BEAST QUEEN 1南北アメリカ

種類 ショートEX
担当 雪端為成
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/02〜03/06

●本文

【プロレスマッチ 「BEAST QUEEN」 参加者募集】

>ルール

 ・<<女子限定>>
 ・体重制限なしのフリーウェイト制。
 ・ナックルパート(正拳)での殴打は禁止。
 ・頭髪・コスチュームを掴むことの禁止。
 ・金的等の急所攻撃・目潰しの禁止。
 ・鼻を掴む・鼻、口に指を入れる・耳を引っ張る・噛み付く等の危険行為は禁止。
 ・ロープブレイクあり。
 ・試合判定はドクターストップ・ギブアップ・ピンフォール・ノックアウト・反則。
 ・ピンフォールとは競技者の両肩がマットについた状態で3カウントのこととする。
 ・ノックアウトとは戦闘不能状態で10カウントのこととする。

>注意事項
・異種格闘技戦ではなく全員プロレスラーとしての参加してください。
・シングルマッチ・もしくはタッグマッチで
 3名以上によるバトルロイヤル形式でのマッチも、試合組み合わせに端数が出た場合のみ許可。

●補足
・セコンドや解説者やラウンドガールとして参加することも可能です。
 しかし、その場合選手よりは画面に映る可能性がぐっと減ることは了承いただきます。
 なので可能ならば対戦を行ってください。
・ショー要素もありですが、基本は真正面からのぶつかり合いです。
 お互いの精神力と体力の削りあい、真剣で本物のプロレスが期待されています。
・サポート参加者は依頼期間、初日のみの登場となります。
 審判や解説、ラウンドガールなど全体に関わる行動をとることは出来ません。

・対戦相手が欠場、もしくは参加者に端数が出た場合リザーバー選手との対戦を行います。
 リザーバーは、団体『BEAST CAGE』より参戦の予定。

●タイトルについて
 プロレスマッチ「BEAST KING」ではタイトルが導入されている。
 現在は暫定王者が決定しているのみだが、王者の枠はたった一人。
 現王者と挑戦者の戦いで次の王者が決定、ベルトが受け継がれていく。
 もし、現タイトル保持者が出場しなかった場合は、タイトルは返上。
 2人の挑戦者によって、タイトル挑戦が行われる。
 なお不在によってタイトル防衛を逃した元王者は、一度だけ優先的に挑戦権が与えられる。
 また、もし体重別で新王者を設けたい場合は、申請すれば設けられる可能性もある。

●今回の参加者

 fa0295 MAKOTO(17歳・♀・虎)
 fa0383 ダイナマイト・アスカ(16歳・♀・竜)
 fa1294 竜華(21歳・♀・虎)
 fa1385 リネット・ハウンド(25歳・♀・狼)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa4386 氷神 ユカリ(20歳・♀・鷹)
 fa4613 レディ・ゴースト(22歳・♀・蛇)
 fa5111 相澤瞳(20歳・♀・虎)

●リプレイ本文

 このBEAST QUEENのマッチは前回までとはうって変わってアメリカにて行われるのだった。
 なぜなら、このマッチは元来BEAST CAGEという団体のマッチの一部なのだ。
 今回のマッチはその中でもスペシャルイベントとして設けられた招聘選手たちの戦いという側面があった。
 団体内でのベルトとはまた別に設けられた暫定王者は外部選手のため。
 BEAST CAGEからの選手が参加しない中で今回の試合は行われることになった
 今回はそのベルトを巡って、争奪戦が繰り広げられることになるのである。
 スペシャルマッチとして行われる今回の試合たち。
 そのために特別に現役の選手が今回は解説として登場することとなった。
 その解説者の名前は竜華(fa1294)、。
 タレントとしても武術家としても著名な彼女、解説者としての格は十分である。
 ちなみに今日の格好は白いチャイナドレスに扇子も持参。セクシーさをアピールしつつ解説に励むようだ。

 女子プロレスラーたちの試合は男子の前座のように認識されていることもある。
 しかし、このマッチにおいてはそれぞれの違う持ち味を活かしてメインのイベントとして昇華されているのだ。
 こと柔軟性と関節の稼動域においては女性は生物学的に男性より優位にある。
 そしてこおは柔軟性と関節の柔らかさというのが大きな影響を示すプロレスというフィールド。
 女子の試合も非常に人気が高く、大きな興奮と歓迎をもって今回のマッチの幕は開くのだった。

●第一試合 氷神 ユカリ(fa4386)VS相澤瞳(fa5111)
 初戦は参加者の中では比較的キャリアの若い選手同士の対戦となった。
 しかしたとえ若手といえども演出には手を抜かないのがこの舞台。
 まず入場したのはユカリだ。彼女の衣装は、たとえ海外のリングだろうとなんら変わりが無い。
 裾をなびかせずしずしと入場してくる彼女の衣装は、そう特攻服。
 マトイと呼ばれるこの威圧的な衣装、その背には海外進出を考えたのかでかでかと『愛裸武勇』。
 言いたいことは分かるが微妙に違う気が‥‥とはいえ、海外においても漢字ブームの昨今。
 その衣装と立ち居振る舞いは非常に好評のようであった。
 手には木刀を振りかざし、ユカリは堂々のリングイン。
 木刀を振り回して観客を煽れば、会場は唸りを上げてボルテージを高めていくのであった。
 対する瞳。彼女の入場はさらにド派手だった。彼女が身にまとっているのはゴージャスな毛皮のガウン。
 そして彼女はその二本の足で歩いてリングまでやってきたのではなかった。
 彼女が乗っているのは豪華絢爛な輿。4名の筋骨隆々としたむくつけき大男が四隅を担いでいる。
 その輿に揺られる瞳はさながら女王様だ。そのまま彼女は悠然と花道を突き進み。
 というか担がれて運ばれてリングイン。ばさりと毛皮のガウンを脱ぎ去ると会場に歓声が満ちる。
 歓声の大部分は男性からだが、女性からの黄色い声援も混じる彼女の本当のリングコスチューム。
 それは前回と同じく、真っ赤なランジェリーっぽいコスチュームであったからだ。
 引き締まっていつつも出るところは出ている魅惑的な肢体。そしてものすごく扇情的でセクシーなコスチューム。
 女性レスラーのリングコスチュームではセクシーなものが一般的であるといえどもこれはなかなか過激だ。
 しかし人気も上々のようで、会場のボルテージは試合を前にして十分に高まっていた。
 前評判では双方の実力は僅差だと見込まれていた。
 体格は互角であり、双方パワータイプ。豪快な投げを持つユカリと関節技には定評がある瞳。
 わずかにパワーでは瞳が勝り、身軽さではユカリが勝っているとの評価だ。
 個性的で非常にアグレッシブな個性を持つ二人のレスラーが激突する試合が、いよいよ始まるのだった。。

 ゴングと共に両者睨みあい。
 いつでも飛び出せるように構えつつも、距離をとって双方の出かたを覗うのだ。
 徐々に両者の距離が縮まり、ついにはリング中央で両方とも間合いのなかに。
 そしてすっくと両者が向き合うと、張り手一閃するユカリ!
 ばしんと鋭い音を立てる強烈な張り手、しかしそれを受けて瞳も反撃する!
 びしばしびしばしと両選手は張り手の応酬を始めるのだった。
 お互い意地の張り合いであり、これはプライドをかけた戦い。
 そして散々叩いたところでがっしりと両者組み合う!
 手と手でがっちりと組み合ったまましばし力比べ、この力比べに勝利したのはユカリだ。
 相手をぎりぎりと押し込み、そのまま腕を捻りあげる。
 そしてそれを離して再び張り手一閃。まるで自分が上だといわんばかりのアピールだ。
 対する瞳は微妙に消極的、単純に気圧されているのかと思われたのだが‥‥。
「‥‥解説の竜華さん、この展開はどう思います?」
「そうねー、一見瞳選手の方が押されているように見えるけど‥‥」
「けど?」
「もしかすると、相手の体力の消耗を狙ってるのかもしれないわね。技はかけるほうも体力を消費するものだから」
 リングの上ではお互い小技の応酬が続いていたのだが、ここに来てユカリ一気に攻めに出た。
 相手をラリアットでなぎ倒すと、そのまま相手の髪の毛を引っつかんで、コーナーへ。
 コーナー近くに引きずっていくと、そこに瞳を座らせる。
 瞳の顔がうまくロープの合間にくるように引き倒すと、そこでユカリはアピール。
 両手を高く上げて、手拍子を観客に要求しながら、
「ハイハイハイハーイ!!」
 と観客を大いに煽るユカリ。
 こうくればもちろんやるのはお約束の顔面ウォッシュ。
 リングシューズの靴底で相手の顔面をこするようにしてけりつける屈辱的な技で一気に攻めるのであった。
 観客たちも手拍子にコールと大盛り上がり、ボルテージも上がっていったのだがここで瞳が反撃に!
 ユカリの足をがっしりと掴んで動きを止めると、一気に息を吹き返し華麗な足払い。
 テイクダウンを奪った瞳は、倒れたユカリの足をとって関節技へともちこむのだった。
 まずは王道の四の字固め。長く引き締まった足を駆使して瞳はユカリの足をホールド。
 しかし、場所はまだコーナー付近、すぐさまロープを手にとってブレイクするユカリ。
 するとすぐさま瞳は自らホールドを解いて、場所を変えて次の関節技に移行する。
 次なるは単純に足を掴んでそれを引き付けて極めたアキレス腱固め。
 アキレス腱は動きの要、ここにダメージがたまればまずいことになるのが目に見えている。
「どうやら足を攻めて機動力を削ぐ作戦みたいね〜。どんな投げ技でも足の力は必要だからこれは辛いわね」
 竜華のコメントの通り、足にダメージがたまれば大技は出せなくなる。
 そんな状況をひっくり返すためユカリが取った手段はというと‥‥。
 ユカリは再度のロープブレイクから、転がるようにしてなんと場外に離脱。
 そして場外で瞳を待ち受けながら、その手は観客席の前の方へ。
 ユカリを追って瞳も場外に、しかしそこにはその姿に相応しい凶器を手に入れたユカリの姿が。
 パイプ椅子で一撃! これには瞳もぐらりとふらつく。
「これは大分試合の流れを変えることになりそうね〜」
 突然のラフファイトに沸く会場。
 ユカリは幾度か椅子を打ち付けると、再び場内に戻って仕切りなおしだ。
 瞳もそれを追うが流石にダメージは大きくその動きに精彩がかけている。
 そんなところに追い打ちをかけるかのようにユカリの大技。
 ふらつく相手を前かがみにさせて相手の腰をホールド。
 そのまま一気に引っこ抜き172センチの長身から放つ豪快なパワーボム!
 カウント1‥‥2‥‥ここで瞳がカウント2,9でぎりぎり離脱。
 お互い体力を消耗しかけてきている両者は再び距離をとって向かい合う。
 しかし、ここで瞳も反撃。掴みかかって腕をホールド、そこから相手を引き倒すと再び足の関節技に。
 今度は一気に極めるという意気込みか、背面から仕掛けたのはシャープシューター。
 蠍固めとも言われる脱出不能の凶悪な足固めだ。
 ぎりぎりと決まる足首、しかしここでも再度ユカリは離脱。
 技をかけた瞳の体力が大分少なくなってきていたのだ。
 そして一挙にユカリは勝負をつけようと試みるのだが‥‥。
「おおっと、ここで氷神ユカリ選手、バランスを崩したっ!」
「どうやら足を重点的に狙った関節技が見た目以上に効いていたみたいね」
 竜華が言うとおり、踏み出したユカリはぐらりとバランスを崩して踏み込めないでいた。
 そこで乾坤一擲の大技に出る瞳。
 まずはボディスラムグラップルで大きくユカリを持ち上げる。
「これはツームストンパイルドライバー‥‥いや、違う?!」
 本来ならここから相手の頭を太ももで挟んで落とせばツームストンパイルドライバー。
 しかし瞳はそのまま後に巻き込みながら反り投げ、そのまま肩で押さえつけてホールド!!
 その動きから、ジャックナイフ・スープレックスと呼ばれるのが相応しい一撃。
 脱出もできず無情のスリーカウントが鳴り響き、初戦の勝利は瞳が飾るのであった。

●第二試合 MAKOTO(fa0295)VSブリッツ・アスカ(fa2321)
 第二試合はタイトルマッチに向かう前の大事な試合。今回の両選手は実力も折り紙付きであった。
 しかし、プロレスの世界は実力の世界ではあるが、実力だけの世界でもないのだ。
 伝説を持つレスラーは、最盛期を過ぎても負けない。それは格が違うからである。
 背負うもの、守るものがある選手は単純な事では負けず、格の違いは強さの違いとなって現れるのだ。
 そして今回の試合も然り。
 知名度で言えば、マコトの方がはるかに勝るのは事実であった。 
 しかし、アスカもそこは承知の上、相手の胸を借りるつもりでの勝負とか。
 だがプロレスは勝敗がすべての世界ではない。いかに魅せるか、それも重要な点であるのだ。

 そして今回の両選手は示し合わせたかのように“和風”な入場を演じることとなった。
 まずはアスカの入場。
 彼女の姿はいつものリングコスチュームの上に桜色の打掛姿である。
 赤と黒のコスチュームに桜の着物が良く似合っているのだが、その雅な雰囲気も途中まで。
 花道を進むと、篠笛の音は和風ロックへ。三味線とドラムの音が響き渡る。
 そのままアスカはリングイン、打掛をばさりと脱ぎ捨てていつものコスチューム姿となる。
 対するマコトは観客たちの度肝を抜く演出。なんと武者鎧姿で馬に跨っての登場であった。
 某時代劇のテーマに載せて、花道をぱからっと疾走、そのままリングに舞い降りて、鎧兜を脱ぎ捨てる。
 その下からはいつものリングコスチューム。白をベースにして赤のブーツが凛々しいコスチュームだ。
 両者の熱意を示すかのごとく、赤がめだつ両者の衣装。
 熱い戦いの幕が今きって落とされようとしているのだった。

 ゴングと同時に両者は距離をとって半身の構え。
 どうやら最初は組み合わずに打撃戦が展開されるようだ。
「まるで総合の試合のような打撃の応酬ね。なかなかこのレベルの選手はいないわよ」
 アスカが繰り出したローリングソバットを真っ向から受け止めるマコト。
 お返しとばかりに華麗なハイキックを胸に。レッグラリアートが決まれば吹き飛ばされつつも耐えるアスカ。
 逆にマコトがエルボーで攻めれば反撃は強烈なミドルの一撃。
 次々に繰り出されるハイスピードな打撃の応酬が交わされ息もつかせぬ試合展開となっているのだった。
 そして流れが変えたのはマコト、打撃戦の最中タックルかと思わせて、そのままローリング。
 鋭い前転でマコトの背後にまわり、がっしりと腰を取って一瞬で強烈なバックドロップ!
 打撃に意識が向いているところにこの強烈な一撃はなかなかの効果があったよう。
 アスカは即座には起き上がれずにしばしのダウン。
 そこを逃すマコトではなく、マコトは足の方向に移動するとそのまま足を取ってアキレス腱固め。
 これにはアスカも抵抗、マコトをがしがしと蹴りつけ何とか離脱。
 ぜいぜいと息をついて疲れた様子を見せるアスカと、じりじりと期を覗うマコト。
 マコトはまだ動きの鈍いアスカを掴んでロープへと走らせる。
 どうやら戻ってきたところをハイキック一閃。レッグラリアートの一撃を見舞うつもりの様子。
 かなりの速度で戻ってくるアスカ、そこを狙って鋭く放たれた蹴りの一撃。
 しかしその一撃はなんと空を切ることとなってしまうのだった!
 アスカは直前で身を屈め、頭上を通り過ぎるハイキック。
 しかもアスカはそのまま相手の後方に抜けると再度ロープの反動を使って加速。
 慌てて振り向いて構えるマコトに向かってランニングネックブリーカー!!
「今のは上手い! 相手が技を出した虚を狙っての大技で流れを引き戻したみたいね」
 竜華の言葉の通り、マコトは為す術も無く首を腕で刈り取られ、そのまま背中からマットへ。
 ここでアスカはたたみかける!
 ふらつきながらも立ち上がったマコトに対して、その膝を足場にしてのシャイニングウィザード!
 そして再度距離をとって、今度は必殺の一撃!
 まずは天に向けて指を差してのパフォーマンスから。
 会場の声援を受けて、アスカの一撃はふらつくマコトの頭部目掛けての強烈な浴びせ蹴り!
 流石のこれには大金星かと場内が沸き返るのだったが‥‥そう、マコトも甘くは無かった。
 その一撃を受けながらもなんとか耐え切ったマコト。
 技の着地で、虚のあったアスカの腰にタックルするとそのまま投げっぱなしのスープレックス!
 豪快に力押しの一撃、マコトは為す術もなくマットにたたきつけられる。
 そこを再度マコトは追って関節技。足を重点的に攻めると再び立たせる。
 そして華麗なジャーマンを極め返す!
 ジャーマンスープレックスは極め技として十分通用する強烈な技だが、ここではアスカがなんとか2、9カウントで脱出成功。
 しかしマコトの攻めはまだ終わらなかった。
 なんとか立ち上がろうとしているアスカに対して、先ほどのシャイニングウィザードのお返しとばかりに膝を足場に。
 そしてそのまま踵落し!!
「ライジングスコーピオン! そしてそこから相手を立たせて‥‥足をかけての前方回転はビクトル式の膝十字!?」
 踵落しで倒れこんだアスカ、それを立たせてマコトは内股に足をかけてもろとも前方回転。
 そのままテイクダウンから膝十字を仕掛け、これには抵抗する余力も無くアスカはタップ。
 華麗な技の限りを尽くした両者の戦いは、アスカの健闘及ばずマコトの勝利で幕を閉じるのだった。

●タイトルマッチ リネット・ハウンド(fa1385)VSレディ・ゴースト(fa4613)
 そしていよいよタイトルマッチがやって来た。
 二試合共に強烈な試合であり、接戦だったため会場は沸騰寸前にまで暖まっていた。
 そんな中でチャンピオンとその挑戦者の戦いが始まるのである。
 会場の声援に後押しされるように、まずは最初の入場は挑戦者だ。
 挑戦者はリネット・ハウンド‥‥と思いきや、ここアメリカでは彼女はもう一つの顔を使うよう。
 その名もエビル・クイーン。ヒールとしての登場はその入場からも顕著であった。
 数人の仲間を引き連れての入場は、スラムの女親分といった様子。
 後でくくった髪の毛は放射状に広がり、獅子のたてがみといった雰囲気だ。
 真っ白なファーのついたガウンに極めつけは顔を縦横に彩る真っ赤な十字。
 傲然とチャンピオンに立ち向かう姿はふてぶてしくも頼もしいのであった。
 対するチャンピオンはすでに名物とかした入場。
 今回はおどろおどろしい音楽に乗せて、前には鎖につながれた台車とそれに乗せられた棺おけを運ぶ従僕。
 後には逆十字の杖を高々と掲げた従者が入場してくるのであった。
 いかにも怪しげな教団といった様相のその入場。
 そしてリングサイドにどしんと下ろされた漆黒の棺、その蓋がゆっくりと開くと中からにゅうと手が。
 何度見ていても心臓の悪いかたにはお勧めできないかなーり怖い入場シーン。
 ずるぅりと棺から這い出ると、ずるずると床を這うようにリングインだ。
 エビルクイーンの唇に浮かぶのは傲岸不遜な笑み。それは自信の表れか。
 レディゴーストの唇に浮かぶのは不気味な微笑み。それは相手の凶兆か。
 ともかく、実力派レスラー同士の対決によるタイトルマッチ、荒れる気配とともにいよいよゴングである。

 ‥‥そしてゴングが鳴るかと思われた瞬間。
 なんとリングにはエビルクイーンとその取り巻きの姿が。
 一人がレフェリーの注意を引いた瞬間、全員でゴーストへと襲い掛かる!
 これに慌てたのか、ゴングが高々と響くと、あっというまに取り巻きたちはリングの外へ逃げる。
 残されたのはにやりとあくどい笑みを浮かべたエビルクイーンとすでにリングに倒れているゴースト。
 しかしゴーストは集団で攻撃されているときも反撃らしい反撃を見せていなかった。
「いきなりの荒れ模様のようね。でもどうしたのかしら?」
 そして動かないかに見えたゴースト、なんと倒れた状態から四つんばいで這って間合いを詰める!
 相手の足元に一気に近づくとそこからずるりとボディスラムへ。
 いきなりの大技にエビルクイーンも意表をつかれたのかなす術も無くたたきつけられる。
 しかし、エビルクイーンも負けてはいない。
 起き上がると得意のトラースキックで反撃すると、喉に一撃を受けてよろめいたゴーストを捕獲。
 そのままコーナーへと走らせるとクラッシュ!
 そして崩れるゴーストへとストンピングで踏む踏む踏む!!
 流れるように次の技へ、ゴーストを立たせると首を掴んでフライングメイヤー!
 そしてさらにそこからスリーパーホールドでがっちりと喉を絞める。
 これにはレフェリーが大丈夫か? とばかりに近寄って、意識を確認しようとしたのだが‥‥。
 ゴーストはぬらりと手を伸ばすとレフェリーの手をがっちりと握り、なんとホールドされたままにやり。
 そして強引に腕を伸ばすとエビルクイーンの髪の毛をつかんで前のめりにクラッシュ!
 強引にスリーパーをとくと、立ち上がったエビルクイーンの喉に向かって手刀の嵐。
「どうやら両選手共にのどを狙ってるみたいね」
「‥‥なるほど。とすると締め技で決着が?」
「いいえ、そうともいえないわ。喉をやられると呼吸ができなくなるわよね。そうするとパワーが出なくなるもの」
 解説の竜華は一呼吸おいて。
「お互い耐久力を減らして大技で決着、というのもあるかもしれないわよ。きっと荒れるわね」
 その言葉の通り、試合は中盤。激しい荒れ模様をしめしてきていたのだった。
 一気にしとめろとばかりにエビルクイーンがゴーストに対してキャメルクラッチ。
 そして取り巻きが自コーナーで注意を引いている隙に、彼女は胸元からストッキングを取り出していた。
 それをゴーストの首に巻いて‥‥と思われたその時。
 なんとゴーストは自らの爪でそのストッキングをぼろぼろに引き裂いてしまう!
 そしてそのままキャメルクラッチを強引に解くと、先ほどのお返しとばかりにスリーパー。
 今度は先ほどの従者がゴースト側のコーナーでレフェリーにちょっかいをかける。
 そしてゴーストが取り出したものは、なんとロザリオ。
 ロザリオはキリスト教徒が祈るために使う数珠のようなもの、しかしゴーストのそれはなぜか血に染まったかのようにところどころ黒く汚れている不気味なものだった。
 それをじゃらりと取り出すと、チョークで気道を圧迫!
 流石に金属のロザリオには歯が立たず、エビルクイーンはなす術がなかった。
 そしてレフェリーが戻ってきたときはスリーパーホールドで時間稼ぎ。
 いなくなると見れば、喉を重点的に攻めるというラフな攻防が続く。
 そして今度はゴーストが追撃。
 得意の高いネックハンギングボムでエビルクイーンをたたきつけると、強韻に引き起こして喉をトップロープにたたきつけるギロチン技。
 そのままがすがすと後頭部を攻撃してさらにダメージを与える。
 しかしこれにはやっとクイーンも反撃。
 全く同じ状況にもっていってから、後頭部に強烈なハイキック!
 両者のどのダメージがそろそろ深刻になり、いよいよ試合は決着へともつれ込むのだった。
 両者、かなりのラフファイトを行って体力もそろそろ限界。
 しかしエビルクイーンはにやりと不敵な笑みを崩さずふてぶてしいまでの悪役ぶり。
 対するゴーストは果たしてまだ余裕があるのかないのか、やっぱり正体不明の不気味さがあった。
 そして最後の攻防、ローキックでのけん制から強烈なトラースキックで攻撃の糸口を掴もうとしたクイーン。
 しかしエビルクイーンの強烈なトラースキックを何度も受けたゴーストは、なんとか見切ってダメージを軽減。
 そして反撃のゴーストは、その蹴り足を掴んでコーナーへ走らせる!
 走るエビルクイーンとそれを追うゴースト。クイーンがコーナーに入った瞬間、追い打ちの体当たり。
 そしてぐらりと崩れそうになるエビルクイーンを前傾させてパワーボムの体勢。
 相手の腰を上から掴んでこのまま持ち上げて、なんとたたきつけずにそのまま後方に反り投げる!
 ジャンボスープレックスという豪快な技、これでエビルクイーンはリング中央に顔面から叩きつけられた。
 そしてうつぶせのエビルクイーンに向かって十字を切るとゴーストは羽交い締めのように両腕を背後から締め。
「フルネルソンからステップオーバートーホールド‥‥STFね!」
 Step over Toe hold with Face lock と呼ばれるこの技。
 ゴーストが使う場合は、ステップオーバートーホールド・ウィズ・フォーリン。
 地獄から蘇った幽鬼といったゴーストに相応しい“堕落”の技。
 これには体力的に限界であった両者、かなりの拮抗を見せるのだが、ついぞエビルクイーンはこれを解くことができなかった。

 ゴングが鳴りチャンピオンの座は暫定王者であったゴーストがそのまま手中に収めた。
 実力的にはなんら不足は無く、むしろ有利化と思われたエビルクイーン。
 しかし彼女の善戦も今回は及ばなかったようだ。
 マイクを取ってエビルクイーンが他の日本勢に対して宣戦布告をしたりといろいろ後日談もあるのだが。
 とりあえず全試合は終了、これにて今回のプロレスマッチは幕をおろすこととなるのであった。