシェイプしたような、幹部グラントが戦闘員に言う。戦闘員は市民を襲い警察を襲い、特殊部隊までも手に掛けた。ショットガンやSMGで武装した警察も、『死なない兵士』には通用しない。さながらそこは、戦場というより屠殺場であった(番組の性格上死体は出ないけど)。
「調子良さそうじゃないか、グラント」
そこに、スーツ姿のグラントが並んだ。
「ふん! この程度の命令、こなせて当たり前だ。それより貴様はどうなのだガルドン」
「金庫は破った。必要なものも手に入れた。あとはこのビルをぶっ倒すだけだ」
ガルドンと呼ばれた男は、つまらなさそうに言った。
「イ゛――――――ッ!!」
その二人の前で、戦闘員の何人かが、見えない手にねじられたようにひっくり返った。
「「むっ!」」
土煙の向こうから、黒い人影が現れる。頭からすっぽり布で覆われ、目元だけしか見えない中東の衣服――チャドルを着ていて、一見して女性のようだった。
その女性は手にした人形(のようなもの)を空中にかざすと、それをひねった。
「イ゛――――――ッ!!」
ばたばたばたと、SWATさえ受け付けなかった戦闘員が次々と倒れる。
ヴィイイイイイイイイ!!
スクーターのエンジン音が響く。
「アンチョビキーック!!」
ウィリーした黄色いスクーターが反対側から現れ、戦闘員を次々と跳ねとばす。どの辺がキックなのかはよくわからない(よい子は真似してはいけません)。
二人の女性は、共に並んだ。
「貴様何奴!!」
グラントが言った。
「正義と真実の戦士、ブードゥー・ピープル!!」
ぼーん!!
二人の背後で、爆発が起きる。
「ふん! 宗教戦士風情が! お前たち、奴らをやってしまえ!!」
グラントが戦闘員に命令を出す。
『Voodoo!!』
しゅばしゃきーん!!
2人の声が唱和したかと思うと、2人の姿がブードゥー司祭になった。素朴な素材の黒い衣装に、ヘビの骨のネックレスやイヤリングといった邪悪っぽいアクセサリーを装備している。どれも宗教的かつエロティックで、ちょっとお子様向けとは言い難い。
「ほないくでー!!」
たたたんと走り込んだサラが、軽快なアクションで戦闘員を倒してゆく。すばしっこい動きで敵を翻弄し、急所に打撃を決めてゆく。
「ガホン・グノンバン・メス・ツキニ!!」
エレノアがブードゥ人形に念を込めると、何人かの戦闘員が同士討ちを始めた。彼女の武器は呪力なのだ。自身は守護のブードゥ人形で結界を張り、守っている。
果たして、戦闘員はほどなく殲滅された。
「ええい、だらしない奴らだ!!」
バクン! と街灯を殴り折り、グラントが言う。
「どれ、あまり出番の無かったところだ。ここは俺に任せてもらおう」
グラントはそう言うと、虎人に変身した。衣服が裂けて、身体が膨らむ。
「出でよ『ビスマルク』!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ!
空が急に陰り、雲が竜巻のように渦を巻いて地面に吸い付いた。するとそこには、生白い肌に節くれ立った身体を持つ、顔のとがったトカゲもどきの化物が居た。
「やあっ!」
サラが『それ』に仕掛けた。懐に飛び込んで正拳の三連撃。
しかし、ビスマルクには効かない。
「『霊体金剛神(スピリチュアル・パワー・ゴッズ)』ビスマルク、我が下僕にそのようなものが効くか! 死ね! ブードゥー・ピープル!!」
しゃぎゃー!!
ビスマルクが咆える。サラの攻撃は通じず、エレノアの呪力も効果が無い。
「あかんなぁ」
下がったサラが言った。
「ああ、じゃあ、彼女たちにお願いしましょう」
のんきにエレノアが言う。
「そやな」
サラは言うと、構えを取った。
「「聖なる双子の名において! 来たれ! ブードゥーの戦士達!」」
バリリリーン!
上空に黒煙が渦巻き、稲光と共に『それ』らは召還された。サラの背後からにじみ出るように『ツィー』が、陰陽道陣から『チャン』が。
『召還に応じたよマスター。相手はどいつだい?』
ツィーが言う。
「アレや」
ビスマルクを指してサラが言う。
『承知』
チャンが、地面を滑るように前進した。
『フン!!』
ドカカカ!
瞬歩で突貫したツィーが、金髪をなびかせてビスマルクに打撃を与える。連打、連打、また連打。ごり押しとも言える連撃で、ビスマルクの自由を奪う。
『舟艇千刃』!
チャンが地面に両手を打ち付けた。いくつもの笹舟のようなものがビスマルクに奔り、それはビスマルクの足下で剣陣に変化した。
「何をやっているビスマルク! 蹴散らせ!」
しゃぎゃー!!
ばくん! とビスマルクの胸元が開いたかと思うと、急速に光が収束し解き放たれた。生体レーザーだった。
ずぞん! ツィーは腕を断たれた。チャンはかろうじて、剣陣で組んだ盾でそれを防いでいる。
さらに、ビスマルクの胸に光が収束する。
『やらせないよ!』
ツィーが身をコマのようにまわして突撃する。
『超旋点撃!』
充分にねじれの入った攻撃が、レーザー発信部を直撃した。
『鮫挟縛鎖!』
ワニのように口を開いた金剛鎖が、さらに追い打ちをかける。たまったエネルギーは暴走し、逆にビスマルクの胸を焼いた。
「とどめや!」
サラが言う。
「『ロア・スマッシャー』!!」
エレノアたちがポーズを取って、型を決める。するとゾンビたちは霊体になり、2方向からビスマルクを突き抜けた。アストラル体を破壊され、ビスマルクは青い炎を吹いて溶けるように消滅した。
「おのれブードゥー・ピープル! この借りは必ず返すぞ!」
ガルドンはそう言うと、その場から去っていった。
●盗まれたもの
「生化学研究のデータ?」
サラが、解けない試験問題を渡された学生のように疑問符を顔に浮かべた。
「バイオテクノロジーに関する資料みたいねー」
基本的にぽやぽやでぱやぱやなエレノアが言う。手にはたっぷりチーズの乗ったピザがある。
「なんやロクでもない話しになりそうやな」
サラが言う。
敵は、きっとまたやってくるであろう。
戦え、ブードゥー・ピープル! 世界の平和を守るため!
【終わり】