ヴァルキリークリエイトアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/17〜06/21
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●本文
●TVCM
――ヴァルキリーインパクト。
これは立ち技のみの女子格闘技である。
これまで多くの戦乙女を誕生させた番組が、新たな局面を迎えた。
最強の戦乙女を決定するトーナメント戦である。
さぁ、準備は整った! ヴァルキリー達よ、戦に身を焦がすがいい!
クリエイター達よ、戦の舞台と乙女を飾るのはキミ達の仕事だ!!
只今、ヴァルキリーインパクトでは舞台や乙女達を飾るクリエイター募集中!!
――ヴァルキリークリエイト。
これは、ヴァルキリーインパクトの舞台や乙女達を飾るクリエイターを描いた記録である。
ヴァルキリークリエイトとは、『コスチュームデザイナー』『入場音楽作曲家』『番組演出』『大道具(小道具)』等の言わば裏方を示す。
ヴァルキリーインパクトプロデューサーは前回をこう語る。
「舞台演出を入場に固めたのは良い感じでしたっス‥‥でした。音楽もそれぞれ選手と打ち合わせてくれて音と光と乙女のコラボって感じでしたね。衣装は放送でも分かる通り、プロの仕事とは何かを命題としたものになりました。やはりこれまで同様、選手の要望を聞き、その上で個性を出すのが一番だと思いますがね。どんなクリエイターがデザインするか楽しみですよ」
ヴァルキリークリエイト。
試合前に是非御覧下さい――――。
●募集区分
・コスチュームデザイナー(1〜8人)
選手のコスチュームを製作する方です。アピールポイント明記。
尚、番組の展開上、誰の衣装かは語れませんので注意して下さい。
突起物や鉄製のものは止めましょう。
・入場音楽作曲家(1〜8人)
選手の入場シーンの音楽を担当する方です。但し、既に出している音楽は却下です。
アピールポイント明記(選手の何をイメージして作った曲か、どんなリズムの曲か等)。
・番組演出(1or2人)
TV演出や選手入場からリングにあがるまでの花道の演出を担当します。言うなれば、ヴァルキリーインパクトがどんな雰囲気の格闘番組かを決定する重要な部分です。対戦カードを決めたり、タイトルの雰囲気や視聴者に魅せる部分を構成して下さい(イメージは月ごとに開催されるKの番組参照)。
・舞台装飾(1人〜)
大道具・小道具に相当します。演出と相談してどんな雰囲気の舞台を作るのか決めた上で作成に入ります。
○ノーリンク募集区分
・声優(1人〜)
VI(ヴァルキリーインパクト)――クリエイトはナレーションで展開される予定です。どの区分のどんな部分にスポットを当てるのか、構成も考えて頂きます。
台詞歓迎☆ というか、ナレーション時の口調など重要です。
●リプレイ本文
●正直あまり上手くないですけど、一生懸命頑張ります!
――しなやかな白い指がマイクのスイッチを入れた。
赤いストレートヘアをサラリと揺らし、整った顔立ちの娘がマイクに静かに唇を寄せる。
眼鏡に浮かぶ青い瞳を台本に走らせ、豊田そあら(fa3863)は声を紡ぎ出した。
それは普段のアニメ用のものではなく、ゆったりと大人っぽい雰囲気で響き渡ってゆく‥‥。
●ヴァルキリークリエイトオンエアー(Aパート)
『先ずは舞台演出から見てみよう。舞台設営は力仕事が多い‥‥でも、その苦労も見せずに、黙々と仕事を続ける。ここに一人の男性が繊細な作業に打ち込んでいた‥‥』
そあらのナレーションと共に映し出されたのは、藤田 武(fa3161)だ。茶髪の小太りな男は、長身を丸めて花道に絵を描いていた。優れた技術で浮かび上がる絵画は北欧神話のヴァルキリーである。カメラに気付いた武は、仕事人の黒い瞳を床に研ぎ澄ましたまま口を開く。
「ちょっと重装備の鎧をつけた戦乙女の精霊を下に描いておくことで、選手の人たちに高揚してもらって番組のイメージを盛り上げたいな。リングを飾ったところで無意味とまでは言わないけど、選手たちを覆い隠すようじゃ、無意味どころかデメリットだらけになっちゃうもんね」
『どうやら花道を中心に演出が施されるようだ。彼から少し離れた選手の入場口でも、一人の男性が手を動かしていた‥‥』
カメラが脚立に登り、照明のチェックをする館林 隼人(fa1816)を捉えた。黒髪の男は褐色の額を手の甲で拭い、黙々と作業を続けるが、映されているのに気付くと、やはり作業の手を休めず応える。
「俺がやっているのはスポットライトの確認だ。今回は多くの色を使用するから間違って点けちまうと台無しだからな。それに選手にトラブルで怪我させちゃ話にならない。入念はチェックは必要って訳さ。‥‥そうだな、今回の目玉はレーザー光線を使った演出だ。どんな風に使うか、入場シーンを楽しみにしていてくれ」
『選手達に怪我をさせてはいけないので、一つ一つ安全確認をしながらの作業は深夜遅くまで続いた。二人の仕事人がどんな効果を見せてくれるのか本番が楽しみである』
『次にカメラを向けたのは、衣装を担当するクリエーター達だ。衣装は、その選手の個性を出す代物。一つ一つ選手の要望を取り入れて見事な装飾を入れていく』
映し出されたのは二人の少女と一人の青年がテーブルを囲む姿だ。それぞれノートを開いて、ペンを走らせて打ち合わせをしてゆく。
「さー、今回も頑張りましょー。今回は1試合分多いですけども、衣装の人手もその分多いんで作業量自体は少ないですね。担当を確認しましょーか?」
前回に引き続きスタッフとして参加している高野正人(fa0851)が役割分担を促がすと、雨宮慶(fa3658)が口を開いた。身長も低く童顔の少女は一見小学生のようだが、アンバランスなほどの豊かな胸の膨らみが水色のエプロンドレスから浮かび上がっている。
「ハイっ、雨宮はピュアホワイトのレースワンピースとゴシックロリータ風、それから神輿の担ぎ手風の衣装を担当します!」
赤いショートヘアの少女が眼鏡に浮かぶ円らな茶の瞳を、線の如き細い目の青年へ向けて微笑んだ。次に左手でペンを走らせる鈴生 六連(fa0194)が口を開く。短めの黒髪の少女も眼鏡を掛けており、衣服から浮かぶ胸元は体型の割に豊かだ。若い魅惑的な少女達に囲まれた正人を、視聴者は羨ましいと思ったに違いない。
「僕は『兵士』のコンセプトでコスチュームをデザインします。‥‥全て既製品でまかなえそうですが。タンクトップとブーツとリストバンドとドッグタグは既製品を購入し、他は時間が許す以上自分で制作しようと思います。衣装作成は初めてなので色々と教えて下さい。‥‥厳しく指導して頂いて構いませんからっ!」
グッと胸元で拳を固めて身を乗り出し、何気に頬を上気させる六連。細目のおにーさんは困惑気味に白い布を巻いた髪を掻く。
「僕の知っている事ならまぁ。で、僕の予定としては稲妻を施したリングスーツ、ホールターネックにマイクロミニスカート、あと残りの2名分は前回の衣装にアレンジを加えると‥‥こんなとこですかねー」
「あれ? 10名でしたよね?」
『時折、選手との意見の違いなどもあるが‥‥そこは選手への再確認でチェックする』
『続いて入場音楽担当のドアをノックした。こちらも、選手個人の趣味などが良く出る代物なので、選手との話し合いや曲のイメージの相違を納得のいくまで練り直される』
「作曲担当‥‥なの」
柔らかそうに流れる長い銀髪を揺らし、あどけない風貌の紗雪(fa2853)が円らな赤い瞳をカメラに向けて振り向いた。血色の悪い肌色を白と黒を基調としたゴシックなドレスに包んだ姿は、薄幸の美少女のようで儚げだ。傍では背中を向け、銀髪をポニーテールに結った少女が、譜面に凛としたライトブルーの瞳の流していた。一通り幼い作曲家の作成した曲を読み終え、ブルーフローライトのペンダントを何の抵抗もなく(膨らみの無い)胸元で揺らして身体を向ける。
「楽器を借りられれば何とかなるが、バイオリン、シンセサイザー、ベース、ドラム、ピアノに笛か‥‥音響機材は私が何とかしよう」
チラリとカメラに気付いて、織石 フルア(fa2683)が凛とした眼差しを向けたが、再び美少女に瞳を向け口を開く。
「ここはテクノではなくポップス系にアレンジしたかったのだが‥‥いや、音楽の才能は紗雪の方がありそうだからな。私は紗雪と選手の意向を優先させる‥‥‥‥ん? 何だ?」
流石にカメラが気になり視線を流すと、紗雪が「コメント‥‥です」とボソリとフォローを入れた。
「‥‥あぁ、私は演奏補助、編曲、被りの確認、音響機材管理等の補助を中心に担当する」
『どうやら彼女は無愛想だが中身は微妙に天然のようだ‥‥否、それだけ音楽に情熱を注いでいるに違いない』
●本番までの軌跡(Bパート)
「よし、神輿は完成したぞ! 照明を点滅させてくれ!」
『館林さんが土台に置いた神輿に立ち上がり、体重を掛けて強度を試していた。どうやら藤田さんの絵も完成したようで安堵の表情を浮かべて腰を伸ばしている』
「僕たちが用意した会場で激しいショーが繰り広げられたらうれしいな。こういう仕事は初めてだったけど、またやってほしいと言われるように仕上げたいよ。選手を盛り上げるのが僕らの仕事。いい感じに決めたいね」
『衣装の制作も佳境に入っていた』
「どうですか? これでも半分獣になったつもりで頑張りました。駄目な部分があれば遠慮しないでビシバシ言って下さいッ! どんな罵声でも構いませんからっ!」
「いや、罵声って‥‥よく出来ていると思いますよ。初めてにしては上出来でしょ。それから残り2名は以前着用した衣装を着るそうで、修繕だけでもして置きましたよ」
『鈴生さんの初めての衣装作成も巧くいったようだ。お見せできないが、高野さんも完成済みである。そんな中、雨宮さんが元気な声で部屋に入って来た。どうやら快心の作品が出来たようだ』
「雨宮完成しました! どうですか? このゴシックロリータ調デザイン! 一番凝ってしまいました♪」
『モザイクだらけの衣装を広げて見せる。完成作品は試合本編で楽しみにしよう。一方、音楽担当の部屋ではエレキギターを掻き鳴らす織石さんと、事前に記録した演奏と合わせてリズムを刻む紗雪さんがいた。完成した曲にアレンジが加えられているようだ』
「‥‥これでどうだ? 勿論、紗雪と選手の意向を優先させるが‥‥ん? 今やっているのは」
「織石さん‥‥ここコメントは‥‥いらないの」
「あ、そうか‥‥。それじゃ、次の曲のアレンジを聞いてくれ‥‥ここなんだが‥‥」
エンドクレジットが横に流れてゆく中、それぞれの仕事振りを映しながら、そあらの声が被る。
『最後の最後まで気の抜けない最終調整が続く‥‥それは、選手達にも、そしてファン達にも納得のできる物を目指して‥‥』
――ナレーション:豊田そあら。(終)
「ふぅ、有り難うございました☆」
OKの指示をガラス越しに確認し、そあらは安堵の溜息を洩らした後、遣り遂げた充実感に明るい笑顔を浮かべて元気な声を響かせた。
良くあるドキュメンタリー等を見て、ナレーションのやり方を勉強して置いた甲斐はあったに違いない。
プロデューサーとしてはアニメ声のノリで陽気にやっても構わなかったのだが、次の機会にどんな声を届けてくれるか期待しよう――――。