洋ゲー『古のファラオ』中東・アフリカ

種類 ショートEX
担当 雪端為成
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 4.6万円
参加人数 6人
サポート 0人
期間 02/16〜02/22

●本文

 遺跡の中を進む探検家、手には肉厚な刃の山刀と周囲をぼんやりと照らすたいまつ。
 通路の行き止まりで、探検家は壁の文様を調べはじめる。
 しばらくして壁をがこっと押し込む探検家、すると地響きとともに壁が動き‥‥。

「‥‥わっ!!!」
「ぉわぎゃぁぁぁ〜!!!」
 画面を凝視していたのは若きプロデューサーのヨハン・トビアス。
 それを驚かしたのはそーっと後ろから忍び寄った姉のエリザだ。
「びびびびびびっくりさせないでくれよ、ねえさん!」
「そこまで驚くとは思わなかったんだが‥‥あ、お前のキャラ、ミイラにたこ殴りにされてるぞ」
「あんびりーばぼー!! ここまで来たのに〜!!」
 今日も今日とてヨハンの悲鳴が響き渡るのだった。

「で、いつものようにゲームのプロモーションだな?」
「‥‥うん、古代エジプト遺跡」
「結構ホラー?」
「うん、アクション系なんだけど、敵がリアルで怖かった」
「‥‥思い出してぷるぷるするな。‥‥で、どういう設定なんだ?」
「えーっと、探検隊が未発見の遺跡に迷い込んだら、過去に飛ばされちゃって‥‥」
「ふむ、現代に戻るために遺跡を探索して敵を倒したり‥‥か?」
「何で知ってるの?! ‥‥姉さん超能力者?」
「いや、よくあるようなストーリーだし。で、プロモムービーはどんなのが希望?」
「うーん、いくつか候補があるんだけどねぇ‥‥今回は低予算なんだ」
「じゃ、CGとかは無しか?」
「うん、探検隊が過去に飛ばされる前、そして過去に飛ばされた後。って感じの絵がほしいみたい」
「なかなか難しそうだなぁ……そういえばロケは?」
「ん、エジプトだけど?」
「‥‥私も行くからな♪」
「‥‥‥‥わかりましたー」
 がっくりと肩を落として携帯電話を取り上げるヨハンであった。

【古代エジプト遺跡探索アクションゲーム・出演者&裏方募集】

●ゲーム内容
 ・エジプトの遺跡探検隊が未発見の遺跡を探索したとき、過去に飛ばされてしまう。
 ・探検隊の面々は、過去のエジプトでさまざまな遺跡を探索しながら現代へと変える手段を探す。
 ・舞台は新王国時代。とはいっても時代考証はかなり適当。
 ・キャラクターは交代制、銃が撃てるとか泳ぎが得意とか解読が得意とか。

●プロモーションムービー
 ・まず探検隊が現代で遺跡の前でキャンプしている様子を。
 ・次に探検隊が過去に飛ばされて、エジプトの町をうろうろしている様子も。
 ・アクションシーンなどはゲームの画面を使う予定なので撮影予定なし。

●俳優
 ・探検隊のメンバーを6名ほど、他は俳優はエジプトの人間に扮することになる。
 ・探検隊のメンバーはそれぞれ個性や能力差が分かるような衣装を希望
 ・衣装の類は用意されてるし、撮影場所も融通が利く。
 ・そのほかアイディアがあれば、採用される可能性あり。
 ・ムービーの監督役なども同時募集、ただしスタッフの数は少ないので出演も視野に。
 ・なお、エジプトまでは自分で来てください。ただし、交通費分報酬は大目です。

 さて、どうする?

●今回の参加者

 fa0269 霧島 愛理(18歳・♀・一角獣)
 fa2392 ヴァルター(29歳・♂・竜)
 fa2580 相川 護(31歳・♂・鷹)
 fa2651 モハメド・アッバス(40歳・♂・狼)
 fa2653 レオナード・レオン(29歳・♂・獅子)
 fa2673 広田信昭(25歳・♂・蛇)

●リプレイ本文

 ぱちぱちとはぜる焚き火の炎。ゆらゆら揺れる明かりに照らし出される幾人かの影。
 焚き火を囲むようにして座る人影の中、一人の女性が大きく映し出されている。
 彼女は霧島 愛理(fa0269)演じるアイリ。調査団の一員である。
 しかし調査団の一員とはいえ彼女の容姿は、この調査団の中では少々異彩を放っていた。
 服装こそ他の調査員たちと同じく機能的に纏め上げられているものの、まず目を引くのはその若さである。
 大人びているものの年はおそらく20には達していないだろう。しかし、彼女は自信に満ち溢れれていた。
 学者の卵として今回の調査に参加した彼女は、自分の興味あることはとことん調査する根っからの研究者であった。
 彼らが今いる場所は、砂にうずもれた遺跡に程近い場所。そこに陣を築き野営をしているのである。
 星明りの中、すぐ近くに見える崩れ落ちた石柱や壁の破片。
 擦り切れて判別できなくなった古代の文字が刻まれた壁。
 折れてなお堂々とした風格を漂わせる巨大な柱。
 そして、砂にうずもれている数多くの像や、さまざまな工芸品のかけら。
 幾星霜の歳月を重ねて色あせてはいるものの、それらは昔の美しさを物語るようなものたちばかりであった。
 彼らが野営している場所も、おそらく太古の昔には遺跡の一部だったのだろう。
 ところどころに砂の中から遺跡の一部が顔を出しているのである。
 砂に半ばまで埋もれた柱に腰掛けて、アイリは手にした古びた資料を眺めながら隣に座っている男に話しかけた。
「明日は、いよいよ前人未踏の領域に足を踏み込むんですね!」
「‥‥そうだな」
 応えたのは壮年の男であった。この探検家を演じるのは相川 護(fa2580)。
 彼にはアイリと対照的にベテランの雰囲気が漂っていた。
 手に愛用の拳銃を持ち、ゆっくりと整備している様子が映しだされる。
 リボルバーの弾倉を振り出すと仔細に細部まで点検し、布で銃身を磨きあげる。
 そして、慎重な手つきで一つ一つ弾丸を弾倉に詰めていき、それを肩に下げたホルスターに戻す相川。
 その手つきはよどみなく、手馴れた印象を与える。それは彼が今まで経験してきたものを物語っているようだった。
 ひどく無口な印象を与える彼だったが、そんな彼にアイリはさらに話しかける。
「相川先生が発見したこの遺跡の地下部分はまだ誰も踏み込んだことが無いんですよね?」
「ああ、父からはそう聞いている」
「やっぱり先生‥‥護さんのお父様はすごいです。私、わくわくしてます! こういうの、ロマンですよ!」
「‥‥はしゃぎすぎるのもいいが、そんなじゃ明日もたないぞ。そろそろ君は休んだほうがいい」
「はーい‥‥それじゃ先に休ませてもらいますね」
 ごそごそとテントにもぐりこむアイリ。そして外で火を眺めながら呟く相川が大きく映し出される。
「謎‥‥か」
 そして画面はぐっと引いていき、やがて暗転。そしてナレーションが入る。

『彼ら調査隊は次の日、前人未到の遺跡で不思議なものを発見する』
 壁のヒエログリフを読み解いているアイリ。
「太陽に、パピルス‥‥これはかすれてるけど籠、こっちはスカラベ‥‥」
 壁面をなぞるように一文字一文字読んでいくアイリ。
 彼女は短いキュロットスカートに編み上げブーツ、多機能ベストを着けて壁の文字の解析を行っていた。
 その後ろでは、相川が中折れ帽をかぶり、周囲に油断なく視線を向けている様子が映し出される。
「ここに書かれていることによれば、さらに奥に進むためには‥‥この順番でタイルを押すとか‥‥」
 文字を頼りに、隠されていたタイルを押し込むと鈍い響きとともに通路が開く。
 地下へと長く続く通路の先は闇。しかし調査隊の面々は臆することなく、奥へ奥へと進んでいくのだった。
 何千年もの長きの間、誰一人として踏み込んだことの無い遺跡の最深部。
 そこに一行は踏み込んだのだった。
『‥‥導かれるようにして進んだ先には、不思議な光景が広がっていたのだった』
 その部屋は、かつて見たことも無いような広い部屋だった。
 本来ならば、墓の最深部に置かれるべきである石棺や副葬品も何もないその開けた一室には、不可解なものばかりがあった。
「こ、これはいったい‥‥」
 調査隊の一員が思わず声を上げる。
 それもそのはず、壁一面に刻まれたヒエログリフはぼんやりと燐光を放ち、部屋の中央には脈打つように光を放つ不思議な水晶球があったからである。
 蓮の花を模した杖の先端に支えられるようにして、その水晶球は置かれていた。
 永遠の若さを象徴する睡蓮の花、その上に置かれた不思議な水晶。
「なんて‥‥不思議で綺麗なのかしら」
「待て、アイリ! 不用意に触るなっ!」
 神秘的で幻想的なその光景に誘われるかのようにアイリが水晶球へと近づく。
 誘われるかのようにアイリが手を伸ばす、それをとっさにとめようと相川が声を上げるのだが‥‥一瞬遅かった。
 アイリが水晶球に手を触れた瞬間、眩い光が部屋を満たす。
 そしてその光が収まったときには、玄室の中には誰もいなくなっていた。
 水晶球に触れたアイリも、彼女を止めようと手を伸ばした相川も。
 他の何人かの調査隊のメンバーの姿も全て、幻であったのかのように消えていた。
 やがて、部屋の壁の燐光と水晶球の光の脈動はゆっくりと収まっていく。まるで役目を果たし、眠りにつくかのように。
 そしてついには玄室の扉がひとりでに閉まり‥‥暗転。
                                                    
 ばっと光景が広がる。
 そこは、見たことも無い街角であった。
 地面は舗装されておらず、土の道が続いていた。
 建物も白く日の光を照りかえす日干し煉瓦、その町並みがどこまでも続いている。
 シェンティとよばれる厚手の腰布をまとった人々の姿に、荷を運ぶ動物たちや商人たちの喧騒で満ちる町の一角。
 聞こえる言葉は、どこか耳慣れない言葉。
 呆然とする調査隊の面々を、逆にいぶかしげに見やる人々の視線。
 そこでカメラが大きく引くと町の全景が映し出される。
 日干し煉瓦で造られた町並みと遠くに見える青いナイルの流れ。
 再びカメラが街中をうつせば、豪邸で行われている宴とそこでリンネルで作られた薄いカラシリス姿の女性が談笑する姿。
 現代では眼にすることの無い独特の衣装と金などで飾られた豪華な装飾品。
 そう、そこはまさしく古代エジプトであった。
「ここは‥‥本物の古代エジプト? ‥‥信じられない!」
「そうみたいだな‥‥だけど、このままここで長居しているわけには行かないみたいだ」
 アイリの驚きの声に静かに相川が応える。
 彼の視線の先には、砂煙を上げてこちらに走ってくる一団が見えていた。

 ここでナレーションが入る。
「彼らは自分たちが古代エジプトにいることに気付いた。しかし、厄介ごとは向こうからやってくるのだった‥‥」

 調査隊の一行を見守るやじうまたちを蹴散らしながら、やってきたのは武装した一団であった。
『貴様たちはここで何をしている! どこの人間だっ!』
 古代エジプト語の声とその下の英語の字幕。
 先頭を走ってきたのは、豪奢な腰布をまとい、片手に槍をもった巨漢であった。
 後ろに十数人の兵士たち付き従えていることを見て判るようにおそらく兵隊たちの長のようである。
 彼らが現れたことで、人ごみが蜘蛛の子を散らすように道をあけた。
 おそらくそれだけ町の人間たちからは恐れられているのであろう。、
 この隊長を演じるのはレオナード・レオン(fa2653)だ。彼は古代エジプト語で怒鳴りつけてきた。
 自慢の肉体を存分に見せつけながら、槍を突きつけてさらに言い募るレオン。
『おかしな格好をしている奴らだな‥‥どこから来たのか行ってみろ!』
 褐色の肌の巨漢が、一番先頭にいたアイリに槍の穂先を突きつけて問いつめる。
 しかしいくら古代エジプト語を学んでいる学者とはいえ、レオン演じる隊長の剣幕には右往左往するのが精一杯。
 その姿にさらに不審を感じたのか、兵隊長は大きく叫んだ。
『ふむ‥‥怪しい奴等め! 捕らえろ!!』
「と、とにかく逃げましょう!!」
 流石に最後の言葉は分かったのか、慌てて人ごみに紛れるように走り出す調査隊の面々。
 屋台の果物や、動物たちの列を書き分け、人ごみを蹴散らしながら騒々しい追跡劇が始まるのであった。

 その姿を大きく映し出しながら、ナレーションが語る。
『トラブルに見舞われながらも調査隊たちはさまざまな妨害を乗り越えて、現代へ戻る方法を探すのであった‥‥』

「彼はなんて言ってるんだ?」
「その‥‥私たちを神の使いだって‥‥」
 相川の問いに、困ったように顔をしかめるアイリ。
 彼らの前には一人の男がいた。
 豪華な縫い取りのされたサッシュという飾り帯を締め、房飾りのついたカラシリスをこし布の上から巻きつけている。
 さらには首元を豪華なビーズで飾られたカラー、いわゆるエキゾチック・ビブを付けかつらに冠をしている様子から、かれがかなり高い身分の持ち主であることが容易に想像できた。
 これはモハメド・アッバス(fa2651)が演じる書記官の1人との交流のシーンである。
「それで、なんで俺たちにたのんでいるんだ?」
「‥‥娘さんが病気らしいの」
「‥‥あ、その病気だったら、あの薬草があれば‥‥」
 調査隊のメンバーの一人がたまたま治療法を知っていた事で、とある書記官の娘を助けることになった一行。
 こうして、過去での冒険が始まるのだった。
 がけを頑張って越える様子に、蠍が肩に乗っかって、硬直するアイリの様子。
 野生動物に襲われながらもなんとかその薬草を手に入れて、町へと戻る一行。 
「娘さんの病気はきっとこれで治るはずよっ」
 そういってアイリが差し出した薬草を受け取り、深々と頭をたれる身分の高そうな男。
 彼の娘を助けた事で、後ろ盾を得る一行。
 そして彼の口から驚くべき事実を聞くことになる。
『‥‥時の遺跡と呼ばれる不思議な遺跡があるらしい‥‥』
 聞けば、時を自由に操る水晶を神から授かったファラオがいたらしく、彼の死後その水晶はどこかの遺跡に隠されたという。
 こうして、調査団の一行は現代へと帰るための情報を手に入れることとなるのであった。

 そしてそのシーンはそのまま筆談で書記官からさまざまな情報を得て、それを元に探索をするシーンがゲーム映像と重なる。
 プレイヤー操るキャラクターが、画面内のキャラクターに話しかけると、ウィンドウが開き会話を行う。
 情報収集を行ったり、街中でのアイテムを集めたりすることが分かるように、ゲームの画面をいくつか示すと画面は再び実写のドラマ映像へと戻る。
 このとき街中でアイテムを探すアイリが露出の多い貫頭衣と腰布の衣装を身にまとっている姿が映し出されたりするのだった。

 再びナレーションが告げると場面が変わる
『彼らの前に立ちはだかる遺跡‥‥そこにたどり着くにはたくさんの障害がある』

『この場所には不思議な力があるという‥‥おそらく君たちが探しているものと関係があるだろう』
 書記官がそう告げながら、示したのはパピルスに描かれた地図の一角。
『君たちは、私の娘を助けてくれた恩人だ。君たちの力になれるなら、なんでも協力しよう』
 落ち着いた物腰は、威厳と風格を感じさせる。
 次には調査隊の面々がかくまわれているその書記官の邸宅、そこから出発していく彼らの姿が映し出される。
 そして、場面は転じて荒野の真ん中。対峙するのは調査隊と先の兵隊たちであった。
『わが主は、貴様たちのことを捕まえてこいとおっしゃっている! 今度こそは逃がさんぞっ!』
 レオン演じる隊長の声と共に、ゲームの画面へと切り替わる。
 そこでは、拳銃を持ったキャラクターが襲ってきた兵士たちから逃げ回りながら反撃していく様子であった。
 街中で行動していると、兵士に見つかってしまうばあいや、遺跡へと向かう途中に教われる場合。
 どうやらこの兵隊たちは要所要所で敵として登場するという様子が、その画面からは見て取れるのだった。
 そして再び場面は変わる。

 ナレーションが次に語るのは、遺跡の仲のシーンだった。
『遺跡の内部には、さらなる謎と危険な罠が待っていた‥‥』

 今度は遺跡に関わる様々なシーンであった。
 扉の前で、アイリがヒエログリフを眺めているシーンが映し出される。
「このパズルを解けば謎を解く鍵が‥‥」
 ヒエログリフを読み解き、様々なパズルを解いていくアイリ。
 三つの並んだ像の台座、そこに空いた穴に鍵を差し込んでいくアイリ。
 それにあわせる様にゲームでの謎解きシーンが映し出される。
 アイテムを使ってドアを開いたり、トラップを止めたりしている様子。
 キャラクターを切り替える事で、学者の娘ならば壁のヒエログリフが読め、また手先の器用な男ならば、鍵開けができるなど、様々なシーンが映し出される。
 いくつものアイテムを組み合わせる事で鍵が完成したり、ヒエログリフを解読することでどこに鍵を差せばいいのかが分かる扉などがいくつも紹介される。。
 こうしてアクション要素とパズル要素を織り交ぜたゲーム画面がいくつも表示されるのであった。
「こ、こんなのがあるなんて聞いてない〜!!!」
「文句言ってないで走れー!!」
 今度はアイリと相川が必死で走るシーン。
 二人の後ろからは、大量の殺人スカラベが黒い絨毯のように、通路を埋め尽くしながら襲い掛かってくる様子が。
 追いつかれれば、一瞬にして骨まで食い尽くされてしまうだろう。
 そうならないためにも、2人は必死で走り続けるのであった。
 さらに続いて映し出されたのは調査団の中で手伝いをしていた身の軽い少年が落とし穴のトラップを飛び越える様子。
 さらには、調査団一の力自慢である荷物運びの黒人青年が大きな岩を受け止めている様子などが映し出される。
 すると、再びそれらのシーンに合わせるようにゲーム画面へと切り替わるのだった。
 使用するキャラクターを切り替える事で、さまざまなことなったアクションができるようになることをここでも活用する。
 身が軽い少年キャラクターは落とし穴を飛び越えることが出来、耳がいい女性隊員はトラップが発動するタイミングが分かるようになる。
 時には転がる大岩のトラップから走って逃げたり、上から降りてくる天井のトラップに押しつぶされそうになりながら、必死で逃げている姿も映し出される。
 キャラクターを切り替える事でそれまでは突破できなかったトラップなどを解決することが出来るようになるということが示されているのだった。
                          
 そして一層重苦しい音楽と共にナレーションが告げる。
『最大の敵も立ちはだかる。それは遺跡に潜む闇の力‥‥』
                          
「ちっ、こんな奴らが本当に戦うことになるなんてな!」
 呟く相川が向けるリボルバーの銃口、その先には手を前に突き出してこちらへ向かってくる二匹のミイラの姿があった。
 全身を包帯で包み、ふらふらとした足取りでじわじわとこちらに近づいてくる。
 包帯の隙間から覗くのは干からびて黒ずんだ皮膚だ。そしてその眼の位置には唯落ち窪んだ二つの眼窩があるのみ。
 相川がなんども発砲するも、ミイラたちは体を揺らすだけであまり効いた様子がない。
 すでに死した亡者たちは、彼らの墓を荒らされた恨みを晴らそうと動き続けるのであった。
 堂々たる体躯の二つのミイラ。おそらくはさらに昔の指導者や高官、将軍や王のものなのだろう。
 特殊メイクによってリアルに描かれたミイラに扮するのはレオンとモハメドの2人。
 真に迫ったミイラの襲撃シーンにあわせてゲーム内での戦闘シーンが映し出される。
 ゲーム内でも、キャラクターはミイラと対峙していた。
 銃や松明、時には槍や剣をつかってミイラたちと戦うキャラクター。
 さらには、遺跡の奥に潜む様々なモンスターたちも映し出される。
 遺跡の守護者なのだろうか、石で形作られた人の形をした人形や、異形の化け物。
 人頭に獅子の体を持つスフィンクスや、巨大な蠍、ナイルに巣食う巨大なワニやジャッカルの大群など数多くのモンスターたちが示されていくのだった。
 それに対するのは、剣の腕に置いては並ぶものの無いアラブ系の隊員や、拳銃を扱うことのできる隊員の活躍しているゲームのシーンが映し出される。
 そして場面は三度変わる。

 重々しく告げるナレーション。
『そして、隠された陰謀‥‥』

『彼らには、よく働いてもらいました』
 高貴な衣装をまとった男の背中が映る。その近くに主に付き従うように群れるミイラたち。
 彼は王族しか付けることを許されないウラエウスという毒蛇の飾りのついた冠を被り、レオン演じる兵隊長に指示を出す。
 純金の腕輪に、サンダル。かしづく多くの女性と兵士たち。
 背中しか映し出されないものの、その姿にはどこか見覚えがあり‥‥。

 暗転。

『古代エジプト遺跡探索アクションゲーム −古のファラオ−』

 ばんっとゲームのタイトルが映し出される。
 様々なゲームのシーンの断片と共に、ドラマのワンシーンもつぎつぎと映し出される。
 こうしてCMは終わるのであった。