侍VSミュータント A南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
雪端為成
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
5.1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/13〜01/19
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●本文
「ふっふっふ、この作品も素晴らしい!!」
にんまりと笑みを浮かべてなにやら小躍りしてるのは若きプロデューサー、ヨハン・トビアス。
「くぅ〜、僕の名が全米に響き渡るのも時間の問題だなぁ♪」
手には映画の原案冊子が握られている。と、彼の仕事部屋に入ってきた影が。
「いつ見ても汚い部屋だな。‥‥でヨハン、なんで躍ってるんだ? 謎の儀式?」
「儀式って‥‥いやいや、それより姉さん! これを見てよ♪」
顔を出した姉のエリザに手渡された冊子の表紙にはでかでかと、
「サムライVSミュータント ニューヨークの危機」
「‥‥またか? またなのかヨハン!?」
「またってなんだよ姉さん! ってか首、首! 締まってるって!!」
ガクガクとエリザに揺さぶられるヨハンは目を白黒させながら問うのだが、そんなのはお構いなしでエリザは言う。
「ああもう、またこういうトンデモ映画の原案掴んできて‥‥まあ、勝手に頑張りな」
「‥‥いい映画だと思うんだけどなぁ?」
あとの残されたヨハンはきょとんとするだけだった。
「それじゃぁ、とりあえずスタッフ募集しなきゃ‥‥原案ちゃんと活かしてくれるといいなぁ〜」
●映画「サムライVSミュータント」スタッフ募集
・監督、脚本、美術、小道具、メイクなどスタッフ全般を募集します。
・映画の製作に伝わることになり、またメイキング番組に出演することになります。
●映画原案
アメリカに持ち込まれた5本の日本刀、それは本物の「妖刀」だった。5本の妖刀はそれぞれ一般人の体を乗っ取り、その破壊衝動のままに活動を開始した。
戦闘ヘリぐらいなら一刀両断、最強の一刀はビルすら輪切りにするその破壊力。ニューヨークが死の都市になる前に、妖刀の破壊活動を阻止できるのは超人的な力を持つアメリカの秘密部隊、ミュータント部隊だけなのだ!!
・この原案を元に、監督や脚本担当はシーンを構成してください。
・刀側5名、ミュータント部隊5名、シーンの数は6つ程度で。
・刀にはそれぞれ銘を、ミュータントにはそれぞれコードネームを。
・サムライ側は一般人が妖刀に乗っ取られてしまうという設定上、刀一本で戦います。
・SFXとアイディア次第で派手に暴れてもらいます。
・刀が破壊されれば元に戻るのか、殺して止めるしかないのかはスタッフに任されています。
・ミュータント側は、軍が保有する特殊部隊でバイオテクノロジーで獣化能力を得た歴戦の兵士です。
・銃器と半獣化しての怪力と能力で闘います。
●メイキング番組について
・映画撮影風景が使われます。
・インタビューも行われる予定なので、インタビューしてもらいたいことを決めておくといいでしょう。
●プロデューサーの言葉。
・アクション主体の映画になるので派手に!! ド派手に!!
・俳優さんたちともうまく連携できるといい映画になるかもしれません。
●リプレイ本文
「映画の舞台裏 −期待の快作 サムライVSミュータント−」
場所はアメリカのとある映画スタジオ。スタッフが行き来する中、少々緊張気味の女性が画面に現れる。
「こんばんわ、レポーターのセレン・シーモアです」
にこっと笑顔を浮かべながら後ろのスタジオを示す新人レポーター。
「今日紹介する映画はスピード感あるアクション快作の『サムライVSミュータント』です」
彼女はなぜか妙にカラフルな陣羽織を羽織っている。どうやら映画にあわせた衣装のようである。
「それでは、早速スタッフの方たちにインタビューをして、映画の魅力を説明してもらいましょう♪」
そう言ってくるりと踵を返すとピンク色の羽織を翻しながらセレンはスタジオの入り口に走っていくのだった。
暫く薄暗いスタジオの中を進みながらセレンが言う。
「‥‥今回の映画にはジャパニーズ・ソードマスターでブシドーなサムライが登場するんですよ」
すると事前にもらっていたパンフレットを示しながら進む彼女の右下に小さく映画のアクションシーンの一部が映る。
そして彼女は一角で俳優たちがアクションの練習をしている場所にやってくるのだった。
「ということで、今作品の特徴でもあるチャンバラアクションの練習にお邪魔してみました!」
そういう彼女の向こうでは、刀を鞘から抜く瞬間の練習を繰り返ししている俳優たちと練習を指導している一人の男。
「まずはアクション指導を担当する鬼王丸・征國(fa0750)さんのところです」
そしてカメラが向きを変えると殺陣指導をする鬼征が映し出される。
「‥‥細かい点まで追求する必要は無いが、見栄えよく演技するためには基本を抑えることも必要じゃぞ」
刀の抜き方を指導しながら行っている鬼征。そこにセレンがインタビューをするために近づいていく。
「本格的ですねぇ〜、やっぱりサムライアクションが見所なんですか?」
「ふむ、確かに力は入れておるからのう。映画での痛快アクションを楽しみにの」
「なるほどー。それで他には‥‥」
「わしのところには他に見せるようなものはないからのう。刀とか小道具と作っているところに行ってみたらどうかの?」
さらりと流して別の場所を教えて促す鬼征。
「えぇ? は、はい、それじゃあそちらに‥‥」
妙な迫力に押されて次の場所に移動するセレンたち、後ろから鬼征の声が響いているのが聞こえる。
「よいか、居合いのときは腕だけじゃなくて腰と肩も意識して刀を‥‥」
続いて登場したのは懐紙を口にくわえて刀の手入れをしている黒澤鉄平(fa0833)。
「へぇーいろいろな刀があるんですねぇ」
そこにレポーターのセレンが登場、黒鉄は顔を上げると刀を仕舞いこみ向き直るのだった。
「ジャパニーズソードはやっぱり綺麗ですね」
「ああ、今回はなんと言っても妖刀だからな」
「妖刀‥‥ですか。呪われた刀という感じですね。たしかになんだか妖しい魅力があります‥‥」
「ああ、日本刀独自の美しさを残しつつ禍々しさの滲み出るよう頑張ってみたよ‥‥っと気をつけろよ、触ってもいいが取り付かれるかもしれないからな」
にやっと笑って黒鉄がそういうと、刀の一本に手を伸ばそうとしていたセレンがびくっと手を止めておろおろ。
「ああ、そっちの刀は菊一文字、刃紋は小丁子で雷みたいな模様を‥‥」
1本1本刀を紹介する黒鉄にセレンはふんふんと頷きながら、どこかびくびくしながら聞いているのであった。
「さて、続いては特殊メイク担当の樹神(fa1099)さんのところにやってきました!」
「ああ、いらっしゃい。見てってくださいナ」
ひらひらと適当に手を振りながら軽く応えたのは怪しげな言葉遣いの胡散臭い男。
ちょうど本番のための衣装とメイクあわせをしているところらしい。
「ジャパン風の衣装とメイクなんかにも今回は注目らしいですね」
「そうなのヨ。そこのところもしっかり見てくれると嬉しいネ」
「特殊メイクも担当していらっしゃるとか?」
「そのとおりヨ。ほら、この耳とか尻尾なんかリアルでしょう? こういうのも手が込んでるのよネ〜」
そう言ってひょいとリアルな尻尾を取り出してにんまりと笑顔を浮かべたのにはさすがにセレンの表情も引きつっている。
しかし、妙な人だなと思われるのを楽しんでいる様子の樹神。
「ま、俺に任せるのは不安かもしれないけど、全力でしっかりやることには変わりないからネ」
ぽんぽんとメイク途中の俳優の肩をたたいて、そういいきる樹神であった。
「ここをこうすると‥‥ほれ、出来たで」
「わー、CGってすごいですねぇ」
CGの背景を合成する様子を見せてセレンを喜ばせているのは皐月 命(fa2411)、SFX担当である。
「鬼王丸はんのところで見たと思うけど、刀での斬り合いを重視させてもらったで」
「ふむふむ、それでは今回の映画のアクションでの見所はどこでしょうか?」
「例えば、ワイヤーアクションとCGによってスピード感のある映像になったと思うで」
命が操作するとディスプレイに映し出されるワイヤーアクション中の映像とそれが加工されていく様子。
「もちろんミュータント部隊の迫力あるアクション、派手なガンファイトも見所やでぇ!」
もう一度画面を捜査すると、兵士が乱射する銃弾をサムライが撃ち落しているシーンが映し出される。
「どうや、おもしろそうやろ?」
にかっと笑みを浮かべる命であった。
「今回の映画のイメージか‥‥『ニューヨーク壊滅』だな」
監督の椅子にどっかりと腰を下ろして敷島オルトロス(fa0780)は言う。
「閃光と衝撃に満ち溢れたアクション全開のノリで突き進もうと思ってる」
セレンがインタビューをしに来るとちょうどそこは撮影中。監督や脚本家、撮影担当のスタッフが同時に捕まった。
と、いままでセレンのインタビューに応えていたオルトロスはくるりと脚本家の方を向くと、再び話し合いを始める。
「ああ、このシーンなんだがここはもっとバーッ! と派手にだな‥‥」
「フム、サムライとの最初の遭遇シーンか。能力の紹介もあるわけだし、派手でも問題はなさそうであるな」
着物姿の厳つい禿頭のオヤジ、茶臼山・権六(fa1714)が脚本に注釈を加えながら応えると、
「そのシーンだったら問題ないと思いますよ。たしかCGの方で一般兵のシーンを作っていましたし」
そう付け加えたのは撮影監督の酉家 悠介(fa2112)。映像のチェックを行いながらカメラに指示を出している。
「ああ、そこはもっとダイナミックに行きたいから移動しながらで撮れるか? よし、それならその方向で」
するとそこに近づいてマイクを向けるセレン。
「あの、撮影担当として今回の映画に一言おねがいします!」
酉家はカメラのファインダーから顔をあげてセレンを見やると、ゆっくりと口を開く。
「『自己満足』の映画を作ってはいけないとよく言われるが、僕は作り手の満足の無い作品は面白く無いと思うね」
「満足ですか‥‥」
「面白いという評価はどんな作品でも、作り手の想いが感じられどれだけ共感できる人がいたかだと思う。俺はいち撮影スタッフに過ぎないが、撮っている時の俺の思いというのも感じ取ってもらえればと思うよ」
なんとも映画に対する強い思いが伝わる言葉であった。
「脚本担当として見所はどこですか?」
脚本家の権六にそう問いかけるセレン。すると権六はしばし瞑目してからきっぱりと応えた。
「王道な話だがな、最初はギクシャクしていたチームが、徐々にチームワークを見せていくところだな!」
そう言って眼を輝かせる権六は観客を楽しませようとする意志に溢れているようである。
「それでは最後に監督さん、この監督の見所は?」
「そりゃ勿論、ド派手なアクションシーンだな。期待してくれて構わねぇぜ」
普段以上に自信満々なオルトロスであった。
「スタッフの皆さんの熱意が感じられるような撮影現場でしたね。とても楽しい映画になるんじゃないかと思います♪」
そういうと映画の紹介映像が流れるのを背景にスタッフロールが。
「それでは、今日はこの辺で。続いての映画本編をお楽しみください〜」