ヴァルキリーインパクトアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 0.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/21〜11/25

●本文

 ――今、世界には様々な格闘技が溢れ、TVで放送されている。
 男達は鍛えた拳や技を酷使し、最強という称号を得る為に闘い合う。
 だが、戦う戦士は男ばかりではないのだ。今や女がリングに上がり様々な格闘技に身を投じている。
 そう、時代は戦乙女を必要とし、現代に甦らせたのだ!!
 ヴァルキリーインパクト。これは2ラウンド制による立ち技のみの格闘技である。
 白魚の手をグローブという武具で固め、魅惑的なボディを様々なコスチュームが彩りを与え、艶やかに揺れる長髪と胸元、しなやかな白い足が薙ぎ振るわれれば、スカートが舞う!
 近日、TVスポットが当らなかった戦乙女達の肢体が公開される!!
 只今、ヴァルキリーインパクトでは出場者募集中!!
 
 モニターの中、放送前の番宣映像が一時停止された。
「‥‥立ち技って事は、要は突きと蹴りだけってやつか?」
「W−1より地味よね? それに表現がいちいち卑らしいわ」
「しかし、確かに立ち技最強を決する格闘番組は存在します。その女性版と思えば分からなくもありませんね」
「まぁ、ルックスが良く魅力的なボディが闘うなら視聴率も獲れるだろうが、俺はくんずほぐれずの方が見応えがあると思うなぁ。何か特色はあるのか?」
 様々な意見が飛ぶ中、一人の男に視線が注がれた。
「はい、リングコスチュームは自由ス。ほら格ゲーのギャルみたいな感じスよ♪ それぞれ演出を施してドラマチックに見せるっス。組み技が無い分、デザイナーによるファンタジックな衣装も可能スよ」
「エンターティナーとしてアピールさせるのね。それなら女性受けも良さそうかも」
「様々な方面へのアピールですか。批判もありそうですが、メリットも大きいかもしれないですね」
「まぁ、枠もある事だし、やって見るか。魅せる番組にしろよ!」
 こうして新企画は動き出したのである――――。

●試合形式
 グローブを嵌めての1R2分2ラウンド制。
 2ノックダウンシステム。
 投げ、関節技は無し。膝蹴りOK。手足以外での攻撃、及び背後からの攻撃は反則。
 勝負はKO・TKO・判定で決定。
 エンターテイメント性を高くしており、衣装は組み技が無い為自由(但し金属物が付いたものは禁止)。

●募集区分。
・ヴァルキリー(若い女性であれば格闘技未経験者でも参加OK)
 試合を行う選手です。コスチュームは自由。
 格闘スタイル・得意技(コンビネーション等)・自己PR・どのように試合を組み立てるのか明記。

・コスチュームデザイナー
 選手のコスチュームを製作する方です。アピールポイント明記。
 選手紹介時に記録映像としてデザイナー紹介が流されます。
 注意点:突起物や鉄製のものは止めましょう。

・入場音楽作曲家
 選手の入場シーンの音楽を担当する方です。但し、既に出している音楽は却下です。この格闘技の為に製作した音楽です。
 アピールポイント明記(選手の何をイメージして作った曲か、どんなリズムの曲か等)。

・実況
 状況を視聴者に伝える方です。選手のキャッチコピー等明記。
 殆ど実況で試合が伝えられます。自分の個性を出せるよう台詞を決めておくのも一興です。

・控え室リポーター
 選手の控え室をリポートする人です。普通は遠くから様子を窺うのみですが、勇気があれば突撃して見ましょう(笑)。後は選手との駆け引きです。

・番組演出
 TV演出や選手入場からリングにあがるまでのファイティングロードの演出を担当します。言うなれば、ヴァルキリーインパクトがどんな雰囲気の格闘番組かを決定する重要な部分です。タイトルの雰囲気や視聴者に魅せる部分を構成して下さい(イメージは月ごとに開催されるKの番組参照)。

・解説者
 格闘技を生業としており、試合の状況に解説を入れる方です。
 ヴァルキリーインパクトは素人も参加可能な格闘技ですので、無名でなければ担当できます。

・セコンド
 選手につくセコンドです。出番は少ないですが、セコンドがいると1R目の闘いによりアドバイスを受けて有利に展開できるかもしれません。

・ラウンドガール
 2R戦ですので1R終了時に登場します。コスチュームは自由。アピールポイント明記。当然ながら台詞はありません。笑顔で目立ちましょう(笑)。

●今回の参加者

 fa0160 アジ・テネブラ(17歳・♀・竜)
 fa0728 SIGMA(27歳・♂・猫)
 fa0954 白河・瑞穂(17歳・♀・一角獣)
 fa1236 不破響夜(18歳・♀・狼)
 fa1521 美森翡翠(11歳・♀・ハムスター)
 fa1679 葉月竜緒(20歳・♀・竜)
 fa1712 孫・華空(24歳・♀・猿)
 fa2196 リーゼロッテ・ルーヴェ(16歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●バトルスタンバイ
 映し出される四角いリングを頭上のカメラが捉え、ゆっくりと周辺へズームアウトしてゆく。描かれる光景は、白河・瑞穂(fa0954)の演出により、古代ギリシャ神話をモチーフとした清涼感と神々しさに包まれていた。
『幻想的な光景が映し出されていますの☆』
 そんな中、実況を務める美森翡翠(fa1521)の舌足らずな声が流れ、実況席を映し出す。その風貌は長い黒髪の愛らしい少女だ。
「はーい。ヴァルキリーインパクトの実況、美森翡翠ですの♪ よろしくお願い致しますですの。それでは早速控え室を覗いて見たいと思います。レポーターのルーヴェさぁん?」
 ノンビリとした少女の挨拶後、マイク片手の銀髪少女を映し出した。レポーターを務めるリーゼロッテ・ルーヴェ(fa2196)が、好奇心に満ちた赤い瞳を輝かす。
「はい、こちらは第一試合を行うアジ選手の控え室前だよ。早速、突撃リポートを敢行しちゃいます♪ 衣装は後のお楽しみ☆ 部分的に映すからね!」
 試合前の選手に突撃リポートなんて許されるのか? しかし、彼女とて事前のチェックを行い、選手も了承済みだ。軽やかに控え室を駆ける細い背中をカメラが追い、アジ・テネブラ(fa0160)を映し出す。腰ほどまで届く優麗な銀髪を左右に揺らし、準備運動を行っているが、あどけない風貌は困惑の色を浮かべていた。どこかボーっとした物静かな印象の少女がマイクに応える。
「初めてのことで‥‥自信があるわけじゃないですけど‥‥、応援している人たちがいる限り私はがんばります‥‥」
 小さくVサインを見せるアジ。
「‥‥はい、次は対戦相手の不破選手控え室へ直行しまーす! あ、シャドーを繰り返しています。間も無く試合ですが、コンディションはいかがですか?」
「あぁ、悪くない。本格的に格闘技をやったことがあるわけじゃないから不安だけど、ここまできたら全力でぶち当たるだけさ!」
 シャドーを続けながら、不破響夜(fa1236)が低めのハスキーボイスを響かせた。

●第一試合:アジ・テネブラvs不破響夜
 ファンタジーな装飾の中、二人の少女を写した画面が左右に割れると、実況席が映り出す。隣の席にSIGMA(fa0728)、その隣に和服姿の黒髪の少女を捉える。
「はーい、本日のヴァルキリーインパクトの解説に、SIGMAさんと、演出を手掛けた白河さんに来て頂いてますの」
 黒い短髪に洒落た顎鬚の精悍な風貌の筋骨逞しい男が挨拶し、次に少女がお辞儀をした。
(只今より、ヴァルキリーインパクト第一試合を行います! 選手、入場!!)
 歓声が場内に響き渡る中、幻想的な花道にスポットライトが照らされ、クラシックのワルツが神秘的で物静かな旋律を奏でると共に戦乙女が歌声を響かせる。
『その立ち姿は純白の芙蓉の花! キャリア、ファイトスタイル一切不明、アジ・テネプラさん! 歌声と同様に可憐な戦いを魅せてくれるのでしょうか?』
『アジはフットワーク主体のファイトスタイルだが、我流の技を主に使うので動きが読みづらいかもしれないな』
『彼女の衣装は白基調の丈はそんなに長くないゴスロリちっくなワンピース。中に水着を着用し、脛は白のリングブーツでカバー、腕や太股をリボンで装飾しました』
 控え室でやたらと丈の短さを気にしていたアジだが、今はそんな素振りも見せず、青い瞳はリングにあがると共に鋭利に研ぎ澄まされてゆく。
 続いてロック調の勢いのある曲が掻き鳴らされる。
『対するは同じく歌姫の1人、しかし方向性は真逆の。凛々しく立つは棘持つ気高き黒き薔薇! 不破響夜さん!』
『不破は音感が良いのでわりと綺麗なリズムで攻めることが出来るみたいだな。こういうタイプは勢いに乗ると怖いね』
『彼女の衣装は黒一色の忍者をイメージさせるコスチュームで、ボトムをズボンじゃなくミニ浴衣風にしてセクシーさを強調しました』
 悠然とリングへ向けて歩く少女は、実況の紹介が響き渡ると共に、少し照れ気味に頬を染めた。確かに白と黒、少女の色香も対照的に映っている事だろう。
(セコンドアウト! Round1 Fight!!)
 ゴングが鳴り響き、試合は開始された。
 アジが一気に間合いをミドルレンジに運び、対する不破は腰を落として右足を後ろに引いたオープンスタンスで相手の周りを回りながら様子を窺う。相手が攻撃して来ないと見るや、軽い牽制のローを放ち、ジャブを散らせて打ち込む。しかし、軽快なフットワークで躱してゆく銀髪の少女はカウンターを狙って、ボディブローをレバーや鳩尾に叩き込んだ。
『アジ選手、茎を折りに出た! 続けて台(うてな)に鋏! 速いですッ!』
『連続のローキックか。格闘センスも悪くないな。不破はガードが追い着いていない』
 ローキックからミドルへと蹴りを散らせてゆくアジ。避けが間に合わない不破は脇腹を庇う事となる。刹那、ワンピースが大きく翻ると共に叩き込まれたのはハイキックだ。中が水着であろうとも、客席に歓喜の声が広がる。
『花の顔(かんばせ)に朱がさした〜!』
『しかし未だダメージは浅い。これは判定になるかもしれないな』
 その後、体力に勝る響夜のサービス含む上段回し蹴りを躱しながらカウンターのボディブロー、そして膝蹴りと多彩なコンビネーションを見せ、第2ラウンドまで闘い、判定でアジが勝利を掴んだ。
 互いの健闘を称える握手をしてリングを降りる中、銀髪の少女が声を響かせる。
「‥‥勝ち負けよりも‥‥応援してくれた人たちにありがとうって言いたい‥‥本当に、ありがとう‥‥!」

●第二試合:孫華空vs葉月竜緒
 ロッテの☆突撃レポート♪ が終わると、第二試合のアナウンスが響き渡り、客席から歓声が沸き起こる。響き渡る京劇や雑技団系の中国的な音色と共に、孫・華空(fa1712)が花道を歩いてゆく。団子頭の金髪と丸顔に太い眉と大きな瞳が印象的だ。
『日頃は華麗に空を舞う輝く金の山吹が、今宵は地面に咲き誇ります! プロ女子レスラー 孫華空さん!』
『孫はプロレスラーではあるけど、中国拳法を主体とした打撃系のファイトスタイルだからこの試合形式でもやりやすいはずだ』
『彼女の衣装は裾が長く足首まで届く、深紅のチャイナドレスです。両側に深いスリットが入っており、足はカンフーシューズ。ファンサービスで下着は黒だそうです』
 続いて流れるは、関西球団の応援曲を思わせる旋律だ。その選曲は、葉月竜緒(fa1679)を見れば頷けるというものだろう。何故か彼女は実況席におり、曲と共にリングへと駆けあがる。
『プロに対抗するのは気迫で圧倒する若葉の瞳! 鉄線花(クレマチス)の強さは彼女に宿るか!? 乱入者の名は葉月竜緒さん!』
『葉月はわりと身軽だから、意外性のある動きを見せるかもしれないな』
『彼女の衣装はユニフォーム風な感じで、半袖単パンの縦縞にしました』
(Round1 Fight!!)
 ゴングが響き渡ると共に観客はどよめいた。華空が素早い動きで宙を舞い、身体を捻ると竜緒の顔目掛けて飛び蹴りを放ったのだ。
『花の顔(かんばせ)に朱がさした〜! 続いて更に花の顔を朱に染め上げます!』
『先手を取られた上に蹴りが綺麗に入ったからな。孫のジャブは自称シカゴタイプライターというらしく、このまま反撃のチャンスが無いと葉月はマズイ事になるぞ』
『どういうことですの? あ、台に鋏が挿し込まれましたわ!』
『ジャブの連打で相手の注意とガードを上げさせ、次いで左右のローキックで動きを止める。葉月もローで反撃しているが、衝撃の違いは明らかだ。もう太股が赤く腫れている』
 ――そろそろサービスといかせてもらうぜ!
『あぁッ! どうしたんですの? 孫選手体勢を崩してマットにグローブをつきましたわ!』
『スリップじゃないぞ! これはッ!?』
 津波のように会場がどよめく。モニターに映し出されたのは、グローブで自重を支え、逆立ち開脚しての旋風蹴りだ。黒いフリル付きのセクシーな下着が露となる。しかし、サービスは数回転でレフリーに止められた。これではダウンしたと状態は同じ、相手も攻撃が出せない。注意を受けると同時、第1ラウンドの終わりを告げるゴングが鳴り響く。
「これは反則になりますの?」
「難しいな。しかし、サービスとはいえ、これが判定にどう影響するかが問題だ‥‥」
(Round2 Fight!!)
 ゴングが鳴ると共に中央で睨み合う。体力の消耗や太股へのダメージが竜緒に色濃く浮かぶ。
 ――ホンマもんのレスラーには適わんわ。うちやて見せ場なく終わる訳にはいかんのや!!
『葉月選手! 花吹雪の如く舞い踊る!』
『いや、飛び膝蹴りも続け様の左右廻し蹴りも効いていない。全てガードしている――来るぞッ!』
 マウスピースが宙を舞う中、大きく仰け反った竜緒の顎には、スリットから大きく覗く華空の膝が炸裂していた。ハイジャンプの跳び膝蹴りが綺麗に入ればダウンは免れない。何とかその後も健闘したが、華空の判定勝ちに至ったのである。
『しかし、相手はプロのレスラーだ。素人として逃げずに闘い抜いた精神は、戦乙女としての資格は十分だろう』
『お聞き下さいですの。敗れた葉月選手にも惜しみない拍手が鳴り響いていますわ。それでは、次の試合の前にCMですの☆』
 その後も様々な衣装を纏った戦乙女達が闘い、筋書きのないドラマを描いて放送は幕を閉じた――――。