深夜俗悪映画の世界#3南北アメリカ

種類 ショート
担当 三ノ字俊介
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 4万円
参加人数 6人
サポート 0人
期間 08/29〜09/04

●本文

●深夜三流俗悪映画の世界
 『深夜三流俗悪映画』というカテゴリがある。どーにもこーにもならないような下らない内容の映像を流す、ある意味深夜番組の定番である。
 が、こういうのは玉石混合で、たまにすごいのが混じっていることがある。そういう所から新人を発掘する意図もあり、低予算で視聴率度外視の枠が作られ続けているのが現状だ。
 決まった監督が居ないので、プロデューサーとスポンサー以外はまったく未定という状況から始まる。つまり監督も役者もスタッフも、手弁当で低予算映画を作るのがこの番組枠の『目的』なのだ。手段はこの場合関係ない。
 番組製作の制限は、予算と時間と放送コードのみ。多少公序良俗に反しても、放送可能ならOKだ。ある意味コンペみたいなものと考えていいだろう。
 簡潔に条件をまとめると、次の通りである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●条件
【予算】
 日本円で300万円
【製作日数】
 1週間
【放送枠】
 25分
【募集】
 監督(これがいないと始まらない)
 役者
 スタッフ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 要は「予算と枠をやるから、自由に作れ」というのである。この業界でのしあがるなら、応募しない手は無い。
 ちなみに特別監修として、B級映像のスペシャリスト、J・B・カーペンタリア監督が一枚噛んでくれる。この手のコンペの出身者なので、気軽に相談してみるといいだろう。
 では、皆の奮起に期待する。

●今回の参加者

 fa4453 メリーナ・リン(36歳・♀・亀)
 fa4458 レナード・モーガン(40歳・♂・獅子)
 fa4459 クレア・リー(27歳・♀・アライグマ)
 fa4463 三島 麗華(19歳・♀・兎)
 fa4465 ミルティア・リーエン(15歳・♀・犬)
 fa4466 立花 奈保子(19歳・♀・猫)

●リプレイ本文

深夜俗悪映画の世界#3

●さて深夜枠
 深夜枠というのは、はっきり言って有象無象である。
 深夜は、なんとはなしにダラダラ流れる映像を、片耳片目で楽しむものだ。深夜映画を、放送前から心待ちにしている人など、ほとんどいない。
 いや、居ないわけではない。少ないだけだ。
 深夜枠の映画というと、低予算でイロモノが多い。実ンとこそういう『ゲテモノ趣味』な番組のほうが、熱狂的でコアでディープなファンを獲得しやすいものだ。
 つまりアレ。『恐いもの見たさ』。
 なんだかよくわからないホラーもの。なんだかよくわからないアクションもの。なんだかよくわからない恋愛もの。なんだかよくわからない(以下略)。
 つまり何が飛び出すか分からない、その『何か』を期待して見るものである。大抵は。
 もちろん、希薄な確率ではあるが、玉石混合である。中には、将来一つのムーブメントを起こすようなスタッフ、出演者が登場している可能性もあるが、そういうのが極々稀だ。航空機事故に遭う確率のほうが高いだろう。
 さて、今回のコンペのこの時間枠に集まったスタッフは、以下の通り。

・監督/撮影:メリーナ・リン(fa4453)
・大富豪フォーグ・ブティース(レナード・モーガン(fa4458))
・メイド・サーラ(クレア・リー(fa4459))
・花嫁候補ステンニア(三島麗華(fa4463))
・花嫁候補ウルリス(ミルティア・リーエン(fa4465))
・花嫁候補ナオコ(立花奈保子(fa4466))

 役割と役名・役職を一気に書いてしまったが、つまり内容なんかまったくない、ただただエロースな作品を作るために集まった面々である。
 ちなみにどれぐらい内容が無いかというと、タイトルや役名すら決まっていなかったというていたらく。ひよっこ監督にはありがちな話しだが、つまるところ『やりたいこと』と『やるべきこと』は、きちんと分けて行わなければならないのだ。
 特別顧問のJ・B・カーペンタリア監督は、苦笑しながら「昔の自分を見ているようだ」とコメントしたという。

●Z級フィルム『ヨメサン』
 メリーナ作った設定はごく単純だ。大富豪フォーグが嫁さん探しをするということで、種々様々な女性が彼にアタックするというものである。
 フォーグ役のレナードは、そこそこの色男で体格もいいから、映像映えはする。チョイスとしてはまあまあだろう。
 フォーグに当たり散らされるメイド役のクレアは、美術も担当していた。ちなみに『召使い』という言葉は現在差別用語指定になっているので(せいぜいが『雑役婦』止まり)、彼女の役柄は『メイド』で留めである。
 Z級でも、公共の電波に乗せる以上は、まあしょうがないのですよ。
 麗華はエジプトの民族衣装(おそらくはアラビアンナイトのアレを想像したのであろうが)を身にまとって、ベリーダンスを披露した。
 ミルティアは水着姿でプールに誘い、奈保子は楽器演奏で見せ場を作ろうとした。

 が、メリーナ監督のやりたかったことは、そんなことではない。その辺のことは二次的なもので、とにかく『エロース』『エロース!』『エロース!!』『エロース!!!』『エロース!!!!』。
 ひたすら『すけべぇ』なシャシン制作に終始したのである。
 直接的な描写は無いが、衣服の肌の露出度は限りなく高く、カメラアングルもグラビアアイドルを撮るような、舐めるような視点。役者のポーズも何か狙っているようなもので、その3点において監督はひたすらこだわった。
 公共の電波で出来るギリギリのラインを模索していると言えば聞こえがいいが、ただHなだけの映像で『優勝できる!』と考えているところが可愛いと言えば可愛い。

●役者たちは
 さて、役者たちがこの辺について何か言ったかというと、文句の一つも出さず、むしろ嬉々として制作に当たった。
 きわどい衣装に袖を通し、カメラアングルにも文句を言わず、女性陣は自らベッドシーンを申し出るほど。
 各人ダンス、楽器、スポーツなどの得意技を持っているから、その分野で勝負し、最後は寝床に忍び込むという、規格化されたスタイルシートを用いるような展開を撮ったのである(メイドのクレアはちょっと違っていたが)。
 実のところ、あまりの内容の無さに辟易するようなフィルムだ。露出の多い女性が、ポーズを取ったり脱いだり踊ったり跳ねたり。
 ドラマも何も無い。ただひたすら、グラビアアイドルを脱がせて売るような映像の垂れ流しである。
 確かに、妄想たくましい若人の下半身はがっちり掴んだかもしれないが、それだけ。今回出た役者は、将来もしメジャーになれたとき、このフィルムを黒歴史にしなければなるまいという内容だ。少なくとも正気を疑うというか、仕事を選ぶべき内容である。
 まあ、格付け番組で有名な元アダルトビデオ女優の例もあるので、売り方次第ではあるが(ちなみにそのAV女優については、その辺の『履歴』についての発言を、自他のものすべて、タレント事務所との契約で編集段階で番組からすべてカットされている)。
 老婆心ではあるが、この番組はVTRとして残ってしまうので、将来が多少心配だ。

●オチ
レナード:「一人に決められん。全員愛人にする!」

 結局、本当に内容の無いフィルムであった。

【おわり】