STAR☆SHIP南北アメリカ

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/22〜02/26

●本文

●アクター募集サイト
 ――宇宙ステーションから幾つもの船が当たり前のように行き交う未来。
 宇宙の広がりを表現するかのような幻想的な曲をバックに、CG映像が浮かび上がる。
 ――様々な仕事が星々の瞬きの如く誕生し、輝いては消えた。
 これは、宇宙船内外で働く者達の生き様を描いた記録である――――。
 飛び交う宇宙船の一隻にカメラがズーム。ワイヤーフレームの船内を映し出し、鳴り響く音楽は軽快な弦楽器の音色を奏で出す。
 ――スターシップトランスポート。
 依頼されれば何でも運ぶ所謂宇宙の運び屋である。
 さあ、新番組のSF舞台を彩るのはキミだ――――。
 興味を抱いたアクターは☆←ここをクリック!!

●各種設定
・会社名:SST(スターシップトランスポート)。
 会社ロゴは、薄いブルーのライングラデーションに☆を散らせた傾斜の書体。
 宇宙ステーション内の一郭に本部があり、輸送依頼が届くと共に、キャリアークルーが宇宙船で目的地へ急行。
 マスコットキャラは☆の模様の入ったリアルタイプでクールな感じのイルカのエンブレム。

・コスチューム。
(基本制服)
 襟幅広めのマオカラーのワークシャツ&パンツ。会社のロゴを左胸。右の上腕部にマスコットキャラのエンブレム。衿とロゴの下に役職を示す☆と横ラインの階級章。隠しボタンでスッキリと纏まっており、色は紺地でボディの両サイドに白の立て帯ライン。
 女性用はスラリとしたデザインで、下はスカートとパンツの選択式。
(正制服)
 マオカラーのスーツ上下。カラーリングは基本と一緒。受付嬢は帽子付。
(宇宙船内作業服)
 つなぎタイプ。豊富なポケットが施されている。背面にエンブレム。

・ヒップバッグ内装備品
 携帯通信機(人工頭脳とリンク。ディスプレイで色々遊べるらしい)
 非常時用武器(小型のエネルギー銃)  

・舞台関連設定
(船内人工頭脳:コズミック・コース・アシスタント)
 通称ココア。立体ホログラム化可能。船内中枢に設置されているコンピュータ。

(植物の種(名称変更可))
 時間が経過すると急成長してしまう植物。自己防衛本能により、敵対者と認識すれば触手で攻撃。弱点は要相談。

(宇宙ネズミ(名称変更可))
 食料さえあれば短時間で爆発的に繁殖してしまう小型愛玩生物。人間も餌として認識するかは要相談。

(グリーン・スペース)
 平和主義団体。引き受ける依頼によりリーダーとして登場可能。

(ブランシュ)
 銀河連合の大国。ヘルファイヤの製作をしていた。現在はミサイルコア本体と製作データを二人の博士が盗んでおり、完成させる事が不可能となっている。

(ヘルファイヤ)
 恒星を1発で破壊しその星系を消滅できる実験中の中型ミサイル。コアは小さいが不安定で、衝撃を与えると大爆発する危険な物。コアは予め用意されたタンクに入れられており、ダミーのタンクと共に積載。

(アブサンドーラ帝国)
 銀河連合の敵国であり、爬虫類型人類。引き受ける依頼により戦艦艦長として登場可能。

(純朴な星)
 緑色を主とし素朴さが溢れる。人工頭脳を持つロボットが所々歩いてはいるが、全体的にレトロ。丘に建つ教会と海を泳ぐ海豚が神秘的。

(都市とプラントの星)
 数え切れない工場から灰色の煙が噴出している。星に住む者は何かしらの病を抱えている。遠くの都心では蛍光色の光が眩い。

(密林の星)
 肉食の植物や綺麗な実をならす草木。木々の間を蔦が這い誰も踏み込んだ事のない自然の世界が広がる。

(砂漠の星)
 町並みは全て砂のような色。人々の雰囲気も冷たい印象。時折砂嵐が吹き荒れ、人々を悩ましている。

●選択型プロット
(起)SSTに依頼が数件入っているとの受付嬢。今回の仕事で運ぶ事となるのは――――
<植物の種>
<宇宙ネズミ>
<ヘルファイヤと呼ばれるミサイルのコアと二人の博士が所持しているデータ。目的は破棄>

(承)引き受ける仕事を選択後、早速輸送を開始するSSTキャリアークルー。しかし――――
<メインパイロットが倒れてしまい、航行が困難を極める>
<宇宙ネズミのツガイがカーゴルームから脱走。クルー総出で捜索>
<ヘルファイヤを手中に納めたい帝国戦艦が執拗に追跡>

(転)事態は坂道を転がるように悪化してゆく。その事情は――――
<時間が経過して急成長した植物が触手をウネウネカーゴルーム大パニック!!>
<尋常じゃない早さで繁殖してゆく脱走した宇宙ネズミに船内大パニック!!>
<船内に内通者がいるのか? 火器管制システムとワープエンジンが壊され、コアとデータと博士を引き渡す様通信して来る帝国戦艦>

(結)何とか苦難を乗り越え目的の惑星(名称変更可)である――――
<都市とプラントの星><純朴な星><密林の星><砂漠の星>に到着して‥‥。

●アクター募集区分(文字数都合上重複部分は割合)
・SSTクルー:(複数OK・性別不問)。
 本編を彩る主役達です。様々な演技とシチュエーションでアピールしましょう。
 役名:演じるキャラの名前です。芸名でもOK。
 役柄:どんな職務を担当しているか簡潔に。
(例)艦長、操舵、通信など。
 性格:演じるキャラの性格です。
 衣装:設定に合わせた範囲で着こなし着崩しOK。
 演技:要の部分です。登場場面を演出脚色して下さい。台詞歓迎☆

・SST受付嬢:(若い女性)。
 冒頭で依頼を斡旋する受付嬢です。その後は演出次第でモニター通信による登場可能。
 役名と性格:同上。
 衣装:同上。但し、正制服で帽子は必須。
 演技:要の部分です。台詞歓迎☆

・船内人工頭脳コズミック・コース・アシスタント(性別不問)。
 SST宇宙船内コンピュータです。設定に合わせて演出演技して下さい。
 性格と演技:同上。
 衣装:立体ホログラム化した際の衣装です。

・その他の配役(性別不問)。
 設定の範囲内で今回の依頼に関連させる事が可能な登場人物です。
 役名:演じるキャラの名前です。芸名でもOK。
 役柄:グリーンスペースのリーダー、博士AB、帝国戦艦艦長や受け取り人など。
 性格と演技:同上。
 衣装:どんな衣装か簡潔に。 

 選択画面の最中、バックで軽快なリズムで音色と音声が流れ続けていた。
『♪こちらSST−QQ−VII。手軽で頼りになる会社。ちっさなことから大仕事まで、気軽にメールをくれたなら、あなたのところに即参上。すぐさま解決、低料金。メールの宛先SST−QQ−VII♪』


「こんなところか‥‥」
 サイトを眺めてサングラスの男はボソリと呟いた。
「多少荒削りだが、仕方がない。後は役者の魅力で引き立てて貰うしかないな。興味があれば一日で募集枠が埋まるだろう。一日で埋まらなければこの作品は一回限りだな‥‥」
 アクターが興味を示さない作品を視聴者が興味を抱くとは考え難い。
 まさに、この企画の命運はアクターに委ねられたのである――――。

●今回の参加者

 fa0180 辰己 翼(18歳・♂・竜)
 fa0184 池田屋つきみ(34歳・♀・兎)
 fa0769 凜音(22歳・♀・一角獣)
 fa0858 シャミー(15歳・♀・猫)
 fa1828 鐘下べる(20歳・♀・小鳥)
 fa2605 結城丈治(36歳・♂・蛇)
 fa2772 仙道 愛歌(16歳・♀・狐)
 fa2926 彼方 菖蒲(18歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文

●プロローグ
 SSTロゴの刻まれたドアが斜めにスライドする中、胸元が窮屈そうなマオカラーのスーツに身を包む鐘下べる(fa1828)演じる受付嬢ベル・ベルが眼鏡の奥の瞳を和らげ、にっこりと微笑んだ。帽子の乗った赤いロングヘアがフワリと揺れる。
「いらっしゃいませですよ〜☆ お仕事ですか? 輸送はコチラですよ〜♪」
 スッと右手をあげると共にホログラフィーが浮かび上がる。ベルと対峙する者が指で押すと、再びニコニコと口を開く。
「はい☆ ヘルファイアのコアと博士の輸送ですね〜♪ 砂漠の星まで運ぶのが目的ですよ〜。ただし!」
 人差し指を出し、真顔で身を乗り出すが、直ぐに満面の笑みに変わる。
「銀河連合の大国が関わっており、コアは博士が盗んだものですよ〜。ちょっと危ない積荷ですけど〜これで良いんですか〜? ‥‥はい☆ がんばってくださいですよ〜☆」

「こちらブリッジです。ココアのメンテナンスは終わったのですね? 了解、ご苦労様でした」
「は〜い、みんな元気〜♪」
 元気な声を船内に響かせ姿を見せたのはシャミー(fa0858)演じる操舵士エリカ・リュウザキだ。襟幅広めのマオカラーのワークシャツとパンツルックの少女は、ピンクのスカーフで二の腕の袖口を可愛らしく固定している。エリカの声にヘッドセットを装着したパメラ・マーゴット通信士を演じる凜音(fa0769)が端整な風貌に微笑みを浮かべ、黒いロングヘアを揺らし振り向く。彼女はSST制服をきっちりと着こなし、下半身はスカートだ。
「ハイ、エリカ」
「リリィはまだなの? おやっさんは?」
「あの娘なら買物に行ったわ。マーク艦長は艦長室でコレクションを眺めているんじゃない?」
「好きよね〜。こんなに美人ばかり集めて壷に夢中とは」
 オーバーに呆れるエリカ。そんな中、船内のハッチが開き、仙道 愛歌(fa2772)演じる砲撃士のリリィ・スーが姿を見せた。束縛を嫌う性かSST制服の胸元を開きラフに着こなした少女は、パンツルックの膝を押え、荒い息を吐きながら瞳を向ける。
「どうして遅くなったかって? エレベーターの故障を感じたから走って船まで戻ったの」
「聞こうと思ったけど未だ聞いてないわよ〜。超能力で心の中を読み取ったのね?」
「正確には違うわ、私がそう感じただけよ☆」

「‥‥いい壷だ」
 マーク・ベイツを演じる結城丈治(fa2605)は、夥しい様々な壷の置いてある部屋で至福の一時を堪能していた。恍惚とした表情を浮かべる中、パメラの声が響く。
『マーク艦長、積荷が到着します。ブリッジへ来て下さい』
 壮年の男はニヤニヤと壷を眺めていた瞳を通信機へ流し、太い腕を伸ばすとスイッチを入れる。
「了解した。ココアを起動させ、発進準備を進めてくれ。私も直ぐに向かう」
 マークはSST制服をビシッと整え、一通りコレクションを眺めてハッチを開いた――――。

 ――闇の中、異形のシルエットが威圧感のある声を響かせる。
「そうか‥‥そちらはうまく行ったみたいだな。あとは、手筈通りにしてくれたまえ。‥‥ヘルファイアか‥‥後は、連中が自爆しなきゃいいが‥‥」

●STAR☆SHIP
 ――自称『宇宙一速い輸送艦』ペガサス。堅牢で対弾性に富んだ旧式の船体設計に、高速巡洋艦の最新型動力炉を転載し、側面と後方にのみ搭載砲が集中している比較的小型の装甲輸送艦だ。宇宙の運び屋が今回受けた依頼は果たして――――。
『艦内環境維持システム‥‥重力1G、室温22°C、1気圧にて正常作動中です』
 ペガサスに少女の声が響き渡っていた。
「FCS管理下の全兵装に異常はありません。では、いつものようにコース予定図を転送しますね♪」
 にこやかにクルーに顔を向けたのは、SST制服に淡い茶色のストールを巻いた、ポニーテールの少女だ。全身を淡い光で覆われたココアを演じる彼方 菖蒲(fa2926)は何処か嬉しそう。立体ホログラム化した船内人工頭脳にエリカが訊ねる。
「ご機嫌だね、ココア」
「はい☆ メンテナンス明けでちょっと調子がいいので♪」
 クルリと回って微笑むココア。刹那、ハッチが開き、艦長と共に客人がブリッジに姿を見せた。白衣の女性はホログラム化した少女に瞳を爛々と輝かせる。池田屋つきみ(fa0184)演じるダイアナ・ロッサ博士だ。
「まぁ☆ 可愛らしいコンピュータですこと。おとなしそうで真面目な、どこにでもいそうな女の子のデザインね♪ どなたの趣味ですの?」
「‥‥みんな紹介しよう。ヘルファイアを設計した権威ダイアナ・ロッサ博士だ」
「おほほほほ、嫌ですわ。わたくし、そんなに凄いというわけではありませんのよ?」
 口元に手を添えて微笑むダイアナ。たおやかな物腰は気さくなおばさんという感じだ。恒星を1発で破壊しその星系を消滅できる中型ミサイルを設計したのだから、凄くない訳がない。
「ココア、ダイアナ博士を部屋に案内してくれ。エリカ発進準備は良いか?」
「いつでもOKです」
 慣れた手捌きで次々とスイッチやレバーを操作し、舵を握る。船内に甲高い起動音が響き渡ると共に、固定具が解除された振動に合わせてフワリと浮き上がる。続いてパメラが口を開く。
「周辺に船体ありません。ステーションより発進許可」
「では行こうか。ペガサス発進!」
「ペガサス発進します!」
 急激なGに奥歯を噛み締める中、一気に宇宙の大海へ飛び出すペガサス。船体を光の粒子が駆け巡り、吸い込まれるように空間から消失した――――。

『輸送艦の転移を確認しました』
「さて、来たな‥‥皆の物、行くぞ!」
 シルエットのみだった姿が浮かび上がる。辰己 翼(fa0180)が獣化して演じる爬虫類型人類ゼノアリッヒ・シュメイアー大佐だ。滑らかな銀色の鱗に包んだ容姿は攻撃的なフォルムに包まれていた。
 宇宙の大海原に浮かぶペガサス後方に、ゆっくりと姿を現す帝国特装巡航艦『ライン・シュバルツ』。500m級の巨艦と比べ、輸送艦はあまりに小さい。
「後方に艦影を確認しました! 帝国の船! どうして、ここに!? エネルギー集束! 撃って来ます!」
 パメラがレーダーを確認し、青い瞳に動揺の色を見せた。脳裏に浮かぶはベルとの確認通信。
「回避急げ! リリィ、応戦用意!」
「FCSキャッチ! サイコビー出します! 見える、私には見えるわ」
 瞳を研ぎ澄ます射手。彼女の精神に呼応する如く搭載砲が動き、1mサイズの無人超小型戦闘機が6機飛び立つ。刹那、互いの砲塔が閃光を発した。極太の粒子ビーム砲が掠める中、輸送艦の砲撃とサイコビーのビームは艦体表面で弾かれ、傷一つ付かない。リリィが舌打ちする。
「艦長! 敵艦はコーティングされています!」
 そんな最中、光の粒子と共にココアが姿を見せた。少女は肩を抱いてガタガタと震える。
「‥‥何でしょう? 思考にノイズが‥‥。恒星のフレアバーストによる宇宙嵐もないのに‥‥や、やだぁっ! 何か来る‥‥こ、来ないでぇぇぇっ!」
 刹那、FCS、ワープドライブ使用不能の文字が画面を躍り出す。艦内に警告音が鳴り響き、レッドアラートを示す光が彼方此方で点滅する。
「FCS制御不能!」
「艦長ぉ〜振り切れません〜」
 いつも元気なエリカも涙目で弱音を吐く。マークは笑顔を絶やさず精神的支柱を担う。
「よしよし、泣かなくていい‥‥やれやれ、帝国はまだ100年戦うつもりか」
 混乱する艦内。その時だ、狭いモニター一杯に将官服を着た銀竜が映った。
『我輩は、帝国特務艦隊のゼノアリッヒ提督である。こちらの望みは博士とヘルファイアだけだが、大人しく渡せばこのまま引いてやろう。さもなくば‥‥』
「敵艦砲塔カーゴルームにポイントしています! でも、どうして帝国が航行ルートに先回りできたのかしら?」
(「スパイがいるの? でも敵意なんて何処にも感じないわ‥‥私の超能力で看破されない存在‥‥まさか!」)

「え? あの娘が内通者に仕立て上げられているですって?」
「えぇ!? 嘘!」
 リリィから説明を聞いたダイアナとパメラは素っ頓狂な声をあげた。
「分かりましたわ。中枢ブロックに案内して下さる?」
 博士はクルーと共に移動すると、コンソールパネルに向けて鮮やかな手捌きでキーを叩く。モニターに表示されたのはウイルスの文字。彼女がココア本体を見上げる。
「わたくしが指示しますから手伝って下さい」
 一方、艦長はゼノアリッヒ提督と交渉と言う時間稼ぎ中だ。
『さて、取引の返事を聞かせて頂こうか』
「‥‥カーゴルームからコアを射出する。博士は準備が整い次第、お連れしよう」
『艦長、ココアのウイルス除去成功しました』
 マークの瞳がエリカを射抜く。操舵士の少女は頷いた。ダミータンクが射出される中、艦長の指示が飛ぶ。
「ワープ!!」

●エピローグ
「可哀想だよね‥‥仕えるべき主人に対して悲しみを運ぶしか出来ないなんて。私だったらそんなの嫌だな‥‥だって、私達は人間を幸せにするために造られた筈だよね‥‥?」
「そうですわね。元々は地殻変動で星の環境を変えて人の住める星にする研究だったの。この星で続けるつもりですわ」
 ヘルファイアのコアを砂の大海深くに投棄した後、博士は艦を降り、上昇してゆくペガサスを見つめた。
「こちらペガサス。無事完了よ‥‥こんな危険は橋は暫く渡りたくないわ」
『はい☆ SST本部了解ですよ〜。お疲れ様でした〜♪』
 ベルの労いの言葉が流れる中、宇宙一速い輸送艦は宇宙の彼方へ加速した――――。