アルマイトの旗南北アメリカ

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/03〜10/07

●本文

●a flag the Alumite(アメリカ正式タイトル)予告フィルム
 ――アルマイト軍伍長フォビトン・フルート(フォー)、グランドエクスペリメント基地に到着。
 荒野をバックに基地の格納庫に入ってゆく少女。彼女の先を歩くは白衣の男だ。
 フォーは歩きながら踵を返すと、眼鏡越しに浮かぶ青い瞳に、広大な荒野を映した。
「暑い上に何もない所ですねぇ」
「ハッハッハッ、基地の特性状、こんな所でなければ試作機の実験はできんからなぁ。キミは多くの部隊で単独行動を起こしてここに転属されたそうだね」
「‥‥つい、考える前に動いちゃうんです。いけないって分かっているんですけどね」
 てへ☆ とセミロングの髪を軽く叩いて、おどけるフォー。しかし、白衣の男は前を向いて歩くのみで、少女に視線を流さず笑う。
「まぁ、ここは規格外試作機の実験場だ。ここを飛ばされたらSGには関われないだろうな」
「規格外? ですか?」
「兵器として通用するか分からない試作機って訳だよ。見たまえ」
「へ? こ、これは‥‥」
 フォーの瞳に映ったのは、8m位の人型だ。否、正確に言えば、8mの一部装甲に包まれた人である。分かり易く言うなら、マネキンに装甲を装備した感じだろうか。当然、少女は唖然とした。
「‥‥人形?」
「骨格を特殊樹脂で包んだ機体だよ。ある技師の提案でね、人の形だけでなく、人そのものの迫力を兵器に出せば威圧感があるという訳だな。今はマネキンのように個性が無いが、近日中に実験機が完成する予定だよ」
「個性? ですか? 威圧と言うより可愛らしいイメージが先行します‥‥」
 SG――SteelGrave。
 アルマイト軍とベルトレス軍で実戦投与されている人型兵器である。
 この物語は、いつ終わるとも分からない戦いの記録である――――。

●ストーリー選択(放送されるのは一つなので相談して決定)。
【部隊の一日 出撃までの軌跡】
 グランドエクスペリメント基地内での一日を描く、紹介編みたいなものです。フォーが部隊に配属され、SGDでの出撃までの仲間との交流物語です。

【巨大ドール起動! 機体テスト】
 荒野でSGDの模擬戦闘を描く、戦闘シーン中心の物語です。どの機体を攻撃するか決めて、戦闘内での物語を演出して下さい。

●キャスト募集
 アルマイトの旗では、グランドエクスペリメント基地実験部隊メンバーとSGD(SteelGraveDoll)のアクターを募集します。

【グランドエクスペリメント基地実験部隊】(複数OK)
・配役:階級明記。
・役名:登場人物の名前です(本名で出演してもOK)。
・設定:どんなタイプのキャラクターを演じるか明記(設定なければ口調はアクター)。
・得意:操縦・索敵・攻撃・回避・防御・援護から選択。
・機体:搭乗するSGDを明記(要打ち合わせ)。
・演技及び台詞など。

【SGD】(複数OK)
 生身にメカニックな装甲と武装を装備して人型兵器を演じて頂きます(半獣化OK/獣化NG)。
 外見はアクターのものとなります。
・機体名称:SGDの名前です(本名で出演してもOK)。
・搭乗人数:単座か複座(2名まで)か決めて下さい。搭乗者も明記。
・搭乗場所:コックピットの場所が身体の何処か明記(CG合成されるので安心して下さい)。
・武装設定:スタイルに合わせて、どんな武装か設定して下さい(或る程度何でもOK)。
・機体外観:外観特徴です(どんな服状の装甲か、身体の何処に装甲があるか等)。
・機体設定:性能的な特徴を1つだけ(例えば飛行可能とか)。
・演技及び台詞など。

☆SGDの主な仕様は以下の通り。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・音声認識AI:パイロットと会話可能で台詞OK。但し、自律行動は不可能。
・スタイル制限:スタイルで性能が変化します(アクターのスタイルとなります)。
【細身】高機動型だが装甲は薄い。武装は格闘戦用のみ。
【標準】性能は平均的。武装は格闘戦用と射撃戦用の計2。
【豊満】機動、装甲共、標準型より劣る。武装は格闘戦用と射撃戦用と内臓兵器の計3。
【筋骨】機動は豊満に劣るが、装甲は厚い。武装は格闘戦用と内臓兵器の計2。
【肥満】機動は最低だが、重装甲。武装は射撃戦用2と内臓兵器1の計3。

●NPC
 フォビトン・フルート伍長(女)10代後半。通称フォー。
 セミロングの眼鏡っ娘で可愛いらしく初々しい女の子(映画版参加アクターにより決定)。
 彼女の追加設定して頂けると採用される場合があります。

●サポート参加
 大道具、小道具の設定及びSGDデザイン補足など。所謂裏方を担当して頂きます。

●今回の参加者

 fa0065 北沢晶(21歳・♂・狼)
 fa1234 月葉・Fuenfte(18歳・♀・蝙蝠)
 fa2270 ユージン(17歳・♂・一角獣)
 fa2573 結城ハニー(16歳・♀・虎)
 fa3090 辰巳 空(18歳・♂・竜)
 fa4210 小明(11歳・♀・パンダ)
 fa4235 真喜志 武緒(29歳・♂・狸)
 fa4382 アルディーヌ・ダグラス(16歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●フォビトン・フルート伍長です! フォーと呼んで下さい☆
 グランドエクスペリメント実験部隊に配属された少女は召集された隊員達に声を響かせた。
 これからここで新たな日々が始まるのだ。早速指示を受け、上官の元を訪ねる。
「メグリム・ギルス中尉です、一応宜しくお願いしておきます」
 目の前に立つ愛らしい風貌の少女は、無表情のまま淡々とした調子で名前を告げた。多少おかしな響きを感じたものの、フォーは背筋を伸ばして上官に敬礼で応えると、メグリム(月葉・Fuenfte(fa1234))は丸眼鏡に浮かぶ円らな青い瞳をファイルに流し、感情の欠片も見せず、口を開く。
「軍規違反も若気の至りとは申しますが。まぁブチ殺されなかっただけ幸いですか。‥‥基地を案内しますから、付いて来た方が身の為です」
 中尉は何事も無かったように黒い長髪を翻すと歩き出した。
「ここがブリーフィングルームです。遅刻したら反省文二千文字と基地の外周10周です、覚悟しといて下さい」
「り、了解です」
「ここが宿舎です。消灯時間までにはとっとと糞して寝て下さい」
「了解です(可愛い顔と声なのに‥‥前にいた部隊が悪かったのかな?)」
 ラウンジ、食堂、シャワールームなど一通り案内された後、シミュレーションルームへ向かう。
 扉がスライドすると、視界にコクピットを模った大きな筐体が幾つか見えた。操縦席で必死に二本のスティックを捌く緩やかなウェーブヘアの金髪が揺れる。
「もぉ、むっかつくぅ!」
 ニコールマックス少尉(結城ハニー(fa2573))の悔しそうな声が響くものの、モニターに浮かぶランクは最高を示すSランク。フォーにとって、夢のような成績である。
「‥‥すごい。えっ? ‥‥女の子?」
 反対側の筐体から覗かせた顔に、伍長は思わず驚愕の声をあげた。あどけない笑みを浮かべたのは、未だ幼い顔立ちの少女。左右の黒髪をチャイニーズ風に丸く纏めており、花があしらわれた様はキュートだ。円らな瞳がフォーを捉える。
「あっ」
 幼い少女の視線が自分の背後を示している事を悟ると、ニコールが金髪を揺らして切れ長の青い瞳を向けた。
「あら? 軍規違反で転属されたって娘ね♪ ヨロシク☆ 『陽気な亡霊』なんて呼ばれているわ」
 ウインクして微笑む少尉に、フォーは素っ頓狂な声をあげた。
「えぇーッ!? 陽気な亡霊って!? アルマイト13人衆の一人の、ですか!?」
「あら? 知ってるなんて光栄ね♪」
 そんな中、ヒョコリとニコールの背中からマリーが姿を見せる。どう見ても子供だが‥‥。
「はじめまして。マリー・ウィリアムズ少尉と申します。シルフィードのナビゲーターです。なにかあったら、声をかけて下さいね」
 マリー(小明(fa4210))に少尉と告げられ、慌てて敬礼するフォーに、ニコールが微笑む。
「まあ、誰かのお子様と思われても仕方ないわよねぇ。IQ200の頭脳をかわれ、若干13歳ながら特別隊員として入隊、なんて異例だもの」
「そのお子様に撃墜されたのはどちら様ですか? 中尉♪」
「くうぅ、もう一度勝負よ!」
(「撃墜されたんだ‥‥陽気な亡霊が‥‥」)
 頭の良い妹とダメな姉の口喧嘩の様相と化す中、伍長の背後で扉がスライドした。
「ダディ☆」
 パッと向日葵の如く表情を輝かせると、マリーがタタタっと駆け抜ける。フォーが瞳で追う中、幼い少女は穏やかな笑みを浮かべる男の胸に飛び込んだ。
「またニコール少尉と口喧嘩かい? 二人は相変らず仲がいいね〜」
 マキシ・ウイリアムズ中尉(真喜志 武緒(fa4235))が縁なし眼鏡の奥で瞳を和らげ、満面の笑みで頷きながら娘の頭を優しく撫でた。
「ダディ。今日の訓練、どうだった?」
「良い出来だね、マリー! 流石は僕の宝物さんだ」
「‥‥ダディ?」
 すっかり周囲を気にせず二人の世界を作る親子だったが、長身の男は伍長に穏やかな瞳を向けると、ポリポリと茶髪を掻いて微笑んだ。マリーは養女らしい。
「皆さん良い方ですから‥‥すぐに慣れますよ‥‥アクは強いですが‥‥。後でシミュレーションしませんか? コツを教えますよ。‥‥おや、拗ねているのかい? マリーが一番の宝物さんだよ☆」
 再び二人の世界を繰り広げる親子。微笑ましい光景ではあるが‥‥。
(「マキシ中尉も十分アクが強そうですよ」)
 再びメグリムに付いて通路を進む中、前方から弾丸のように駆けて来る金髪ポニーテールの美少女を捉えた。アルディーン・クラウソラス一等兵(アルディーヌ・ダグラス(fa4382))だ。荒い息を弾ませて目の前に辿り着くと、ビシッと敬礼して元気な声を響かせる。
「フォー伍長は自分が案内するでアリマス!! さぁ、宿舎へ案内するでアリマス!」
「案内済みです」
「え? では、食堂を案内するでアリマス!」
「案内済みです」
「シミュレーションルームを‥‥」
「さっき出て来たばかりです‥‥」
 ダラダラと汗を流して困惑するアル。ジッと無表情で見つめる中尉の眼差しが痛い。
「メグリム中尉! 案内していないのは、どこでアリマスかぁぁぁ?」

●SGDと呼ばれる兵器
「よろしいですか? 必要なファイルか確かめて呼んで下さい!」
 しなやかに白い足が覗くミニスカートを揺らし、事務員の娘は背中を向けた。陽気に手を振りながらヒップラインを見送るのは、ジョージ・グリーン軍曹(北沢晶(fa0065))だ。
「はぁ〜、やっぱりミニスカートは潤いますねぇ。さてと、仕事しますか」
 腰ほどある黒髪を揺らし、踵を返した青年は顔を上げる。視界に聳え立つのは、ヘルム・胸・肩・膝当てと比較的バランスよく装甲が施された巨大な青年だ。耳から角らしき物が下向き加減に伸びており、背中に広がる漆黒の翼は竜を連想させた。SGD――グラン・ノワール(辰巳 空(fa3090))である。
「うーん‥‥可愛い女の子型とかあったら、整備のし甲斐がありそうなんですけどね‥‥おや?」
 胸部コックピットにリフトで昇る中、フォーを案内するメグリム等を捉えた。ジョージはリフトを降下させると、嬉々として駆け寄る。
「こんな辺鄙な所へようこそ。実験部隊という事で顔なじみが多い訳でもないけれど、まあ一つ仲良くやっていきましょー。食べます?」
 差し出されたスナック菓子を両の掌をパタパタと振り、苦笑しながら丁重に断わるフォー。
「いえ、結構です。これが配備されたSGDですか‥‥」
「体の良い囮、とも言えますがね」
 ぼそりと呟きながら、メグリムがリフトでSGD鎖骨部の窪みへと昇ってゆく。中尉の機体は、肩当と胸当てが特徴的で、突き出た耳から顎のラインに頬当てのような装甲が覗える端整なマスクの少年型SGD――デュオニソス(ユージン(fa2270))だ。額に一角獣の如き角が突き出ている。
「あれ? 今SGDが喋った!?」
「ノアも喋りますよ。僕の機体じゃありませんけどね♪」
 戸惑う伍長の腰に腕を回し、リフトを上昇させるジョージ。マニュアル片手に起動スイッチを入れると、沈着冷静な声がグラン・ノワールから流れ出す。
『はじめまして、私はノアといいます。今後ともよろしくお願いします』
 少女は黒いスーパーカーを連想した。

●部隊の一日
「集まったわね、いつもご苦労さん。今日も皆でがんばろー!!」
 早朝の格納庫。下級兵士達を前に、ニコールが陽気な声と共に腕を突き上げた。
 アルが『おー!! でアリマス!』と元気な声で拳を掲げたが、ジョージとフォーは眠そうだ。尤も、このSGD雑巾掛けのおかげで、朝のミーティングに遅刻せずに済んでいる訳だが‥‥。
「ジョージ軍曹? この雑巾掛けって本当に精神修行になるんですか?」
 眼鏡の奥に指を入れて、目を擦りながらフォーが訊ねた。長髪の青年が屈託の無い笑顔を向ける。
「本音はただの暇潰しですけどねぇ。上官に逆らっても仕方ないですよ。まぁ、気楽にやりましょう。僕等はグラン・ノワールを磨くとしますか」
 こうして、少尉以下数名による早朝ロボ雑巾掛けは繰り広げられた。
「はあ、アタシの『ベルゼルグ』はいつ届くやら‥‥」
 ニコールはデュオニソスの肩に上がり、溜息を吐きながら端整な風貌を磨いてゆく。未だ自分の乗る機体が届いていないらしい。反対側の肩にアルが腰を下ろし、息を吹き掛けながらゴシゴシと拭いている。元気が有り余っているのか、今にも摩擦で火でも迸りそうな勢いだ。そんな中、機体頭部の耳から顎のラインに接合された頬当てから、コロリとネジが取れた。思わず声をあげる金髪美少女。
「あっ!! ‥‥と、取れてしまったでアリマス‥‥」
 ネジを摘んでポカーンとした表情でニコールと顔を見合わせる。頭の上には大粒の汗が浮かびそうな光景だ。暫しの沈黙の後、苦笑する少尉。
「う? 何も無かったよね‥‥たはは」
「サー! イエッサーッ!! 自分は何も見ていないデアリマス!」
 いいのか? それで‥‥。

 ――数時間後。繰り返す日常に模擬戦闘の指示が飛んだ。
「起きて下さい、機械の分際でいつまで寝てるんですか」
『網膜パターン照合‥‥完了。声紋パターン照合‥‥完了。搭乗者メグリム・ギルス中尉。認証を完了。システム起動を開始します』
 無機質な声を発してデュオニソスが起動した。同時にグラン・ノワールも動き出す。
『システムオールグリーン。ドライブスタンバイ‥‥レディー』
 しかし、これが実戦となる事を未だ知る由も無かった――――。