BEAST KING 1南北アメリカ

種類 ショートEX
担当 雪端為成
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 6人
サポート 0人
期間 03/02〜03/06

●本文

【プロレスマッチ 「BEAST KING」 参加者募集】

>ルール

 ・<<男子限定>>
 ・体重制限なしのフリーウェイト制。
 ・ナックルパート(正拳)での殴打は禁止。
 ・頭髪・コスチュームを掴むことの禁止。
 ・金的等の急所攻撃・目潰しの禁止。
 ・鼻を掴む・鼻、口に指を入れる・耳を引っ張る・噛み付く等の危険行為は禁止。
 ・ロープブレイクあり。
 ・試合判定はドクターストップ・ギブアップ・ピンフォール・ノックアウト・反則。
 ・ピンフォールとは競技者の両肩がマットについた状態で3カウントのこととする。
 ・ノックアウトとは戦闘不能状態で10カウントのこととする。

>注意事項
・異種格闘技戦ではなく全員プロレスラーとしての参加してください。
・シングルマッチ・もしくはタッグマッチで
 3名以上によるバトルロイヤル形式でのマッチも、試合組み合わせに端数が出た場合のみ許可。

●補足
・セコンドや解説者やラウンドガールとして参加することも可能です。
 しかし、その場合選手よりは画面に映る可能性がぐっと減ることは了承いただきます。
 なので可能ならば対戦を行ってください。
・ショー要素もありですが、基本は真正面からのぶつかり合いです。
 お互いの精神力と体力の削りあい、真剣で本物のプロレスが期待されています。
・サポート参加者は依頼期間、初日のみの登場となります。
 審判や解説、ラウンドガールなど全体に関わる行動をとることは出来ません。

・対戦相手が欠場、もしくは参加者に端数が出た場合リザーバー選手との対戦を行います。
 リザーバーは、団体『BEAST CAGE』より参戦の予定。

●タイトルについて
 プロレスマッチ「BEAST KING」ではタイトルが導入されている。
 現在は暫定王者が決定しているのみだが、王者の枠はたった一人。
 現王者と挑戦者の戦いで次の王者が決定、ベルトが受け継がれていく。
 もし、現タイトル保持者が出場しなかった場合は、タイトルは返上。
 2人の挑戦者によって、タイトル挑戦が行われる。
 なお不在によってタイトル防衛を逃した元王者は、一度だけ優先的に挑戦権が与えられる。
 また、もし体重別で新王者を設けたい場合は、申請すれば設けられる可能性もある。

●今回の参加者

 fa0536 新堂 将貴(28歳・♂・獅子)
 fa0728 SIGMA(27歳・♂・猫)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa2748 醍醐・千太郎(30歳・♂・熊)
 fa4878 ドワーフ太田(30歳・♂・犬)
 fa5534 木場・智(26歳・♂・猿)

●リプレイ本文

BEAST KING 1(ショートシナリオEX)

●オープニングは華やかに
 心機一転して再開したプロレスマッチはアメリカにて大規模なイベントして復活した。
 最高の舞台に集ったのは最高の選手たち。
 集まった選手たちの試合には、観客たちも心を躍らせているのであった。
 そしてそのオープニング。
 スポンサーの紹介やリングを飾る脇役たち、レフェリーに実況などが紹介されていく。
 そして試合へのボルテージは高まっていき、いよいよ選手たちの登場となるのであった。

「‥‥‥挑戦者出て来いやぁ!」
 リング中央にはチャンピオンの姿があった。
 チャンピオンとは、傲慢なものである。しかしそれは王者の傲慢さだ。
 そしてそのチャンピオン、新堂 将貴(fa0536)の呼びかけが響く中、それに応える者がいた。
 新人プロレスラーの木場・智(fa5534)である。
「はい! オレオレ、オレがやります!!」
 リング下からの突然の立候補、それをじろりと睨みつけると。
「誰、お前?」
 と、一言で切り捨てる。
 何を! といきり立つ木場とそれを抑える仲間。
「いいじゃないか。やりたいって言ってるんだし、やってやれよ!」
 同じく選手として醍醐・千太郎(fa2748)がけしかけるもチャンピオンは静かに首を振る。
 そしてチャンピオンが自陣に向けて手招きすると自陣から軽やかにリングサイドに飛び出し、トップロープをひらりと飛び越えて登場する影が。
「新堂さんに挑戦するには百年早イヨ!! マリスが相手するヨ!」
 マリアーノ・ファリアス(fa2539)の登場には会場が沸く。彼の名前は知れ渡っているのだ。
「‥‥と、いうことで、お前の相手はウチのマリスにやってもらおうか」
 チャンピオンのこの言葉に木場も了承したのか引き下がり。
「それではこのわしが相手をしようかの!」
 登場したのはドワーフ太田(fa4878)だ。
 こうしてメインマッチとその前哨戦である木場VSマリスの対戦が決定したのであった。
「俺のエンジンがかかるまで、タイトル守っててくれよ」
 実力者の醍醐から声が飛び、場内は沸き返るのだった。

 そしてこの4名の選手のほかに、BEAST CAGEの選手とぶつかりあう2人の選手が。
 軽量級にはSIGMA(fa0728)。
 試合前のインタビューによれば。
「悪いが今、全くそのベルトに興味がわかないんで他を当たってくれ」
 新堂が保持するベルトには興味を示さず、逆に軽量級のベルト争奪戦を‥‥などと気になる発言もあり。
 もしかすると新たな階級の創立があるかもしれないと話題になるのであった。
 彼の対戦相手もBEAST CAGEの選手の中から選ばれた。
 経験では劣るもののスピードならば引けをとらないということでアルディジャがその相手。
 メキシコでルチャリブレの選手・ルチャドールとして活躍した若手である。
 アルは空中技だけで無く、ジャベと呼ばれる関節技でも高い技術を修得した有望株。
 試合の展開は、非常にレベルの高いものとなるであろう。

 重量級、しかも今回はハードコアマッチを希望したのは醍醐だ。
 実力も万全、優れた体格と経験もあって生半な選手では太刀打ちできないという判断だろう。
 その対戦相手として登場したのは、BEAST CAGEが誇る実力者。
 グレッグ・“キングベア”・レックスだ。
 奇しくも豪腕を誇る似たタイプの選手同士、そしてグレッグはラフファイトでも名を馳せていた。
 血わき肉踊る戦いの予感、非常に人気が高まる試合が用意されているのだった。

●軽量級対決 SIGMA対アルディジャ
 身長176センチで筋骨隆々といった体格のシグマ。
 しかしその体躯はボクサーもかくやと絞り込まれ、全身に針金を束ねたような筋肉が覆っている。
 対するアルは、身長は少し小さく169センチ。
 そしてルチャリブレ出身の選手らしく鋭くシェイプアップされた体躯の持ち主だ。
 その2人が激突する今試合。
 ロックと共に派手な入場、コーナー上でのアピールからバク転を決めてリングインのシグマ。
 対するアルは、新人らしく回りに応えながらも静かにリングインである。
 軽量級のベルト新設への布石か、はたまた新人が金星を飾るか!
 期待を受けて試合は開始されたのだ。

 ゴングを前に、シグマはかなりの熱の入りよう。
 リング中央でじろりと相手をねめつけると、軽く相手の肩を突き飛ばしてみたり。
 にやりと笑みを浮かべての挑発、格で劣るアルは静かに闘志を燃やしてそれに相対するのだった。
 そしてゴングと共に飛び出したのはシグマ。
 がっと組み合うとアルの頭を掴んでいきなり投げ飛ばす!
 そのまま倒れこんだアルの足を取って捻りあげるのだが、これにはアルが蹴りで牽制。
 そのままアルは、シグマの足を捻ってアキレス腱固めに移行したいのだが、シグマがブロック。
 両者際どいところでお互いの関節技を凌ぎながら相手の関節を極めようと凌ぎあいだ。
 お互い決定打を打てずに距離を取り、今度は慎重に距離を測りながら打撃戦の様相に。
 両者蹴りを応酬し、その後アルは大振りのラリアットを。
 そこを待ってましたとばかりに巻き込んで腕を支点に投げ飛ばす。
 即座に転がって威力を殺しながら起き上がるアル。しかしそこに追撃するシグマは相手にタックル。
 ファイヤーマンズキャリーの形で持ち上げると、横に落とさずそのまま後に。
 バックフリップでアルをマットにたたきつける!
 さらに追撃しようと追うシグマだったが、ここでアルは相手の胸を足で突っ張って跳ね除けて離脱。
 そしてアルの反撃。エルボーの一撃から、一瞬の隙をついてポストに飛び上がるアル。
 そこから棒立ちのシグマの頭を正座のような形で挟み込みそのまま、身体を落としながら投げ飛ばす。
 変則で放たれたコルバタが見事にシグマを投げるが、シグマもさすが。ここでは転がって威力を殺す。
 そして反撃とばかりに、シグマもコルバタ。
 今度はしっかりとしたからヘッドシザースで捕獲、遠心力をつけてぶっ飛ばす!
 そして試合はいよいよ終盤。アルは再度コルバダでシグマを投げた後、ヘッドシザースへと移行。
 しかしシグマはそれを倒立してエスケープ。
 そして起き上がったアルに対して、強烈なハイキックをお見舞いする。
 ぐらりとよろめくアル。そこに止めの動作。
 飛び込むように懐に入り込むと相手をうつぶせの状態で肩の上に抱えあげるファイヤーマンズキャリー。
 そしてそこから強引に相手の身体を掴んで身体の前に。
 そこからさらにスピードをつけて抱え込み式のパイルドライバー!
 アルはそのまま丸め込まれてホールドされ、虚しくスリーカウントを聞くのだった。
 経験の差や技術の差、才能の差というよりは覚悟の差が勝敗を分けた試合。
 シグマは無事勝利を勝ち取ったのだった。

●重量級対決 醍醐対キングベア
 試合の雰囲気は一転。この2人の重量級は迫力が違った。
 プロレスラーといえば誰もが常人とは比べものにならない鍛え方をしている。
 しかし、この2人は両者が両者とも同じ人間である事を疑ってしまうほどの身体の持ち主なのだ。
 シグマの腕が針金の束で覆われているとするなら、醍醐の腕は岩のごとき筋肉が覆っていた。
 黒いTシャツの上からでも分かるように、全身が限界まで鍛え上げられた筋肉で覆われているのが見て取れる。
 そしてそれは対戦相手のキングベアも然り。
 しかも相手は体躯で醍醐に勝っていた。この2人が正面からぶつかり合うこの試合、荒れるのは必至であった。

 ゴングと同時に、リング中央でがっちりとロックアップ。
 お互いが相手の首に手をやって、完全な力比べだ。
 身長でわずかに劣る醍醐が不利かと思われるがその均衡は崩れない。
 ぎりぎりと軋みをあげる両者の腕、その腕においてはわずかに醍醐の豪腕に分があるようだ。
 そして、永劫にも思える数瞬の攻防は両者同時に離れて仕切りなおし。
 今度は壮絶な打撃戦へともつれ込んだのだった。
 最初はまずキングベアの豪腕から放たれるラリアット。
 一撃で醍醐はほぼ180度回転し、後頭部からマットにたたきつけられる。
 それに対して、反撃とばかりに醍醐の逆水平。
 胸元に銃声もかくやの爆音を上げて叩き込まれる強烈な一撃。
 倒れはしないものの、数歩よろけるキングベア。そしてその隙を逃さず連打連打連打!
 醍醐のチョップの連射砲にじりじりと胸をはって耐えるキングベアだが、流石に頭に来たのか、反撃のエルボー!
 首筋にめり込む強烈なエルボースマッシュだが、これは強靭な首でぐらつきながら耐える醍醐。
 そしてお返しだと、相手の同じ場所に強烈なエルボーをお見舞いする。
 これにはキングベア、ぐらりとよろめきロープにもたれかかる。
 そしてそれが失敗。ぐらりとよろめいたキングベアの喉もと目掛けて、強烈な逆水平を放つ醍醐!
 これ以上一歩も下がれないキングベア、上背があったのがまずかったのかリングの外に転がり落ちる。
 それを逃す醍醐ではない。追ってリングを降りると、リング下にたたきつけられてふらつくキングベアを追撃。
 まずはふらつく相手に鉄柱攻撃。そして手を掴んで観客席の柵へとぶち当てる!
 柵と観客席のパイプ椅子をなぎ倒しながら吹っ飛ぶキングベア。
 流石に観客たちはセコンドたちに止められて近寄って来なく、ただ柵や椅子が散らばる場所での戦いだ。
 再度キングベアをたたきつけようとした醍醐、ここでキングベアも反撃。
 近寄ってくるところを、余力を振り絞って振り上げた椅子で強打。
 そのまま今度はキングベアがパイプ椅子の列に向かって醍醐を突き飛ばしてつっこませる。
 しかし醍醐は止まらない。ぐらつきながらも手にはなんと長机。
 リングサイドに置かれていたのを強引にもぎ取ったらしく、それをリングサイドに放り投げる。
 そしてキングベアに掴みかかってボディスラムで机におもいっきりたたきつける!
 真っ二つに折れる机、これにはキングベアも悶絶。
 そして醍醐は椅子をリングに放り入れると、背中を押さえてのた打ち回るキングベアとともにリングへ。
 椅子で再度強打すると、必殺のアイアンクローから椅子に向かってベアータッチを狙う。
 しかし、キングベアも負けて入られない。
 相手の腕をがっしりと掴んでアイアンクローを防ぐとそのまま醍醐の腕をホールド。
 腕を巻き込みながらなんと醍醐を椅子に向かって投げ飛ばす!
 醍醐は背中から椅子の上に投げ飛ばされて、悶絶。
 ここでキングベアの反撃、椅子を振り上げて醍醐へと振り下ろす!
 しかし醍醐は何とか腕でガードを固めて凌ぐ凌ぐ。
 するとなんとパイプ椅子の座面が取れて、椅子が壊れてしまう。
 一瞬あっけに取られたキングベア、その瞬間に醍醐のアイアンクローががっちりとキングベアをロック。
 そしてキングベアは椅子を持ったまま、なんとベアータッチでたたきつけられるのだった。
 両者限界まで体力を使いきっているハードなファイトの結果、キングベアは立ち上がることは出来なかったのだった。
 こうして、ヘビー級において実力者キングベアを破った醍醐は、賞賛の拍手を受けるのだった。

●挑戦者VS弟子の戦い マリス対木場
 次なる試合は、チャンピオンに挑戦した若手とそれを阻んだチャンピオンの弟子といった様相。
 知名度ではマリス有利、しかしやはりプロレスは体格が大きな意味を持つスポーツ。
 対格差では新人の木場にはるかに分があると見える試合であった。
 しかし、逃げることは許されない。
 挑戦者は挑戦者の矜持があり、それを受けたマリスもプライドがある。
 こうして、両者は闘志を燃やしメインマッチの前の試合へと挑むのであった。

 試合開始前、リング中央での握手のその瞬間。
 にやりと笑みを浮かべる木場、がっちりと手を掴むと引き倒してけりを一撃!
 どっと湧く会場、しかし木場はおどけるように胸を叩くと自分のコーナーに戻るのだった。

 そして今度はゴングが鳴り響き、本当に試合が開始される。
 先に動いたのはマリスだ。一気に距離を詰めると鋭い裏拳。
 それを受ける木場、しかしマリスは止まらずローキックを連打。
 木場も負けじと反撃、受けつつも相手に掴みかかってエルボーを見舞おうとするのだが。
 そこでマリスは背を向けると相手から逃げるようにロープへ。
 そして身軽さを利用して、ロープを駆け上るとそこからブーメランアタック!
 トップロープを足場に高々と飛び上がると、空中で身体を捻って相手に向かってクロスボディアタックだ。
 体格で劣るとは言えど、人一人の全体重はかなりのもの。木場はダメージを受けて後ろに下がる。
 再び距離を取った両者、力比べには分が無いと考えているのか、マリスは距離をとって打撃で牽制だ。
 今度は木場の一撃、相手のど真ん中に向けて強烈なドロップキックを放つ。
 これにはマリスも真っ向から受け止めるが、体重差はいかんともしがたく後に下がる。
 そこを今度は木場、なんとコーナーを登り先ほどマリスが見せたブーメランアタックを真似して放つ!
 体格で勝る木場の一撃にマリスは為す術も無く下敷きに。
 しかし、そこで大人しくしているマリスではない。
 木場の下敷きからするりと抜け出ると立ち上がり、足側に移動。
 そこから、流れるように足首固めだ。
 相手の左足を掴んで足首を腕でロック。さらに右腕でその腕をロックしてぎりぎりと足首を締め上げる。
 体格差があろうと関節技の痛みには変わりは無く、木場はじたばたともがきながら悶絶。
 なんとかロープに手が届きブレイクするも足へのダメージは甚大だ。
 そして戦いも終盤、先に攻めたのはマリスだ。
 マリスのオリジナル技、トルナド・メヒカーノは助走で威力を増したジャンピングで放つ裏拳。
 これが見事に木場に決まるも打点が甘かったのか木場の即座の反撃。
 これがなんとマリスのトルナド・メヒカーノをそのまま返したのだった。
 この猿真似攻撃には流石のマリスも不意を疲れたのかガードが遅く、バランスを崩す。
 そこを木場は見逃さなかった。ロープで反動をつけて放たれたのは勢いののったDDT。
 相手の頭をわきで抱え込んで、そのまま相手の脳天をマットにたたきつける!
 これにはマリスも悶絶、ここで試合が決まるかと思いきや。
 これはマリスの体格がいい方向に作用したようだ。
 体重が軽いマリスはDDTの衝撃も比較的軽く、すぐさま復帰。
 先ほどの猿真似に怒りを覚えたのか、今度はさらに苛烈な一撃での反撃としてマリス・エスペシアルだ。
 ロープを背負った木場に向けて、マリスは助走し勢いのままハンドスプリング。
 倒立の形から跳ね上がり相手の喉もと目掛けて強烈なドロップキックをお見舞いするのだった!
 コレにはリングから落ちそうになるほどの木場。反動でマットにたたきつけられそこでスリーカウント。
 スピード感溢れる試合に幕が下りるのだった。

●メインイベント チャンピオン対挑戦者
 いよいよ最後の試合、メインイベントの時間がやって来た。
 今回の両名はある意味対称的な選手である。
 チャンピオンの新堂は逞しい選手ではあるがある程度身長が高く、どちらかといえばシャープな選手。
 対するドワーフはまさしく名前の通り、身長の低さとそれを補って有り余る筋肉というがっしりしたタイプ。
 激しいロックとファンタジー色溢れる某有名なテーマが流れ、両者はリングイン。
 ファンに応える新堂と闘志を燃やすドワーフ。
 いよいよ、チャンピオンを極めるメインイベントの幕がきっておとされるのだった。

 ゴングの音と共に、両者リング中央でにらみ合い。
 手をじりじりと伸ばし、両者組み合うかに見えた次の瞬間。
 どんとリングが揺るぐような蹴り音と共に飛び出したのはドワーフ。
 アメフト仕込みの強烈なタックルで新堂を弾き飛ばすのだった。 
 しかし体重100キロを越えるドワーフのスピアーを受けて、新堂は倒れない。
 がっちりと相手の身体を受け止めてなんとか踏みとどまる。
 重心の低いドワーフのタックルは強烈だが、新堂も背負うものがあるのだ。
 この攻防に湧く会場、強烈な力と技のぶつかり合いには血が滾るのだ。
 そして続く序盤の攻防は打撃戦へともつれ込んでいくのであった。
 ドワーフの持ち味はその豪腕と突進力。
 対する新堂の持ち味はそのバランスの良い技と総合格闘家として培った強烈な打撃だ。
 そしてその打撃技の中で新堂が得意とするミドルキックが、ドワーフの胸板にたたきつけられる。
 鞭のようなしなりでスピードの乗った右足はインパクトの瞬間に鋼の一撃へと変貌する。
 その一撃には重量級であり低い重心を持つドワーフすらぐらりとふらつく。
 しかしドワーフも負けじと下から唸りをあげる豪腕の一撃、強烈なチョップが新堂の胸に。
 会場に響く破裂音。一撃で内出血するほどの強烈な一撃をお互いはつぎつぎに応酬していくのだった。
 プロレスラーの戦いは体力の勝負だ。しかし彼らにはさらにその先がある。
 痛みを与えるであろう相手の攻撃を受けるのは鍛錬でも無く才能でも無く、覚悟。
 覚悟で相手に劣ったときにプロレスラーは敗北するのだ。
 そう、この戦いは心を折る戦い。相手の身体を突き動かすのはその強固な精神力だ。
 そして両者の戦いは打撃戦から徐々に技巧的な戦いへと。
 まずは新堂、ミドルキックの一撃から身体の捻りで軌道をスイッチ。強烈なローで相手を倒す。
 そしてそこを狙ってアンクルホールド。奇しくもマリスが極めたのと同じ技でドワーフの足首を締め上げる。
 ロープに手を伸ばすドワーフ。すると新堂は足のロックを解き今度は腕をホールド。
 流れるように腕十字が決まる、かと思われたのだが。
 ここで、なんとドワーフはその膂力のみで腕のロックを振り解こうと抵抗だ。
 丸太のような腕がぎりぎりとロックをきしませ、ついにはそのロックを弾き飛ばす。
 先に立ち上がったのはドワーフ。膝を立てて立ち上がろうとする新堂に向けて雄叫びを上げ豪腕を振りかぶる!
 強烈な豪腕の一撃は新堂の首を刈り取る。必殺のドワーブンアックスだ。
 斧の名に相応しい強烈な一撃が新堂の喉元に決まり、新堂は殆ど後頭部からリングにたたきつけられる。
 これは強烈、流石の新堂も暫くは起き上がれない。
 漸くふらつきながら立ち上がる新堂、止めとばかりにこんどはドワーフが突進。
 スピアーからの投げを狙ったのだろうが‥‥ここで新堂はあらかじめ警戒していたのか反撃の一撃。
 相手の突進にあわせて、強烈なニーリフトで迎撃したのだ!
 これはドワーフの自慢の突進力が災いした。自らの脚力がそのままダメージになって跳ね返ってきたのだ。
 こうして両者、ぎりぎりの戦い。試合も最終局面へ移っていく。
 今度はドワーフの投げ技。再びタックルからテイクダウンを奪い、パワーボムへと繋げる。
 ここで連続パワーボムからジャンプしての強烈なパワーボムにつなげれば必殺のドワーブンマトックだ。
 しかし、この技はかけるほうにも体力が必要だ。
 二度目のパワーボムに入ろうとしたのだが、そこで一瞬の停滞。
 それを逃す新堂ではなく、辛くも抜け出ると立ち上がりざまの強烈なハイキック一閃!
 ぐらりとよろめくドワーフをなんと強引にキャプチュード!
 後に投げ飛ばし、これで最後とばかりに切り札のクロスヒールホールドだ。
 この技は難易度が高い、なぜなら抵抗する相手にはなかなかかけることができないからだ。
 しかし一瞬の隙とハイキックでのダメージを見越して脱出不可能なヒールホールドが決まってしまった。
 これにはドワーフも悶絶。手をなんとかロープへと伸ばす。
 しかし新堂はそれを許さず、さらにぎりぎりと締め上げる!
 会場の全員が手に汗をにぎって見守る中、三度目の応酬でついにドワーフがタップ。
 ゴングが鳴り響き、会場は大歓声に包まれるのだった。

 なにも言わずに去る王者、新堂は自らの王位を守りきることができた。
 しかし、王者の地位は常にしたから狙われているのだ。しかも今回はこの接戦。
 彼が次なる戦いにおいてその地位を守るため戦うか、それとも次代の選手に譲るためにその地位を譲るか。
 全ては王者に任されているのだ。そして次なる戦いに観客たちも大いに期待を向ける。
 こうして、全試合が終了。大盛況のうちにすべてのイベントは終了するのだった。