ベルトレスの旗南北アメリカ

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 9.4万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/03〜01/07

●本文

●次回予告編Mission04

 ――誇大妄想狂的なマッドサイエンティストにより全ては謎と化した。
 歴史に名を残す歪んだ欲求に囚われたアカギ博士は自爆したのである。

 シュバルツシルトは部隊の回収と同時にSGDの謎の一片を目の当たりにした。
 SGDとは何なのだ? あれは本当に所謂巨大なロボット兵器なのか?
「そんな事はどうでもいい! まさか戦略核を仕込まれていたとは‥‥」
「しかし、あの記録映像から察するに予想が間違っていなければ世論を味方にできます」
「世論ですと? それよりSGG計画を進めましょう。圧倒的な破壊力で‥‥」
「待って下さい! そんな金食いモンスターを作るのはいかがかと」
「SGDの謎が解明されないなら、強奪した機体をバラバラにすればいい」
「壊しては意味が無いでしょう。我が軍は2倍の兵力で事実退却したのです」
「他に技術者でヘッドハンターが見つけた者はいないのか?」
 上層部は混迷の中にあった。SGDさえ解明できれば、戦局は逆転の可能性もあった。
「現在進行している計画は、SGGとB計画だな」
 ――B計画。
 獣の遺伝子と人間の遺伝子を掛け合わせたバイオ兵士製造計画である。公に出来ないのは非人道的行為に因るものだからだ。これは最新技術を誇るアルマイト軍に対抗するべく、基地潜入内部より壊滅を目的として実験された極秘プロジェクトだった。薬品の投与を一月以上続ければ効果は見られるという。

 SGDで乗り切るか? SGG計画か? B計画か。選択肢は多いが――――。

●いずれかを相談にて選択。
【SGパイロットのプライド(最終回)】
 デンバー基地はアカギ博士保護作戦時に攻撃を受けていた。もはや補給も支援部隊も届かない。自軍に見放されたシュバルツシルト部隊は残存戦力でグランドキャニオンへ最後の攻撃に向かう。
<シナリオの流れ>
01:ラサが転属し、残された部隊は覚悟を決める。
02:それぞれの死に様を演出。このシナリオは必ず負けます。

【ビーストソルジャー】
 体力強化薬として投与され、B計画のテストケースとされる部隊。ビーストソルジャー(最低でも1名)は、SG、SGDと共に敵の基地へ侵攻する。
<シナリオの流れ>
01:派手に陽動作戦を展開させるSGとSGD。その隙に基地に潜入するビーストソルジャー。
02:得意の戦闘で次々と敵兵を惨殺してゆく演出。SGとSGDも攻撃演出。
 機体側は完全に囮なので描写はビーストソルジャーに絞られる予定。
 ビーストソルジャーは理性が崩壊する分、戦闘後は喪失した感情に酷く苦しむ事になります。
 このシナリオは超人的力を得た戦士の悲哀を描く物語です。

【ラサ転属】
 SGG計画の為に部隊を転属する事になるラサ。命令に従う決意の青年にパーティを行う事となった。彼の心に響くような思い出を刻み込め。
<シナリオの流れ>
 パーティ会場でのひと時。自由度は高いですが、敵との戦闘はありません。

●キャスト募集
 ベルトレスの旗では、大型SG輸送機部隊員を募集します。
【大型SG輸送機部隊】名称未定=相談で決めて下さい。
 機体に合わせた編成員8名。性別不問。
・配役:階級明記。
・役名:登場人物の名前です(本名で出演してもOK)。
・設定:どんなタイプのキャラクターを演じるか明記(設定なければ口調はアクター)。
・得意:操縦・索敵・攻撃・回避・防御・援護から選択。
・内部:単座or複座。
・機体:搭乗するSGの名称/タイプ選択/カラー。
・外観:SGの外観特徴です。
・特性:SGの性能的な特徴を1つだけ(例えば飛行可能とか追加武装など)。
・<シナリオの流れ>に合わせて演技及び台詞など。

☆SGガーメントの主な仕様は以下の通り。
 ベルトレス軍SG『ガーメント』の発展型。直角的なシルエットを模る鋼鉄の機体は、用途に合わせてフォルムがそれぞれ異なっており、衣服を意味する名称から、基本ベースに装甲を『着る』事で、様々な局面に対処できるよう設計されている。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・機体タイプ。
【索敵重視】ノーマルより性能は高い広域レーダー装備型。武装無。
【ノーマル】平均的な性能。肩:ミサイルポッドorビームキャノン砲or腕:ガトリングガン。
【装甲重視】機動性は劣るが装甲は厚い。肩:小型ミサイルポッド 腕:ビームガン。
【装甲排除】機動性は高いが装甲は無い。腕:ビームガン・スピア。

【SGD】(複数OK)
 生身にメカニックな装甲と武装を装備して人型兵器を演じて頂きます(半獣化OK/獣化NG)。
 外見はアクターのものとなります。
・機体名称:SGDの名前です(本名で出演してもOK)。
・搭乗人数:単座か複座(2名まで)か決めて下さい。搭乗者(NPC含む)も明記。
・搭乗場所:コックピットの場所が身体の何処か明記(CG合成されるので安心して下さい)。
・武装設定:スタイルに合わせて、どんな武装か設定して下さい(或る程度何でもOK)。
・機体外観:外観特徴です(どんな服状の装甲か、身体の何処に装甲があるか等)。
・機体設定:性能的な特徴を1つだけ(例えば飛行可能とか)。
・<シナリオの流れ>に合わせて演技及び台詞など。

☆SGDの主な仕様は以下の通り。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・音声認識AI:パイロットと会話可能で台詞OK。但し、自律行動は不可能。
・スタイル制限:スタイルで性能が変化します(アクターのスタイルとなります)。
【細身】高機動型だが装甲は薄い。武装は格闘戦用のみ。
【標準】性能は平均的。武装は格闘戦と射撃戦用の計2。
【豊満】機動、装甲共、標準型より劣る。武装は格闘戦と射撃戦用と内臓兵器の計3。
【筋骨】機動は豊満に劣るが、装甲は厚い。武装は格闘戦と内臓兵器の計2。
【肥満】機動は最低だが、重装甲。武装は射撃戦用2と内臓兵器1の計3。

●NPC
 ラサ少尉(男)20代後半。
 やや少年ぽさが抜けない青年士官。階級は大尉だったが、敵新型SG強奪失敗と部隊員戦死者が出た事で少尉に降格。前線から遠いグランドキャニオン近辺を大型移動基地で偵察任務に転属。
 結構無鉄砲。恋愛に関してはかなり鈍感である。
 ラサ少尉の癖、愛用の情報端末にリルケの詩集を入力しており、スタンバイ時に聞いている(第2回追加)。
 彼の追加設定して頂けると採用される場合があります。

●サポート参加
 大道具、小道具の設定及びSG(SGD)デザイン補足など。所謂裏方を担当して頂きます。

●今回の参加者

 fa0352 相麻 了(17歳・♂・猫)
 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa2772 仙道 愛歌(16歳・♀・狐)
 fa2832 ウォンサマー淳平(15歳・♂・猫)
 fa3014 ジョニー・マッスルマン(26歳・♂・一角獣)
 fa4673 磯野兵衛(32歳・♂・豹)
 fa4839 山田クリスティン(19歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

●a flag the beltres――Mission04
 整然と兵士が立ち並ぶ中、視線を集めるヒルデガルド・マイッツァー大将(仙道 愛歌(fa2772))が向き合う。
「人類は我々、選ばれた優良人種によって管理運営されるべきなのである!」
 巫女のような雰囲気が漂う神秘的な美女の演説に、兵士達が拳を掲げて『ジーク・ヒルダ』と連呼を響かせてゆく。シュバルツシルト隊の司令官ヒルデガルドは一見穏やかに微笑んだ。

●beast soldier
 ――何だってんだ‥‥。
 イシル・プラネス曹長(ウォンサマー淳平(fa2832))は憤りを覚えずにいられなかった。アカギ博士自爆事件で重症を負う中、デンバー基地はアルマイト軍の攻撃で壊滅。シュバルツシルト部隊は解隊され、ヒルデガルドの下で再編成された。下された任務は、アルマイト防衛基地潜入支援。若き司令官にSGD関連任務復帰を進言したものの、容易く却下された。
「Hey! 元気ないデスネ、イシル曹長」
 気さくに手をあげて無駄に爽やかな白い歯を輝かせるのは、ガタイの良いJ・M伍長(ジョニー・マッスルマン(fa3014))だ。同僚は現在彼一人である。イシルがSG『スマートボール』のコクピットで複雑な微笑みを浮かべた刹那、出撃を告げる声が響き渡った。
 巌岩要塞の様な体格の男が銀色のSGから離れ、SG『バッファロー』に乗り込む様を、ユノーハ・ユクルゥ少尉(湯ノ花 ゆくる(fa0640))がコクピットから眺めていた。円らな赤い瞳は感情の色を浮かべておらず、無表情のままに3度の食事より好きなメロンパンを齧る。
「‥‥まだSGなんかに‥‥乗る人がいるんですね‥‥」
『SGDヤマダ5式、出る!』
『SGD−EK552出撃します』
 巨人兵器としては無骨な外装の男性型SGDが、口を開けた輸送機下部ハッチへ飛び込んでゆく。ヤマダ5式(山田クリスティン(fa4839))は予備弾倉を納めた背負い鞄のようなパーツをセッティングされており、EK552(磯野兵衛(fa4673))はガッシリとした体格で、大型盾と長槍の装備が特徴的だ。次いでユノーハ機が前進する。愛らしい少女を模したSGDはメイド服のような装甲を細いフォルムに装着しており、頭部前髪、胸部、腕、足にアーマーを施した機体だ。
「ユノーハ少尉‥‥出ます」
 輸送機から空へ身を投じるメイド服の少女が、蝙蝠の如き漆黒の翼を広げて滑空してゆく――――。
「SGD3機にSG2機の部隊か‥‥。そして‥‥」
 スマートボールの視界が流れ、数名の兵士を捉えた。パラシュートザックを背負って出撃を待つシルエットに特殊な装備は見当たらない。
「‥‥数名の潜入班‥‥か、何なんだこの部隊は」
 パイロット達は潜入班の陽動支援という命令以外詳細は聞かされていなかった‥‥。

●鋼鉄の誘い
 鉄の棺桶乗りとして今回の任務は簡単だ。敵基地周辺で機体を晒し、敵機を誘い出せば良い。尤も、敵の数を把握しており、大半を容易に誘き出せればの話ではあるが‥‥。
「頼むぜ、機械人形さんたち!」
 ジョー・クロキ(ジョーカー)少佐(相麻 了(fa0352))が先行するSGD達へ親指を突き出して見送った。やがて響き渡る銃声と轟音。端整な風貌の少年は息を呑み、頬に冷たい汗を滴らせる。
「獣、か‥無事に帰還したらユノーハを誘ってみるかな‥‥ッ!」
 覚悟を決めた刹那、長い黒髪から覗く瞳をカッと見開き、戦慄く手は鋭い爪を生やし、口には牙が覗いた。黒猫と化したジョーカーが二ッと笑みを浮かべ、刻を待つ――――。
 EK552とヤマダ5式は対になるような機体だった。白兵戦用装備を撤去したSGDが短機関銃の銃声を掻き鳴らす中、大型の盾で敵機の銃弾を阻みながら、接近を許した機体に槍の洗礼を叩き込んでゆく。一方、ユノーハの駆るメイド服の少女は、右手に日本刀、左腕にドリルアームを装着しており、両肩に浮遊式の小型シールドを装備していた。
「敵機捕捉‥‥2時の方向に光学迷彩SG3機確認‥10時の方向からSG接近中‥‥」
 特殊索敵装置『超音感視』により、ジャミング等を問題とせず、30km範囲内の全ての大きさ、形、距離、動きを把握でき、光りの有無や歪みに左右されずに『視る』事でサポートを担っている。
 この特殊装置の恩地は絶大であり、装甲厚に弱点を持つSGも任務に貢献できた。
「ALLRight!!」
 左右対称シンメトリカルな外装のバッファローが、脚部ホバリングで縦横無尽に砂塵のシュプールを描きながら、マズルフラッシュと共に薬莢を転がしてゆく。硝煙の中で単眼が赤く滲む様は、敵を恐怖に陥れた事だろう。
「さあ、こっちだ!」
 イシルは上空から強襲、ガトリングガンのバレルをけたたましい咆哮と共に高速回転させ、敵弾を躱しながら陽動に努めていた。程なくユノーハから通信が届く。
『超音感視により‥敵機の陽動が成功しています‥‥そのまま撤退‥潜入班を忍び込ませます』
 SGとSGDがゆっくりと後退してゆく中、潜入班が動き出した。少女が機体装備の特殊装置からキャッチした状況を告げる。
「ビーストソルジャー‥‥敵基地に潜入確認‥」
『極少数で破壊工作ですか。兵に決死の覚悟を要求する事は許されても、死が必然の任務に向かわせるのは軍人として絶対に許されないと思うのですが‥‥』
 通信を送りながら、EK552が視線を潜入班に流した。
「ビーストソルジャー‥‥勝つ為に他の道は無かったとはいえ‥‥あの人数で基地を落とす事ができるんでしょうか‥‥そして例え勝てたとしても‥」
 ユノーハの呟きにヤマダ5式のパイロットが応える。
『私は任務を果たすだけだ。余計な事を知ると前方だけでなく背後まで警戒せねばならなくなるからな』
「例えどんな姿になったとしても絶対に生きて帰って来て下さい‥‥待っています‥」
 少女の円らな赤い瞳は、ビーストソルジャーの動向を見守り続けた。
 超音感視の特殊装置が送る潜入班のシルエットがズームインしてゆく――――。

●殺戮の宴
「さてと、パーティーの始まりだッ!」
 格納庫から潜入を果たしたジョーカーが、横たわるSGD素体を鋭利な爪で貫くと、鮮血のような真紅の飛沫が噴き出す。黒猫獣人の身体が赤く染まる中、猫の眼光に映るは異常をキャッチして駆けて来る敵兵だ。ビーストソルジャーは両足を大きく開き、半身を丸めて片手を床に着ける。
『ベルトレスの工作兵か‥‥撃てッ!』
 雨の如き銃弾が撒き散らされた刹那、黒猫は掻き消えた――否、疾風の如き俊敏さで駆け出したのだ。次々と壁が火花を散らして銃創を刻む中、10条の赤い閃光が疾ると共にアルマイト兵が肉塊と化してゆく。
「ファイナルクラッシュ!!」
 一気に跳躍すると腕を広げて肉迫! 増援に駆けつけた敵兵の列を擦り抜ける度に鮮血が舞う。
 ジョーカーが床に脚を着くと、背後で鈍い音と共にアルマイト兵が崩れた‥‥。
 ――超音感視による基地内を捉える映像が次の地点へ移動する。
 そこで血の宴を繰り広げるのは、バイオレットバイオレンス(常盤 躑躅(fa2529))。パンダの覆面の如く頭部のみ獣人と化したビーストソルジャーだ。否、隆起する筋肉は肉の鎧と呼べるだろうか。光学迷彩で銃弾を潜り抜け、敵兵を貫く。
「薬を入れただけでこんな力が得られるんなら戦闘狂の俺にとっちゃむしろいい話だぜ! たまんねぇな。心の臓を素手で突いて引きずり出し握りつぶす感触って奴はよぉぉ!!」
 流石にTV番組の範囲を越える訳にはいかない。バイオレットバイオレンスの歓喜と共にズルズルと不快な音が流れ、飛び散った鮮血にパンダの風貌が浮かび上がる。愛嬌があるだけに血塗れの姿は鮮烈だ。
「ぐっへっへっへ。もっとこい。どんどんこい。向かってきたらコロス。逃げてもコロス。命乞いの降伏をしてきてもコロス。何をしてもコロス。コロス。コロス。コロス。ぐひひひひッ」
 豪腕が唸る度に鮮血の飛沫が舞い飛び、阿鼻叫喚の地獄絵図を描く中、奇声と共にじゅるじゅると涎を撒き散らしながら次々と敵兵を血祭りにあげてゆく。
「なんだ? これで終わりか? 敵はもういねぇのか? 喰いたりねぇ‥喰いたりねぇな‥オマエは俺の敵か? 味方か? ‥敵、ダヨナ」
 ユラユラと全滅した敵基地を彷徨う中、遂には味方のビーストソルジャーに襲い掛かる始末だ。
 映像を窺いながら、ユノーハは再びビジョンをジョーカーに流す。
 血染めの両手を戦慄かせて正気を取り戻していた。中には鋭利な爪で抉られた味方の躯も窺える。もし、ここに彼女がいたら‥‥。
「お、俺は‥もう人間じゃないのか!? 何だよ‥‥俺がやったのかあぁッ!?」
 肉塊にしていたかもしれない恐怖に少年は絶叫を響かせた。
 迎えに戻ったSGD・SG部隊は、敵基地から生き残った血塗れのビーストソルジャー達に驚愕する。疲労の色を浮かべて生気の欠落した者もいれば、錯乱状態で赤黒いものを撒き散らす者もいた。
『あの結果で、生存? 一体何が起こって‥‥』
 EK552のパイロットが不吉な予感を湛えた声で呟く中、イシルは目の当たりにした惨状に戦慄く。軍が秘密裏に何かしようと予感しても、ラサの時と同じように何も出来ないだろう。
 ユノーハは帰還後に記録した超音感視のディスクをヒルデガルドに渡した。
 次々と消滅する敵兵の映像に、若き司令官は冷たい微笑みを浮かべる。
「ククク‥‥圧倒的ではないか、我が軍は」