ヴァルキリーインパクトアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/01〜04/05
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●本文
●TVCM
――今、世界には様々な格闘技が溢れ、TVで放送されている。
男達は鍛えた拳や技を酷使し、最強という称号を得る為に闘い合う。
だが、戦う戦士は男ばかりではないのだ。今や女がリングに上がり様々な格闘技に身を投じている。
そう、時代は戦乙女を必要とし、現代に甦らせたのだ!!
ヴァルキリーインパクト。これは立ち技のみの格闘技である。
白魚の手をグローブという武具で固め、魅惑的なボディを様々なコスチュームが彩りを与え、艶やかな長髪が揺れ、しなやかな白い足が薙ぎ振るわれ、スカートが舞う!
彼女達が4月1日に再び降臨! 今度のヴァルキリーは果たして!!
近日、TVスポットが当らなかった戦乙女達の肢体が公開される!!
只今、ヴァルキリーインパクトでは出場者募集中!!
――注意!! よくオープニングを読んで参加して下さい!! いつもと違います!!
「エイプリルフールにヴァルキリーインパクトっスか!?」
担当者は素っ頓狂な声を響かせた。何ゆえ女子格闘技が『嘘の日』に放送される必要があるのだ。
「ヴァルキリーインパクトの女子格闘技だからこそ、逆手に取るのですよ」
洒落た眼鏡の優男が微笑んで見せた。次に若い女が落ち着いた声を響かせる。
「つまり、若い男性に女装して対戦してもらうのよ。以前、心は女性として参戦した少年(こ)がいたわよね? エイプリルフールなら構わないでしょ?」
「どーだ? 司会者やリポーターには内緒、勿論観客にも内緒だ。視聴者は最後まで試合を見て驚愕するって仕掛けだ。面白そうだろ?」
「はあ‥‥応援した戦乙女が同性と分かればショックも大きいと思うスけど‥‥」
担当は気ノリしないようだ。確かに迷惑を掛けるような嘘ではないが‥‥需要はあるのか?
「あら? 最近は女顔も増えたじゃない♪ 意外と女の子より女の子らしいかもしれないわよ?」
「化粧を施し、特殊メイクで胸を作れば見た目は女性になるでしょうね」
「‥‥胸って、試合中に取れたらどうするんスかぁ」
「ショッキングだろうなぁ、格闘中リングに落ちたりしたら! まあ冗談だ。腕の良いプロはいるだろうよ。兎に角、やるぞ、やれ、以上だ」
「‥‥了解ス。取り敢えず、なるべく女装の似合う素人さんが集まる事を祈るっス」
担当は深い溜息を洩らした――――。
●試合形式
グローブを嵌めての4分1ラウンド制。
2ノックダウンシステム。
投げ、関節技は無し。膝蹴りOK。手足以外での攻撃、及び背後からの攻撃は反則。
勝負はKO・TKO・判定で決定。
エンターテイメント性を高くしており、衣装は組み技が無い為自由(但し金属物が付いたものは禁止)。
●募集区分
・ヴァルキリー(女装が似合う少年青年。格闘技未経験者でも参加OK)
試合を行う選手です。コスチュームは自由。
格闘スタイル・得意技(コンビネーション等)・自己PR・どのように試合を組み立てるのか明記。
・コスチュームデザイナー
選手のコスチュームを製作する方です。アピールポイント明記。
選手紹介時に記録映像としてデザイナー紹介が流されるかゲストとして映ります。
注意点:突起物や鉄製のものは止めましょう。
・メイクアーティスト
選手を培った技術で美しく見せる方です。尚、特殊メイクもこの区分に入ります。控え室でアピールポイントを訊かれるかもしれません。
・入場音楽作曲家
選手の入場シーンの音楽を担当する方です。但し、既に出している音楽は却下です。
アピールポイント明記(選手の何をイメージして作った曲か、どんなリズムの曲か等)。
・実況
状況を視聴者に伝える方です。選手のキャッチコピー等明記。
殆ど実況で状況が伝えられます。自分の個性を出せるよう台詞を決めておくのも一興です(実況がいなければ地の文章で表現されます)。
★今回選手が男性である事は知りません。番組終了時にペーパーが渡され気付く予定(笑)。勿論、選手が後から種明かししても結構ですが、間違っても下品なモノを曝け出したりしないよーに。
・控え室リポーター
選手の控え室をリポートする人です。普通は遠くから様子を窺うのみですが、勇気があれば突撃して見ましょう(笑)。後は選手との駆け引きです。
★今回選手が男性である事は知りません。
・番組演出
TV演出や選手入場からリングにあがるまでの花道の演出を担当します。言うなれば、ヴァルキリーインパクトがどんな雰囲気の格闘番組かを決定する重要な部分です。対戦カードを決めたり、タイトルの雰囲気や視聴者に魅せる部分を構成して下さい(イメージは月ごとに開催されるKの番組参照)。
・解説者
格闘技を生業としている女性で、試合の状況に解説を入れる方です。
ヴァルキリーインパクトは素人も参加可能な格闘技ですので、無名でなければ担当できます。
・セコンド
選手につくセコンドです。アドバイスを受けて有利に展開できるかもしれません。
*男性でプロまたは格闘技経験者は控えて下さい。皆様の舞台は他にある筈です☆
●リプレイ本文
●番組開始2分前
「いいわね! 私の面子がかかってるんだから。‥‥一応イメージは聞いたし、二人ともコスチュームデザインに関しては当日まで完全にアタシに任せてね☆」
携帯電話で凄みを利かせた声を一変。大豪院 さらら(fa3020)が豊かな胸元で腕を組み、選手達に微笑む。少女達の返事に慄きが感じられるは気の所為か。さららがふと回っているカメラに気付く。
「え? ちょっと! なに撮っているのですか!?」
●ヴァルキリーインパクト4.1
四角いリングを俯瞰に捉えた後、爽やかな笑顔の葉月竜緒(fa1679)を映し出す。
「何故か今夜行われるヴァルキリーインパクト。実況の葉月竜緒です。解説として女子プロレスラーの」
カメラが右に流れ、泉 彩佳(fa1890)の癒し系美少女のような笑顔を捉えた。
「こんにちは、アヤです☆ 今回は打撃格闘技の華ヴァルキリーインパクトということで、アヤが自分のスタイルから経験を活かして解説します☆」
「宜しくお願いします。それでは、毎度お馴染み選手の隠れた魅力を引き出してくれる我らがレポーター・リーゼロッテ、控え室はどないなってはります!?」
カメラが切り換わり、控え室前のリーゼロッテ・ルーヴェ(fa2196)を映し出す。胸元に掲げるは『ロッテの☆突撃レポート♪』の看板だ。
「今まで見てきた人達はお久しぶり。今回始めて見る方には初めまして♪ 前回のちょっとしたトラブルで沢山の視聴者から好評のメールを、プロデューサーからはお叱りと減棒を受けた、この番組の名物突撃レポーター、リーゼロッテ・ルーヴェが今回も選手達に突撃レポートを敢行したいと思います! 今回はちゃんとノックを‥‥。でも面白そうなので、このままいきましょう!! どーもー、ロッテでーす♪」
『こんな格好してバルキリーなんてやってるけど、僕はそっちの気は無いからねぇ、至ってノーマルだよお』
『はいはい☆ そういう事にしておきます♪』
勢いよくドアを開けて入室する少女。しかし、カメラに映ったのは衝立と打ち合わせ中らしき声だ。ゆっくりと、レベッカ・スチール(fa3094)が顔を覗かせ、ジトリと冷たい視線を流す。
「ノック位して下さい。インタビューですね?」
暫らくすると衝立からwhite(fa3315)が顔を覗かせる。早速ロッテは意気込みを訊くべくマイクを向けた。
「格闘技は素人なんだけどお、演奏家としての音感を使って自分の攻撃のリズムを作って頑張るからねぇ☆ 応援してねぇ♪」
ほわわんとした感じで答え、微笑む少女。ロッテはエールを送った後、小首を捻りながら対戦相手の控え室へと駆け出した。
「やっぱり妙というか不思議な違和感があるんだよね。まあ、気にせず行っちゃいます☆ どーもー!!」
学習能力が無いのか故意か、ノック無しにドアを開け放つ少女。やはり衝立があり、円らな瞳の少女が顔を覗かせた。
「大富豪の一人娘だそうですが、なぜ参戦したのですか?」
「ダメなメイドをいびっているうちに楽しくなってきちゃって、普段の生活では得られない刺激を求めて参戦したのよ♪ 今夜もいびり倒してみせるわ☆」
どうやらヒールを演出しているようだ。エールを送りカメラに向き直るロッテ。
「white選手とフォン・ブルーサマース選手の控え室からお送りしました☆ 実況にお返ししまーす♪」
「はい、やはり前回の放送による衝立でしょうか。さて、今回の入場を生演奏で華やかに彩ってくれる方を紹介します」
カメラが切り換わり、バイオリンを構えた椎葉・千万里(fa1465)を映し出した。
「こういうお仕事初めてなんで、がんばります! ほな、空と海、異なる青を楽しんで下さい☆」
●whiteVSフォン・ブルーサマース
選手入場のコールと共に、千万里によって爽やかな音色がバイオリンの高音域を存分に使い奏でられる。それは雲と風を表現しているようで、春らしさを醸し出していた。
姿を見せたのは、白いエナメル製の鋲打ちベストと帽子、半ズボンに軟質樹脂のシューティンググラスに細身を包み、妖精のような羽を背中に生やした少女だ。さらら曰くテーマは「怪しい妖精」らしい。その後を動き易い様に短く切った着物姿のレベッカが歩く。
『その白魚のような細い指、柳のようなしなやかな体、それもそのはず本業はこの場にはそぐわぬ演奏家、今宵はどんなメロディーを奏でてくれるのか!! その美貌に似合わぬ大きな勇気に敬意を表します! 華麗なる挑戦者white!』
続いて、千万里が奏でる旋律は、バイオリンの低音域部分を多用し、何もかも飲み込んでしまうような深い青い海を表現するような曲調だ。
浮かび上がるは、大蛸を模した黒い被り物で、口からスモークを吐き出し、ダイオードで目が紫に光っていた。不気味だ。テーマは「海から来た魔女」らしい。
『よく通る透き通った声、周囲に見られる事を意識した立ち振る舞いは舞台役者故の為せる術!! 普段は自分を引き立ててくれる演奏家との初共演の夢舞台! 紡ぐはどんな物語か!? 舞台役者特有の間合いのとり方が勝利の鍵となりそうなのはフォン・ブルーサマース!』
リングにあがる前に、被り物を脱ぐフォン。照明に浮かぶは、吸盤柄の模様が入った赤紫の全身タイツ、両手の黒いグローブも吸盤柄で、黒いミドルブーツを履いている。やはり不気味だ。
一方、whiteも背中の羽を外し、セコンドのレベッカと最後の打ち合わせ中だ。
「足をつかって相手との距離に気をつけて下さいね。‥‥あ、後、体力の配分にも気をつけて下さい。格闘技未経験なのでスタミナが不安ですので‥‥」
「分かったよ、レベッカさん。素人なりに頑張るからねぇ」
『(セコンドアウト! ready Fight!!)』
ゴングが鳴ると共に両者が間合いを計りながら時計回りに動き出す。
『互いに隙を窺うという感じでしょうか? ミドルレンジのまま‥‥おぉ、フォン選手グローブを揺らして「打って来い」とばかりに挑発しています』
『相手を読んだ上での心理的な駆け引きでしょうか。でも、無駄な動きは僅かでも命取りになりかねませんよ〜』
彩佳の解説が流れる中、試合が動いた。
『white選手、ローを放った! フォン選手の足にヒット! お返しとばかりにパンチを合わせようと繰り出しますが、空かさず後退されて空を切ります』
『white選手は音楽家ならではのリズムのあるよい足捌きです。こういう選手はリズムに乗ると怖いですよ〜。フォン選手は‥‥えーとぉ‥‥こ、これは‥‥完全に我流ですよ!! 強いて挙げるならば喧嘩ストロングスタイルでしょうか。完全に相手の攻撃を受けきった上でスキを窺いつつカウンターの一撃を狙っているような‥‥あ、また挑発してます! white選手の攻撃はと‥‥足を狙って一点に集中して当てる感じですね。基本は異種格闘技で最も一般的なスタイルの空手だよね。巧みに足を使って相手の動きに逆らわずに避けながら流していますよ。でも、動きが短調ですから読まれてしまうと分かりませんよ〜』
『あぁッ、white選手、フォン選手のパンチを食らったぁ!!』
『プロの打撃系選手ならば、相手のガードをものともしない技をもっていますからね。アヤもあります☆』
渾身の一撃が叩き込まれロープへと吹っ飛ぶwhite。畳み掛けるべく間合いを詰めるフォン。
「動き回って相手に捕まらないように気をつけて下さい!」
刹那、whiteサイドからセコンドを務める少女の声が飛び込んだ。
『white選手、上手く逃げ切りました。フォン選手、反撃のチャンスを活かせません!』
『やはりローキックを受け過ぎたダメージがありますね』
『両者、息があがって来たようです。white選手、またロー! フォン選手苦しそうだ! しかし、一撃を繰り出そうと‥‥な、なんやてぇッ!?』
――いけるッ!!
『white選手なんと宙に浮いての回転後ろ蹴りやあぁぁッ!! フォン選手まともに食らったあぁぁッ!!』
『つまりローリングソバットですね☆ ダメージは大きいですよ。あ、苦しいのでしょうか? フォン選手マウスピースを外しましたね‥‥えぇッ!? グローブも!?』
「こんなのつけてられるかーっ!! うおりゃあぁッ!!」
全身タイツの胸元を勢い良く左右に引き裂くフォン。布地の破れる音がリングに響き渡り、観客席は動揺と歓声で溢れ返った。
「な、なんやてぇッ!? いくらツルぺタでもありえへんでぇッ!? って、放送続けてええのんか!? はぁ? なんです?」
竜緒が動揺する中、スタッフの手がテーブルに一枚のペーパーを渡す。
「‥‥えっと『この度は我々の企画した偽ヴァルキリーインパクトにお付き合い頂きありがとうございました。今回の参加選手は全て男性です。楽しんで頂けましたか?』って、なんや!? これうち聞いてへんで!? ってだからエイプリルフールにやったんやな、すっかり騙されたわ〜」
「へっへぇーっ!! 最後はだましてやったぞーっ!! いてっ★ ごふッ★」
二カッと笑うフォンことウォンサマー淳平(fa2832)。観客の声が、嘆きと罵声へ変容する。リングに降り注ぐは空き缶やテープの固まりだ。
『あぁっ、会場が怒りに溢れています! あ、フォン選手、リングから逃げて‥‥つ、捕まった! 反対方向では、場外乱闘や! セコンドのエリアさんがwhite選手を逃がす為に奮戦しています! 何故か崩れる観客が嬉しそうだぁ。あ、泉はん、何処へ? ‥‥そ、それではヴァルキリーインパクト4.1エイプリルフールの会場からお別れします』
喧騒にごった返す中、千万里は楽しそうに微笑み、軽快な音色を奏でていた――――。