DeadSegment南北アメリカ

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 0.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/13〜11/17

●本文

 森に囲まれた或る小さな村で起きる連続殺人。
 次々に殺戮を繰り返す殺人鬼の正体とは? 生き残った者は如何にして対決するのか?
 アクションホラーTVドラマ。

 起:殺され役A
 承:殺され役B〜
 転:殺人鬼の弱点と対決
 結:?

 必要な役柄。
『殺人鬼』
 人間でもモンスターでも可。複数OK。役者達で設定。
 殺す方法や道具の法則性は重要かな。
『殺され役』
 老若男女。複数OK。
 自分の個性に合わせて魅力的な死に方を設定(何番目かと殺される場所も要設定)。
『生き残り戦う主人公』
 老若男女。複数OK。
 どのようにして生き残り、殺人鬼を何処でどのように倒すのか? 
 その後は? 役者達で設定。
『他』
 必ず必要ではない。殺人鬼の過去や弱点を知る者など。役者達で設定。

☆キーワード(用意できるセット)
 一般的な家と室内・教会・学校・屋敷・小屋・湖・崖・洞窟・地下室・森など。

「‥‥何ですかサミィ監督、これ企画書ですか?」
 男は一枚のレポート用紙を小刻みに震わせながら、サミィ・ライナー監督に訊ねた。ブロンドヘアをふわりと揺らして若い娘が満面の笑みを浮かべる。
「面白そうでしょ? 正に先が読めないアクターによるドラマよ☆」
「‥‥スタッフも先が読めないのですが」
 わかんないかなぁ? と、サミィは軽く溜息を吐いて続ける。
「この番組の意図は新人俳優の発掘よ。如何に自分の個性を表現できるか、TV画面にアピールするのよ☆ ナンセンス結構♪ 物語が面白いかは視聴者が決めてくれるわ。TVだからスプラッター描写やお色気は抑えなきゃなんないけどねぇ」
 ――サミィ・ライナー。
 デビュー作は低予算による『フォレストイビル』。派手な血飛沫とカメラワークで笑えるホラー(本人は笑わすつもり無し)を製作。一部に熱狂的ファンを持つマイナーホラー映画監督だ。
 そんな彼女にTVドラマの企画が何故か回って来た訳である。当然低予算なのは言うまでも無い。
「さっさとアクター募集して頂戴♪ 姿見えぬ殺人鬼か、それともゾンビ的な集団殺戮か、大どんでん返しはあるのか! 楽しみよねぇ☆」
 サミィは眼鏡の中で青い瞳を潤ませ、恍惚とした表情を浮かべていた――――。

●今回の参加者

 fa0338 白河瑞希(23歳・♀・一角獣)
 fa0769 凜音(22歳・♀・一角獣)
 fa0794 村上 繁昭(32歳・♂・蝙蝠)
 fa1077 桐沢カナ(18歳・♀・狐)
 fa1257 田中 雪舟(40歳・♂・猫)
 fa1390 アンリ・バシュメット(17歳・♀・狐)
 fa1771 由比美紀(20歳・♀・蝙蝠)
 fa2043 江戸川 ユキヱ(22歳・♀・狐)

●リプレイ本文

●Prologue
 ――木々が吹き荒ぶ強風に荒れ狂う夜。
 雷鳴が小さな村と二人の警官を照らし出す。筋骨逞しい警官ともう一人が会話するものの、風が互いの声を掻き消し何も聞こえない。
 二階の窓越しに映るは遠ざかる二人の後ろ姿。雷鳴が闇を一瞬照らし、口元の微笑みが浮かぶ。
 視界が警官の黒い制服の背中へ急速に肉迫する――――。

 ――粉雪が舞う午後。軽快な音楽と共に一台の車が国道を走り抜けてゆく。
 車内の若い五人の娘を映し出しながら、車は国道から逸れて脇道へと曲がる。舗装もされていない道を通り過ぎると、放置されたパトカーへ視界が揺れ、半開きのドアが映る。刹那、だらりと血塗れの腕が垂れ、滴る鮮血が地面に赤いタイトルを描き出す。

●DeadSegment
 鬱蒼と茂る森の中、湖畔付近で彼女達を乗せた車が止まっていた。次々と出て来る五人。
 気品浮かぶ風貌の娘が苛立ちも露に煙草を取り出し火を点ける。
「ただでさえ寒いというのに、道に迷う、その上パンクだなんて最悪ですわ! 私が南に行こうと言いましたのに、カナダに行きたいだなんて言ったのは何方だったかしら‥‥」
「ユキ? 誰って訳じゃ‥‥皆で大学の休みを利用して遊びに行こうって決めただけでしょう?」
 口を開いたのはミズキ。豊満な胸元が魅力的な娘だ。
「はいはい☆ 先ずはタイヤの修理ができる方を探しましょう?」
 険悪になりつつある雰囲気に、長い黒髪の神秘的な風貌の娘が割って入り、微笑みを浮かべる。リオの一言に、言い争いは切れた。ホッと安堵の色を浮かべて微笑み合う銀髪の少女と短い金髪の少女。ミズキが先頭に立って進む中、寒そうにユキが最後尾をノロノロと歩き出す。

 ――辿り着いたのは小さな村だった。
 夕暮れ時だというのに人の気配は微塵も無い。ミズキが一件の家のドアを開ける。視界に映るは、食べかけの食事や畳み掛けの洗濯物だ。人影は皆無。何処も同じとリオが告げた。
「な、何かあったんだよ。吸血鬼だよ‥‥吸血鬼が血を吸って村人を塵にしたんだよ」
「カ、カナったらオーバーねぇ。吸血鬼なんて伝説よ」
 窓から見える一際大きな屋敷を指差し、訪ねようとユキが提案。不審を抱きつつ彼女達は足を運ぶ――――。

「まぁ、来客なんて久し振り☆ どうぞ入って下さい♪」
 屋敷の主は淑やかな女性。一晩泊めて欲しいと頼むと快く応じて微笑んだ――――。

「やっぱり気になるから村を調べて来ます。好奇心に胸が高鳴るの♪ 直ぐ帰りますから☆」
 夕食後、集まった友人達の輪から離れ、微笑んで室内を出て行くミズキ。
 相変わらず怯えてブツブツと洩らすカナをアンリが再び笑い飛ばす。彼女達の談笑が暫らく続く。

 ――灯りの洩れるドアから飛び出し薄暗い廊下を走るミズキ。
 息を荒げる中、セミロングの髪と豊かな胸を揺らし戦慄の形相で逃げる。短い悲鳴と共にうつ伏せに倒れ、腰を捻って視線を向けたミズキ目掛けて地を這う如く急速に接近するナニモノかの視界。
「ひぃッ、や、ぁんッ」
 壁に映るミズキのシルエットに覆い被さる影。呻き声をあげながら抵抗するものの、鮮血が壁に飛び散り、彼女の影はぐったりと力を失った――――。

 帰って来ないミズキに不安の色が増す中、窓ガラスが割れると共に絶命した血塗れのミズキが飛び込む。響き渡る悲鳴。頭を両手で抱え、奇声をあげながらカナが部屋を飛び出す。

 ――夜の村を嗚咽と奇声を洩らして走り抜けるカナ。
 彼女の視界が揺れ惑いながら村の風景を映す中、瞳に捉えたのは屋根の上、教会の十字架だ。
「吸血鬼なら‥‥そうだよ、教会に逃げ込めば‥‥」
 震える低い声で呟くと、教会の入口へと走る。刹那、揺れ靡く銀髪を掴むナニモノかの手。視界はナニモノかの手と銀髪を映し、ズルズルと引き摺られながら少女が泣き叫ぶ。
「いやぁぁッ! 痛いよぉ! やめてぇ! ひぃッ! えぐッ‥‥」
 カナのつま先が宙を浮き、骨の砕ける鈍い音が響き渡る――――。

「きゃあぁぁッ!!」
 アンリの悲鳴が響き渡った。ユキとリオが少女の視線を追い、顔をあげる。雷鳴と共に稲光が疾り、教会の屋根に立つ十字架に串刺しにされたカナを浮かび上がらせた。
「う、嘘でしょこんなの‥‥な、何かの冗談よね、そうよね? ‥‥そうって言ってよ!」
「アンリ、リオ、この村から出ますわよ!」
「待って! 武器が欲しいわ。地下の居間に猟銃が掛けてあったの」
 屋敷に戻ると女主人は見当たらなかった。リオは居間でライフルを取り、三人は屋敷の階段を駆け登る。刹那、足元を滑らせたアンリが悲鳴をあげて派手に転がり落ちてゆく。
「行きましょう、この高さから落ちたら助からないわ。屋敷を出たらあなたは車に向かって!」
 冷静なリオの瞳に涙を溢れさせ頷くユキ。二人は少女を置き去りに階段を駆け上がった。

 ――意識を取り戻し、嗚咽を洩らしながら痛めた足を引き摺って、薄暗い屋敷の廊下を歩くアンリ。
「‥‥もう、いや。どうして私だけ‥‥嘘でしょ‥‥皆、どこに‥‥!?」
 廊下の奥、開いたドアから覗くユキの姿。少女は懸命に足を引き摺ってドアへと急ぐ中、細い後ろ姿を捉えた視界が迫る。ピタリと足を止め、金髪を揺らして振り向く。
「い、いや‥‥こないでぇぇぇ!? きゃうッ!」
 アンリに覆い被さるシルエット。勢いに負けて仰向けに倒れ込む少女。
「い、いやッ! やッ!」
 激しく揺れ動く視界で抵抗を続けるアンリの白い肌が裂かれ、次々と鮮血が舞い散る。刹那、シルエットが少女の首に噛り付き、ぱたりと垂れる血だらけの手。肉を引き千切り咀嚼する音が響き渡る。

 ――ユキと分かれた後、猟銃片手に民家の中に入るリオ。
 電話を見つけ、ダイヤルを廻す彼女の背中へと視界が迫る。刹那、長い黒髪を舞い躍らせて振り向き様に銃声を放つ。派手に吹っ飛ぶ異形のシルエット。リオは民家を飛び出す。向かうはパンクした車のある湖畔だ。視界にユキの姿が映る。
「ユキッ!! ‥‥ッ!?」
 走るリオの背後から放り込まれるはアンリの惨殺死体。刹那、飛び掛る異形のシルエット。彼女に覆い被さると同時、猟銃が手から零れる。
「ユキッ、逃げてーッ!!」
 駆け出すユキを見つめ、優しげな微笑みを浮かべると、瞳を研ぎ澄まし鮮血に染まりながら抵抗を続ける。不意に指に掛かり引き千切られた何かにリオの表情が戦慄く。
「こ、これって‥‥ぐふぁッ! ごふッ! かはッ!」
 何度も肉を抉られる音が響き渡る中、苦悶の呻き声を洩らしながら彼女は息絶えた――――。

「‥‥冷静に、冷静にですわ」
 湖畔の桟橋に建てられた小屋の中にユキは身を隠していた。泣き声を必死に殺し、涙だけを流して膝を抱え震えている。周囲に映るは置かれてある照明弾やガスボンベ、ガソリンタンク等だ。
『きゃあぁッ! リオさん!?』
 響き渡った女主人の悲鳴に、ユキは小屋から飛び出すと、リオの死体を前に怯える姿が映る。
「あぁ、ユキさん何が起きているの?」
 女主人に駆け寄り抱擁を交す。ふと視線に飛び込む無残な友人の姿。そして握り締められたペンダント。ユキの脳裏にフラッシュバックする女主人の首に付けられたものは――――。 
 唇を歪めてゆっくりと女の爪がユキの背中へ忍び寄る!
「ぎゃふぅッ!!」
 照明弾を腹部に撃たれ、女主人が派手に吹っ飛んだ。肩から血を滴らせ、ユキがポケットから弾を取り出すが、震えてバレルに嵌まらない。ゆっくりと起き上がる殺人鬼。
「どうしてあなたが‥‥」
「貴女みたいに可愛い娘を見るとね、滅茶苦茶にしたくなるの♪」
 何度も照明弾が放たれるが、僅かな動作で躱され暗闇を照らすばかり。ポケットの中が空になり、再び桟橋へユキは駆け出した。映し出される彼女の背中に視界が高速で迫る!
「きゃあぁッ」
 振り上げられた爪の洗礼を浴び、背中から鮮血を飛ばし、桟橋の端へと吹っ飛ぶ。泳ぐ視界に捉えた小屋へ逃げ込もうにも、殺人鬼が行く手を阻み、にぃっと歪んだ笑みと血塗れの牙を見せる。ユキはポケットを弄り、火を点けたジッポを放り投げた。スッと首を曲げて躱す女。しかし、ユキの瞳は力強い。スローモーションでジッポが放たれる先は小屋のガソリンやガスボンベだ。
「そんな、この私がこんな小娘に‥‥」
 刹那、派手に爆炎があがりユキが吹き飛ぶ中、殺人鬼は奇声を轟かせて木っ端微塵に飛び散った。

 ――びしょ濡れでボロボロのユキが湖から半身を覗かせ、ゆっくりと瞳を開く。
 平穏を告げる朝日が昇り、振り返ると対岸に炎を燻らせる桟橋が映る――――。

(CAST)
・警官(シゲ):村上 繁昭(fa0794)
・筋骨警官(セッシュウ):田中 雪舟(fa1257)
(シゲ):どうでした? 村に住む親戚と連絡とれないと言う通報に心当たりありましたか?
(セッシュウ):いや、彼女は異変に気づかなかったようだ。
・ミズキ:白河瑞希(fa0338)
・カナ:桐沢カナ(fa1077)
・アンリ:アンリ・バシュメット(fa1390)
・リオ:凜音(fa0769)
・屋敷の女主人/殺人鬼:由比美紀(fa1771)
(女主人):退屈なら少しお話でもしませんか? 動けなくて震えているの? 可愛いわミズキさん♪
(女主人):一人で隠れようなんて皆さんが心配していますよ。こんな風に殺されないかって♪
・ユキ:江戸川 ユキヱ(fa2043)
(アンリ):お疲れサマ、皆で作り上げた作品に乾杯☆

 THE END