ベルトレスの旗南北アメリカ

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/04〜10/08

●本文

●a flag the beltres(アメリカ正式タイトル)予告フィルム
 ――蒼穹に白い帯を棚引かせ、鋭角的なシルエットの大型機がゆく。
 ベルトレス軍の大型SG輸送機である。
 シーンは格納庫。
 数機の人型兵器SteelGraveが眠りにつく中、1機のみ背部のコックピットを開いた状態のまま、耳障りなキーボードを叩く音が響き渡っていた。
「よし、システムチェック完了だ。これならいつ出撃命令が出ても問題ないな」
 ラサ少尉は少年のような風貌に安堵の色を浮かべて、シートをスライドさせる。
 慣れた動作でタラップから飛び降り、戦場でのパートナーを見上げた。
「SG=typeGarmentV02‥‥。敵の機体データを手に入れてれば、おまえが休める日も来たかもしれなかったな」
 青年は機体に背中を向け、格納庫から離れた。通路を歩く中、愉快そうな笑い声が流れて来る。視線を向けると、カードに興じる部隊員が映った。ラサは深い溜息だけを残して先を進んだ。歩く先々で捉えるは自由気侭な隊員達の姿。
「オート飛行中か‥‥。あと数時間もすれば基地に戻って任務は終わり。気楽にもなるか‥‥」
 その時だ。通信機から発せられた声が機内スピーカーから響き渡った。
『これより作戦要請を通達する』
「作戦要請? 援軍にでも行けと言うのか?」
 アルマイト軍とベルトレス軍は長期に渡る戦争を繰り広げていた。
 主力兵器はSG――SteelGrave。
 アルマイト軍とベルトレス軍で実戦投与されている人型兵器である。
 この物語は、いつ終わるとも分からない戦いの記録である――――。

●ストーリー選択(放送されるのは一つなので相談して決定)。
【秘密基地を探れ!】
 グランドキャニオンにアルマイト軍の施設を確認。建物の形状及び格納庫らしきものが見られる事から、試作機の製造施設の可能性が高い。潜入してデータを収集するのが目的だ。生身かSGを使用するかは任せる。

【敵機体の性能を探れ!】
 グランドキャニオンにて照合データにない機体の行動を確認。敵機体と交戦し、性能を探るのが目的だ。

●キャスト募集
 ベルトレスの旗では、大型SG輸送機部隊員を募集します。
【大型SG輸送機部隊】輸送機共名称未定=相談で決めて下さい。
 機体に合わせた編成員8名。性別不問。
・配役:階級明記。
・役名:登場人物の名前です(本名で出演してもOK)。
・設定:どんなタイプのキャラクターを演じるか明記(設定なければ口調はアクター)。
・得意:操縦・索敵・攻撃・回避・防御・援護から選択。
・内部:単座or複座。
・機体:搭乗するSGの名称/タイプ選択/カラー。
・外観:SGの外観特徴です。
・特性:SGの性能的な特徴を1つだけ(例えば飛行可能とか追加武装など)。
・演技及び台詞など。

☆SGガーメントの主な仕様は以下の通り。
 ベルトレス軍SG『ガーメント』の発展型。直角的なシルエットを模る鋼鉄の機体は、用途に合わせてフォルムがそれぞれ異なっており、衣服を意味する名称から、基本ベースに装甲を『着る』事で、様々な局面に対処できるよう設計されている。
 しかし、技術はアルマイトに劣るのが現在の難点。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・機体タイプ。
【索敵重視】ノーマルより性能は高い広域レーダー装備型。武装無。
【ノーマル】平均的な性能。肩:ミサイルポッドorビームキャノン砲or腕:ガトリングガン。
【装甲重視】機動性は劣るが装甲は厚い。肩:小型ミサイルポッド 腕:ビームガン。
【装甲排除】機動性は高いが装甲は無い。腕:ビームガン・スピア。

●NPC
 ラサ少尉(男)20代後半。
 やや少年ぽさが抜けない青年士官。階級は大尉だったが、敵新型SG強奪失敗と部隊員戦死者が出た事で少尉に降格。前線から遠いグランドキャニオン近辺を大型移動基地で偵察任務に転属。
 結構無鉄砲。恋愛に関してはかなり鈍感である。
 彼の追加設定して頂けると採用される場合があります。

●サポート参加
 大道具、小道具の設定及びSGDデザイン補足など。所謂裏方を担当して頂きます。

●今回の参加者

 fa0043 皇・皇(21歳・♂・一角獣)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa0513 津野雪加(20歳・♀・牛)
 fa0558 クールマ・如月(20歳・♀・亀)
 fa2712 茜屋朱鷺人(29歳・♂・小鳥)
 fa2832 ウォンサマー淳平(15歳・♂・猫)
 fa2903 鬼道 幻妖斎(28歳・♂・亀)
 fa3623 蒼流 凪(19歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文

●敵機体の性能を探れ!
 ――雲の大海をベルトレス軍大型SG輸送機『シュバルツシルト』の機影が滑空してゆく。
『間も無くグランドキャニオン上空に到達する』
 カーテローゼ・フォン・グリューネワルト准将(蒼流 凪(fa3623))の凛とした声が機内に響き渡る中、部隊は靴音を響かせた。
「も〜、ゆっくり休めると思ったのに〜、また任務ですか〜。ミカガミ中尉、スタンバイですよ」
 シエル・ワーバリア伍長(津野雪加(fa0513))は眉をハの字に模り、のんびりした口調でぼやくと、小説から手を離さない、カゲツ・ミカガミ中尉(水鏡・シメイ(fa0509))に振り返る。肉感的なボディが艶かしい。
「あと1ページで区切りが良かったのですけどね」
 青年は残念そうに本を閉じると、腰まである白銀の髪を揺らし、眼鏡に浮かぶ穏やかな眼差しを小麦色の娘に向け腰をあげた。
『我々の任務は敵の施設で確認された機体と交戦、データ収集が目的だ』
 准将の指令が格納庫にも流れる中、リョウ・テンガ准尉(皇・皇(fa0043))は球体型SG『アナザーヘッド』のコクピットでキーボードを叩いていた。機体から幾つものコードが伸びており、未だ目覚めぬSG達の端末へと繋がっている。機体情報を出撃前に一通り入力し、戦闘時に情報を元に敵機体の性能を計ろうという訳だ。
「予測される衝撃値はっと、やれやれ、あの人はもっと正確なデータが必要なんだろうな」
 愚痴を洩らしつつ、ツナギに白衣を羽織っている青年の表情は心労を浮かべていない。そんな中、アナザーヘッドを連結させたSGの後部ハッチが開き、煙草を咥えた褐色の娘が姿を見せた。着崩した軍服から覗く胸元が魅惑的だ。
「テンガ准尉、そろそろ格納庫に‥‥おっと、英雄サマのお出ましだぜ」
 マリィ・エン=グランツ曹長(クールマ・如月(fa0558))は、格納庫に現れたラサ少尉を捉えると、機体から身を乗り出す。
「単独行動の挙句、部下を死なせて、機密も奪取出来ず終いの有能な方だとか。まったく、あたしも優秀な上官の下につけて光栄でありますよ!」
「‥‥出撃前に皮肉は聞きたくないものだな。マリィ曹長」
「出撃されるのですか? 俺達だけで十分ですよ、ラサ少尉。味方すら死に誘う死神の出番は必要ありません」
 イシル・プラネス曹長(ウォンサマー淳平(fa2832))も、冷たい眼差しで言い放った。
「嫌われたものだ。索敵型のセッティングが多い中で、機体数を減らしたいとはな」
「あたしやイシル曹長は生存確率の高い方を選んでいるだけですよ、少尉殿」
 張り詰めた空気が格納庫に漂う。そんな中、ポエニクス伍長(茜屋朱鷺人(fa2712))が精悍な風貌にニヒルな笑みを張り付けて口を開く。
「任務の後にしたらいかがですか? 曹長殿方。ライル大佐が来ちまったら乗る前にダイビングですよ」
「分かっているじゃないか、伍長。ガキども! あと5秒で蓋を開けるぞ!」
 貫禄を感じさせるがっしりとした男が声を響かせた。バロン・ライル大佐(鬼道 幻妖斎(fa2903))だ。各自機体後部ハッチを開いて滑り込んで行く中、ラサが上官の行く手を阻む。
「バロン大佐、自分は第二次降下を考慮して待機します。その方が安心できる者がいるようなので」
 青年は瞳をマリィとイシルに流す。当然二人の表情は面白くなかった。
 パイロット達が起動レバーを入れ、それぞれ覚悟を決めてゆく。或る者はのんびりとした風貌に冷静さを湛え、或る者はアイドルフォトに無事を祈り、或る者は不敵な笑みを口元に張り付けた。
『いいかガキども、戦争はびびった方が負けだ。SG降下!!』
『皆さん、無事に生きて帰ってきましょうね』
『無事に帰ったら、何かあまいもの奢って下さいね、隊長さん』
 様々な声が通信機から流れる中、格納庫の床が左右に割れ、眼下に乾いた地表を覗かせると、固定フックが外され、SGは空中に解き放たれた。

●敵機確認
 7つのパラシュートが聳え立つ岩山に落下してゆく。
 地表到達距離に合わせてバーニアを吹き、脚部のショックアブソーバーが着地の衝撃を和らげた。
『施設までの距離確認』
『ジャミングシステム異常ありません』
『よし、目標に接近する。索敵を怠るんじゃないぞ』
「新型機か試作機かは知らんけど、やれやれ、疲れる事で」
「ぼやくんだったらパージするよ。『鈍亀』はタダでさえ重いんだから」
 マリィの駆る緑色のSGは分厚い装甲に囲まれた無骨なシルエットの装甲重視型で、依存型SGのアナザーヘッドを連結させている。積載量過多ではないが、やはり機動力は鈍い。
『センサーに反応あり、目標と思われる熱源を二つ確認。瞳は嘘をつくが、センサーは欺せない』
『照合不可能‥‥未確認機体だと』
 ――モニター越しの視界に、人型の『それ』は捉えられた。
 比較的バランスよく装甲が施され、背中に漆黒の翼を広げた機体だ。対峙する機体は、肩当と胸当てが特徴的なフォルムを模っている。
 しかし、異彩を放つのはそればかりではない。2機の頭部は、端整な風貌の青年と額に角の生えた少年のものだった。正に8mの巨人が荒野で格闘戦を繰り広げている。6mのガーメントより上だ。
 部隊が唖然とする中、カゲツの駆るサファイアブルーの『カレント』が動き出す。
『援護お願いしますね』
『作戦を開始する! データ収集及びカゲツ中尉と俺を援護しろ!』
『スティアボール、アイ射出!』
『地中から奇襲を仕掛けてみる、相手の動きしっかり観察しておいてくれ!』
 イシルの駆る銀のSGは背負っているコンテナから5機の小型カメラポッドを放ち、茶に彩られたシエルの『モール』が、流線的なシルエットを大地に沈ませてゆく。
『射撃は俺がやらせてもらう!』
 ポエニクスの駆る長銃身の狙撃銃を装備したガーメントが、援護の咆哮を響かせた。
 カレントのモニター越しに映る標的は、耳から顎のラインに頬当てのような装甲が覗える美少年型だ。バトルガントレットを装備した手に十柄剣を構える敵機を捉え、ビームガンで距離を詰めてゆく。
「私の攻撃を躱すとは、腕の良いパイロットが乗っているようですね! おっと!」
 少年が薙ぎ振るう切先をサファイアブルーのSGは躱し、仕込み爪『リヴァイアサン』を左手に煌かせ、蒼い切先を叩き込むべく飛び込む。刹那、長い爪が装甲に弾かれ、鉄拳がガーメントに炸裂した。装甲排除型の機体はカゲツの回避テクニックで大破は免れたものの、黒煙を吹き上げる。
「装甲を貫かせないばかりか、反応速度が桁違いという訳ですか?」
 戦況は青いSGのバロンも同様だ。
 青年の尾から放たれるビームカノンを躱しながら閃光を放つものの、巨人は腕輪状のデバイスを展開させ『シャドー』の攻撃を防いでゆく。
「訳の分からんシールドを張るッ」
 そんな中、撹乱すべく地表にモールが姿を見せると、少年の刀が振り落とされた。シエルのコクピットを衝撃が強襲し、機体が黒煙を吹き上げる。
『きゃあっ!』
「くっそぉ! うちのガキ共をやりやがってぇぇ」
 ステルス機能を発動させて特攻を掛けるシャドー。しかし、青年の装甲にダメージを与えはしない。人間と同じ目が、ギロリと睨む様をモニター越しに捉え、『蒼い流星』と恐れられた歴戦の猛者が戦慄き、防御障壁を展開させた鉄拳の洗礼に破片が散る。
「今のベルトレス軍では勝てんというのか!? データ収集どうなっている?」
『映像は撮れています』
『機体の破損データは収集済みです』
『センサーに捉えられた! 来るぞ!』
 ポエニクスの声に鈍亀が後退を始めた。
「あたしはバクチ打ちだけど、だからこそ命を賭けるなんてのは大嫌いなんだ」
「ま、所詮俺もあの人に取っちゃ使い捨ての駒みたいなもんだがね、っと」
 刹那、ビームカノンの閃光が側面を掠ってゆく。
「距離が可変した? あの尻尾から放つビームは出力を変えられるのか!?」
『殿軍は俺が引き受ける! 撤退だ!!』
『そろそろ潮時ですか‥‥了解、撤退します。シエル伍長、動けますか?』
『私は大丈夫、地中を抜けて帰ります!』
 ビームカノンを放ちながら異形の青年がシュプールを描き、美少年が続く。
 浮遊アイを犠牲に追撃を緩めようと努め、カレントが放ったスモークが周囲を白煙に染める。
 そんな中、上空に機影を捉えた。
 煌びやかな装飾の施された白いSG。『伯爵』と呼ばれる男装の麗人――カーテローゼの駆る『ベイオウルフ』がビームガンを眼下に放ちながら降下して来たのだ。
「私のスピードについてこれるかな?」
 飛行型のSGは高高度からのヒット&ウェイを繰り返し、敵の足止めに機動力を駆使する。美少年の頬当てがガクガクと揺れた。しかし、伯爵と言えど1機を翻弄するのが限界だ。
 装甲を排除して背中を向ける緑のSGをビームカノンが狙う――――その時。
『マリィ曹長、何をやっている!』
 ラサの機体が上空から閃光を放ちながら降下して来た。
「‥‥あんたみたいに突っ込む無鉄砲は、すぐ死んじまうんだから‥‥」
 敵の標的となるよう攻撃を続けるSGを後部モニターで映しながら、誰にも聞こえない小声で呟くと、何かを思い出す様な遠い目を浮かべた。
『よし、データは取れた。各自散開しつつ撤退せよ』
『まだまだ、ゲームは続くってか。ポエニクス伍長了解!』
『(ラサ少尉‥‥)イシル曹長了解です』
 こうして部隊は辛くも戦線離脱に成功。任務は達成された――――。