映画 ボムフリーク!南北アメリカ

種類 ショート
担当 雪端為成
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 4.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/28〜12/04

●本文

「‥‥で、火薬はどれだけ使えるんだ? バスは何台ぶっ飛ばしていいんだ?!」
 物騒なことを言いながら、うろうろしているのは壮年の男。
 もじゃもじゃの髭と、怪しげな丸めがねのこれでもかと怪しい男である。
 彼の名は、イザーク・ハイネマン監督。
 破壊と爆発をこよなく愛する個性派映画監督である。
「なぁに? バスは一台だけで、飛行機はダメだと! まったく、それでどう見せ場を作ればいいというのだ!!」
 ダンっと机を拳で叩くイザーク監督。
「もういい、その代わり湾岸の倉庫一棟爆発させるのは絶対に譲れんからな!」
 がーっとひとしきりプロデューサーに怒鳴りつけると、再びシナリオに向き直る監督。
「すぐ俳優を集めてもらって、撮り始めるぞ! ‥‥なるべく丈夫な奴らを頼むぞ!!」
 その怒号を背中に受けてプロデューサーはすたこら逃げていくのだった。

 【企画書】
 ●ストーリー概要
 >爆発の美学を追及する爆弾魔(美学に基づいて死者は出さない)。爆発。
 >その爆弾魔を捕まえる特捜チームとのスリリングな追跡劇。爆発しまくれ。
 >ラストは爆弾魔が爆発の向こうに消えてEND。派手に。ひたすら派手に。

 ●中心シーン
 1.遭遇シーン。特捜チームと爆弾魔が対峙。程よく爆発。
 >ショッピングモールにて特捜チームから逃げる爆弾魔。ショッピングモールがいろいろ爆発。爆弾魔は逃げ切る。
 2.カーチェイスシーン。カーチェイス&爆発。
 >建設中のハイウェイを爆弾魔が逃走。バスで逃げる爆弾魔を追う特捜チーム。地雷投下やらで逃げる爆弾魔。ラストはバスが爆発させて爆弾魔は逃げ切る。
 3.クライマックスシーン。最大の爆発。
 >湾岸の廃倉庫に追い詰められる爆弾魔。爆発する倉庫に消え行く爆弾魔をただ見ているしかない特捜チーム。

 ●募集人員
 ・脚本家。いなければこちらで用意されますが、その場合台詞はこちらで決めます。
 ・爆弾魔役。最大二名。キレた台詞が多くなる予定。
 ・特捜チーム役。残り全部。爆発に巻き込まれまくる予定。死なないように。

 ●注意事項
 ・爆発はリアルさを追求するので、実際に爆発します。気合で耐えてください。

 さて、どうする?

●今回の参加者

 fa0095 エルヴィア(22歳・♀・一角獣)
 fa0757 グリード(24歳・♂・熊)
 fa0836 滝川・水那(16歳・♀・一角獣)
 fa1077 桐沢カナ(18歳・♀・狐)
 fa1080 タイガーエース(24歳・♀・虎)
 fa1234 月葉・Fuenfte(18歳・♀・蝙蝠)
 fa1266 百瀬 愛理(17歳・♀・猫)
 fa1734 白夜 涼乃(22歳・♀・鷹)

●リプレイ本文

 サイレンを響かせてパトカーが道路を走る。
 その上にタイトルロール。監督はイザーク・ハイネマン。脚本はグリード(fa0757)。
 そしてタイトル。爆炎を象ったロゴで『ボムフリーク!』

 最初に映し出されたのは月葉・Fuenfte(fa1234)。
「客の避難は完了しましたか? ‥‥わかりました、それでは踏み込みます」
 場所は駐車場。陣頭指揮を執る月葉がショッピングモールの担当者と交渉中だ。
「それでは、正面から入りましょう。今日こそあの爆弾魔を捕えてこの追いかけっこを終りに!」
 月葉が言うと、他の四名の特捜チームの面々が頷く。
「いつまでも好きにさせるわけには行かないよ」
 防弾ベストのチャックを上げて桐沢カナ(fa1077)が。
「よっし、準備オッケー♪ 今日こそ頑張るよ〜」
 手にした拳銃のスライドを引いて薬室に初弾を送り込んで撃鉄を起しコック&ロック。拳銃を戻す白夜 涼乃(fa1734)。
「あの人を止めることはできないのかしら‥‥」
 肩口のトランシーバーを作動させつつ視線は遠くショッピングモールへ。ぽつりと呟くエルヴィア(fa0095)
「準備できましたよ、先輩」
 ぎゅっとブーツの靴紐を結びなおすと顔を上げてチームの面々を見やるのは新人捜査員の滝川・水那(fa0836)。
「はわわ〜、皆さん待ってくださいよぅ〜」
 1人軽装で慌ててチームの面々を追うのは百瀬 愛理(fa1266)。
 そしてわたわたと追うアイの表情がアップ。野暮ったい眼鏡に隠されて全ては見えないが、口元には不敵な笑みが‥‥。

 がらんと静まり返った大きなショッピングモール。靴音高くチームの面々が駆け込んでくる。
 周囲を警戒しながら整然と進むチーム。そこに哄笑と共に声が降ってきた。
「やあやあ、チームのみなさん。いつもご苦労様なことで」
 くつくつと笑いながらチームを見下ろす女。
 吹き抜けを見下ろすような形で二階に立っているのは顔の上半分を覆う虎の覆面を被ったタイガーエース(fa1080)だった。
「これ以上逃げ続けてもどうにもならないわ!」
 真正面からエルヴィアがエースに対峙して声を上げ、同時に月葉と涼乃が銃を向ける。
 するとエースはにやりと笑い、大きく開いた胸元からスイッチを取り出して見えるようにかざすとかちっと押す。
 するとその瞬間爆音と共に正面入り口が崩れ落ちる。それを見ながらエースはくるりと踵を返して視界から消える。
「あっ! 入り口近くにはアイがいたはずですっ!」
「ちっ、エルヴィア、アイの安否を確認しろ! 他は各自散開して補足だ!」
 月葉の檄が飛ぶ中、爆発を背にチームの面々は走り出すのだった。

「そこまでだ、爆弾魔っ!」
 吹き抜けの間を通る渡り廊下の上を走ってエースを追いかけながら声を上げるミナと無言で銃を向ける涼乃。
 渡り廊下の向こう側には暢気にガムを噛んでいる爆弾魔。
「撃たれたくなかったら大人しくするんだよ」
 ぴたりと狙いをつけた涼乃が言う。しかし爆弾魔はそれを見てもどこ吹く風。
 風船ガムをぷーっと膨らませると、それをちょいちょいと示してから上を指差す。
 2人がちらりと上を見上げると、3階の渡り廊下の裏にガムで貼り付けられた遠隔操作式の爆弾が。
「ばいばーい♪」
 ぱちんと風船がムが割れてにっこり笑う爆弾魔エース。スイッチを入れると爆音を上げて渡り廊下が崩れ落ちてくる。
「わわわっ! どうしよ〜!!」
 慌てる涼乃の声を背に、落ちてくる渡り廊下を避けて2人は下へと飛び降りる。
 ミナは下にあった巨大な雪だるまの空気人形を下敷きにして。涼乃は、一階の大きな噴水に飛び込んでびしょぬれに。
 爆発と破片が制服にいくつも切れ目をいれ、水を滴らせながら涼乃の白い肌が覗く。しかし立ち止まっている時間は無い。
 二階の渡り廊下をも巻き込んで崩れ落ちてくる破片を避けながら2人は慌てて逃げ出すのだった。

 ショーウィンドウの並ぶ一階を走るカナ。背後で渡り廊下が崩落した音を聞く。
 すると落下に合わせたかのように、背後のショーウィンドウが順々に爆破され、ガラスを撒き散らす。
 飲食店のサンプルや、ウェディングドレス、電化製品が粉々となった破片を背に受けながら、カナはひたすらに走り抜ける。
 遠くに見えるのは駐車場へと向かう爆弾魔の背中。
 必死で追いすがりながら、爆発が続く廊下を駆け抜ける。
 ついに爆炎がカナの背中を焦がし、煙に飲み込まれるカナだったが‥‥間一髪、体を丸めて転がり出たカナの背後で天井が一部崩れ落ち爆発が納まる。
 肩で息をしながら、カナは立ち上がるとトランシーバーに向かって。
「‥‥月葉! 爆弾魔は駐車場に向かってる!」

「恐らくは何か乗り物を確保する心算でしょう。駅やバス停留所周辺への警備を強化!」
 仲間の声を聞きながら月葉が携帯電話で待機している外の仲間たちへと支持を飛ばす。
 彼女はいくつもの情報を捌いて指示を飛ばしていたのだが、その中に信じられない一言が入っていた。
 無線機から響く悲痛な声はエルヴィアだ。
「アイは入り口付近にいませんでした‥‥彼女は爆弾魔の協力者です!!」

 チームの面々はショッピングモールの内部を駆けつつ、会話を交わす。
「アイが裏切り者だなんて、なにかの間違いじゃないの?」
 先頭を行くカナが問いかけると数人が同意するのだがエルヴィアはやはり言う。
「でも、アイの姿はどこにもなかった‥‥持ち場を離れていた上に、彼女が持って来たここの情報は改竄されていたわ」
 真実がどこにあるのか見えずにチームの面々は思い悩む。しかし現実は非常であった。
 駐車場には爆弾魔が1人立っているのを見てチーム一同が銃を構えた瞬間、割り込むようにしてバスが停車。
 その運転席にはやはりアイの姿が。
 悲しむ者に、怒りに燃える者。そんな特捜チームの面々を尻目に爆弾魔を乗せたバスは走り出してしまう。

 舞台は変わって建設中のハイウェイ。先を行くバスを追う特捜チームは数台のパトカーに分かれて乗っていた。
「これ以上の人員動員はできないですって‥‥!? 市民に被害が出てからでは遅いのですよ!? せめてヘリの出動を!」
 エルヴィアが運転する車の助手席で本部と連絡を取っている月葉。
 前方を爆走するバスからは時折ダイナマイトや地雷が投げられ、それに巻き込まれて応援はどんどん脱落していく。
「きゃはは☆どっかーん♪ おらおら、吹っ飛びやがれ〜☆」
 けらけらと笑いながら地雷を投げ続けるのは本性を露わにしたアイ。爆発に目を輝かせるその様子は無邪気そのもの。
 しかし振りまいているのは本当の破壊。その様子を横目にもう1人の爆弾魔エースも目を細める。
「しまったっ!」
 カナがハンドルを握る車が地雷を避けきれず、スピン。派手にハイウェイの壁にぶつかって停止する。
 同乗していたミナと涼乃がやっとのことで車から抜け出すと、その頭上をヘリが飛んでいく。
 バスの真上につけるヘリ。ハイウェイの端で止まるバス。しかし、その瞬間バスが大爆発。
 ヘリをも巻き込んで爆発。その中を爆弾魔たちが乗った別の車が間一髪で逃げるのであった。

 時刻は夜、煌々とライトが照らす中チームが包囲しているのは古びた倉庫。
「もう逃げられないわ‥‥これで終りにしましょう」
 仲間に向ける銃口は躊躇に震え、エルヴィアの声はかすれて響く。
「内通者の可能性は考えていましたよ‥‥どうも動きが読まれすぎていると思いましたから。しかし、まさかあなたがそうだったとは」
 邪悪な笑みを浮かべたアイを睨みつけながら月葉が告げる。
「もはや逃げ道はありません。大人しく武装を解いて地に伏せなさい」
 しかし淡々と告げる月葉に対して、2人の爆弾魔は不敵な笑みを返すばかり。
「貴方のことは‥‥ずっと仲間だと思っていたのにっ!!」
 エルヴィアの悲痛な叫び。しかしその声は届かない。
 かちりと爆弾魔がスイッチを入れると、倉庫自体が火の海に。
「なっ! あれじゃ自殺行為じゃない!」
 崩れ落ちる鉄骨を避けて、カナが叫ぶ。飛び交う手榴弾と爆発が夜空を彩る。
 爆炎で捻じ曲がる壁に、へし折れる梁。天井が落下してきて特捜チームの面々は慌てて退避する。
 しかし火の勢いはとどまらず退路すら塞がれてしまう。そこに一台の車が火の壁を割って飛び込んでくる。
「早く乗ってくださいっ!」
 遅れて登場したのは、車を壊された涼乃とカナとミナ。
 車ごと揺さぶられてたたらを踏む涼乃たちだったが、なんとか車に乗り込むと火の海を走り抜ける。
 響く爆弾魔たちの哄笑と爆炎を背に走る車。悲痛なエルヴィアの表情がアップになる。
 そのとき助手席の月葉がぐしゃりと地図の端を握りつぶす。
「最後まで‥‥我々は出し抜かれっ放しだったと、いうコトですか‥‥」
 事件のあった点が記された地図。その場所が描いていたのは、巨大な爆弾の図だった。

 そして流れるエンドクレジット。アイの歌声とともにところどころにメイキングシーンが。
 グリードとミナが一同に受身を教えている場面に、エルヴィアが怪我をしたミナの手当てをしている場面。
 なんだかへこたれている涼乃にカメラが向ければ、涼乃が笑顔を浮かべて手をふってみたり。
 そして最後は監督のイザーク・ハイネマン監督が立ち上がって拍手をしている撮影終了の時。
 これにて映画は幕を閉じるのだった。 −FIN−

●ピンナップ


滝川・水那(fa0836
PCシングルピンナップ
大橋直人