W−1格闘技最強決定戦アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
雪端為成
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
6人
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サポート |
0人
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期間 |
10/24〜10/28
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●本文
最強はだれだ!
ただそれだけを決めるため、いよいよ行われるW−1 最強決定戦。
ガチンコ勝負が売りのこの格闘団体は、今挑戦者を求めている。
参加者同士での因縁の対決も良し! 他の参加者に挑戦するも良し!
ド派手な戦いが期待されている。
ちなみに全試合がメーンイベントだが、試合順だけは決めておいて貰いたい。
今回は、参加者が挑戦することの出来る招待選手がいる。
新鋭の総合格闘技団体『Destruction』から2人。
キックボクシング出身の紳士的ファイター、クライス・リース。
女性には目が無い総合系ファイター、カイル・アーシア。
参加者同士で戦わない場合は、この2人と対戦することも可能である。
ルールは単純。
危険行為以外は全てが許されるヴァリートゥードだ。
試合は基本的に、同性同士で行われるのが原則である。
ただし、選手の数の関係上仕方の無い場合は、異性での試合もあり。
少しでも強く。
だれよりも強く。
それだけを願ってきた挌闘家たちの勇姿がいまここに。
●リプレイ本文
●焔(fa0374)VSマリアーノ・ファリアス(fa2539)
最初の戦いは異色。焔はスタントマンなのだ。
本気で格闘技を学んだものではないならば、格闘技者の敵ではないのか。
だが、その答えは否である。
スタントマンに求められる素質、それはなんだろう?
華麗なアクション? 危険に挑む勇気?
もっとも必要なもの、それは過酷なスタントを受け止めきる耐久力だ。
たとえどんな危険に身を置こうと、どんな苛烈な状況に晒されようと、耐え切る力。
それがスタントマンである。
だとすれば、危険なのは体格で劣る少年格闘家か。
それもまた否。
対するマリスは、キャリアなら大人顔負けの技巧者。
格闘技における越えられぬ壁、体格の差と体重の差をものともせぬ格闘技界の新星なのである。
リングインした両者、先手はマリス少年のマイクパフォーマンスだった。
マイク片手に少年が語るのは未来予想図。
「5年以内にベルトを獲る」
「さらにそこから15年は格闘技界を引っ張っていく」
傲岸不遜な若輩が言おうものなら、傲慢でしかないその言葉も。
陽気で快活な彼の前では、夢ではないと観客に思わせる台詞となった。
飛び出したのはマリス。
筋力の差、耐久力の差、リーチの差、破壊力の差、これは絶対的である。
しかし、マリスが取ったのは先手、当たれば終わるかもしれない状況での攻めである。
轟々と沸く観客の声援の中、飛び出したマリスは焔の初弾をかわしざまに相手の懐へと入り込んだ!
焔の引き手にあわせての初弾は顔へ、焔は難なくガードするがこれは囮。
本命は、ガードの開いた腹部への連打。体格の小ささゆえに足りない破壊力は、打撃速度で補う見事な連打である。
角度を変えて打ち込むコンビネーション、正中、水月、左脇腹。
見事な連打だが、なんと焔はそれを受けても討ち下ろしの右!
さすがはスタントマンの耐久力、全く効いた様子を見せず即座の反撃だった。
だが、即座に反応していたマリスはバックステップで軽く回避、フットワークを取りつつ距離を探る。
攻めるマリスに対して、焔は後手の姿勢。ヒットアンドアウェイ、打っては離れ、けっては離れを繰り返すマリス。
相手の打撃をかいくぐって、ボディやローキックの乱打にさすがに焔もダメージがあるのか。
徐々にお互いの距離が近づいていく。
そこでなんと、マリスは焔を挑発する。かかって来いとばかりに腕をぐるぐる回してから、こいこいと手招き。
それに対しては、焔も乗ってやろうとばかりに、初めて攻めに転じる。
攻めは、強烈な前蹴り、一直線に伸びた鋭い足撃がマリスを襲う。
それを真っ向から受け止めるマリス、しかしやはり悲しいかな体格さで後ろへと吹き飛ばされる。
ここで追撃の焔、左右のコンビネーションから、再び蹴り一閃。
左右を辛くも回避したマリスに襲い掛かるのは、強烈な回し蹴。
これは当たるかと思われたのだが‥‥マリスはこれをドラゴンスクリューでカウンター!
左から飛んできた蹴り足を受け止めざまに、巻き込んで回転。
これには焔も膝を破壊されないために回転して受身を取るのだが、二人とも回転しながらマットへと倒れこむ。
ここからは流れるようなマットの攻防。関節技にはさすがにマリスに分がある。
アンクルホールドをかければ、力技ではずす焔にさらに絡みつき、アキレス腱固め。
体格の差を活かして全身を使った関節技をつぎつぎにつなげる。
スタントマンの柔軟さでかろうじて回避続ける焔、しかし、マリスはいつのまにかマウントポジションにいた。
体格差で跳ね返せるかと思ったのは焔も観客も同じだ。
しかし、本当のマウントは相手の重心を潰し、相手の動きすらコントロールするのである。
動けない焔にまたがる小さなマリス。
そのマリスは拳を掲げて、これでもまだやる? とばかりの笑顔。
さすがに焔も、参ったとばかりに苦笑を浮かべて、マットを叩き降参するのであった。
緊迫の戦いの勝者は、将来性に満ちた期待の新星、マリスである。
彼は、コーナーポストの上で、愛が全てだと「El amor es todo」をアピールするのであった。
●因幡 眠兎(fa4300)VS飛鳥 夕夜(fa1179)
二戦目は対照的な戦いであった。
小柄な影はミント。赤いリングコスチュームのかわいらしい姿だ。
対する影は、生粋の格闘家であるアスカ。抜き身の刀剣の鋭さだ。
実のところ、相手の実力を知るアスカにとって、この戦いでは肉を切らせて骨を断つつもりであった。
カウンターを取る後の先の戦い方は、虎である彼女にとってはしごく当然なものであった。
相手は、ウサギ、本来なら単なるえさなのだが‥‥
この試合、冷や汗が止まらないのは、おそらく対するウサギがただのウサギではないためだろう。
そう、ミントは開始とともに飛び込んできた。
しかも、予想だにしない強烈な踏み込みと、強烈な一撃とともに!
一気に距離をつめたミント、防御の姿勢のアスカに対して強烈なジャブの連打。
キックボクサーの彼女の戦術は、まずは様子見のようでスピードのある連打からのスタートである。
しかし、速度では負けていないアスカ。
しかも彼女は、本来ならば人を破壊するための技術である古流を使う。
ゆえに、試合は分かるものだけに分かる非常に高度な戦いとなって繰り広げられたのだった。
回転数で勝るのはミント。
連打連打に、足の鋭い攻撃を織り交ぜて、まずはダメージと疲労を蓄積させる嵐の連撃。
対するアスカ、独特の技巧は全て部位破壊のための技。
ボクサー同士なら、ただ打撃を受け止めるだけだろうが、アスカは違う。
腕の振りの分、連打のうちいくつかを喰らうのを承知で、相手の腕を迎撃する。
剣術で言えば篭手、相手の剣を払い様に、相手の腕を斬りおとす攻防一体の一撃。
アスカはミントの腕を払いながら拳で相手の腕や拳に横からの打撃を与えて、ダメージを与えるのである。
さらには、ミントの鋭いサイドフックを肘で受けたり相手のミドルキックを膝で受け止めたり。
だが、そこで中距離からの連打という戦術をミントは替えてくる。
体格で劣るという点を逆手に取り、懐にもぐりこむための決死の突貫。
体を丸め、身を縮め、拳を掲げて、一気に懐へと飛び込む。
脚力もあいまって、まるで弾丸がごとき突進、それに対して今度はアスカが連打だ。
アスカの打撃は、一撃一撃が重く、さらに早い。
それはボクシングのように拳の回転や腰・肩・腕の連動といった西洋のスポーツ科学が生み出した技巧ではない。
最短距離を最速で、果て無き修練の果てに研磨された侍の一撃である。
体重の乗った直拳、独特の拳打ちから、平拳や強靭な下半身による体軸の運用。
その連打で、ミントの歩みを止めようとするのだが、彼女はアスカの連打を受け止める!
頭を左右に振ってかわすヘッドスリップ。肩を盾として使うショルダーガード。
ボクシングの高等技巧を使ってその猛打を受けて懐に入れば、そこでボディーへの連打。
たまらず離れるアスカをさらに追っての猛攻、これではアスカはジリ貧だ。
このままでは、ボディに蓄積されたダメージで体力を奪われ、負けるのが見えてくる。
そこで、アスカは起死回生の一撃にでた。
突進するミントに対して、ぎりぎりのタイミングで、足の甲を足の指で突く。
近代格闘技ではめったに見ない予想外の攻撃に、一瞬動きが止まるミント。
その瞬間、アスカは異質な構えを取る。
刀も無いのに居合いのような形、居合いが刀の鞘走りを利用して力をためるかのように。
彼女は右手を左手で押さえて、力をためて、強烈な拳の一撃!
予想外のタイミングに、驚愕の速度の一撃が、予期せぬ角度から。
さすがのミントもこの一撃には意表を疲れガードがはがれる!
そこに続くアスカの連撃、居合いから袈裟がけの斬撃につなげるように打ち下ろしす右の直拳!
これが決まれば決着だろうが、なんとそれをミントは回避した!
先ほどの居合い拳の一撃ではじかれた際、ストライドを広めに取り直したミント。
そのまま、勢いに流されながら、足に力をためて左右に体を降り始める。
ヘッドスリップどころか全身で弧を描くように左右に動くこの打法。
その動きによってかろうじてアスカの一撃を避けたのである。
そして、この動き、デンプシーロールは攻防一体。
左右に体を振る勢いを利用して、左右から乱打乱打乱打!!
ガードを上げて耐えるアスカだが、勢いに乗って打ち込まれる左右の乱打にじりじりと交代してついには勢いで後ろに倒れる!
デンプシーはこの猛攻のため絶対必殺の技であるが、体力を消費するのは明白だ。
もちろん、このときミントの心臓は破れんばかりにうっていて、もしアスカが立ち上がれば勝ち目は無いかと思われたのだが。
アスカは、体を起こそうとして、ふっと笑みを浮かべるとばたりと仰向けに倒れた。
ボディへの乱打は彼女からも体力を奪っていたのであった。
こうして、ぎりぎりの攻防の結果、勝利はミントへともたらされたのだった。
●尾鷲由香(fa1449)VSリュアン・ナイトエッジ(fa1308)
最後の戦いは、男女の混合戦である。
合掌で礼をしているリュアンに、きりっと対戦相手を見やる尾鷲もといイーグル。
お互い、さまざまな格闘技を併せ持った磐石の格闘家同士である。
ある意味、もっとも技巧的な戦いが見られるのはこの戦いかもしれない。
そして、ついに戦いが始まった!
緑のリングコスチューム、イーグルが先手で間合いを詰めての横蹴り。
しかし、対する胴着姿のリュアンもスピードには覚えあり、相手と同時に動き始めてなお先手が取れる速度が強みだ。
お互い高速戦闘を得意とする両者、その攻防は最初から最高潮である。
イーグルの蹴りを距離を詰めつつかわすリュアン。
そのリュアンに対して、イーグルは接近してショートアッパー。
アッパーをリュアンは横から掌で払いのけるが、イーグルはさらにアッパーの手を返して肩をつかんで膝蹴り。
これをリュアンは両手で受け止めて衝撃を殺す。
イーグルは追撃、密着体制で膝を下ろして狙うはリュアンの膝。
踏みつけの一撃を、リュアンは膝をずらして回避、そのまま相手の足を自らの膝で払って体制を崩させる。
わずかに体勢を崩したかに見えるイーグルに、至近からの掌打。
しかしこれをイーグルは、体軸をひねって回避、距離を離しつつローキック一閃。
膝裏への一撃を腰を沈めてリュアンは受け止め、両者は再び距離をとる。
ここまでの攻防が、ほぼ一呼吸。すでに漫画や映画の領域の超高速戦闘である。
イーグルがローを連打して責めれば、歩法で距離を詰めたリュアンは拳打から肘のコンビネーションを距離を詰めながら。
それをイーグルがかわすと、とっさにリュアンは後ろに引く。
その眼前を通り過ぎるのはテコンドー仕込みのハイキック。
これを気配でかわしたリュアンだが、イーグルの蹴りはとまらない。
ハイキックから、軸足を入れ替えての後ろ回し蹴り!
リュアンは下がってかわす。追撃は、回し蹴りの勢いで前に詰めながらの、強烈なかかとおとし!
リュアンの前髪をかすって落ちる一撃、しかしリュアンはさらにかわす。
だが、イーグルは踵落しから、さらに追撃、さがった足を今度は軸足に切り替えて、飛ぶ込むと、両拳で同時突き!
それを受け止めたリュアンは、イーグルの腕を取っての引き込みながら、反撃の一撃!
超至近距離から掌によるアッパー。これをイーグルは顔をそらして華麗にかわす。
しかし、リュアンにとってはそれは予想のうち、掌打を放った腕を返して、みぞおち狙いの肘!
これを予測していたイーグル、腕を挟みこんで肘打ちを殺す。
だが、リュアンのさらなる攻撃は、イーグルの首をつかんで首投げ!
これにはさすがにどうしようもないかと思われたが、イーグルは投げられるつつ、空中で足を大きく振ってバランスを取る。
そのまま相手のを突き飛ばして、空中で身をひねり足から着地。投げを抜けたのである。
双方、カスった打撃はあるものの、クリーンヒットは一切無し。
だが、すでに両者の攻防は最終局面であった。
零距離での高速攻防は続く。
イーグルは得意のコンビネーション、蹴りから、左右の連打につなげ、アッパーで身と引いたところにまわし蹴り。
縦の打撃から、横の打撃への連続は回避しにくい。
しかし、リュアンはこれをしのぎつつ、カウンターを狙って守りに徹する。
そして、ついにリュアンは待っていた大降りの攻撃が。
いかにテコンドーの優れたバランス感覚があっても、回し蹴りは好きの多い攻撃である。
その合間に一気に距離を詰めたリュアン、回し蹴りに被弾するも、打点がずれれば威力は半減だ。
ほとんど密着状態からの打撃はリュアンの隠し球、零距離からの掌底連打だ。
みぞおちから正中線を連打し、さらにアッパーへと。
しかし、最後の最後でなんとイーグルもカウンター。
彼女もこの密着状態で打てる技が残っていた。それはワンインチパンチ。
寸勁とも言われる打撃は、全身のバネを使っての零距離での有効打撃。
交錯する寸勁と零距離掌打。その結果、リングに立っていたのは‥‥。
リュアンだった。
狙って放ったリュアンと、とっさにはなったイーグル、その差が出たのである。
こうして、ラストの試合も決着し、リュアンは倒れたイーグルに手を差し伸べて引き起こし。
観客からの万雷の拍手と、歓声に応えるのであった。