【NiA】Still Action南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
7人
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サポート |
0人
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期間 |
11/27〜12/01
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●本文
――Night in Abyss。
芸能人が紅白に分かれ、中国で開催されるWEA主催の芸能大会である。
それに連動し、各地でも同様の特番が設けられた。
その一つにアメリカからサミィ・ライナー監督と一人の演出家がドラマの1シーンの演技力を競う特番を企画。
それが『Still Action』。静かなる舞台の演技バトルである――――。
――舞台は●●。1人(H)の前を7人(A〜F)が遠巻きに取り囲んでいた。
A:まさか、あなたが‥‥。
B:どうして、そんな事を!?
H:だって‥‥●●だったの!
C:‥‥そんな!
D:だったら、どうして●●●●したんだ!
E:あの人はあなたの事を●●だったのに!
H:‥‥えっ?
F:教えてくれないか? なぜキミは●●●●を●●●●したんだ?
D:そうだ! 力づくでも聞かせてもらうぞ!
C:訳を‥‥教えて下さい‥‥。
A:ここまで証拠が揃っている。
B:逃げ道もありませんよ。
H:●していたから‥‥取られる前に●●●●●かったの!!
暫しの沈黙が流れた。
E:‥‥そんな! 取られる前になんて‥‥。
H:●●●かったよ? あのひとの●●がして‥‥温かくて、柔らかくて‥‥。
C:やめて下さい! 聞きたくありません!
D:なんてこった‥‥。
A:その気持ち分からなくもないが‥‥。
B:な、なに言ってるんですか!?
F:いや、私も分かる。●●欲とはそういうものだ。
E:そう、なのかしら?
A:正直になろう。実は●の事が好きだったんだ!
H:えっ? なにを‥‥。
B:待ってください! 抜け駆けは●●●です! あたしだって●が!
D:俺を忘れちゃ困るぜ。俺も●が好きだ!
F:私もそうだよ。●を●●●●位に、ね。
E:なーんだ☆ みんな●が好きだったのね♪
H:そんな‥‥いやッ!
C:●●●●いいんですよね?
G:いいに決まっているじゃないか。僕を●●●●だから。
H:どうして!? あたしが●●●●に‥‥。
G:僕は●からでも●●できるんだよ。時間が掛かったけどね。
H:やめて‥‥みんな来ないで!
G:相手が悪かったね。
A:あなたがやった事をやるだけだよ。
B:あたしも●を●●●●!
C:●●●そう♪
D:●が止まらないぜ!
H:友達じゃない? ね?
E:取られる前に‥‥ね。
F:●●●だろ? みんな●が好きなんだ。
G:でも後悔する事はないよ。
G:キミが僕を●●●ければ、僕が●して●●●いたんだから♪
H:いやッ、いやああぁぁぁッ!!
●演じる為の書類
・配役:A〜Hまでの登場人物の一人を選択して名前と性別を決めて下さい(登場人物の名前です。本名で出演してもOK)。
・性格:登場人物の性格や設定です。
・口調:配役の喋り方です。アクターと同じでも構いません。
・道具:一つのみ自由に道具を所持しており使用する演技が出来ます。
・舞台:ここがどこなのか相談して決めて下さい。
●監督と演出家の思惑
「基本プロットは私が作らせて頂いたわ」
「それに合わせてキーワードを消させてもらった。つまり、●の部分は自由に決めて構わない。●の数は基本プロットに合わせたもので、拘る必要もない。シナリオの台本に記されている台詞にアドリブで付け加えるのもOKだ」
「でも、台本の台詞順番と個数は優先させてもらうわ☆」
「主人公以外は5つの台詞が用意されている。その基本は守ってもらうという事だ。キミ達アクターは演じるのが仕事だ。アドリブで個性を主張するのは構わないが、シナリオを作る立場とベクトルが違う。その辺を今回は忘れないでほしい」
「ラストのHの台詞の後はアドリブで構わないわ。競技なんだから、大切な事を忘れないで頑張りなさい☆ 誕生月を間違えないでよ! 奇数月生まれは赤組!」
●リプレイ本文
●MOHURI
――この物語は或る大学のサークル内で繰り広げられたハプニングの記録である。
・CAST
A:葦原 秋良(ウォンサマー淳平(fa2832))
B:蔦井利沙(柚木透流(fa4144))
C:フィル(Rickey(fa3846))
E:佳奈歌(佳奈歌・ソーヴィニオン(fa2378))
F:ラファエロ・フラナガン(ラファエロ・フラナガン(fa5035))
G:木原孝助(天霧 浮谷(fa1024))
H:峰岸 薫(伝ノ助(fa0430))
――サークルの一室で、峰岸薫の前を5人が遠巻きに取り囲んでいた。
「まさか、あなたが‥‥」
葦原秋良は真相を確かめるべく、比較的真面目な女子大生風の衣装に身を包む薫に詰め寄る。『彼女』が犯人かも知れないという可能性に驚きつつも、優等生でもある童顔の青年は極めて冷静を装っているかのようだ。
同じく優等生の蔦井利沙が口を開く。黒のVネックの長袖ニットの上で金のチェーンベルトが揺れ、白のスキニーパンツの足元で黒のパンプスが踏み込みと共にリノリウムの床にキュッと音を鳴らした。
「どうして、そんな事を!?」
しっかり系お姉さんタイプの利沙に射抜かれ、薫は手に携えた血痕のこびり付くバットを戦慄かせる。
「だって‥‥好きだったの! あたしも男だけど、あの人の事好きだったの!」
高音の声が響いた。視力が悪ければ薫を女性と認識しても可笑しくない。衝撃の激白に、フィルが青ざめた顔で『彼女』を見つめ、呆然とした色を浮かべて躊躇いながら呟く。
「‥‥そんな!」
「あの人はあなたの事を普通の人だと思ってたのに!」
佳奈歌の語る真実に、薫は戦慄の色を滲ませた。
「‥‥えっ?」
*小道具のバットが芝居に活かされていないのが残念である。
そんな中、ラファエロ・フラナガンが少女に見紛う風貌で切り出す。
「教えてくれないか? なぜキミはもふるのを完全拒絶したんだ? あんなに愛していたのに──?」
「訳を‥‥教えて下さい‥‥」
フィルは俯きながら自分の服の裾を手でぎゅうっと握り、消え入りそうな声で問うた。秋良は薫の凶器を指差す。
「ここまで証拠が揃っている。 ただ、分からないことがあるんだ。どうして彼に女物の服を着させる必要があったんだ? 何か想像を絶するアリバイトリックが‥‥」
答えに対する期待と好奇心を浮かべた黒い瞳に、応えない『彼女』が映し出された。代わりに口を開いたのは利沙だ。
「逃げ道もありませんよ。倒れていた彼の傍にあった口紅はあなたが好きなブランドでしたから‥‥」
凛した響きで言い放ち、握り締めた口紅を薫に見せる。愛用していた口紅まで揃えられては言い逃れは出来ない。『彼女』はセミロングの赤毛を揺らし、真相を語るべく口を開く。
「愛していたから‥‥誰かに取られる前に一度でいい、女装した彼をこの手で抱きしめたかったの!! でも当然断られると思って‥‥このバットで殴って気絶した所で無理矢理‥‥」
――暫しの沈黙が流れた。
静寂を破ったのは失望したかのような佳奈歌だ。
「‥‥そんな! 取られる前になんて‥‥」
赤いストレートロングヘアの美少女を見つめて、薫が恍惚とした微笑みを浮かべる。
「それでも嬉しかったよ? 抱きしめてるとあのひとの匂いがして‥‥温かくて、意外と柔らかくて‥‥」
「やめて下さい! 聞きたくありません!」
弾かれたように両手で自分の耳を塞ぎ、フィルが激しくかぶりを振った。彼も男として色々と想像したら堪らなくなったのだろう。そう、これはアブノーマルな話だ。
再び静寂が一室を包み込む。こんな異常な動機で許されざる事が起きてしまったのか?
「その気持ち分からなくもないが‥‥」
ずっと下げていた顔を上げ、何かに気がついたように秋良が薫に視線を向けた。青年の言葉に驚きながらも動揺し、利沙は左手を胸に当てると、顔を逸らして小声で呟く。
「な、何を言ってるんですか! まるで、私の心を覗くような事を言って‥‥」
彼女の青い瞳が浮かべる戸惑いの色は誰に対してのものだろうか。そんな中、秋良の意見を肯定する言葉を紡いだのはラフィーだ。
「いや、僕も分かる。世界で一番頭が悪い14才欲とはそういうものだ。ぼくもそうだけどね」
――何だ14才欲とは? ここが大学のとあるサークルなら妙な発言ではないか。
「そう、なのかしら?」
しかし、14才欲という謎の言葉に納得を窺わせる佳奈歌。なんだ? 実は14才の時に皆そんな感情を抱いたという伏線か? 14才欲だけで次の作品が作れそうな程に謎なキーワードだ‥‥。
「正直になろう。実は峰岸の事が好きだったんだ!」
初めは躊躇いつつも一気に喋ったのは秋良。この場でいきなりのカミングアウトである。流石に薫も突然の告白に唖然とする。
「えっ? なにを‥‥」
秋良の告白を聞き、利沙は優等生の青年へ顔を向けた。やはり彼女は秋良の事を――――。
「待ってください! 抜け駆けはズルイです! あたしだってもふもふな獣耳と尻尾をつけて仮装した薫が見たいです!」
勢いよく放たれた激白に何度目かの静寂が過ぎる。
「僕もそうだよ。地球を滅ぼす位に、ね。みんな、口に言えないけどそうなんだろう?」
ラフィーが少女の如き風貌で薫を取り巻く面々に茶色の瞳を流す。なるほど、どうやら彼は世間からズレた感覚の持ち主なのかもしれない。大きくなったら好事家になれる素質があるのか。
「なーんだ☆ みんな女装が好きだったのね♪」
ふっきれたように満面の笑みを浮かべたのは佳奈歌だ。フィルは耳を塞いでいた手をそっと外し、ゆっくりと顔を上げて薫を覗う。
「僕も‥‥同じ事をしていいんですよね?」
「そんな‥‥いやッ!」
『いいに決まっているじゃないか。僕を女姿にしたんだから』
拒絶する薫の言葉に割って入ったのは苛々とした憤りを感じさせる青年の声だ。驚愕に見開く『彼女』の瞳に映ったのは、木原孝助。薫により撲殺‥‥もとい気絶させられた青年であった。
「どうして!? あたしが完璧に気絶させた筈なのに‥‥。(ああ、でもやっぱり似合ってる‥‥)」
動揺しながらも孝助の女装した姿に、両手を組んで恍惚した色を浮かべる薫。
「いや、正直死にかけたんだが‥‥」
青年は知的そうな風貌を引き攣らせ、肩を戦慄かせながら続ける。
「あいにく僕はあの世からでも帰還できるんだよ。時間が掛かったけどね」
不敵な笑みで薫を睨む中、ぞろぞろと『彼女』へ歩み出す5人の男女。薫が怯えた色を浮かべる。
「やめて‥‥みんな来ないで!」
「相手が悪かったね。よりにもよって、女装が大嫌いな僕が相手だったなんて」
それでも着替えないで女装したままなのは、まんざらでもない証拠か。
「あなたがやった事をやるだけだよ。あなたにはこれが似合うと思うんだ」
秋良は付けミミ、尻尾セットを取り出し、愉悦の篭った瞳で薫に迫る。もはや優等生のタガは外れたようだ。
「あたしも薫を仮装する! 薫、安心して、絶対可愛いからね♪」
同じく今までの優等生の雰囲気から一転し、好感度抜群の笑顔で薫にウィンクする利沙。そして、ここにも一人――今までのおどおどした態度から一変、何か吹っ切れたかのような爽やかな笑顔でフィルがジリジリと迫る。ポケットから取り出すはピンクのリボンだ。
「楽しそう♪」
取り囲む範囲をゆっくりと狭めてゆく。薫が戦慄く中、6人の邪な笑みがグルグルと周る。『彼女』は必死に説得の言葉を紡ぐ。
「友達じゃない? ね?」
化粧品を手に持ち、赤い長髪を靡かせると、疾風の如く薫の横にスと移る佳奈歌が二ッと笑う。
「取られる前に‥‥ね」
「決まっているだろ? みんなもふるのが好きなんだ。さあ、みんなでもふろう!」
ラフィーの陽気な声が響くと、ついに薫は逃げ場を失った。怯える瞳が孝助を捉える。
「でも後悔する事はないよ(あぁ、かわいい‥‥もうだめだ、もふってやる)」
青年の頬に汗が滴り、コクンと喉を鳴らすと荒い吐息を洩らしながら続ける。
「キミが僕を気絶させなければ、僕が逆に捕獲して、もふりの晒し者にしていたんだから♪」
柔らかなブラシを取り出し邪笑。そう、真実は互いに狩られる立場だったのだ。衝撃の事実に何人の視聴者が驚愕しただろうか。
「さあ、羊のメリーさんにレッツダイブ!」
ラフィーの掛け声と共に、6人の腕が一斉に薫へ向かって伸びる。ワキワキと迫る指に『彼女』は悲鳴を響かせた。
「いやッ、いやああぁぁぁッ!!」
――Ending
爽やかな音楽の中、涙を浮かべて逃げ惑う薫を笑顔で追い掛けるフィル。連続写真のように薫が転倒すると、仲間達に手足を拘束され、佳奈歌に化粧、秋良に付けミミと尻尾セットを着けられ、利沙が口紅を塗ってゆく。ラフィーが活きているふわふわの羊さんを抱きながら恍惚と見守る中、孝助がニヤリと不敵に笑み、柔らかブラシをカメラに近付けてブラックアウト。赤い文字でENDと刻まれた。
●総評
纏まりと物語も悪くない。トオル、リッキー、ジュンペイの芝居が秀でていたものの、残りの演技が乏しいのが残念である。詳しくは該当者の台本と見比べて欲しい。結果的に評価はドローとなった。
だが、一つの課題で違う物語を構築したセンスは今後のアメリカ映画を期待していいだろう。