『SURVIVE』 �Uアジア・オセアニア

種類 ショートEX
担当 雪端為成
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 2.4万円
参加人数 12人
サポート 2人
期間 09/02〜09/06

●本文

 人の強さを測るのはなんだ。
 何枚の瓦を割れるか? どれだけ重いものを持てるか?
 ‥‥そんなものでは人の強さは測れない。

 一番強いのは、最後まで生き残った奴、最後まで立っていた奴だ。

 『生き残れ』という単純なルールの新進気鋭の格闘イベント、それが『SURVIVE』である。

 参加資格は無く、ルールも最低限。
 目つきや金的など急所攻撃の禁止と武器使用の禁止である。
 試合に参加する双方の合意が得られれば、それがルールとなる。
 試合の判定も単純、残ったほうが勝ち。
 どこで試合を止めるかすらも双方の合意の下に決まる。
 意識を失ったら? ギブアップあり? ドクターストップ?
 よほどの危険行為でない限り、ほとんどのことは許される。
 試合は一般的なリングで行われ、放送はされないライブイベントである。
 参加する選手も、プロから素人までなんでもあり。
 ケンカが強いただの不良だって参加することができる。
 ただ自分が強いと信じるものだけが参加できるのだ。

 さらに戦士たちを盛り上げるために、数々のイベントが予定されている。
 ミュージシャンによるライブや、映像、ライブアート。
 これらも戦士たちの血を滾らせるに違いない。

 精神の闘争であるアートと、肉体の闘争である格闘技。
 そこでは生存本能のみが頼りだ。

●補足
 格闘技サイドは対戦相手との合意の下に詳細なルールを定めてください。
 立ち技系でも関節技系でも、総合格闘技系でもかまいません。
 ただし、危険行為や残虐行為がまかり通るルールはさすがに禁止です。
 死人が出そうなことはもちろん避けてください。
 まずは話し合いで自分の相手を決めましょう。
 1対1でもタッグでも、3対3も可能。トライアングルマッチもありです。
 また、なるべく男女混合の試合も避けてください。
 もし人数に端数が出た場合は審判や解説、イベント側に回ってもらいます。

 イベントサイドは自由に何でもやってください。
 コンサート、パフォーマンス何でも思いつけばオッケーです、
 しかしあまりにもそぐわない場合は没になることもあります。
 残虐なものや、人に不快感を与えるようなものは特に禁止です。

 さて、どうする?

●今回の参加者

 fa0295 MAKOTO(17歳・♀・虎)
 fa0374 (19歳・♂・熊)
 fa0728 SIGMA(27歳・♂・猫)
 fa0757 グリード(24歳・♂・熊)
 fa1308 リュアン・ナイトエッジ(21歳・♂・竜)
 fa1449 尾鷲由香(23歳・♀・鷹)
 fa1890 泉 彩佳(15歳・♀・竜)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa2594 ドン・ドラコ(30歳・♂・竜)
 fa2748 醍醐・千太郎(30歳・♂・熊)
 fa4404 ガブリエル・御巫(30歳・♀・鷹)
 fa4412 雪村聡美(16歳・♀・兎)

●リプレイ本文

 一番強いのは生き残る奴だ。
 単純明快な価値観を引っさげて、ルール無用の戦いが再び行われる。
 音楽やパフォーマンス、全てはライバルに打ち勝つための闘争。
 さまざまな腕自慢が、我こそはと技を競い戦う。
 そして最後に待っているのは、純粋な戦い。
 肉体と精神を競い、時には命すら賭して戦う本物の戦い。
 集った闘士は12名。
 観客たちの臨界点はすでにぶちきれている。
 解説も実況も居ない戦い。レフリーすら居ない戦い。
 轟々とこだまする歓声の中、いよいよ戦いが始まるのだった!

●焔(fa0374)VSドン・ドラコ(fa2594)
「あたしのサムライ・ソウルに勝てるかしら?」
 格闘技マニアにはおなじみ、登場したのはドン・ドラコ。
 妙なる雅楽の調べに乗せて、悠々と花道を進む巨漢。今日は時代劇の浪人風衣装。
 リングサイドで服を毟り取れば、全身真っ赤な衣装でコーナーポストから真紅の毒霧を噴射である。
 対するは焔、腕に自信ありのスタントマンだが‥‥さすがにこの相手には気おされている模様。
「‥‥荷が重いな‥‥俺には‥‥」
 格闘センスにおいては卓越した才能を誇る焔だが、体力勝負では勝ち目はない。
 上背では10センチ、体重でもはるかに相手が勝るだろう。
 勝負を前に少々弱気な焔、もしかすると作戦不足も影響しているのかもしれない。
 しかも今日は愛用のダンボールマスクはない。しかし戦うしかないのであった。
 そしてゴング!
 ドラコは手を掲げ、かかって来いとばかりに手四つの体勢。
 対して焔はバックステップ、相手の一撃の重さを警戒して距離を置く作戦のようだ。
「あら、かかってこないならあたしから攻めなきゃってかんじィ〜」
 容姿にまったく見合わないオカマしゃべりで突進する重戦車。
 豪快なショルダータックルで焔をぶちのめそうと突貫だ。
 しかし、喰らえば危ないことは一目瞭然。上手く体をさばいてサイドにかわし、カウンターのローキック。
 打ち下ろすように決まる強烈なローキックであったが、効かないとばかりにつかみに行くドラコ。
 間合いは近接、つかもうとするドラコの腕を掌打で払う焔。
 拳で握るよりダイレクトに腕の力を伝えられる掌の一撃、単打の連打で何とか凌ごうとするのである。
 さらに迫るドラコ。技の危険性以上にほかの危険性も感じたのか焔の掌打はドラコの顎、鼻、こめかみを強打!
 さすがにぐらつくドラコだったが、さらに踏み込んで抱え込むドラコ。
 鼻血をぼたぼた垂らしながら、焔を抱え上げるドラコはボディスラムの体勢。
 高さはおよそ2メートル、高々と掲げ上げられた焔は天地逆さまの会場を見て、一言。
「あー‥‥こりゃやべぇ」
 そして落下、轟音とともに叩きつけられる焔。
 一撃で全身に激痛が走り、受身に長けたスタントマンとは言えとっさには起き上がれない。
 そこでドラコは焔をひっくり返して、片えび固め。
 体重差があるドラコの片えび固め、さすがのこれには焔もタップで降参するのだった。
「ドラゴン・ファイヤ〜!!」
 ぶわーっと赤い毒霧を吹くドラコ。短いながらも豪快なファイトに惜しみない拍手が送られるのだった。

●MAKOTO(fa0295)VS尾鷲由香(fa1449)
 リングコスチュームは白のセパレート。八極拳の使い手のマコトはゆるやかに重心を落とした構え。
 対する尾鷲由香、イーグルと呼ばれる彼女は迷彩柄のタンクトップに黒のスパッツ姿だ。
 二打いらずと呼ばれ、一撃の強力さで有名な八極拳を修めたマコト。
 対する由香はかのブルースリーが創始したジークンドーとテコンドーを学んでいる。
 ジークンドーはブルースリーがさまざまな格闘技を取り入れて作り上げた総合武術。
 その中には中国拳法、詠春拳が含まれている。
 この拳法は八極拳と同じく、ショートレンジを得意とする苛烈な拳法。
 もし由香がジークンドーで戦おうと思っていれば試合はショートレンジの打ち合いになるだろう。
 しかし、試合はどうなるかというと‥‥
 全3ラウンドの試合、第一ラウンドのゴングが鳴り響く!
 先手を取ったのは由香、超低空タックルで一気に間合いを詰める。
 それに対してマコトは、さらに腰を落として相手のタックルをひきつけての打ち下ろし掌打。
 つまりは金剛八式の伏虎で迎撃の態勢。
 しかし、勢いで勝る由香。肩口に強烈な掌打を受けつつもタックルだ。
 グラウンドでマウントポジションへの移行を狙った一撃だったが、これは失敗。
 なんとマコトが倒れないのである。低く落とした重心と、幅広く足を置いて踏ん張るマコト。
 その状態は、そう八極拳の射程内。ぼっと空気を貫く把子拳を由香は紙一重で回避。
 持ち前の脚力でとっさに離脱、追撃の拳を何とかはじき牽制の蹴りで距離を置く。
 再び双方にらみ合う。踏み込みから中段後ろ回し蹴りを放つ由香。
 これをマコトは下がって回避、すると由香はさらに中段回し蹴りにつなげ上段後ろ回し蹴り。
 全てかわしたマコトは、次の一撃を受けて反撃に移ろうとしたのか、動きを止める。
 そのとき、由香の蹴り足が変化。上段の後ろ回し蹴りが回避されたと見るや、蹴り足が急降下。
 蹴り足を軸足として、回し気味の踵落し一閃!
 おそらく、ショートレンジの打ち合いをするよりも、由香はテコンドーでの対抗をもくろんでいるのだ。
 鞭のようにしなる足技、重さと鋭さを兼ね備えた強烈な蹴り技が特徴のテコンドー。
 そのときゴングが。こうして様子見の第一ラウンドは終わる。
 続いて第二ラウンド。
 テコンドーの蹴りはばねを使った鋭さが強烈なのである。
 しなるような前蹴りから同一モーションで腰のひねりによって、外に膨らまず鋭く放たれる回し蹴り。
 しかし下から伸び上がるように放たれる前蹴りを外腕で打ち払うマコト。
 受けの動作がそのまま攻撃に結びつく八極拳。相手の足を腕がすべるようにして伝い、裏拳が腹部を一撃!
 負けじと由香は後ろ回し蹴り、上半身をぐっと沈めて放った強烈な後ろ回し蹴りは頭をさげてかわされる。
 しかしそれは布石、伸びた足に引っ張られる力を使って一気に踏み込み、足が止まったマコトに攻撃。
 由香の双拳返し突きがマコトに直撃、こうして第二ラウンドもゴング。いよいよ最終ラウンドである。
 攻める由香、しなるミドルキックを連打し着実にダメージを与える。
 対するマコトも機をうかがう。そして足の痛みに耐えて、ショートレンジへと爆発的な踏み込み!
 単打の連撃、ショートレンジで胸へと拳、さらに左の掌打が顎、さらに腹部へ打ち下ろしの右拳!
 さすがに下がる由香、しかし負けじと中段の回し蹴りから右のストレート。
 これを受けるマコトへと予想外の左アッパー! 勝つために貪欲な由香の拳がマコトを弾き飛ばす。
 攻防は最終局面へ。
 額への直突、これは由香が回避。しかし流れるような動作で踏み込み鳩尾へと打ち上げる肘!
 頂心肘の一撃に悶絶するも、ロー・ミドルと連続で回し蹴りを放ち、渾身の後ろ回し二段蹴り!
 二段ティチャギの強烈な連撃にさすがのマコトも受けそこね、下がるのだが体制が崩れたところに渾身の寸勁!
 この腕を取って腕ひしぎを狙う由香だったが、そこで由香は膝から崩れダウン。
 僅かな体力の差で、マコトは勝ちを修めるのだったがさすがにダメージは重くがくっと膝を折るのだった。

●泉 彩佳(fa1890)VSガブリエル・御巫(fa4404)
 次なる対戦はプロレスラー同士。
 小柄で細身のアヤ対レザーコスチュームばりばりのヒール然としたガブリエル。
 打撃で挑むアヤに投げと極めで対抗するガブリエル。
 変則プロレスルールでの対戦に今ゴングが鳴り響くのだった。
 つかまれるのを警戒して、フットワークを使うアヤ。牽制の前蹴りや横蹴りの鋭さは由香と同じくテコンドーのものだ。
 身長に置いて20センチ以上の差があるこの戦い、そこであやが選んだのは蹴り技だ。
 ハイキックで牽制し、そこから踏み込んでなんと跳び廻し蹴り!
 ティミョ・トルリョ・チャギと呼ばれる空中廻し蹴りがガブリエルのガードを打つ。
 一回りは小さい選手とはいえ、全体重の乗った強烈な一撃にガブリエルはよろめくが、そこはプロレスラー。
 キャッチの好機をうかがいさらに果敢に前に詰める。
 対するアヤは回転横蹴りで牽制しつつ、渾身の踵落し! ネリ・チャギと呼ばれる強烈な一撃だ。
 しかしこれを受けるガブリエル、気合とともにこれを受け止め、無理やり足をつかむ!
 ここから相手の足をつかんで無理やり回転、体格で負けるアヤは、なすすべもなく倒れる!
 膝のダメージもありとっさには起き上がれなかったアヤに更なる攻撃が。
 ガブリエルは、アヤの腰をクラッチ。
 そのまま気合とともに肩の上まで一気に持ち上げられる。
 地面に向かってうつぶせに倒れていたアヤの頭をまたぐようにして立ちそこから引っこ抜いたガブリエル。
 肩の上で仰向けにアヤを固定しガブリエルはそのまま肩の上で衝撃を与え腰にダメージを与える。
 世界三大バックブリーカーの一つ、カナディアンバックブリーカー。
 パワーファイターのみがなしうる豪快にして強烈な技である。
 そしてここでは終わらない、何とか逃げ出そうとするアヤだったが、クラッチはとけない。
 そこでガブリエルはこの体勢のまま、両膝でマットに着地!
 トレインラックと呼ばれる技でさらにアヤの腰にダメージを与えるのだった。
 とっさには動けないアヤ。さらに追撃をかけようとガブリエルはシャイニング技を狙う。
 片膝を立てて立ち上がろうとしていたアヤに駆け寄るガブリエル。
 しかしアヤも負けじと反撃、突進するガブリエルに対して、片膝の姿勢からローキック一閃。
 体勢を崩すには役立ったローキック。アヤは攻勢に転じてガブリエルへと怒涛の攻めを見せるのだった。
 プロレスラーらしいあびせ蹴りから、牽制の前蹴り。
 その場でテコンドーの跳躍力を生かしたニールキックと、同系等ながらも異なる鋭さを見せる空中廻し蹴り。
 さらに飛び上がってのティミョ・パンデ・トルリョ・チャギが見事ガブリエルのガードを壊し強烈な一撃。
 空中後ろ廻し蹴りがガードを破って頭部に命中したため朦朧とするガブリエル。
 そこでアヤも一番の大技。ふらつくガブリエルを自らコーナーに上って脇下に挟む。
 そして飛び降りざまに相手の体を軸に半回転、リング中央に向かって相手の頭を引き摺り下ろす!
 背中から倒れるようにして相手の頭頂部をマットに叩きつけるスイングDDTが決まる。
 これにはガブリエルも無念、立ち上がることが出来ず試合は終わりを告げるのだった。

●グリード(fa0757)VSリュアン・ナイトエッジ(fa1308)
 完全に潰す気で行くと豪語するグリード、自らを喧嘩の強いゴロツキと言いつつもその強さは本物だ。
 完全な素手、文字通りベアナックルでの参戦である。
 対するはリュアン。道義姿で入場し、合掌礼といつもながら礼儀正しいその様子。
 セコンドには富垣 美恵利が心配げな表情をしてついてきている。
 リング内に入ったリュアンは、対戦相手であるグリードの迫力に改めて息を呑むのであった。
 そしてゴング。
 この戦いが、一方的な殺戮になるのか。それはこれからわかることである。
 グリードはぐぐっと体をかがめ、背を丸め両手を前に出した中腰の姿勢。
 いわゆるランカシャースタイル。キャッチアズキャッチキャンと呼ばれるシュートレスリングのスタイルだ。
 勝つためのレスリング、その歴史の重みとともにグリードの構えはリュアンにプレッシャーを与えていた。
 対するリュアンは拳を握って、少林寺拳法の構え。
 隙無く、剛の中に柔のある技。磐石の重みを兼ね備えた構えである。
 そしてリュアンはすばやい足さばきでするすると距離を保ちながら動きまわるのであった。
 捕まったら終わり、そんなことが意識を掠める戦い。
 最初に攻めたのはリュアンだ。
 鋭い突きから強烈な右足、相手のブロックを誘っておいて、すかさずあいた前のガードの隙間に強烈な前蹴り!
 さらにたたみかかけるようにローキック。そこでぐらりとよろめいた隙に追撃のミドルを放つのだが、これは囮。
 あばらを犠牲に左足を抱え込んだグリード。一気にヒールホールドの体勢に。
 しかしリュアンも負けじと自ら回転してヒールホールドを回避。
 それならばと足をつかみなおしてアキレス腱固め。
 グリードの怪力が合わされば、最悪の事態が想像してしかるべきその攻防。
 とっさにリュアンがとった行動は相手の足をつかんでの経絡攻撃!
 走った激痛に思わず腕の力が緩むグリード、リュアンは距離を置いて仕切りなおすのだった。
 再び攻勢はリュアン、少林寺の強烈な蹴りや拳が雨あられと降り注ぐ。
 グリードはつかむ好機を伺うのだが、いかんせん隙が無い。
 またしてもブロックをはじかれて、今度は鳩尾に強烈な前蹴りが叩き込まれてしまう。
 いかに強靭な体を盛っていようと、ダメージが蓄積されれば倒れるのが道理。
 そこでグリードはランカシャースタイルの姿勢から低空タックル。
 グラウンドの攻防に持っていくための危険の多い賭けだ。
 さながら猛獣が獲物に飛び掛るかのごとき突進、しかし今晩の獲物は鋭い牙を持っていた。
 迎撃は、強烈な膝! 顔面に膝蹴りがめり込み大出血。そしてそのままリュアンは追撃!
 ガードするグリードに更なるけりを見舞い、マウントを奪おうとするリュアン。
 とっさにグリードは両足で腰を挟み込んで止めるのだが、その位置ではリュアンの拳は防げない。
 少林寺の強烈な突きが雨あられと降り注ぐ中、この試合は決着かと思われたそのとき!
 血にまみれたグリードが獰猛な笑みを浮かべるとリュアンの拳を受け止める!
 ぼろぼろになりながらも好機をうかがっていたグリード。
 常に自分の命を天秤にかけて、ぎりぎりの戦いを乗り越えるプロレスラーならではの作戦だ。
 リュアンの手をがっしりとつかんでひきつけながら両足で三角締め!
 下からの三角締めはぴったりと頚動脈を締めつけ、タップのまもなくリュアンの意識は闇に落ちる。
 この逆転劇には場内がどよめき、大歓声が巻き起こるのだった。

●ブリッツ・アスカ(fa2321)VS雪村聡美(fa4412)
 稲妻模様の上下に身を包んだのはアスカ。今日も元気な稲妻娘は未知の相手との戦いに闘志を燃やしていた。
 一方、レスラー訓練生の聡美。なんと今回は打撃中心での作戦のようだ。
 アスカは自分が得意な土俵で、聡美は新たな境地を覗くため。
 双方、くしくも同じ戦い方での戦いとなったこの試合、いよいよ第一ラウンドのゴングが!
 アップライトスタイルの聡美、両拳を顔の前に構え打撃戦の様子。
 対してアスカはレスリングを警戒して、様子見は強烈なローキックの洗礼だ。
 ぐらりと聡美はよろめくも、果敢に下からの掌底を放ち、これは避けられたものの追撃のフックが命中。
 ガード上から打ち下ろす大振りなフックは、さながらロシアンフック。
 そしてアスカと同じくローキックの一撃! 双方の大腿骨が悲鳴を上げる。
 アスカはローキックからジャブ。聡美はローキックとラリアート気味のフック。
 双方一歩も譲らず、様子見の第一ラウンドは終了する。
 アスカはセコンドのマリアーノ・ファリアスのアドヴァイスに頷きながら口をゆすぐ。
 そして続いて第二ラウンドが始まった。
 このラウンドもアスカはローキック、しつこいまでに足を攻めるのだった。
 それを受けて引く聡美。追撃するアスカはジャブの連打からフック。
 そしてボディに何発か入れるのだが、そこで聡美の強烈なロシアンフック。
 さらに追撃のストレートを辛くもかわしアスカは再びローキックの嵐。
 そしてこう着状態が続いていたそのとき。時間は残り数秒で第二ラウンドが終わるというとき。
 アスカが繰り出したのはハイキック! ところが同時に聡美もカウンター狙いのハイキックを放っていた。
 双方足がぶつかり再び牽制。そこで第二ラウンドが終了するのだった。
 そして最終ラウンド、ゴングとともに飛び出したのはアスカ。
 ダッシュから跳び膝蹴りでラッキーヒットを狙うのだったが、聡美はかろうじてブロック。
 しかしこれには聡美も同様をかくせなかった。
 その後、今までの2ラウンドと同じく、攻防が続く。
 しかし変化が。徐々に数をますアスカのハイキック。
 ローかと思わせればハイとばらして打って、隙を伺っている。
 そしてついに運命の瞬間。
 一瞬ガードが後れた瞬間に、アスカのハイキックが聡美を直撃。
 脳を揺らされて脳震盪を起こしたのか、ぐらりとふらつくとどっと倒れる聡美。
 戦いの中で決着をつけるための作戦を立てていたアスカはこうして勝利を収めたのだった。

●SIGMA(fa0728)VS醍醐・千太郎(fa2748)
 いよいよ最終試合となり、場内は大歓声。その中で戦うのはプロレスラーの2人だ。
 敬意を示したのかスーツ姿で登場したのは醍醐。静かに拳を上げてファンの歓声に応える。
 一方、いつもと同じくハードロックの鳴り響く中登場したのはSIGMA。
 リングインするならコーナートップでファンを煽る。
 さらに高まる歓声の中、バク転でリングへ。
 いよいよゴングが鳴り響くのだった!

 丸太のような腕の醍醐、どっしりと構えたまま腰に手を当て、相手の出方を伺う。
 そこでSIGMAはロープの反動を利用して、ミサイルキック。
 しかしSIGMAはよろめくだけで倒れるには至らない。
 そこで、SIGMAは末端を攻める。醍醐の左ひざにローキックの連打だ。
 打ち下ろされるように打ち込まれる強烈なロー。しかし逃げも隠れもせずに醍醐は受けきる。
 十発以上のローキックが打ち込まれたその後、今度は醍醐が動く。
 SIGMAの肩をつかんでロープへ走らせる。そして戻ってくるところを待ち構えて、逆水平チョップ!
 一撃でローキックの分をひっくり返すような強烈な一撃。
 軽量級とは言え176センチあるSIGMA。その
 胸板に決まった逆水平で、SIGMAは体が半回転するほど吹っ飛ばされたのである。
 しかし負けじとSIGMAもローキックの嵐。
 十何発ものローキックをSIGMAが放てば、それを一撃のチョップでひっくり返す醍醐。
 幾度か続いたその攻防に終止符を打ったのは醍醐だった。
 一瞬の隙から、SIGMAを抱え上げ、強烈なボディスラム!
 びりびりとリング全体が振動するほどの強烈な一撃に、さすがのSIGMAも転げまわる。
 追撃のストンピング、しかしこれはSIGMAがかわす。
 とっさに起き上がったSIGMAはストンピングの足をつかんでドラゴンスクリュー。
 ローキックで痛めつけた左ひざをさらに痛めつける。
 しかし醍醐も負けじと、SIGMAを捕獲。正面から逆さに抱え上げ、強烈な勢いでのボディスラム。
 背中前面をなんども叩きつけられているSIGMA。
 対する醍醐は、SIGMAの執拗な攻めで左ひざが悲鳴をあげていた。
 再び対峙する両者。今度はSIGMAから仕掛け、相手の横を通過しコーナーを使って三角跳び延髄斬り!
 この一撃にはさすがに醍醐もよろめく、しかしコーナーに押し込んで反撃のチョップ一閃。
 これにはSIGMAがグロッキー。だがSIGMAには気づいたことがあった。
 醍醐がボディスラム系の技をかけてこなかったということは、膝にかなりの負担がかかっているということだ。
 そこでSIGMAはコーナーを使ってかける技を。
 上ってダイビング技を仕掛けようとした瞬間、足を払われてコーナー上に落下。
 そこで醍醐に捕獲されて、醍醐はなんとデッドリードライブの構え。
 コーナー上にまたがる醍醐をつかみ後ろに投げ飛ばそうとしたそのとき。
 自分から前回り受身をするように跳ぶSIGMA。
 左方向に引っ張られた醍醐は、足で踏ん張ってしまい痛恨のダメージ。
 しかもデッドリードライブは不完全。 2人とも背中から落下して大きなダメージを追う。
 しかし先に立ち上がったのはSIGMA。受身が十分に取れたのが幸いしたのだろう。
 そこで立ち上がりかけている醍醐に向かってバズソーキック!
 側頭部への強力なミドルキックが決まり、醍醐は倒れる。
 そこでSIGMAは最後の大技。これが返されたらもうなすすべは無いのだ。
 うつぶせに倒れている相手の腰の上に座り、後ろからまわした腕で首を締め、反りあげる。
 キャメルクラッチ式ドラゴンスリーパー。ドラゴンクラッチが見事に決まった。
 必死で耐える醍醐。見る見るうちに顔が真っ赤に染まり、醍醐は必死の力で脱出を図る。
 そしてロープをつかもうと手を伸ばすのだが‥‥場所が悪かった。
 不発だったデッドリードライブのせいで、醍醐はリング中央に。
 ロープは届かず‥‥必死の力で締め上げたSIGMAの前に無念にも醍醐はギブアップするのだった。
 末端を攻めた作戦と、デッドリードライブの不発。
 こうして、今回の勝利の女神はSIGMAに微笑んだのだった。
 一歩間違えばどちらが勝者になっていてもおかしくない試合。

 こうして全12選手の試合は無事に終わった。
 会場を訪れた人は、幸運にもこれらの最高の試合を見ることが出来たのである。