PSF:戦乙女クリエイトアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/15〜09/19

●本文

●PSF連動企画
 ――戦乙女対抗戦。
 これは立ち技のみの女子格闘技ヴァルキリーインパクトので【PSF】連動企画ある。
 これまで多くの戦乙女を誕生させた番組が、SPとして白組と赤組の対抗戦を繰り広げるのだ。
 最大数計20名の乙女達が肢体を躍動させて激闘を描く対抗戦!
 さぁ、準備は整った! 戦乙女達よ、戦に身を焦がすがいい!
 只今、戦乙女対抗戦では舞台や乙女達を飾るクリエイターを募集中!!

 ――戦乙女クリエイト。
 これは、戦乙女対抗戦の舞台や乙女達を飾るクリエイターを描いた記録である。
 戦乙女クリエイトとは、『コスチュームデザイナー』『入場音楽担当』『番組演出』『大道具(小道具)』等の言わば裏方を示すクリエイターの総称だ。
 戦乙女クリエイト。闘う乙女達を様々な角度から彩るのはキミ達の仕事だ――――。 

●募集区分
・コスチュームデザイナー(1〜)
 選手のコスチュームを製作する方です(担当選手名明記(複数OK))。
 アピールポイント明記。
 尚、番組の展開上、誰の衣装かは語れませんので注意して下さい。
 突起物や鉄製のものは止めましょう。
 基本的に選手の要望に叶うよう製作しつつ、打ち合わせしながらクリエイターの個性を加えるのが理想的。
 要望+個性こそプロの仕事と言えよう。

・入場音楽担当(1〜)
 選手の入場シーンの音楽を担当する方です。但し、既に出している音楽は却下です。
 アピールポイント明記(選手の何をイメージして作った曲か、どんなリズムの曲か等)。

・番組演出(1〜)
 TV演出や選手入場からリングにあがるまでの花道の演出を担当します。言うなれば、戦乙女対抗戦がどんな雰囲気の格闘番組かを決定する重要な部分です。対戦カード(順番)を決めたり、タイトルの雰囲気や視聴者に魅せる部分を構成して下さい(イメージは月ごとに開催されるKの番組参照)。

・舞台装飾(1人〜)
 大道具・小道具に相当します。演出と相談してどんな雰囲気の舞台を作るのか決めた上で作成に入ります。

○ノーリンク募集区分
・声優(1人〜)
 戦乙女クリエイトはナレーションで展開される予定です。どの区分のどんな部分にスポットを当てるのか、構成も考えて頂きます。台詞歓迎☆

○その他
・戦乙女を盛り上げられる事があれば、手伝ってあげて下さい。

●今回の参加者

 fa0658 梁井・繁(40歳・♂・狼)
 fa1634 椚住要(25歳・♂・鴉)
 fa3211 スモーキー巻(24歳・♂・亀)
 fa3917 多々納義昭(45歳・♂・亀)
 fa4142 雨宮カナタ(17歳・♀・猫)
 fa4350 苅部・愛純(13歳・♀・蝙蝠)
 fa4454 伊藤 舞(18歳・♀・ハムスター)
 fa4619 桃音(15歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●吉報
「いやはや、台本に大幅な変更が無くて何よりだったね」
 銀髪をオールバックに流した壮年の男は、眼鏡の奥に浮かぶ温和そうな赤い瞳を和らげ、二カッと微笑んで見せる。
「前回同様の喋り方で行けば問題はないだろう。始めようか」
 シゲさんこと梁井・繁(fa0658)は、マイクのスイッチを入れた。
 安定感があり、どこか安心感と存在感の高い声が紡ぎ出されてゆく――――。

『これまで多くの戦乙女を誕生させたこの番組。今回は白組と赤組の対抗戦を繰り広げるのだ。最大数計20名の乙女達が肢体を躍動させて激闘を描く対抗戦! さぁ、準備は整った! 戦乙女達よ、戦に身を焦がすがいい!』
 画面に映し出されたのは前回同様の白い建物だ。テロップで『戦乙女クリエイト企画会議』と表示される。
『綿密な打ち合わせは終日繰り返されている。しかし、今回は予想外の問題が発生していた』
 中央に空間を空け、長テーブルを繋げた会議室が映った。集うは7名のクリエイター。カメラが捉えるそれぞれの表情は複雑な色を浮かべている。静寂の中、携帯の音が鳴り響き、スモーキー巻(fa3211)が、スーツからスリム携帯を取り出す。
「はい‥‥分かりました。選手は集まったのですね? はい、こちらこそ宜しくお願いします」
 青年の声が流れる中、7名の男女に安堵の色が広がった。雨宮カナタ(fa4142)と、伊藤 舞(fa4454)が微笑み合い、桃音(fa4619)が瞳を閉じて息を吐くと、『どないしたんや?』なんて深刻な状況をポッカリと忘れているような、苅部・愛純(fa4350)が緑色の瞳を泳がせる。少女達と対面の席では、多々納義昭(fa3917)が厳つい風貌を僅かに和らげながら太い腕を組み、椚住要(fa1634)がサングラスから浮かぶ切れ長の瞳を閉じてニヤリと微笑んでいた。
 前回もクリエイト企画会議に参加した青年が再び口を開く。
「選手の人数は確定しました。赤組6名、白組6名の計12名で、戦乙女対抗戦は開催されます」
『そう、実の所、クリエイターは集まったものの、選手の集まりが芳しくなかったのである。最大人数20名は叶わなかったが、12名いれば6試合は出来る。クリエイター達がホッとする気持ちも分からなくも無い。しかし、スケジュールがギリギリに確定した為、その分の皺寄せが彼等を襲う事となった』

●それぞれの格闘
 画面に映し出されたのは、未だ幼さの残る細身の美少女だ。ぺコリとお辞儀すると長く艶やかな黒髪がサラリと揺れた。端整な風貌で円らな青い瞳が穏やかな色を浮かべる。
「リポートをさせていただきます桃音です。これから私と共にヴァルキリーインパクトを支える製作現場で働く人々の様子を見てみましょう。では早速、演出の様子から覗いてみる事にしましょうか」
『カメラがリポーターの桃音さんに付いて行く。小柄な少女の背中は凛としており、足早に先を進む』
 再び桃音がカメラへ視線を送り振り返ると、開けた視界にスーツ姿の青年が映った。デスクにノートパソコンを開き、作業中のスモーキーへ少女が近付く。
「今回PSFの一環ですが、どのようなコンセプトで演出を?」
「今回は紅白対抗戦ということで、その雰囲気を前面に出します。イメージとしては、『華やかに、そして勇壮に』。中世の貴族同士の戦いというか、対抗戦という図式を赤組と白組の旗などを使って演出します。番組的にもフレッシュな顔ぶれが多いので、その辺りもうまく紹介していければ良いですね」
 カメラが捉えたのは液晶モニターに映し出された幾つかのCGだ。
「派手な演出になりそうですね。対戦カードはもう組まれたのですか?」
「選手の希望を聞きつつ、なるべく力量の近い相手と当たるように検討しました。多少バランスの悪いカードもありますが、そこはやむなしという事で。兎に角、視聴者及び観客の皆さんに楽しんでもらうのは勿論、戦乙女の皆さんの魅力をうまく引き出せるような番組にできればと」
『どうやら彼は演出兼マッチメイカーを担当しているようだ。それでは桃音さん、舞台の方を覗いてみようか?』
「はい、次は舞台の様子を覗いてみる事にしましょう」
 まるで会話しているように展開。芝居のタイミングを把握している繁の巧みな手腕だ。
『工具の音が響く特設会場‥‥万全の状態で、選手達の戦いをさせる為に、皆頑張っている』
 カメラが細身をツナギに包んだ幼さの残る少女を映し出した。愛純がリポーターに気付き、作業の手を休めず緑色の瞳を流す。
「まいど。舞台装飾に参加する事になった苅部や」
「今回の舞台は何か特色はありますか?」
「舞台の感じは巻はんに聞いたんやけど、よくわからへんわ。まあ何とかなる思うねんけど。うちは未だ新人やさかい、多々納はんの足引っ張らんよう気いつけるわ」
『彼女は見習いといった感じなのだろう。後ほど知ったのだが裏方か表舞台に立つか定まっていないらしい。少女の行く末を見守るとしよう』
「そ、そうですか‥‥それでは、多々納さんを探してみましょう」
『早速、桃音さんは工具や作業をする音が響き渡る場所を歩き出す。どうやら、見つけたようだ。長身の逞しい背中をツナギに包んだ壮年の男がリポーターに気付いた。おや? 桃音さんが一瞬身を退いたように見えたが‥‥なるほど、近寄り難い雰囲気はある』
「舞台の特色じゃと? プロレスのリングとか言う代物の設営は、以前やった事はあるのじゃが、専門ではないのでのう、その辺は専門の連中と一緒にやってゆくつもりじゃ。問題は、花道の演出じゃな」
『とりわけ、花道の部分は選手にとっての文字通り『花道』なので重点的に工夫を凝らしている』
「ドライアイスやレーザー、特殊効果に各種照明など色々と駆使していこうと思う。その辺は各選手の意向などを聞いて、どのようにするか考えなくてはな‥‥。とにかく派手に行くという事なんぢゃろうから、こっちも危険性がない程度に色々と好き勝手やらせて貰う事にしようかの。勿論、予めリハーサルをしっかりして危険がないよう確認する事は忘れないぞ」
『なかなか物腰は優しい。根が親切で面倒見が良いのだろう。見上げる桃音さんの表情も穏やかだ』
「有り難うございました。以上で舞台設営のリポートを終えて、次は衣装の方を覗いてみましょう。実は私も衣装担当として働いています。16名と言っても大人数に変わり有りませんし、スケジュール確定まで手が付けられない部分ですから、大変なのです」
『気のせいか、桃音さんの足取りも軽快だ。通い慣れているのだろう。コスチューム‥‥それは選手の個性を最大限に示す物。見た目の派手さを損なわないように、縫製の方も万全にしなければならない‥‥その辺が一番大変な所であろう』
 通路を歩いて一室のドアを開く桃音。ミシンの音や電話のベルがひっきりなしに鳴り響く、そこは戦場だ。
「あー‥‥はい、衣装の打ち合わせですね? はい、伺ってますぅ〜。現在急ピッチで‥‥はい? 要望の追加? あ、えーと‥‥」
 わたわたと横切って行く少女は、カナタ。コードレスフォンを肩と頬で挟み、右手に大量の資料、左手に山の如き布地を抱えている。赤毛はやつれており、青い瞳は虚ろだ。心なしか、身に着けている衣服もよれよれに見える。彼女の視線がカメラに向く。
「あ、桃音さん。そこのメモ帖を取ってくれるかな?」
「えっ? あ、はい!」
『どうやら修羅場の真っ只中といった所か。リポート所では無さそうだ。走ってゆく桃音さんをカメラが追う』
「えっと‥‥雨宮さん、大人数分の衣装製作になるが、何を意識して製作を?」
「はぁ? なに言ってるんだよ。あ、リポートなんだね? 悪いんだけど、伊藤さんに聞いてくれるかな? 今、手が離せないからね」
「そう‥‥ですね。見ただけで分かります。後ほど手伝いに行きますから、頑張って下さい」
 小さな声が「ありがとう〜」と答えた。どうやら既に遠ざかっているようだ。
 テキパキと先を進む桃音の背中をカメラが追う。映し出されたのは、端整な風貌の少女だ。一流女優を目指しているらしく、プロポーションもなかなかである。舞に同様の質問を行った。
「衣装は全体的に肌触りが良くて動き易い物で、体のどんな動きにも対応できるよう、かつ少し位では破れたり解れたりしないよう丈夫な作りにします。裏地は汗を吸収し易く、肌触りの良い物を選び、直接肌に当たらない箇所でも手抜きはしません。選手の皆さんが、心置きなく実力を発揮できるよう配慮したいですね。後は各選手の希望を聞いて、その通りの衣装を仕上げます。その辺は雨宮さんに任せていますが、飾りなどがある場合は、怪我をしそうな尖ったり硬い箇所が無いよう気をつけ、試合の時に外しそうな物は、照明映えがするような材質の物を選び、登場シーンで選手が煌びやかに見える工夫をしておきます」
 黒髪を揺らして微笑む舞。
「これから選手と寸法あわせなので、もういいですか? 皆さんが気持ちよく試合が出来て、観客の皆さんも楽しんでくれれば良いですね」
「有り難うございました。では、入場音楽の曲作りの様子を伺ってみましょう」
『入場音楽作曲‥‥コスチュームと同様に、その選手の個性が良く出る物。これで戦闘状態をMAXに持って行くので、非常に重要なアイテムである』
 ドアが開くと優麗なギターの旋律が飛び込む。捉えたのは、アロハシャツ姿の青年だ。カメラに気付き、要が演奏を止め、切れ長の鋭い眼光を流す。
「あんた、リポーターだったのか?」
「はい、宜しくお願いします。早速ですが、今回、曲を作る際に考えたイメージは? 曲のスタイルや、テンポについて、詳しく教えて下さい」
「そうだな‥‥選手の職業やイメージ、容姿に合わせたつもりだ」
「‥‥えっと、詳しく教えて欲しいのですが」
 サングラス越しの鋭い眼光が少女を射抜く。どうやら無口な方かもしれない。
「つまり、曲のスタイルは様々。子供達が喜びそうなテンポもあれば、アイドル的なリズムもあるって訳だ」
 即興でヒーロー物を思わせる旋律やアイドルぽい曲調を巧みな指捌きで奏でて見せた。千差万別の曲は流石だ。思わず桃音は固まって聞き惚れていた。指が止まり、無言の威圧が少女を捉える。
「あ、有り難うございました!」
 慌ててぺコリとお辞儀すると、少女はカメラに向き直った。
「視聴者の皆さん、いかがでしたでしょうか? しっかりとお伝え出来たなら幸いです。クリエイターの仕事振りを試合で是非御覧下さい。桃音がお送りしました」
『女性達の華やかな戦いの場‥‥それが、ヴァルキリーインパクト! さて、今回はどのような素晴らしい戦いが見られれるのであろうか!』