アルマイトの旗南北アメリカ

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/04〜12/08

●本文

●Mission03
「グランドキャニオンのエクスペリメント基地からSGDが強奪されたとの報告が入りました」
「SGDとはドールの事かね?」
「わざわざ戦局と無関係の基地を狙われるとはな。スパイでもいるのではないか?」
「確かに、裏切った人物はいるようです。さて、どうしますか? 次はあの基地が攻撃されるかと」
「実験基地が壊滅しようが問題ではない。重要なのはドールが敵の手中にあるという現状だ」
「あれの開発は極一部の者しか関わっていないが裏切り者は技術者にいないのだろうな?」
『失礼します。アカギ博士が車で基地から出ました』
「買物にでも行ったのだろう」
『‥‥それが、車に取り付けてある発信機を外したらしく‥‥いえ、見失っている訳ではありません。博士の身体に埋め込まれた発信機は作動中です。‥‥いかが致しましょう?』

【SGD奪還・デンバー基地壊滅作戦】
 ベルトレス軍に数機のSGDが強奪された。デンバー基地発見を果たしたものの、試作機を解析させる訳にはいかないとの上層部からの命令である。部隊は発見したデンバー基地へ潜入し、SGDを奪還、成功後壊滅作戦を発動する予定だ。
<シナリオの流れ>
01:輸送機よりデンバー基地周辺へ降下。SGD、SG、生身いずれかを選択し、作戦分担を決めて下さい。
02:潜入班、陽動班として見せ場(1人1シーン)を作って下さい。
3A:SGD奪還成功。後<ミサイルによる基地壊滅作戦発動/ミサイルによる基地壊滅作戦発動しない>。
3B:敵の妨害に合い戦線離脱までの演出。

【アカギ博士護衛】
 SGD開発責任者であるアカギ博士を輸送車で追跡護衛するのが任務である。SGDが敵に奪われた以上、敵軍は博士を狙って来る可能性が高い。博士の車は市街地から海岸へ向けて移動中である。尚、この任務は極秘に行う。失敗する可能性がある場合、博士の乗った車ごと破壊・抹殺せよ。
<シナリオの流れ>
01:アカギ博士の車をキャッチして発見されないよう追跡する部隊。そこにベルトレスのSGが出現。
2A:ベルトレスSGを破壊し、<博士を救出/博士を奪われそうになり抹殺>。
2B:ベルトレスSGに博士を強奪され、抹殺も不可能、作戦失敗を演出。

☆どちらのシナリオもAB両方を演出して下さい。


●キャスト募集
 アルマイトの旗では、グランドエクスペリメント基地実験部隊メンバーとSGD(SteelGraveDool)、アカギ博士のアクターを募集します。

【グランドエクスペリメント基地実験部隊】(複数OK)
・配役:階級明記。
・役名:登場人物の名前です(本名で出演してもOK)。
・設定:どんなタイプのキャラクターを演じるか明記(設定なければ口調はアクター)。
・得意:操縦・索敵・攻撃・回避・防御・援護から選択。
・機体:搭乗するSGDを明記(要打ち合わせ)。
 偵察型SGの場合は武器は1つのみ。色を決定して下さい。
・<シナリオの流れ>に合わせて演技及び台詞など。

【SGD】(複数OK)
 生身にメカニックな装甲と武装を装備して人型兵器を演じて頂きます(半獣化OK/獣化NG)。
 外見はアクターのものとなります。
・機体名称:SGDの名前です(本名で出演してもOK)。
・搭乗人数:単座か複座(2名まで)か決めて下さい。搭乗者(NPC含む)も明記。
・搭乗場所:コックピットの場所が身体の何処か明記(CG合成されるので安心して下さい)。
・武装設定:スタイルに合わせて、どんな武装か設定して下さい(或る程度何でもOK)。
・機体外観:外観特徴です(どんな服状の装甲か、身体の何処に装甲があるか等)。
・機体設定:性能的な特徴を1つだけ(例えば飛行可能とか)。
・<シナリオの流れ>に合わせて演技及び台詞など。

☆SGDの主な仕様は以下の通り。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・音声認識AI:パイロットと会話可能で台詞OK。但し、自律行動は不可能。
・スタイル制限:スタイルで性能が変化します(アクターのスタイルとなります)。
【細身】高機動型だが装甲は薄い。武装は格闘戦用のみ。
【標準】性能は平均的。武装は格闘戦と射撃戦用の計2。
【豊満】機動、装甲共、標準型より劣る。武装は格闘戦と射撃戦用と内臓兵器の計3。
【筋骨】機動は豊満に劣るが、装甲は厚い。武装は格闘戦と内臓兵器の計2。
【肥満】機動は最低だが、重装甲。武装は射撃戦用2と内臓兵器1の計3。

【アカギ博士】アカギ博士護衛選択の場合のみ(配役がいない場合NPCとなります)。
・役名:アカギ博士のフルネームです。
・性別:名前に合わせて男か女か選択して下さい。
・設定:どんなタイプのキャラクターを演じるか明記(設定なければ口調はアクター)。
 尚、アカギ博士はキーパーソンとして予め設定されていますので自由度は若干制限されます。
・基本設定:アカギ博士はベルトレスに亡命するべく逃走中です。理由は明かされませんが、SGDが強奪された事が要因になっているらしいです。
・アルマイト軍により亡命を阻止された場合の台詞を決めて下さい。尚、護衛部隊は博士が亡命しようとしている事実を知りません。
・アルマイト軍に殺されそうになる瞬間の台詞を決めて下さい。

●NPC
 フォビトン・フルート伍長(女)10代後半。通称フォー。
 セミロングの眼鏡っ娘で可愛いらしく初々しい女の子(映画版参加アクターにより決定)。
 朝が弱いらしい(第1回追加)。
 彼女の追加設定して頂けると採用される場合があります。

●サポート参加
 大道具、小道具の設定及びSGDデザイン補足など。所謂裏方を担当して頂きます。

●今回の参加者

 fa0345 ソル・ブライト(34歳・♂・獅子)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa1234 月葉・Fuenfte(18歳・♀・蝙蝠)
 fa2605 結城丈治(36歳・♂・蛇)
 fa2903 鬼道 幻妖斎(28歳・♂・亀)
 fa3090 辰巳 空(18歳・♂・竜)
 fa3623 蒼流 凪(19歳・♀・蝙蝠)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)

●リプレイ本文

●a flag the Alumite――Mission03
「発信機を外した上での外出‥‥誰と逢引する気でしょうね」
 メグリム・ギルス中尉(月葉・Fuenfte(fa1234))はコクピットで無表情のまま呟いた。
 今回の任務は研究所から出たアカギ博士の車を追跡、護衛する事。
 夜の市街地から海岸へ続く路上を少し離れた距離で輸送車が追跡する中、メグリムは上空からSGD『グラン・ノワール(辰巳 空(fa3090))』で様子を窺う。
「‥‥それに、最近マーク大佐の挙動が不審です。まぁあの人は様々な意味で不審者ですが」
 少女は丸眼鏡に浮かぶ円らな青い瞳に、記録端末を映し出す。録音に問題ないようだ。因みに実験基地に配属される以前の彼女は、エリートを集めた特殊部隊に居たらしい。目を負傷しており、眼鏡はその症状を緩和する為の物だ。
 全身を漆黒のアーマーに包み、頭部をヘルムとゴーグルでガッチリと防いでいる少年の風貌をした巨人は、漆黒の翼で滑空してゆく。その姿は、さながらブラックドラゴンの形容が相応しい。
 少年の下には、もう1体銀髪の幼い少年が抱えられている。黒いマント状の外部装甲を装備したSGD『ネーベル(タブラ・ラサ(fa3802))』だ。
<レーダー遮蔽完了。発見される可能性は0.00376%以下と推定されます>
 冷静で無愛想な少年の響きでAI『ザルバイ』が告げると、コクピットでエリアス・アーヴィン少佐(水鏡・シメイ(fa0509))が穏やかな青い瞳を和らげる。過去に試作機ゼファー強奪を阻止した元グリフィン中隊の若き隊長である青年は実力も折紙付で、今回の任務に派遣されて来たのだ。責任を問われ転属されたフォーは、再会に涙を浮かべて大層喜んだらしい。
<小型車両の接近を確認しました>
 グラン・ノワールのAI『ノア』が沈着冷静な声でオートバイの熱源捕捉を告げた。恐らくネーベルも捉えた事だろう。メグリムがボソリと通信機に端整な風貌を向けて訊ねる。
「ブッ叩きますか?」
『待て、一般車両の確率もある。博士の車を止めるか誘導を始めてからでも遅くは無いでしょう』
 エリアスの返答に少女は無表情で従った。敵機が確認できない現状は様子を窺うしかない。
<間も無く海岸に到着します>
 暫く走ると海岸沿いの路上に差し掛かった。単車は同じルートを走行中。疑いが確信へ変わる。
「こちらエリアスです。博士の車両に接触します。まあ味方ですからね、プライベートだとしても心配になって駆け付けたで勘弁して貰えるでしょう」
『待て少佐。敵機未確認のまま接触は早急だ。追跡を継続せよ』
 マーク・ベイツ大佐(結城丈治(fa2605))の指示にエリアスは左耳にぶら下げているダイヤ型の青い石を揺らして身を乗り出す。大佐の事だ。自慢の壺を磨きながら答えているのだろう。
「しかし大佐! あのバイクは明らかに不審です」
<来たようですね。現時点で奇襲をかければ、成功率は89.63%以上でしょう>
 モニターが捉えたのは、ゴテゴテと分厚い装甲が無骨なSGだ。背中を向けると赤い球体型のフォルムが発光する。
「気を引き締めていきましょう。敵機確認! これよりアカギ博士の護衛任務に移ります! SGD出撃して下さい! フォーさん、あまり無茶をしてはいけませんからね」
 眼差しを和らげて元同じ部隊員に優しく告げるエリアス。
『り、了解です。エリアス少佐』
<当機はあまり戦闘任務には向きませんが‥‥戦闘に参加しますか?>
「このまま空から見ている訳にもいかないでしょう。メグリムさん、降ろして下さい。ザルバイ、少々荒い操縦をしてしまうと思いますが、宜しくお願いしますね」
<問題ありません>
『了解です。落っことします』
 グラン・ノワールのロックから解除され、眼下の地表へ降下するネーベル。黒いマント状の外部装甲を展開させると、腹部に搭載された拡散ビーム砲を放った。眩い閃光がベルトレス軍のSGを照らす中、クリスナイフの火花を迸らせ、頭部搭載の狐耳型高性能レーダーで他の敵機を索敵する。
<目標確保に向います>
 グラン・ノワールはオートバイ目掛けて急降下、ハイインパルスパンチを叩き込もうとした刹那、煙幕弾が視界を曇らせた。
「煙幕でジャミングですか‥‥?」
 構わず叩き込んだ鉄拳に、操縦が優れていない単車は博士の強奪叶わず衝撃波に体勢を崩して吹っ飛ぶ。緑色のSGがビームガンを放ち、ネーベルとグラン・ノワールを牽制してゆく中、次いで小型飛行ユニットを装着したスレンダーな白銀のSGが博士の車に接近せんとガトリングガンの銃声を轟かせるが、ダメージは軽微だ。
「飛行型‥‥ですか。2機だけという事は‥‥」
 刹那、後方で爆発音と共に黒煙が吹き上がった。輸送車から出て来たSGDにミサイルが叩き込まれたのだ。深い青色の全身鎧を纏った、重量感溢れる巨人『レーヴェンリッター(ソル・ブライト(fa0345))』が姿を見せる。
「このッ、待ち伏せなんて卑怯じゃない! 隠れてないで出て来なさい! ゾンネ、損害状況は?」
<心配するな、私は頑丈だ。防衛目標への接近を妨げるんだ>
 壮年の男の声でAI『ゾンネ』が告げた。
 援護を阻止せんと、両肩にゴツイ衝角(ラム)状の追加装甲を施した迷彩色の敵SGが迫る中、セクシーな女性的外観の『ベルゼルグ(蒼流 凪(fa3623))』が光学迷彩で擦り抜けながらレーザーブレードの閃光を煌かせた。次いで遠方より放たれた大型狙撃ライフルの洗礼に火花を散らせてセクシーガールがよろめく。レーヴェンリッターの視界から状況を確認し、フォーは損傷が軽微と察すると、ネーベルの護衛へ向かう。しかし、今度は脚部のホバリングを活かして側面や背面に回りこんで滑るように戦場を駆ける、単眼で左右対称のシンメトリカルなフォルムのSGが、ミサイルやビームを撃ち捲くって来た。青い鎧が爆炎に染まり、ビームの反射で照り返す中、腹部のプラズマビーム砲を放って応戦する。
「凄い‥‥敵の攻撃が全然ダメージになってない♪ ゾンネ、ステキね☆」
<頑丈だと言った筈だ。‥‥敵機体のデータを検索‥‥ベルトレス軍SGガーメント5機。SGD1機確認>
「SGD!? 敵に奪われたヤツ?」
 フォーを初めとして部隊が捉えたのは、女神を模した機体だ。手・足・胸部・頭部に飾り鎧を装備しており、優麗なフォルムがベルゼルグに引けをとらない。
<SGD発見‥‥危険レベルB、任務を優先します>
 アルマイト軍SGD4機、ベルトレス軍SG5機(内1機飛行型)、SGD1機。数では圧倒的に不利だ。しかし、先の基地襲撃時同様、SGはSGDの敵ではない。小型飛行ユニット装着SGが博士の車に接近せんとするものの、なかなか降下できない状況である。
「先ずはあの煩い蝿をぶっ潰します」
 グラン・ノワールは一気に上昇するとハイインパルスパンチを叩き込んだ。操縦技術に優れたメグリムの洗礼に、白銀の装甲が散る。次いで背部に装備された折りたたみ式の40mmレール砲を展開させ敵SGDを狙うが、洗礼は空を裂くのみ。逆にビームガンを叩き込まれたネーベルが焼かれた。腹部の拡散ビーム砲がフラッシュを放つ所を見ると、大破には至っていないらしい。
<これ以上の戦闘継続は危険です。戦線を離脱することを推奨します>
「持久戦ですか‥‥」
 戦況はアルマイト軍の優勢に展開していた。
 SGでの攻撃は殆どダメージにならない装甲。そして尋常ではない兵器の数々。ベルトレス軍とて精鋭が揃っているだけにゼファークラスのSG相手なら容易に作戦を遂行できたかもしれない。
 だが、アカギ・ケイイチロウ博士(鬼道 幻妖斎(fa2903))は車の中で焦っていた。鼓動が時限爆弾のようにカチカチと刻まれ、頬を汗が滴り落ちてゆく。
「むぅ、馬鹿者が‥‥此のままでは‥‥」
 フロントガラス越しに映る戦況に青年は戦慄く。傍で自分を死守せんとするSGDにより、恐らくベルトレス軍はもう直ぐ撤退するだろう。
 ――此のままではお前らも死ぬぞ!
 真昼の如き閃光が膨れ上がった。次に一面を爆炎が包み込み、強烈な衝撃が大地と空気を揺らす中、周囲の建物が紙屑の如く吹き飛んでゆく。アカギ博士は体内に戦術核兵器を仕込んでおり、自爆したのだ。幸いなのは体内に埋め込める程度の威力であり、被害は小さい事かもしれない。
「‥‥自爆? やれやれ、ですね。無意味にも程があります‥‥!?」
 メグリムは驚愕に瞳を見開く。傍で護衛していた機体は最もダメージが大きく、腕や脚部が吹き飛んだSGDも確認できた。そして、強固な装甲にコーティングされた外装から覗く白いモノは骨だろうか? 内部の赤黒いモノと滴る赤い液体は焼け爛れた故に浮かばせる幻影か。
<大型輸送機の接近を確認しました‥‥識別、アルマイト軍です>
 次々と降下してゆくSGDが地上に降り立つ。恐らく回収班だろうと察すると通信が飛び込んだ。
『識別グラン・ノワール及びメグリム・ギルス中尉。指示に従ってもらう』
 向けられる銃口。視界を流すとマーク大佐の輸送車の姿が見えない。少女は記録端末に手を伸ばす。
≪この技術でアルマイトはあと十年戦える。アカギかあ‥‥巧く敵基地に潜り込めればいいが≫
 たった一人の狂気が全てを崩壊させた。両軍共にダメージは大きく、SGDの謎は解明される事なく終演を迎えた。否、これは新たな戦局への幕開けだったのかもしれない。