ヴァルキリークリエイトアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
10.4万円
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参加人数 |
7人
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サポート |
0人
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期間 |
12/31〜01/04
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●本文
●TVCM
――ヴァルキリーインパクト。
これは立ち技のみの女子格闘技である。
これまで多くの戦乙女を誕生させた番組が、春と共に新たな局面を迎えた。
最強の戦乙女を決定するトーナメント戦の開幕である。
そして、いよいよ大晦日合わせの、第2回最強トーナメント最終戦が始まろうとしていた。
さぁ、準備は整った! ヴァルキリー達よ、戦に身を焦がすがいい!
只今、ヴァルキリーインパクトでは舞台や乙女達を飾るクリエイター募集中!!
――ヴァルキリークリエイト。
これは、ヴァルキリーインパクトの舞台や乙女達を飾るクリエイターを描いた記録である。
ヴァルキリークリエイトとは、『コスチュームデザイナー』『入場音楽担当』『番組演出』『舞台装飾』等の言わば裏方を示す総称だ。
今年最後を締め括る戦乙女の戦い。如何に彩るかも重要であろう。
クリエイター達は如何にして戦乙女達や舞台を染め上げるのか!?
ヴァルキリークリエイト。
試合前に是非御覧下さい――――。
●次なる企画。
前回よりプロデューサーに演出クリエイターから企画申請があった。
――4人リーグを2ブロックに分かれて行う『リーグ戦』の開幕である。
これはトーナメントで敗退した者の気力を維持させるというものだ。
番組としては有り難い提案だが、選手を長期間拘束するという問題もある。
「この企画は選手に意見を聞いてからスね。今回の選手にアンケート用紙は渡しておくスよ」
そう、選手がいなければ企画は成立しないのだ。リーグ戦は選手の手に委ねられた――――。
●募集区分
・コスチュームデザイナー(1〜)
選手のコスチュームを製作する方です(担当選手名明記(複数OK))。
アピールポイント明記。
尚、番組の展開上、誰の衣装かは語れませんので注意して下さい。
突起物(柔らかいものはOK)や鉄製のものは止めましょう。
選手と打ち合わせて要望に添いながら個性を演出して下さい。
・入場音楽担当(1〜)
選手の入場シーンの音楽を担当する方です。但し、既に出している音楽は却下です。
アピールポイント明記(選手の何をイメージして作った曲か、どんなリズムの曲か等)。
・番組演出(1〜)
TV演出や選手入場からリングにあがるまでの花道の演出を担当します。言うなれば、ヴァルキリーインパクトがどんな雰囲気の格闘番組かを決定する重要な部分です。タイトルの雰囲気や視聴者に魅せる部分を構成して下さい(イメージは月ごとに開催されるKの番組参照)。
・舞台装飾(1人〜)
大道具・小道具に相当します。演出と相談してどんな雰囲気の舞台を作るのか決めた上で作成に入ります。
○ノーリンク募集区分
・声優(1人〜)
ヴァルキリークリエイトはナレーションで展開される予定です。どの区分のどんな部分にスポットを当てるのか、構成も考えて頂きます。台詞歓迎☆ ナレーション時の口調など重要です。
・リポーター(1人〜)
クリエイター達のリポート担当です。こんな事を質問するので宜しく――と、クリエイター達と打ち合わせしておきましょう。
・番組音楽(1人〜)
クリエイター達の静かなる戦いを彩るBGM担当です。オリジナルの音楽を作成して下さい。
○その他
・ヴァルキリーインパクトを盛り上げられる事があれば、手伝ってあげて下さい。
●リプレイ本文
●番組を作る者とは
「今回もよろしく頼むよ」
梁井・繁(fa0658)は細い顎に手を運び、ニヤリとスタッフに微笑んだ。壮年の男は台本を開いて眼鏡に映す。
「ふむ、あまり代わり映えしないな‥‥」
「シゲさん、もう少しクリエイターと段取りしてはいかがでしょうかね? そうすれば台本もワンパターンにならないと思いますよ」
仕事とは殆どが同じ事の繰り返しだ。しかし、同じ事をしても視聴者は飽きる。況してリポーターがいるならば棲み分けも必要となるだろう。いずれにしても声で盛り上げる彼の手腕が期待される。
「考えておくよ。終わったら飲みに行って意見を聞かせて頂くとしよう」
繁はオールバックの銀髪を撫でつけ、ドアを開くとマイクの前に腰を降ろした。
窓ガラス越しにスタッフが合図を送る中、存在感の伴う安定した声が紡ぎ出されてゆく。
●ヴァルキリークリエイト
『さぁ、いよいよ『第2回最強トーナメント最終戦』‥‥ラストバトルと言うこともあってより激しいの熱戦が繰り広げられることであろう。スタッフもより一層の熱の籠もった企画会議が始まっていた』
映し出されたのは楕円形のテーブルを囲む五人のクリエイター達だ。見目麗しきレディ(fa0011)が室内に高笑いを響かせる。まるで悪の秘密結社の様相だ。
「おほほほほ★ さあ、あなた達は何をやりたいのかしら?」
どうやら『彼女』が仕切るらしい。レディの問い掛けに、藤田 武(fa3161)が子犬のような眼差しを向けて微笑む。彼は花道に携わる者としてベテランに近い。
「僕は北欧神話の運命の三女神の一人、スクルドを花道に描くよ。スクルドというのは、義務や成すべきことという意味から、未来を象徴するとも言われるんだよね。今年はこれで終わりだけど、来年また更に強い試合を魅せつけるというメッセージを込めたいな。そこまで意味を広げなくても、堂々とした試合を成し、勝利する責務をになった戦乙女たちということを象徴すると思うんだ。戦って勝つ定めを持った選手といったら格好いいんじゃないかな?」
流石は常連。メッセージ性も統一感と説得力がある。レディが細い指を向けた。
「はい、決定★ 他の方は? 衣装? それとも入場曲かしら?」
スと手を挙げたのは黒いスーツ姿の細い少女だ。レディが「はい、そこの娘」と発言を促すと、御影 瞬華(fa2386)は、はにかむように苦笑する。
「‥‥わたし、男性です。良く女性に間違えられますから気にしないで下さい。そうですね、ピアニストですから入場曲をやります」
腰まである優麗な黒髪は確かに女性的だ。レディは瞬華を意味深な青い眼差しで見つめ微笑む。
「あら、ごめんなさいね★ 他にいないの? はい、決定★ 後の二人は?」
残った二人にカメラが向く。眼鏡を掛けた見るからに気弱そうな青年と、豊かな胸の膨らみが瞳を惹く端整な風貌の少女だ。伊藤 舞(fa4454)がAD(fa1766)に視線を流すが、彼は頬に汗を滴らせ、俯き加減のまま口を開かない。
――もお、頼り無いですね。
「あの、私は衣装作りと道具作成のお手伝いをします。任される程の才能はないんです、お願いします!」
「そう。じゃあADさんが衣装担当ね。いいわね? はい、決定★」
レディの一方的な命令を聞き、ADは安堵にも似た色を浮かべた。
「はい、分りました」
これで一件落着とばかりに高笑いを響かせるレディ。
「おほほほほ★ わたくしのプロデュースの手にかかれば完璧ですわ!」
かなり不安を感じさせる会議だが、戦いは始まったばかり。クリエイターが手腕を発揮するのはこれからなのだ。
●リポート オブ クリエイター
CMの後、凛とした風貌の長い黒髪の女性が映し出された。控えめで落ち着いた服装からも窺えるは筋骨的なライン。リネット・ハウンド(fa1385)はマイク片手に口を開く。
「私はいつもリングに上がる方の人間なんで、今日は製作現場を見てまわれるのをとても楽しみにしています。それでは、リング設営現場から覗いてみましょう」
背中を向けたリネットをカメラが追う。捉えられた会場に、繁の声が被さる。
『工具の音が響く特設会場‥‥素晴らしい舞台で素晴らしい戦いをさせるために、皆頑張っている。とりわけ、花道の部分は選手にとっての文字通り『花道』。各選手事に様々な趣向を凝らしている』
映し出されたのは、花道に絵を描くベストを着込んだ小太りの青年だ。早速、タイミングを見計らい、武に訊ねる。
「どんな思いでヴァリキリーインパクトに携わっていますか?」
「そうだね、選手をうまく引き立てる感じになるように頑張りたいな。いい仕事をして選手達を引き立てるのが僕らの仕事。その為に、自分も他人も体調が万全になるように心がけるよ。特に今は寒いから風邪引かないように気をつけたいな。疲れたら仮眠をすぐにとるということを心がけるよ。一人が風邪引いたら、全員に蔓延しかねないからね。だから、他の人が手伝ってくれるなら喜んで受け入れるし、余裕が出来たなら他の人の手伝いもしたいな」
彼はクリエイター達の健康管理も努めていた。リネットは労いのエールを送ると、次の現場へ映る。次に訪れたのは衣装制作現場だ。
『コスチューム‥‥それは選手の個性を最大限に示す物。見た目の派手さを損なわないように、縫製の方も万全にしなければならない。派手な動きをするので、その辺が非常に大変だという事らしい』
映されたADはとても忙しく窺えた。先ずは選手達との入念が打ち合わせが重要である。傍では舞がデザイン資料を見せていた。映像に合わせて上部へ伸ばされたマイクが声を拾う。
「私、以前も衣装の手伝いをした事があるんです。もしも選手側の希望が間に合わなかった時の為に、過去に参加していた選手の衣装を用意して、華美にならない程度に飾りや紋様などのアレンジを加えるのはいかがでしょうか?」
「そうですね。はい、お願いします」
再び電話の音が鳴り響き、青年が応える。流石にリポートするタイミングは窺えない。リネットがカメラに顔を向けると、眉をハの字に小声で口を開く。
「仕事に集中しているようです。それでは、入場音楽製作現場に向かいましょう」
コソコソと退散していくリポーター。静かにドアを閉めると、カメラが背中を追う中、次の現場に辿り着く。ドアの前には『御用の際は必ずノックをお願いします』とプレートが貼られていた。
『入場音楽作曲‥‥コスチュームと同様に、その選手の個性が良く出る物。これで戦闘に対する集中力をMAXに持って行くので、非常に重要なアイテムだ』
――コンコン☆
『はい、ちょっと待って下さい』
ドア越しに流れたのは瞬華の声だ。暫く待つと彼が姿を見せた。室内はトラックから持ち込んだ楽器――エレキギター、ベースギター、キーボード、ドラムセット、フェインゲーフル――で壮観だ。
「凄い数ですね。まるでバンドの練習中にメンバーが外へ休憩に出たような感じです。一人で作曲しているんですよね?」
「はい。メインに扱う楽器で曲のベースを記録して、足りない音色はパソコンで合成するんです」
パソコン編集は過去の番組でもミュージッククリエイターが行って来た技法だ。それにしても、これだけ多くの楽器が視聴者に披露されたのは初だろう。
温厚そうな少女に見紛う少年に、リネットがマイクを向ける。
「進み具合はどうですか?」
「順調ですよ。選手の皆さんからイメージを聞きましたから、後は選手の皆さんが試合前に気分を高揚できるように頑張るだけです♪」
純粋そうな笑顔を浮かべる瞬華。エールを送った後、ドアを閉じると程なくして音色が奏でられた。リネットは次の現場へ移ろうと口を開き掛けた刹那、慌てたような色を浮かべる。
「あ、伊藤舞さんです。ちょっと聞いてみましょう」
リポーターが駆け出す中、リングの安全点検に視線を研ぎ澄ます少女をカメラが捉えた。
『率先して雑用を希望した少女。その真意は何処にあるのだろうか?』
「私は女優志望なんです。色々な現場に携わって勉強する為にクリエイターとして参加しました。衣装が破れたり解れたりしないよう点検や、激しい動きがありますから、リングが耐えられるか簡単なチェックなら出来ますから。紙吹雪を作ったり、舞台装置のお手伝いや、マット掃除などの雑用なら幾らでもあるんです」
『ペコリと頭を下げると女優の卵は忙しそうに駆けて行った。少女の成長を祈りたいものである』
「それでは、最後にプロデューサーを伺ってみま‥‥あれ?」
リネットが唖然とした色を見せた。カメラが捉えたのは、武や舞と雑用に手を動かすレディの姿。
「これをこっちへ、アレを向こうにお願いしますわ。あ、それは‥‥って、わたくしが何で雑用をしておりますの!? あ、待って下さる? いま参りますわ」
大道具その他雑用を取り仕切る現場監督のようだ。改めてリネットが訊ねた際には、意気込みと野望だけは無駄に高く、笑い声を響かせたという。
会場で設営中のリングをバックに、リネットがカメラに向き直る。
「プロデューサー自らが率先して雑用を取り仕切る舞台。分け隔てなく汗を流して完成する本番が楽しみですね。リポーターのリネットが現場からお伝えしました☆」
――女神達の華やかな戦いの場‥‥それが、ヴァルキリーインパクト。
ファイナルバトル! 一体何が起きるのであろうか!