博士VSミュータントA南北アメリカ
種類 |
ショート
|
担当 |
雪端為成
|
芸能 |
2Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
難しい
|
報酬 |
4.2万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
02/19〜02/25
|
●本文
『マッドドクターVSミュータント 作られし者』
そんなタイトルが入った映画原案を食い入るように見つめている青年がひとり。
彼は若き映画プロデューサー、ヨハン・トビアス。
B級映画を好んでいる、というか彼の感性がぴったり来るのだろう。
ちなみにこのB級映画というのは面白さが一歩劣る、という意味ではない。
低予算・短期間撮影で作られた映画であるのでその内容を軽視することはないのである。
閑話休題。
「姉さん、見て見て! また良い原案を手に入れてきたよ♪」
「‥‥なんでお前はもっとこう芸術的なのとかに行かないんだ?」
「んー‥‥派手なほうがおもしろいじゃん」
そんな弟の言葉にがっくりと肩を落とすのは姉のエリザ・トビアス。
実は学生時代から二人で映画を作ってきたため二人とも俳優経験もあるトビアス姉弟。
しかし、その感性は微妙にすれ違っているようである。
「で、今回はどんな映画?」
「すっごい博士が敵!」
「‥‥敵側にもミュータント戦士とかが出てきたりする?」
「なんだよ姉さん〜、知ってるんなら聞かないでよ〜」
「ばか、それぐらい想像つくって」
「そうかなぁ? 斬新なアイディアだと思ったんだけど?」
「‥‥まぁ、お前のセンスはすごいと思うぞ」
「えー、そんなに褒めないでよ♪」
「褒めてないんだけどなぁ‥‥」
そんなこんなで映画作りが始まるのであった。
●映画『マッドドクターVSミュータント』製作スタッフ募集
・監督、脚本、美術、小道具、メイクなどスタッフ全般を募集します。
・映画の製作に伝わることになり、またメイキング番組に出演することになります。
●映画原案
研究室でひとりもくもくと研究する博士。
彼(彼女)には、目的があった。自分を捨てた組織に復讐をすることだ。
そして博士は自分の研究を使って最強の兵士たちを作り上げた。
さらには自らの体まで改造する博士。
最強の兵士たちを率いて自分の力を思い知らせるために。
組織とはミュータント部隊。ミュータント技術を作り上げたプロジェクトチームにこの博士は席を置いていたのだ。
研究者として華々しい活躍をしていた彼(彼女)は、ある日すべてを失った。
改造される兵士たちを物としか思わない危険思想のために、除籍されたのだ。
さらには持てる知識のために彼は逆に狙われるようになった。
彼(彼女)は追放され、果ては社会からも抹殺されてしまう。
博士は復讐を決意した。
主席研究員の一人であったため、ミュータント技術のノウハウは持っている。
そこで彼(彼女)なりの新たな能力を組み込んだミュータントを作り上げたのだ。
博士の復讐が始まったのだった。
●補足
アメリカ政府の秘密部隊、ミュータント部隊の活躍を描く映画です。
ミュータント部隊は、獣化能力(完全獣化)を持つ兵士で、さまざまな経歴を持っています。
(軍隊出身、不治の病を癒す代わりにミュータント化、戦闘力の高い犯罪者上がりなど)
獣化能力と現代兵器を使った戦闘を得意とし、特殊な能力を持っているものも少なくありません。
今回の敵は、ミュータント部隊を追われた博士の作ったネオミュータントです。
従来のミュータント兵士の能力に加えて、新たな能力を持っているという設定です。
またベースとなった人間は、博士の作ったクローンです。
博士の命令だけを聞くといった無機質で無感情な演技が求められるでしょう。
なおクローンの元になった人間が誰かは描かれませんので、誰かと同じ顔という設定にする必要はありません。
スタッフサイドに求められていることは、各キャラクターを設定することと、ストーリーを作ることです。
俳優サイドの参加者との相談も必要でしょう。
キャラクター数は、ミュータントサイドと博士サイド半々のそれぞれ5人。
シーンの数は5〜6で収めてください。
●メイキング番組について
なおストーリーの内容に加えて、インタビューがあります。
番組内でどんな発言がしたい、などのことがあれば明記しておくといいでしょう。
●リプレイ本文
『映画の舞台裏 −マッドドクターVSミュータント 作られし者−』
場所はいつものとある映画スタジオ。画面に現れたのはマイクを持った若い女性。
「こんばんわ、レポーターのセレン・シーモアです♪」
白衣に眼鏡。ど映画の内容に合わせた衣装なのだがあんまり似合ってないのが少々悲しい。
「今回紹介する映画は、ファンたち待望の新作。『マッドドクターVSミュータント』です」
眼鏡をくいっと上げてセレン。本人はのりのりだろうが‥‥やっぱり似合っていない。
「今回は敵にミュータントが登場するらしいですよ! でわでわ早速スタッフの方たちにお話を聞いてみましょう〜」
セレンは踵を返してスタジオの入口に向かう。しかしやっぱりタイトスカートに足を取られて転ぶのだった。
薄暗いスタジオをてくてく歩くセレン。おでこに小さなばんそうこが。
「まず初めは、ビジュアルデザイン担当の方にお話をうかがいに行きましょう」
画面下にはミュータントと呼ばれる獣化する戦士が戦っている映画のワンシーンが。
「ミュータントを初めとするリアルな戦闘シーンがこの映画の売りです。美術面は非常に大事なのですよー」
歩いていく左右には映画で使われた衣装や、特殊メイク用とおぼしきマスクなどが並ぶ。
「それでは、今回の作品の美術全般を担当した由里・東吾(fa2484)さんに話を聞いてみましょう」
「よろしく、由里です」
映画で使われた小道具や衣装が並ぶ中、椅子に座ってセレンを迎えたのは少々目つきの悪い若い男。
白髪に紅い瞳が目立つ容姿のその男は、静かにセレンのインタビューを受けるのであった。
「今回はキャラクターのビジュアルデザインで特に苦心したとのことですが、どのような点に苦労しましたか?」
「そうですね‥‥今回は、敵も味方も獣化するという設定が共通してるから、ぱっと見てどちらに与するミュータントかわかるように、というのを重視しました」
「なるほど‥‥具体的にはいったいどのように?」
「たとえば、ミュータント側には共通の衣装なんかですね」
そういって広げて見せるのは実際の衣装を広げてみせる。
「対するネオミュータント、敵側では体に実験体Noの刺青を入れたことでしょうね」
「敵と味方それぞれに違った特徴づけをすることで、判りやすくしたんですね〜」
へーと頷きながら、衣装を手に取るセレン。彼女に対して東吾は眼鏡を押し上げると口の端を笑みの形につりあげて言った。
「あと、一番大事なのは役の個性なので、キャラの性格に沿った衣装や小物を用意したところが一番大事なところですね」
「なるほど、映画では細かなデザインまで気になってしまいますね! どうもありがとうございました♪」
そういって立ち去ろうとするセレンの白衣の袖に東吾は映画でミュータント部隊がつけていたのと同じエンブレムをつけてあげるのだった。
にこにこ笑顔でエンブレムを揺らしながら進むセレン。次に向かう場所はどうやら大きなスタジオの様である。
「‥‥ここはどうやら‥‥研究室のセットのようですね!」
ぱっと扉を開くと、そのスタジオには研究室のセットが組まれていた。
そしてそこでセレンを向かえたのは二人。大道具担当の紺屋明後日(fa0521)とADのタケシ本郷(fa1790)である。
「大道具のコンや、今回は、セット製作やらせてもらったで」
「タケシだ。大道具に関してはいろいろと手伝いをやらせてもらった」
「タケシはんにはいろいろと手伝ってもろうたわ。会議じゃブルーベリージュースなんぞも配っとったしな」
2人がいるところは、怪しげな研究室であった。
いかにもな巨大カプセルが立ち並び、コンピューターやら謎の実験器具やらが所狭しと並べられていた。
「すごいですねぇ‥‥いかにもマッドドクターが作った研究室って感じですね」
「苦労したで〜、低予算やから他の映画で使ったセットのあまりもんを拾うて来たりしてなぁ」
からからと笑いながら言う紺屋。
「最近こんなのばっかりやっとるんだがな。こことは別にミュータントの司令室も作ったで」
「へー、結構大規模なセットなんですねぇ」
「まぁ、怪しい博士の研究室にはなっとると思うわ‥‥ただ戦闘では壊すらしいで。ま、よう見てってや」
「こんなのを壊すなんてもったいないですねぇ‥‥」
とセレンが周りを見回しながら言うと、言葉を継いだのはADのタケシであった。
「これから自分も加わってセットの一部を壊すのだが、壊れた研究室のシーンをとるためには必要なんだ」
「なるほどぉ、映画を作るのも大変なんですねぇ。あらら、泣いてるスタッフの方もいますね」
見れば大道具やスタッフ担当のスタッフたちの中には残念そうに目を潤ませているものもいた。
「‥‥そ、それではさまざまな種類のスタッフを補佐してきたADの本郷さん! この映画に寄せてなにかどうぞ♪」
あわててマイクを向けるセレン。それに対してタケシが応える。
「皆は頭を使い、全身全霊で振り絞った。自分のやった事がそのささやかな手助けにでもなれていれば、それに勝るものはない‥‥みな、泣くな」
「スタッフも大変ですね‥‥」
うんうんと頷くセレン。いろいろと思い当たることがあるのだろう。
そしてなんだか妙に湿っぽいセットからそさくさとセレンは退散するのであった。
「さて、お次は特殊メイク担当の‥‥」
「‥‥特殊メイク担当の伊能鱗ネでっす、よろしくぅ〜」
「うひゃぁ!」
突然背後からにょろっと脇から顔を出したのは、奇抜な服装をした伊能 鱗ネ(fa1767)であった。
片方の肩から先がばっさり取り外された左右非対称のスーツや眼帯などを身に着けている。
「あ、ああ、あのよよ、よろしくお願いしますぅ」
「こちらこそよろしくねぇ〜」
にまっと口を吊り上げて微笑む伊能。インタビューが始まった。
「それでは質問ですが、どんなメイクが見所ですか?」
「そうねぇ、由里さんとも話し合って決めたんだけど、ネオミュータントのメイクね」
「敵側のミュータントですね。どんなメイクなんですか?」
「無感情ってことだからねぇ、機械的な印象に見えるように明度を落としたメイクにしてるのよ」
「へー、そういう風にすると無感情に見えるんですねぇ」
「そうよー、あとは獣化したままのパーツなんかが特殊メイクの見せ所。あとは桐沢カナの役は‥‥ってこれはネタばれね」
にぃっと目を細めて微笑む伊能であった。
「そうそう、博士には眼光鋭く、傍若無人に見えるようにメイクしたのよ」
「ほうほう、そんなところまで表現できるんですねぇ」
「それに、ダミーを使ってバラバラになった死体なんかもこんかいは表現できたし‥‥」
ずりずりと奥からダミーを引っ張ってこようとする伊能。それをさえぎってセレンが言う。
「あ、あわわわ。話はつきませんがこの辺で次に行きますね〜。伊能さんありがとうございました〜」
そしてセレンは最後のインタビューへと向かうのだった。
「さて、最後は撮影監督と監督にお話を伺いたいと思っています!」
ちょうどそういってスタジオに入り込むと、作戦室のセットで撮影の最中だった。
遠くから聞こえる、アクションの声と俳優たちの動き。そんな様子をしばらくうつした後インタビューへと移り変わるのだった。
「それでは、まず最初に撮影監督の酉家 悠介(fa2112)さんにお話を伺いましょう! よろしくお願いしますね♪」
「ああ、よろしく頼む」
「では、単刀直入に! この映画にかけるこだわりを教えてもらいたいのですが」
「‥‥こだわりというほどの物じゃないが、カメラワークに関しては細かく打ち合わせてコンセンサスをとった」
「こんせんさす‥‥ですか」
「ああ、納得がいくまで話し合った後の合意‥‥というところかな。役者の映し方ひとつ取っても、その役者を視聴者にどう見せたいかによって、アップから映したり、遠くからズーム、色々考えられる」
「ほうほう‥‥」
「今回の仕事では、監督や演出のこの作品への意図や想いというものがストレートに、間違いなく伝わるようにするために、結構色々言ったな。その辺をこだわりと言えば、こだわりだ」
「この映画にかける熱意が判る気がしますね‥‥それでは、続いて監督のお話を聞いてみましょう。メイヤー・E・霧島(fa2557)さん、よろしいですか?」
「ええ、いいわよ」
応えたのはまだ30歳になる前といった外見の女性、監督の霧島である。
彼女も折りたたみ椅子に腰掛けて、インタビューを受けているのであった。
「監督はこの映画ではスタッフとの連携を大切にしたとか?」
「そうね、スタッフとの情報交換・連携をしっかりとって、ミスの無いようやってきたわ」
「スタッフの皆さんも一致団結して仕事していますし、よく纏まっているように思いましたよー、それで最後に今回の映画の見所は?」
「派手なアクションシーンに加え、ミュータント、ネオM達の人間的な葛藤や気持ちの動きも見所ね。完成を楽しみにしていてね♪」
「はい、とても楽しみです!」
そういって、カメラを振り返るセレン。
「美術や大道具にメイク、細かいところまで目が離せない映画になりそうですね! それでは引き続き映画本編をお楽しみください!」
最後は、スタッフ一同と一緒に手を振っての幕切れ。
メイキングは終わり、映画本編の始まりへと繋がって行くのであった。