捨てられた村南北アメリカ

種類 ショート
担当 雪端為成
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 やや難
報酬 4.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/10〜04/16

●本文

●依頼内容

 ・北部アメリカ、○○州××町にて、ナイトウォーカーを確認。
 ・該当の町は、十数年前に廃棄されている。(人口減によるものである)
 ・ナイトウォーカーが確認された状況を以下に述べる。

 先月某日、廃墟と化している捨てられた村を取材するために、地方局のテレビクルーが町に進入。
 危険は確認されず、通常の番組として予定されていた。
 クルーは3名、カメラクルーとディレクター、そしてキャスターである。
 クルーたちがその町に踏み入ったところナイトウォーカー1体の襲撃があった。
 キャスターの女性は助かったが、残り二名は襲撃によって死亡。
 おそらくその町に残され野生化したなんらかの動物を感染していると思われる。

●依頼目的
 ・確認されたナイトウォーカーを発見し、撃破すること。

●捕捉
 ・移動は近隣までWEAが行うがアメリカ国内までは自分で来てもらう。
 ・武器・道具の類は自分で用意してもらいたい。
 ・消費したものの料金は別会計にしないが、そのかわり報酬は大目。

●今回の参加者

 fa0203 ミカエラ・バラン・瀬田(35歳・♀・蝙蝠)
 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0614 Loland=Urga(39歳・♂・熊)
 fa0757 グリード(24歳・♂・熊)
 fa1522 ゼクスト・リヴァン(17歳・♂・狼)
 fa1797 小塚透也(19歳・♂・鷹)
 fa2859 ダンディ・レオン(37歳・♂・獅子)
 fa3392 各務 神無(18歳・♀・狼)

●リプレイ本文

●出発前夜
「まだ話せる状況じゃないって話だ。ただ、情報と地図は手に入ったぞ」
 地図とプリントアウトを手にして、待っていた面々に言ったのは小塚透也(fa1797)。
 場所はとある病院。そこには生き残りであったアナウンサーが収容されていた。
「そいつは残念だな。まあ、手がかりが手に入っただけでも良しとするか」
 椅子から立ち上がり紅いジャケットを羽織るゼクスト・リヴァン(fa1522)。
「ちっ、美味しい思いをさせてもらおうと思ったのにな。で、何かわかったか?」
 熊のマスクをかぶった巨漢はグリード(fa0757)、ひょいとトーヤの手からプリントを取り上げると目を落とす。
「ああ。どうやら動物は‥‥犬らしい」
 トーヤが言う。そして彼らは出発を待っている仲間たちの元へと歩いていくのだった。

●村にて
 2台の車はゆっくりと速度を落とすと朽ち果てた村の入口で動きを止めた。車から降りてくる8人の男女。
 様々な装備に身を包んだ彼らはWWAから依頼を受け、宿敵ナイトウォーカーを狩るために集められたのである。
「‥‥さて、いよいよじゃの」
 高まる緊張感に天音(fa0204)はひっそりと呟いた。
 WEAから受けられた支援は移動手段の貸与と銃弾の補充のみ。ここから先は各々が自己の実力のみが頼りであった。

「体裁ヲ取り繕ウ仕事でモありマセんワね?」
 ミカエラ・バラン・瀬田(fa0203)がそういって一同を見回すと皆が一様に頷く。
 そして各人はそれぞれ集中してその本当の姿を現していくのだった。
 ばさっと言う風を打つ音と共に翼を広げるミカ。漆黒の皮翼をぐっと伸ばすとばさりと羽ばたく。
 だんと地を蹴り大きな翼で空に舞い上がったのは天音。巨大な鷹の頭で下界を睥睨する。
 全身を漆黒の毛皮に包まれた熊はLoland=Urga(fa0614)。器用にリボルバーを装填しながら周囲を見回す。
 器用にタバコを咥えている巨大な熊はグリード。片手には7つの枝を持つ刃を持ち、もう一方の手には拳銃が。
 銀の毛並みの狼はゼクスト。ぐいぐい念入りに準備体操をして足をほぐしている。
 青みを帯びた銀灰色の翼を広げているのはトーヤ。拳銃に銃弾を装填し、腰の後ろにはナイフを収めている。
 巨大な獅子はダンディ・レオン(fa2859)だ。スーツ姿に右腕の金属製の篭手が異彩を放っていた。
 そして優美な毛並みの狼と化したのは各務 神無(fa3392)。コートを風になびかせながら悠然と立っている。
 いよいよ狩りの始まりであった。

「それデワ、お借リシますワ」
 ゼクストから借りたトランシーバーを装着するとミカは翼を広げて空に舞い上がった。
「では、参りましょう‥‥皆さんに月の恩寵があらんことを」
 神無は狼の顔でにっこりと微笑むと、ミカエルを追ってとレオンと共に走り出す。

「それじゃ、まず俺が先行するから」
 ばさばさと翼を広げて飛び上がるトーヤとそれを追うゼクスト、グリード。
「俺は敵討ちだの宿敵だのには興味は無ぇが‥‥暴れさせてもらえればそれでいい。ま、探すのは任せたぜ」
 グリードはまだ見ぬ強敵との遭遇に棟を躍らせるのだった。

「空からの援護は頼む。さあ、張り切っていこうぜ!」
「大船にのったつもりで任せるのじゃ」
 ランドの言葉に天音は答え、2人もまた別の方向へと向かっていくのだった。

●遭遇
「とっととかかってきて欲しいぜ」
 強化された嗅覚によって生物を探していたランドはそう呟いた。上空には天音、彼女も周囲を旋回しながら敵の姿を探している。
 ランドが次に進んでいったのは扉の朽ちた商店の廃墟であったのだが‥‥。
「‥‥なんか居るな」
 ランドの鼻が何かの痕跡をとらえたその時、警告の叫びが。
「ランド! 上じゃ!!」
 二階の窓を突き破ってランドの上に飛び掛ってきたのは巨大な影。
 転がって回避したランドのその目の前に一体のナイトウォーカーが姿を現した!

 ダーン! ‥‥遠くから響く銃声を聞きつけたのはミカだった。
「今ノ銃声は、向こうカらですワ!」
 ばさっと空中で方向を変えると、一直線に音の元へと向かうミカ。
 レオンは咆哮を上げて応え、神無は卓越した脚力を強化して廃墟を向かうのだった。

 ランドの眼前に躍り出た敵のシルエットは犬らしかったが、サイズは一回り大きくなり大型の猛獣ほどであった。
 全身を強固な外骨格に包まれたそのナイトウォーカーは大顎を広げて眼前のランドに飛び掛る。
 サイズに似合わぬすばやい動きに既にリボルバーの弾丸はつき、絶体絶命と思われたその時!
「さあ、罠に掛かったのはどちらだろうて!」
 一回り大きく筋肉が盛り上がり、その大顎をがっしりと受け止めるランド。
 その瞬間、高空から急降下してきた天音の二刀流に構えた特殊警棒がナイトウォーカーの胴体を打ち据えた。
 反撃とばかりにNWが振り回した足の一本を天音が特殊警棒でがっちりと受け止める。
 ぎりぎりと力比べになったその瞬間、空中から飛び降りて来たのはミカ。
「蝙蝠族って、先天的に射撃能力が高いンデスってヨ? なら、この急降下するわタシの爪は、どうかシラね!」
 刃のような爪がその体甲に傷をつけ、そのままミカはしがみついた。
 そして同時に疾風のように飛び込んできた神無が強烈な蹴りを足の一本に叩き込む。
「迅速さが肝要ですわ! 一気に行きましょう!」
 神無の声が響くと、ミカはナイトウォーカーの胸元に手を伸ばして吸触精気を発動する!
「コアの場所は‥‥頭部じゃ!」
「おぅ! 逃がさねぇから任せろ!」
 天音に応えてランドが吼えるのだった。

 後もう少しで戦場にたどり着けるレオン。
 彼の後ろからは合流するために急行してきたゼクスト、トーヤ、グリードの三人が。
 しかしレオンはなにかを感じ取って思わずその身を固めた!
 その瞬間、横合いの廃墟の壁を突き破ってもう一体のナイトウォーカーが突進!
 体当たりの直撃を受けるがその丈夫な毛皮が衝撃を吸収して、何とか受身をとるレオン。
 しかし隙ありとばかりに大顎を広げ襲い掛かろうとしたナイトウォーカーに雷光が直撃する。
「俺たちも忘れるなよっ!」
 破雷光撃を放ったのはトーヤ、さらに上空から銃弾の雨を牽制するように降らせる!
 そこに脚力を強化したゼクストが一足飛びに間合いを詰めて、地面に両手をついての低空の両足回し蹴りで敵の足を一撃!
 そして追いついたグリードが逆手に握った七支刀でナイトウォーカーの足の一本とがっきと組み合うとそのまま左の大口径リボルバーで零距離射撃!
 爆音と共にナイトウォーカーの足の一本が吹き飛ばされて、敵は苦悶の咆哮を上げるのだった。

●決着
 4対1とはいえ、連携に優れる獣人たちの猛攻に流石のナイトウォーカーも徐々に劣勢にたたされていく。
 しかし一瞬たりとも気を抜けない二つの戦い。
 最初に決着へと転がったのはミカ、天音、ランド、神無の4人の戦いであった。
「逃がしワしませンヨ!」
 ミカはナイトウォーカーの体に爪を突き立てて吸触精気を発動、じわじわと効いてきたのか動きが鈍くなったその時!
「覚悟!」
 神無は強い踏み込みでナイトウォーカーの足を踏みつけると、なんとそこを足場にして胴体に横から強烈な蹴り。
 そして突き立った蹴り足をさらに足場にして飛び上がると、上からの強烈なかかと落としを胴体に見舞うのだった。
 連続攻撃によってぐらりと揺らめくナイトウォーカー。
 そしてランドはその大顎をなんと片手で捕まえたまま、至近距離からリボルバーに残った最後の一発をコアに見舞う!
 びしりと細かいヒビがはいるコア。そこにとどめの一撃が。
「これで終りじゃ!」
 相手の隙を突いて、たたきつけた左の警棒。コアに直撃したその警棒のさらに上からもう一方の警棒をたたきつけると、やっとコアが粉みじんに砕け散るのだった。

 そしてもう一方の戦いも決着へと向かっていた。
「そんな攻撃あたるかよっ!」
 足の一撃をかわして飛び上がったゼクストは強烈な回し蹴りをナイトウォーカーの頭部に叩き込む。
 するとその衝撃でナイトウォーカーはぐらりとよろめく。
「ゆくぞっ!」
 戦線に復帰したレオンが、その爪を使って足を切り裂く。
 それにあわせるようにして、足の一本をもぎ取ったグリードは相手の体をがっしりとベアハッグ。
「これでも喰らいなっ!!」
 そしてそのまま強力な牙を深々とその体に食い込ませるのだった。
 牙から逃れようとその体をくねらせて暴れるナイトウォーカーだったのだが、その眼前にはトーヤが。
「逃がさないぜっ!」
 悠然と翼を広げて空を舞いながら、拳銃で頭部にあるコアに弾丸を撃ち込んでいく。
 そのうち二発が直撃、ヒビがびっしりと入るコアだったが、まだナイトウォーカーは倒れなかった。
 そしてついにその時。
「いまだレオン!」
 ゼクストが無事な足の一本の間接に強烈なハイキックを叩き込むと、がくりとナイトウォーカーはバランスを崩す。
 それにあわせてグリードがその牙で引きずり倒すとナイトウォーカーは頭部をこするように地を這う!
 そして頭部の前に躍り出たのはレオン。その右手にはブラストナックル!
「とどめであるっ!」
 爆音を上げて吼え猛る金属製の拳は破壊の予兆にその身を震わせる。
 そして大きく振りかぶった拳はコアに直撃すると同時に爆発し、コアをこなごなに吹き飛ばすのだった。