中米の密林にて南北アメリカ

種類 ショート
担当 雪端為成
芸能 1Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 やや難
報酬 3.1万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 10/05〜10/09

●本文

 メソアメリカに栄えた古代文明。
 紀元前1000年ごろまでその起源はさかのぼり、16世紀に侵略されるまでつづいた偉大な文明。
 それはマヤ文明。神秘的な文明として認識されているようだが、その実は高度に発達した都市文明である。
 石器しか存在しなかった文明だが、彼らは金属器を必要としないほど高度な石器の文明を築いていた。。
 暦や測量、ゼロの概念すら持っていた高度な文明社会の残滓は今も中米の密林の中に息づいているのだ。

 マヤ文明が誇る国際都市、チチェン・イツァ。
 ククルカンのピラミッドがあることで有名なその遺跡の近くで最近、未発見の遺跡が見つかったのだ。
 地元の住人が、森の中で偶然発見したらしく、すぐにその小さな遺跡の発掘が進められた。
 小規模な調査チームはまず測量調査を開始、そしてそこであるものを見つけた。
 それは半分地下に埋まるようにして、崩れ落ちたマヤ文字の石碑。
 そんな発見に沸き返る調査チーム。そこに訪れたのは地元のテレビ局。
 カメラマンとスタッフ、キャスターを含めた2人ほどのクルーはインタビューを始めたのだった。

 そして惨劇が起きた。

 報道によれば事件はこうだ。“遺跡調査中の悲劇 盗掘団が発掘調査団と銃撃戦”
 しかし実際何がおきたのか、それは獣人だけが知っている。
 おそらく発掘チームの人間がすでにナイトウォーカーに感染していたのだった。
 生き残ったのテレビクルーはわずか2人。カメラマンとキャスターだけ。
 逃げ帰った彼らの証言の元、急遽その遺跡へと向かいナイトウォーカーを殲滅するメンバーが募集された。

 さて、どうする?

●今回の参加者

 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0780 敷島オルトロス(37歳・♂・獅子)
 fa2431 高白百合(17歳・♀・鷹)
 fa2614 鶸・檜皮(36歳・♂・鷹)
 fa3376 桐原 芽衣(17歳・♀・蝙蝠)
 fa3622 DarkUnicorn(16歳・♀・一角獣)
 fa4404 ガブリエル・御巫(30歳・♀・鷹)
 fa4508 ミーツォ・アムール(34歳・♂・虎)
 fa4614 各務聖(15歳・♀・鷹)

●リプレイ本文

●目指すのは密林に眠る古代の都市
 ユカタン州のマヤ低地北部に存在するマヤ文明の都市、チチェン・イツァ。
 そこは世界遺産にも登録され、いまなお人々を魅了してやまない神秘的な巨石都市である。
 その都市に程近い遺跡へと向かう芸能関係者の一団。
 そう、芸能人というのは世界中を飛び回っても最も不審ではない職業なのである。
 故に、だれも不思議がることなく彼らは、近隣の空港へと降り立つ。
 彼らがこれから行う仕事は、誰にも知られることはない。
 英雄にはなり得ない、しかしこの仕事は彼らがしなければならないのだ。

 銃弾の類や消耗品は現地のWEAの調達の元、現地へといそぐ一行。
 人数は10、武器弾薬の類は撮影用の小道具といえばある程度は誤魔化せる。
 こうして何の障害もなく、襲撃があった遺跡付近へとやってきた一行であった‥‥。
 ここからが仕事の始まり。光差す芸能の表舞台とは違い、闇で隠すべき仕事だ。
 10人のメンバーはそれぞれ思いを胸に、遺跡へと踏み込んでいくのだった。

●遺跡にて
「これがマヤの遺跡‥‥」
 参加したメンバーのだれかが呟いた。
 それもそのはず、説明不足もあったのだがマヤの遺跡と言うのはなかなか個性的だった。
 今回の遺跡は、祭壇のような小規模な石のピラミッド。
 内部にはおそらく空間があるだろうが、その中は限りなく狭い。
 マヤの石碑も外に露出していたもので、発掘も露天で行われていたのである。
 よって、NWが潜むのは森のどこか。一同は首を捻って対策を検討するのだった。

「遺跡探索がしたかったんですけど、そうも言ってられませんし‥‥」
 木々の合間にひっそりと飲みこまれつつあるピラミッドを見上げて言うのは各務聖(fa4614)。
 まだ若いながらも手には借り物のトカレフ。完全獣化の姿で周囲を伺っている。
「ふむ、暗く無いならヘッドランプはいらんようじゃな。さてどこからくるのやら」
 水着に防弾チョッキ、そして日傘と日本刀を構えた角少女はDarkUnicorn(fa3622)。
 これだけみれば映画の撮影かとも見えるが、これでもバッチリ戦闘体勢だ。
「襲われた奴らの話に寄れば、人型だったらしいのじゃが‥‥」
 着物姿の麗人は天音(fa0204)。彼女は翼をはためかせながら周囲を警戒するしているところだ。
「いまだに発掘スタッフの体の中にいるかが疑問ですね。他の生物に入りなおしてる可能性もありますし」
 ミーツォ・アムール(fa4508)が警戒を促す。
「それに敵は一匹だけなのか? それもまだ分からないしな‥‥」
 ぼやくのは全身に銃器をぶら下げた鶸・檜皮(fa2614)だ。
「どうする? トランシーバーでももって分かれて探すか‥‥」
 伊達正和(fa0463)は圏外表示の携帯をしまいこみながら問いかける。
 と、その時。聴覚に優れているメンバーがいなかったため、ほぼ全員が同時に気付いた。
 音。いくつかの音が近づいて来ている。
 同時に全員が戦闘体勢に入る。武器を抜き、安全装置を解除し、構えを取る。
 翼持つものは羽ばたき、爪持つものは爪で地を掴み、牙持つものは喉奥で唸りをあげる。
 密林から飛び出してきた影と頭上を飛び込んできた影、偶然にもほぼ同時に襲いかかってきた二体のNWだ!
「増えてやがるのか! ‥‥面白ぇ、そうこなっくちゃよ!」
 吼える敷島オルトロス(fa0780)。彼の咆哮が戦闘開始の合図をつげる!

●密林での戦闘
「弾丸は凄く遠くまで飛びます! 同士討ちを避けるため方向をずらして撃ってください!」
 高白百合(fa2431)が声を上げ、大きな羽ばたきで距離をつめると地上を走ってきたNWに詰め寄る。
 高く飛ばすジャンプするように羽ばたいて距離を詰めた彼女はクリスタルソードで切りつける!
「なかなか当りませんね‥‥」
 地を行くNWはおそらくジャガーあたりの大型肉食獣が変化した物らしく動きが早い。
 15発を撃ち切った桐原 芽衣(fa3376)は、マグチェンジをするのだが、その瞬間攻めに転じたNWへと迎撃の一撃!
「隙はみせませんよっ! 虚ろの闇に消えて下さいっ」
 虚闇撃弾による攻撃は直撃、NWは狙いを変えて他のメンバーへと向かう。
「こっちです! かかって来なさい!!」
 バトルガントレットで覆った拳を構えるのはガブリエル・御巫(fa4404)、迫り来るNWを真正面から見据える。
 そして突進して来たNWをかわしざまに、すれ違いのカウンター裏拳!
 鋼同士を打ち合わせたような音をたてて、吹っ飛ぶNWその脇腹には見事拳の跡がついている。

 一方もう一体のNWとの対戦は苦戦していた。
 トカレフは威力の高い拳銃だが、当らなければ意味はない。セイは唇を噛んで、マガジンを交換する。
 空を飛ぶもう一体のNWは元はなんらかの鳥だったのだろう。しかし今は昆虫のような羽でとぶグロテスクな生物と成り果てている。
 それと対峙するのは羽を持つメンバーたちだ。そしてそのNWの次なる狙いは、マグチェンジ中のセイ!
「くっ! しまったっ!!」
 慌てて退こうとするも、追いつかれそうになったその瞬間、飛来した羽がコアをうちNWが動きを止める!
「間一髪じゃ! そら、もう一発!!」
 飛羽針撃に続いて破雷光撃を放ったのは天音だ。
 その連続攻撃にふらついたNW、そこに追撃するのは鶸。
 地面に落ちたNWを追って急降下し、狙い定めてのショットガン連打!
 12番ゲージの強力な散弾がNWの体の殻を穿ち、打ち切ると同時に持ち変えてこんどはサブマシンガン。
 IMIUZIから軽快な音を立てて吐き出された弾丸がさらにNWへと降り注いでいくのだった。
「どんなに固い殻でも同じ箇所を攻撃し続ければ‥‥貫くことができる‥‥」
 しかしまだ動きを止めないNW、逃げ出そうとしたそのとき、メンバー2人が追撃のために追いつく!
「これで‥‥」
 セイはさっきの借りを返すとばかりに、トカレフをコアに向けて!
 頭部のコアへとトカレフの弾丸がめり込み、さらに止めは天音だ。
「終りじゃ!!」
 両手に構えた特殊警棒、勢いを乗せてコアへと叩きこんだニ発の打撃は見事コアを叩き割り、NWは動きを止めるのだった。

「動きを止めるから、その隙を突け!」
 真正面から地上のNWを受け止めたのは伊達だ。
 全身を紫の鱗で覆い、突進の衝撃を受け止める。しかしNWの牙は止まらず伊達の首筋へと伸ばされるのだが。
「させません!」
 雷を放ったのは百合。その一撃でNWの動きが止まり、伊達が離れる。
「鷹って遠近両用なんです」
 伊達が感謝とばかりに視線を送れば、ウィンク一つで応える百合。
 そして隙ありとばかりに組みついたのはガブリエル、脚の一本に組み突くとそのまま動きを封じて投げ飛ばす!

 そこに走りこんだのは、小柄な人影だ。
「あとはまかせるのじゃ!」
 残像が見えるほどの強靭な脚力で飛び出したのはヒノト、しゃおんと日傘から刃を抜き出すと、鞘を払った日本刀と両手に刀が。
 そして額の角を真正面において、立ちあがろうとしたNWへと向かって一直線に走りこんで、コアへの三連続攻撃!
 流石のこれにはNWも動きを止めるのだった。

 これで二体を倒し、依頼が終りかと思えたのだが‥‥その時、倒したはずのジャガー型NWが起き上がり逃げ出そうとする!
 ダメージがわずかに足りなかったのか、まだ余力が残っていたようだ。
 しかしそれに飛びついたのはミーチョだ。
「逃がしませんよ!」
 しかし、このままではミーチョが危険だと、だれもが思ったその時。
「よぅし、終わらせてやるぜっ!!」
 全身黒のパワードスーツ、そして両手にはナックルを装備して立ちはだかったのはオルトロス!
 獅子の鬣を揺らし、構えるのは右の拳。そこには唸りをあげるブラストナックル。
「終りだ!!」
 爆音と共にコアへと叩きつけられる拳、これには流石のNWも二度と動くことはないのだった。

●遺跡探索?
 さらに数時間賭けて周囲を探索したが、どうやら他にNWはいないよう。
 やっと一同は遺跡へともどりなにか有力な情報がないかを調べはじめるのだった。
 遺跡の石段に腰掛けて不満げな顔なのはオルトロス。
 これぐらいのNWなら自分一人で‥‥と更なる強さを求めているのかその顔は真剣そのものだ。
 そして他の面子もそれぞれの考えの元に行動しているよう。
 遺跡のそこかしこで動いてるメンバーが見えるのだった。
「少しでも供養になればいいのじゃがな‥‥」
 おそらく被害者となったクルーや調査隊の物であろう遺品を集めているのは天音だ。
「きっと、喜んでくれますよ」
 それを手伝っている百合はそう言って笑顔を浮かべると、天音もそうじゃとうれしいのう、と顔をほころばせる。
「何かの資料になるかもしれないし‥‥」
 デジカメでぱしゃぱしゃ写真を撮っているのは伊達。しかしそれを胡散臭そうに見るのもいたり。
「危なく無いのか? このマヤ文字の石碑の中にまだ別のNWが潜んでいる‥‥とか」
「たしかに危険かも‥‥まぁ、WEAでなんとかしてくれんじゃないか?」
 鶸の言葉に、しばし首を捻るも大丈夫だろうと言う結論にたどり着いたらしい伊達。
「‥‥‥読めないです」
「ふむ、マヤ文字は最近になって漸く解読が進んだと聞いた。無理もないじゃろ」
 しょぼんとするメイを励ましたのはヒノトだ。そしてヒノトの手には金属探知機。
 それは? と尋ねるメイに対してヒノトはにっと笑うと。
「うむ、金属探知機で金目の物を探しているのじゃ! ‥‥見なかったかえ?」
 石造りのマヤの遺跡、なかなか金目の物は見つからなさそうだ。
「うーん、見つからない‥‥運が悪いのか、それともオーパーツが無いのか‥‥」
 ダウジングマシーンを持って唸っているのはセイだ。
 それをみてうんうんと頷くミーチョ。俺も見つからなかったから、落ち込むことはないと言っているよう。
 そしてミーチョを始め、力自慢が荷物を積み込み、調査で運び込んだ物を追加して、一行は遺跡を後にする。
「これが今回のNWの媒体‥‥こんなものまで媒体になるのですわね。不思議ですわ‥‥」
 積まれた石碑の一部を眺めてガブリエルが言う。
 こうして無事依頼は終了するのだった。