CET演歌喉自慢大会2アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
三ノ字俊介
|
芸能 |
1Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
1万円
|
参加人数 |
10人
|
サポート |
0人
|
期間 |
11/30〜12/06
|
●本文
よく噂される話だが、放送番組の多くはやらせである。
こう断言するといろいろと問題ありそうだが、事実そうなのだからしょうがない。一時期流行った『アポなし』とかも、そのほとんどはヤラセだ。でなければ、出演者を含めた番組スタッフは、おおむね警察などのお世話になっているはずである。
というわけで、お堅いCETの番組でもそういうものはある。CET定番のこの番組、『CET演歌喉自慢大会』もそうだ。出来レースとまでは言わないが、売れない演歌歌手やセミプロ、新人歌手などが多数出場し、アピールの機会を得る。いわば芸能人の登竜門(言い過ぎ)である。
さて、その番組の準備中に実は不幸な事故があった。出場者の乗ったバスが落雷に遭い、急遽10枠ほどの空きが出来てしまったのである。
出場者がいなければ、番組は成立しない。そこで各プロダクションに回状が回った。出場者の募集である。
・年齢性別不問
・歌う題目は演歌
・急ぎ出場できる者
つまり芸人でも俳優でも、条件さえ満たせば出場OKだということだ。
さて、番組が崩壊しないか見物である。
●リプレイ本文
●CET演歌喉自慢大会
CETののど自慢大会は、数多くの芸能人を輩出した実績のある、ある意味芸能人の登竜門である。生き残れる芸能人は限られてくるが、それでも一つのチャンスを得るステージではある。
視聴率も、60歳以上のお年寄りになら27パーセント近く(視聴率データ調べ)。つまり、演歌を聞く層には格好のアピールの場所なのである。新人演歌歌手が、持ち歌の宣伝のために応募するようなケースもあるぐらいだ。芸能の道を切り拓きたいのならば、これもまた手段の一つなのだ。
●「1番、氷咲華唯。氷川きよしさんの『白雲の城』を歌います」
『氷咲華唯(fa0142)――アイドル』
俺は氷咲華唯。猫の獣人で14歳。アイドルをやっている。
今回はちょっとした縁があって、この番組に参加を表明した。目指すはもちろん満鐘だ。
衣装は羽織袴を選んだ。演歌はよくわからないが、形から入ってみるのもいいと思ったからだ。
シンガー・ソングライターを目指しているから、歌の大事さは身に染みているつもりだ。感情を込めて、テクニックではなくソウルで歌う。基本はこれに限る。歌も現代演歌だから、申し分無いはずだ。
はずだったのだが‥‥。
カーン。
鐘は、一つだった。笑顔が、引きつる。体中が緊張して、思わず殺気めいたものを振りまいてしまった。
歌の世界は深い‥‥。
●「2番、天羽霧砂。曲は、山川豊さんの『アメリカ橋』を歌いまーす!」
『天羽霧砂(fa0319)――グラビアアイドル』
ウチはグラビアアイドルやってる天羽霧砂でーす。22歳の蝙蝠の獣人でーす。
大勢の人の前で歌うのは、実は初めて。もちろん、カラオケ以外で採点されるのも初めて。鐘は一つだったけど、なにもかも新鮮で楽しかったわ。
今回は、真っ赤な着物でステージに登場。ナイスバディを艶姿に隠して、お茶の間のみなさんを悩殺しちゃうっ! 歌も、持てる全てを注ぎ込んで歌ってみたわ。出来は、後から聞くとまあしょうがいないかなーって感じだけど、歌い終わったら拍手が雨のように降ってきて、もう病みつきになりそうっ☆
ま、結果は敢闘賞だったけど、そのあと友達とカラオケ屋をはしごして、のどが潰れるまで歌いまくったわ。歌を歌うって言うのは、結構ウチの性に合っているかもしれないわね。
●「3番、志羽翔流。鳥羽一郎さんの『兄弟船』歌います! その前に自己アピールしまーす!」
『志羽翔流(fa0422)――大道芸人』
俺は志羽翔流。大道芸人で、CETのこの番組には2度目の出場になる。ちなみに21歳の猫獣人。
今回も俺は、ディレクターに参加許可の念押ししてステージに立った。そこで今回は水芸を披露しようと思ったのだが、それはディレクターに止められてしまった。会場を汚すわけにいかないし、水芸は結構大掛かりな舞台装置が必要になる。そのようなものは、相当の大物にならなければステージに持ちこめない。題目で『素人のど自慢』を掲げている番組としては、到底容認できないというわけだ。
仕方なく俺は、ジャグリングを披露してそこそこの受けを取る事には成功した。だがやはり、思い通りに芸が出来なかったので気分はよくない。でもまあ、メジャーにればそんなワガママも言えるようになるはずだから、とりあえずは我慢我慢。
さて、そういうわけで鳥羽一郎さんの『兄弟船』を披露。今回は10回に1回あるかどうかの会心の出来だったのだが‥‥。
カーン、カーン。
ををう、鐘は二つだった。
●「4番、梁井繁。吉幾三さんの『雪国』を歌います」
『梁井繁(fa0658)――声優』
僕は梁井繁。声優です。狼の獣人で49歳です。『若い』ってよく言われますけどね。
今回は、地声の似ている吉幾三さんの『雪国』で勝負をかけてみました。発声量にだけは自信がありますが、音程は結構めちゃくちゃでしたね‥‥。まあ、歌は本業ではないのでしょうがないですが。
結果は鐘一つ。まあ、大声だけで歌手が務まるなら、かのジャ○アンは満鍾もらえるでしょう(苦笑)。
もっとも、結果についてはあまり気にしていません。僕は今回他の出場者さんのケアをすることが主な目的だったので、どちらかというと裏方業務ですね。ADさんたちの手伝いをしてなんかいろいろこまごまと動き回っていました。どちらかというと、こういう地道な努力が報われるといいですね。
●「5番、虎真。北島三郎さんの『詠人』を歌わせて頂きます」
『虎真(fa0862)――タレント』
うう‥‥胃が痛い。初仕事、緊張するなぁ‥‥。
私は虎真。猫獣人のタレントです。ふけ顔の17歳です。
私が自称するのは『雑学芸能人』。とにかくウンチクたれなので、インテリというわけではないのですが、雑学を披露するのを生業にしたいです。もっとも「空気を読め」と言われることが多いのですが。ほら、尺(時間)って決まっているから、私のウンチクで時間を食うわけにはいかないんですよね。テレビって。
ADさんにもあらかじめ、その辺の尺について言われていて、アピールは2分以内と決められていました。まあ、出てしまえば芸人根性で、巻きが入るまでしゃべり続けるわけですが。
歌の方は鐘一つ。しゃべり足りないぐらいですが、まあいいでしょう。
●「6番、朝守黎夜。歌う曲は、細川たかしさんの『北酒場』」
『朝守黎夜(fa0867)――肉体派タレント』
俺は朝守黎夜。職業タレント。21歳で獅子の獣人だ。
肉体派タレントを標榜する俺の本当の仕事は、アピールの為に熱湯風呂に入ったり冬の海に飛び込んだり高飛び込み台10メートルに目隠しで連れてこられて『飛び込め!』言われたりと、身体を張った芸がほとんどだ。放っておくと、東山スカイタワー(地上134メートル)からのバンジージャンプとかやらされるかもしれないな。
さて歌のほうだが、こっちはまったく自信が無い。鐘一つを覚悟していたが、意外にも鐘二つ。普通かつ真面目に歌っていたからかもしれない。CETだから当たり前かもしれないが。
あとは楽屋で顔つなぎ。とりあえず参加者とは、顔を知っているぐらいの仲にはなれたかもしれない。
●「7番、谷渡初音。都はるみさんの『愛は花、君はその種子』を歌います」
『谷渡初音(fa1628)――ボイストレーナー』
これで2回目ね、こののど自慢大会のトラブル。一度お祓いした方がいいかと思うけど。
私は谷渡初音。小鳥の獣人で若作りの38歳。夫子あり。
今回は都はるみさんの『愛は花、君はその種子』の2コーラス目を歌わせていただいたわ。有名作品のテーマ曲になったこともあるから、聞いたことある人多いんじゃないかしら?
この曲は、私から若手の皆さんへのエール。何事もあきらめず、くじけずに前を向いてゆけば、夢はかなうっていう応援の言葉。
衣装は薔薇色のロングドレスに、ロッドで巻き髪にしてみたけどどうかしら?
鐘は満鍾。文句なしよね。
●「8番、碓宮椿。城乃内早苗さんの『あじさい橋』を歌います」
『碓宮椿(fa1680)――ボーカリスト』
『あじさい橋』は城乃内早苗さんのデビュー曲。ボクはこれが初仕事だから、あやかりたいなーって思って。
ボクは碓宮椿。猫獣人のボーカリスト。若作りの28歳。
今回の衣装は緑茶色の着物。レンタルだけど。メイクは自然な感じでちょっと控えめに。
礼に始まって礼で終わるのがCET流。お堅い番組だから、それなりのTPOをわきまえなくちゃ。
歌い出しは結構良かったかな。でもサビに入るとちょっと地が出ちゃうのがまだまだ修行不足だよね。これはこれから、経験を積まなきゃだめかな。
歌が終わったら深々と礼。鐘は満鍾もらっちゃった。結構嬉しいな。
終わったらのどのケア。ボーカリストたるもの、仕事の後ほど大事なものだからね。
●「9番、木乃姫結。石川さゆりさんの『天城越え』を歌います(声が裏返っている)」
『木乃姫結(fa1735)――アイドル声優』
う〜〜〜〜〜〜、緊張するなー。
私は木乃姫結です。有名アイドル声優を目指す19歳です。
衣装はノースリーブのミニ着物。チェック覚悟だったんですけど、ぎりぎりセーフだったみたいです。FDさんはあまり良い顔していませんでしたが。
演歌は、演技が今ひとつなので乗りきれていない感じがします。もっと『声の芝居』を学んでいれば何か違ったかもしれませんが、今はこれが精一杯。
鐘は二つ。まあまあだと思います。
それよりも、お客さんもスタッフさんも、私の歌声と話し声の違いに驚いていました。アニメ系声優だとこんな感じなんですけどね。
まあ、いい仕事だったと思います。
●「10番、濱都マリ。狩人さんの『あずさ2号』を歌います!」
『濱都マリ(fa1883)――女流講談師』
ふふふ。女講談師、濱都マリ初TVですよ。
その前に講談についてちょっと解説を。
講談っていうのは寄席演芸のひとつで、釈台とよばれる小机を前にはりせんでたたきながら、一人で演目を演じる語り芸です。内容は軍記、仇討、御家騒動、侠客、義賊など多岐にわたります。
演歌も『演ずる』もの。共通するものはあるかもしれませんね。
ただこの若さで『講談師』というのも珍しいようで、今回はその一部をステージで披露することになりました。
後でテレビで見ると「あちゃー」な感じもするのですが(何せ圧倒的に技量が足りない)、まあそこそこ満足のゆく仕事にはなったと思います。
鐘は二つ。まあ、よろし候(そうろう)というところではないでしょうか。
●閉幕
無事にステージは終了した。結果に不満なものも満足の行くものも悲喜交々といったところだが、とりあえず番組に穴が空かなかったのは幸いである。
問題は、次があるかどうかだ。次もこのようなことがあった場合、真面目にお祓いにでも行かねばならないだろう。
スタッフは、ひそかに恐れている。
【END】