土星人襲来!!南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
雪端為成
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/25〜05/31
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●本文
「‥‥ヨハン、土星って生き物いるのか? 確かガス型の惑星って‥‥」
「ほら、宇宙人って不思議だから♪」
若きプロデューサー、ヨハン・トビアスは新作の脚本を手に満面の笑みである。
それに対して、姉のエリザは脚本片手に渋い顔であった。
「まぁ、SFだから何でもいいけどねぇ‥‥流石にタコ型の宇宙人は古いんじゃ?」
デザイン画を取り上げるエリザ。するとそこには、いかにもなタコっぽい宇宙人の絵が。
どでかい頭の下からにょきにょき伸びた触手の一本にはちゃんと怪しげな光線銃まで握っている。
「んー、こういうデザインも良いと思うけどなぁ? キャラクターグッズとか売れそうだし」
「いや、それは多分無いぞ‥‥キモかわいいじゃなくて、気持ち悪いだけだし」
ともかく、どうやら今回の映画は怪しげな宇宙人が出るようであるが‥‥。
●新作SF映画「土星人襲来!!」出演者募集。
●ストーリー
・ある日地球に土星人襲来。
・怪しげなくせに高度な科学力に人間は太刀打ちできずパニック発生。
・逃げ惑う人間、だけど意外な弱点を発見。
・宇宙人撃退。
●注意点
・宇宙人の弱点については奇想天外な弱点を考えてください。
(例:塩で溶ける。猫見ると逃げる。酢醤油で美味しい酒の肴に)
・シーンの中心はパニックシーンです。逃げ惑ったり戦ったりすることになるでしょう。
・出演者の中で解決策を思いつく担当を決めておいてください。
・宇宙人の外見は、タコっぽい宇宙人で、これは変更できません。
・その他、さまざまな細かいアイディアは採用される可能性があります。
●リプレイ本文
●プロローグ
アメリカ合衆国のとある州。視界に動く影は何もないその無人の平原に、彼らはやってきたのだった。
銀色に輝くレトロな円盤。そのUFOが次々にその平原に降り立つ。
いかなる科学力の産物か、風どころか音すらも立てず三本の足で着地するUFOの大群。
そして、一機のUFOから一匹の生物が降りてくる。
ぬめっとしている緑色の肌、肥大化した頭部、そして確かに知性を感じさせる目。
タコのように太く自在に動く足を何本も生やした宇宙人がついに地上に降り立ったのである。
そしてその上空にはさらに数多くのUFOたちが控えていたのだった。
‥‥こうして地球は最大の危機を迎えるのだった!!
『土星人襲来!!』
●それぞれの地球侵略
「んー‥‥まとまらないなぁ」
ノートパソコンの前で唸りながら執筆中なのは本人役で出演の観月紫苑(fa3569)。
そこにつけっぱなしのテレビからとあるニュースが聞こえてきた。
『‥‥未知の飛行物体が全世界で観測され、被害が‥‥研究機関は彼らが土星人であるとの見解を‥‥』
「えらくリアルなドラマだねえ? これを間に受けて全米が大混乱〜みたいな」
昔、火星人襲来というラジオドラマが流された折に、本気だと勘違いしてパニックが起こったのである。
なので今回のことも似たようなものだろうと、ミヅキはまったく本気にしていなかった。
しかし、今回は不幸にも彼女の近くにも彼らはやってきていたのだ。
次の瞬間、轟音と共に吹き飛ぶ壁。
「きゃっ!? 何が起こったの? ‥‥‥!!!」
破壊された壁の向こうには、おもちゃのような光線銃を構えた緑色のタコが。
『‥‥土星人は緑色で多数の触手を持ち‥‥一見、タコのような外見を‥』
破壊をまぬがれたTVの音声が遠くで聞こえる中、ミヅキと土星人は対峙する。
じりじりと近寄る土星人、するとミヅキはかくんと座り込むとなんと感動したかのように笑みを浮かべて呟いた。
「ああ、君たちを主人公にした話書きたかったなぁ‥‥」
諦めと憧れの入り混じった言葉を呟くミヅキ、しかしなんと緑のタコは突然真っ赤に変色すると息絶えたのであった。
「‥‥なに??」
取りあえず彼女は、土星人の死体を引きずって外に飛び出していったのだった。
狭い路地裏に響く女性の足音。
彼女は絶体絶命の危機から逃げるために、必死で走っていた。しかしなんと行く手は行き止まり。
くるりと振り返り絶望の表情を浮かべるのは凜音(fa0769)演じるアネットである。
彼女はモデルの撮影の帰り、買い物の途中で土星人たちの襲撃にあったのだ。
壁に背を向けてカバンを振りまわすアネット、するとそのカバンの中から彼女が載っている雑誌が零れ落ちる。
地味な服装にめがねで髪をひっ詰めている今のアネットと違い、雑誌の彼女は豪奢な衣装で柔らかな笑みを浮かべていた。
たまたま雑誌が風に煽られてめくれた瞬間、なぜか追いすがってきていた土星人たちは真っ赤になって倒れるのであった。
「‥‥た、助かったの‥‥かしら?」
そう呟くと彼女は、果敢にも買い物袋の中からトマトなんかを投擲武器として手に抱えて、再び逃げ道を探して歩き始めるのであった。
●反撃の糸口?
「なんやて? 助かった人たちがおるやて?」
街は混乱していたが、中にはタコごときには屈しないという強い意志の元に集まった者たちもいたのである。
「うん、2人とも女の人なんだけどね。とりあえずつれてくるねお兄ちゃん!」
果敢に武器に身を包んだ筋骨たくましい男は狗杜 七生(fa3777)演じる反撃部隊のボス。
そして、2人の女性を連れてきたのは彼の妹であるりんねである。演じるのはまだ幼さの残る六道 凛音(fa0919)だ。
彼らが潜んでいるのはとある公園の地下のシェルター。難を逃れた人々が、とりあえずの避難場所としているのである。
「つれてきたよ〜」
能天気な雰囲気のりんねにつれられてきたのは、アネットとミヅキ。彼女たちに七生が助かった時のことを聞くのだった。
「あ、はい‥‥あの、この雑誌を見た土星人が急に真っ赤になって‥‥」
「いや、私の方は、何もしてないのにタコが真っ赤になって倒れたぞ?」
「本当に何もせぇへんかったのか? なんや言葉を言うたとか」
七生がミヅキに問いかけるとミヅキは首をひねって言う。
「んー‥‥いや、土星人が登場する本を書きたかったなぁ、って言ったぐらいかな‥‥」
突然、ぼーっとしていたりんねが兄の袖を引く。
「ねえお兄ちゃん、アネットさんもミヅキさんも美人だよねぇー。私も悪くは無いと思うけど」
どうやら2人に見とれていたようである。
「この非常時に何いってるんや‥‥ん? ‥‥なぁ、もしかしてタコは美人に弱いんちゃうかなぁ?」
こうして次なる作戦が開始されたのであった!
●美人? 美少女? 反撃開始!
シェルターの片隅、そこにはなんと一匹だけ生きたまま捕らえられた土星人が閉じ込めてあった。
武器を失った土星人は、防弾ガラスで仕切られたスペースの向こうにいる。
「よーし、お兄ちゃん! 私がその説を実証してみせるよ!」
りんねはそういうと、ガラスの前でポーズをとった。
年相応の細い体に、似合わないようなくねり方、髪の毛をこれ見よがしに書き上げるとウィンクのおまけつき。
さらには投げキッスまで飛ばしてみたのである‥‥というか、これが美女のイメージだというのに疑問を覚えるが。
すると何事かと見ていた土星人はぷいっと顔を背けた。しかもなんとなくあざ笑っているかのように見える。
タコ口をへの字にしかめ、視線は下。首をぷるぷると横に振ると、器用に触手の手でやれやれと肩を竦める。
‥‥こんなところで、世界初の異星間コミュニケーションが達成されたのだが、偉業をなした少女はそれをストレートに受け取ったようだ。
つまり、おもいっきり馬鹿にされたと。
「‥‥バカー! このバカ兄ーッ! ぜんっぜん効かないじゃない」
振り返ると照れのためか真っ赤になったりんね(地球発宇宙人に馬鹿にされた少女)は兄をびしっと指差した。
「んー、愛嬌が足りんと違うか?」
「可愛さが足りない? ふーん、そういう事言うかなぁ!」
ぎりぎりと兄の腕をつねるりんね、その様子を見て思わず笑みを浮かべたアネットとミヅキなのだが‥‥
ぼしゅっとその瞬間にタコは真っ赤に染まると倒れるのであった。
「‥‥そうや! 笑顔が足りんかったのか!!」
ぽんと手を打つ七生。こうして反撃作戦は開始された。
●たこたこ殲滅大作戦♪
「なるほど、土星人は美女の笑顔に弱いのか‥‥まったくふざけた生物だな」
話を聞いてそういったのはジャーナリストのダン・オニール役、鬼道 幻妖斎(fa2903)だ。
「それでやな、大量のチラシや映像で笑顔を流したいや」
「チラシならうってつけの場所がある。ウチの会社で俺が」
彼が勤めるのは新聞社であり、そこでなら大量のチラシの印刷が可能であったのだ。
「しっかし、奴らは男ばっかりなのかねぇ? 美女の笑顔に弱いなんてな‥‥」
もっともな感想である。
「あら、あなた何してるの?」
アネットは避難所内でなにやら料理中の少年を発見した。
イタリア系の少年はウィルフレッド・セラヴィ。演じるのはヨシュア・ルーン(fa3577)だ。
彼の手には、フォークとナイフ。皿の上には輪切りにされた赤色の何かにオリーブオイルがかかっている。
「タコが落ちてたから料理したんだ!」
どう見ても緑色のヤツはタコじゃないのだが、しっかり料理は出来ている。
「‥‥ねえ、それって土星人」
恐る恐るアネットが問えば、セラヴィはきょとんとする。
しばらくセラヴィは皿をじーっと見たあとに一言。
「‥‥土星人って食べられるものだっけ? まぁいいや、いただきまーす」
アネットが止める暇も無く、ぱくっと土星人の足をかじるセラヴィ。するとセラヴィはぷるぷると小刻みに震え‥‥。
「うーまーいーぞーーー!!」
かっと口から七色の光線でも出そうな感想である。
そしてともかく、反撃は始まった!
「ネタになるけど‥‥い、いいのかなあ、私なんかで」
照れながらスタジオで撮影されているのはミヅキ。
「これで少しでも多くの人が助かればいいのですけど‥‥」
アネットは静かな笑みをたたえてカメラの前に。
「ねぇねぇ、聞いた? 私の顔写真でもタコ星人が撃退できたって! め、面目が保てたよ〜」
ダンがばら撒いた写真の報告を受けてはしゃぐのは、りんね。
「それじゃ、撮るでー。全員笑顔やでー!」
カメラを動かすのは七生、彼女たちの笑顔は街角の巨大な街頭テレビに映し出される!
するとそこで集合して、生き残りを探していたたくさんの土星人たちがいっせいに倒れていくのだった。
「‥‥うまいのになぁ、なんで誰も食べないんだろう?」
そして地球から土星人が撤退したために、めずらしいグルメを食べることが出来た少年がここに1人だけ。
こうして世界は平和になったのであった。