ベルトレスの旗南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/06〜02/10
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●本文
●狂喜に猛る野獣
――ビーストソルジャー。
獣の遺伝子と人間の遺伝子を掛け合わせたバイオ兵士製造計画で誕生した兵士である。公に出来ないのは非人道的行為に因るものだからだ。これは最新技術を誇るアルマイト軍に対抗するべく、基地潜入内部より壊滅を目的として実験された極秘プロジェクト。薬品の投与を一月以上続ければ効果は見られるという。
そして、テストを兼ねた実戦は実行され、敵基地で生き残ったのはビーストソルジャーのみとの結果が報告された。
だが、ビーストソルジャーは理性が崩壊する分、戦闘後は喪失した感情に酷く苦しむ事になる。
‥‥筈だった――――。
●ベルトレス軍逃亡。
今回のビーストソルジャーは双方に分かれて逃亡兵と追撃兵と演じて頂きます。SG、SGDパイロットも可能ですが、SGDの装甲は破れないものの、障害物程度にしかなりません。理性の失われたビーストソルジャー同士は躊躇う事なく殺し合いを展開。
この一連のシナリオは、ビーストソルジャーの悲哀を描くものであり、後に自分が殺してしまった相手に苦しむという事が基本となっています。
今回はキーパーソンとして、軍事ジャーナリスト役も1名募集します(アクターがいない場合、基地周辺で起きた事件としてのみ扱います)。ベルトレス基地周辺の様子を窺っていた所、基地を突破した逃亡兵と追撃兵の戦いを偶然見てしまい、写真を撮った事から発見され、追撃兵に殺されそうな所を、逃亡兵の1人に助けられ、車で逃げる所までが今回の話です。
<シナリオの流れ>
01:僅かに残った記憶に苦しむビーストソルジャーは、深夜にベルトレス軍基地から逃亡。命令を受けて追撃兵が消去に向かう。哨戒していたSGやSGDにも『逃亡兵を抹殺』との指示が入り、基地の周辺は銃声と断末魔が響き渡る地獄と化す。
02:互いに追い追われる者が狩られるシーンを描いた後、軍基地のフェンスを越えたビースト兵が戦い合う中、切られるシャッター音とフラッシュ。負傷した事で僅かに理性が戻った逃亡兵は、軍事ジャーナリストを逃がす為に戦った後、闇に消えるのだった。
●キャスト募集(性別不問)
・役割:ビーストソルジャー逃亡兵/追撃兵/SG、SGDパイロット/基地指令官/軍事ジャーナリストいずれかの選択。
・配役:階級明記。軍事ジャーナリストは必要ありません。
・役名:登場人物の名前です(本名で出演してもOK)。
・設定:どんなタイプのキャラクターを演じるか明記(設定なければ口調はアクター)。
・<シナリオの流れ>に合わせて演技及び台詞など。
☆SGガーメントの主な仕様は以下の通り。
ベルトレス軍SG『ガーメント』の発展型。直角的なシルエットを模る鋼鉄の機体は、用途に合わせてフォルムがそれぞれ異なっており、衣服を意味する名称から、基本ベースに装甲を『着る』事で、様々な局面に対処できるよう設計されている。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・機体タイプ。
【索敵重視】ノーマルより性能は高い広域レーダー装備型。武装無。
【ノーマル】平均的な性能。肩:ミサイルポッドorビームキャノン砲or腕:ガトリングガン。
【装甲重視】機動性は劣るが装甲は厚い。肩:小型ミサイルポッド 腕:ビームガン。
【装甲排除】機動性は高いが装甲は無い。腕:ビームガン・スピア。
【SGD】(複数OK)
生身にメカニックな装甲と武装を装備して人型兵器を演じて頂きます(半獣化OK/獣化NG)。
外見はアクターのものとなります。
・機体名称:SGDの名前です(本名で出演してもOK)。
・搭乗人数:単座か複座(2名まで)か決めて下さい。搭乗者(NPC含む)も明記。
・搭乗場所:コックピットの場所が身体の何処か明記(CG合成されるので安心して下さい)。
・武装設定:スタイルに合わせて、どんな武装か設定して下さい(或る程度何でもOK)。
・機体外観:外観特徴です(どんな服状の装甲か、身体の何処に装甲があるか等)。
・機体設定:性能的な特徴を1つだけ(例えば飛行可能とか)。
・<シナリオの流れ>に合わせて演技及び台詞など。
☆SGDの主な仕様は以下の通り。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・音声認識AI:パイロットと会話可能で台詞OK。但し、自律行動は不可能。
・スタイル制限:スタイルで性能が変化します(アクターのスタイルとなります)。
【細身】高機動型だが装甲は薄い。武装は格闘戦用のみ。
【標準】性能は平均的。武装は格闘戦と射撃戦用の計2。
【豊満】機動、装甲共、標準型より劣る。武装は格闘戦と射撃戦用と内臓兵器の計3。
【筋骨】機動は豊満に劣るが、装甲は厚い。武装は格闘戦と内臓兵器の計2。
【肥満】機動は最低だが、重装甲。武装は射撃戦用2と内臓兵器1の計3。
●サポート参加
大道具、小道具の設定及びSG(SGD)デザイン補足など。所謂裏方を担当して頂きます。
●リプレイ本文
●a flag the beltres――Mission05 in beast soldier
――逢ってみたい‥‥そいつに‥‥ビーストでありながら人間と協調できる可能性があるなら‥‥。
漆黒の闇をサーチライトが照らす。捕捉の光に晒されたのは、腰ほどはあるかと思われる金髪を左右に煌かせながら、コンクリートの路上を駆ける人影だ。ニコール・マックス大佐(結城ハニー(fa2573))を捉え、爬虫類のような緑色の瞳を輝かす逞しい男(結城丈治(fa2605))が、蛇のような風貌で耳元まで裂けた口を通信機へ運ぶ。ダメージを負ったのか息が荒い。
<因みに最初のビーストで科学者から逃亡したプロトタイプのゲリラ頭目『ジョーカー』の提案は、先の放送と混乱する為に保留となったらしい>
「二、ニコール大佐が‥基地から逃走するのを‥‥確‥認、しました」
程なく幾つものサーチライトが照らされ、けたたましいサイレンが基地周辺へ響き渡ってゆく。
基地内が色めき立つ中、巫女のような神聖な雰囲気の漂う美女は、黄金の玉座で微笑みを浮かべる。
「ふふ、よりにもよって最強の一匹コードネーム『ハート』が脱走とは‥‥大事の前にやってくれますね。ケイ中佐に連絡、小隊指揮に定評がある『作戦コードK』の手腕を見せてもらいましょう」
IQ240の若き司令官ヒルデガルド・マイッツァー大将(仙道 愛歌(fa2772))は愛らしい茶の瞳を細めた。
●抹殺指令
「哨戒中のSG隊へ通達。これから俺の指揮下に入ってもらう」
SGDの胸部コクピットへ滑り込み、ケイ・K−シュバイツ(K・ケイ(fa4786))が通信を送る。起動準備を整備兵へ訊ねるものの、システムと思われるモノが未だ起動状態に至っていないらしい。鋭角な黒いフォルムに金で縁取りされたヘルメット部、蛍光グリーンフェイスガードの巨人は未だ眠っているようだった――――。
「Jesus‥‥マジかよ‥‥アレをSGで潰せってのか?」
ブラック&グレイの左右対称シンメトリカルな外見と装備のSG『バッファロー』のコクピットで、J・M伍長(ジョニー・マッスルマン(fa3014))はオーバーリアクションで呆れたように声をあげた。程なくヴァールハイト・シュテルン中尉(ヴァールハイト・S(fa3308))の声が通信機から飛び込む。
『セクハラで亡命してきた少尉の小娘がいきなり上級大将だの、妙な実験を持ち込んで来た小娘が大将閣下かよ‥‥ったく近頃の階級章はガキのオモチャか! オマケに神算の二つ名を持つとかってガキが元参謀本部中佐と来やがる』
「ヴァールハイト中尉、ボヤかないで下さいよ。ミーのテンションも下がっちまう‥‥Yesッ! Bingoだぜ!」
筋骨逞しい両肩を上げ、太い首を竦めて白い歯を見せ苦笑した刹那、J・Mの緑色の瞳が鋭さを増した。視界に捉えたのは疾走する白虎の娘だ。機体の単眼をギンと輝かせると、ミサイルとビームを撃ち込んでゆく。白煙が尾を引き、閃光が夜の闇を切り裂く中、二コールの駆ける路上に爆炎が広がった。幾らなんでも対人サイズへ叩き込む洗礼では無いと思いながらも、決して躊躇ったりしない。青年は爽やかに口笛を鳴らす。捉えたのは、爆風で飛ばされた衣服だ。
「こちらJ・M伍長、Mission Conplete。墓に埋める遺品も確‥‥OH、Jesus‥‥」
J・Mの顔色が戦慄に染まる。硝煙が掻き消える中、バランスのとれた肢体の金髪白虎が浮かび上がってゆく。直ちにバッファローの脚部ホバーを滑走させると、振り抜くように鉄拳を叩き込んだ。確実に標的を捉えた証拠に、コクピットへ鈍い衝撃が伝わる。刹那、視界に映る腕部が拳から一瞬にして砕けた。驚愕に見開く瞳に飛び込むは金髪を舞い躍らせる二コールの姿だ。青い獣の瞳が刃のように研ぎ澄まされ、腰に溜めた抜き手にオーラが滾る。
「退いて頂戴! 私は行かなきゃいけないのよ! 白虎閃光掌!!」
「God damn!!」
拳を振り抜いた体勢のまま硬直する中、再び白虎閃光掌で貫かれ、SGが沈黙する。
「は‥HAHAHAHAHAHA‥‥‥ジョークは止して欲しいな‥‥」
余りにもクレイジーな展開に、J・Mは白い歯を輝かせて苦笑するしかなかった――――。
――次いで二コールの逃走阻止に挑むは、両肩にゴツイ衝角(ラム)状追加装甲の迷彩SG『バイソン』だ。
「けっ、ビーストソルジャーなんぞと言う胡散臭いモノを使うからこういうざまになるんだ!」
サーチライトに浮かぶ艶かしい女体を捉え、ヴァールハイトは吐き捨てるように呟きながら機体腕部の着脱式ミサイルポッドを向ける。対人兵器としてラム戦は無理と判断したのだ。ミサイルが次々と乱射され、路上を炎の絨毯に染め上げる中、筋骨逞しい青年の鋭い緑色の眼光が、正に獣の如き俊敏さで駆け回る白虎を捉える。
「野郎っ、ちょこまか動きやがって、当りやがれ! 何ぃ!?」
ヴァールハイトの驚愕に見開かれた瞳に、尋常ならざる跳躍力で舞う二コールが映った。
刹那、回転を加えた抜き手がオーラを纏って叩き込まれ、視界がノイズに染まる。
「チッ、カメラを潰されたか!?」
次いで外界も望めぬ鉄の棺桶を激しい振動が襲い、SGの体勢が崩れる感覚に歴戦の戦士が戦慄く。白虎閃光掌の洗礼がバイソンの関節部を貫いたのである。膝を折ると、機体はゆっくりと横に倒れた。反応を示さないコンソールに拳を叩きつけ、ヴァールハイトは決断の色を浮かべる。
「くそっ、やっぱりこいつじゃダメなのか」
背部ハッチをスライドさせる青年の瞳に、漆黒のSGD『ファントム』がウィングを展開させて姿を見せた。ケイと鳥を掛け合わせたような容姿が、バイソンの惨状と現状を窺う。
「逃がしましたが今、1人追撃兵が追っています。大破した機体があるのでトレーラーを回して下さい」
そう。ビーストソルジャーにはビーストソルジャーをぶつけたのである――――。
――俺の名はルーカス。仲間からは通称ルークと呼ばれている。
名を上げようとヤバイ戦場を何時も取材してスクープを数々上げてきた‥‥自分で言うのも何だが、腕利きの軍事ジャーナリストだ。スクープを取れれば命もいらない。そんな事を酒場で口走った所為か、ベルトレスの基地で極秘に何かが行われていると知った。
そして、あれを見掛ける羽目になったのだ――――。
●接触
「なんだ? あれは‥‥」
ルーク(TABRIS(fa3427))が停車させた車の少し前で、フェンスがガラス細工の如く崩壊した。男は静かにドアを開け、カメラを手に駆け出す。ファインダーに捉えるは2体の人影だ。
月灯りに浮かぶ女体の白虎と、パンダの覆面を被ったような異常に筋骨逞しい多分、男。
「わかんねぇな。どうして逃げるんだ? てめぇは血に餓えてねぇのか? 銃でやろうが刃物でやろうがSGDでやろうが獣の力でやろうがやってることにかわりはねぇ!! 少し形が変わっただけだ。何を恐れる?」
バイオレットバイオレンス(常盤 躑躅(fa2529))は愛らしいパンダの口から涎を垂らしながら、豪腕を振り捲くってゆく。対する二コールが僅差で躱すものの、光学迷彩を駆使する獣人の洗礼に鮮血が散る。白虎は裂けた傷口を指で掬い、チロリと舌で舐めて微笑む。
「あなたには死ぬまで分からないでしょう、ねッ!」
隙を捉え、抜き手の一撃を叩き込んだ。派手に吹っ飛ぶパンダ兵がアスファルトに爪跡を描いて踏ん張る。
「ぐっへっへっへ。やるじゃねぇか! 嬉しいぜ!! 戦えば戦うほど力が馴染んで漲って来るのを感じるぜ。俺は戦いを通してこの力を自力で制御してみせる。逃げ出すチキンなテメェと違ってな!!」
再び肉体を湾曲させて一瞬姿を消した後、瞬時に二コールの懐に飛び込んだ。血塗れの口で笑むパンダは凄惨に浮かんだ事だろう。刹那、闇にフラッシュが浴びせられた。獣の眼光が慄くルークを捉える。
「ちっ! 気付かれた‥‥やばいッ!!」
返り血や鮮血に塗れたパンダ男が迫る姿はホラーだ。
「一般人か? 見られたからには生かしちゃおけねぇな。運が悪かったとあきらめるんだな!」
戦慄く男に豪腕が振り上げられたその時、二コールの洗礼がバイオレットバイオレンスを横に吹っ飛ばす。白虎の金髪と青い瞳がスローで揺れる。
――俺を助けたって言うのか?
白煙が舞い上がる中、パンダ兵が血反吐の後、立ち上がった。
「グハッ! クソッ!! 安定剤が切れてきやがった。忌々しいが今回は見逃してやるぜ。だがな! 今更、逃げて人並みな普通の生活にでも戻れるとでも思ってんのか? 無理だな。人の皮を被って暮らしてもいつか獣の血が爆発する。確実にな‥‥」
光学迷彩で姿を消すバイオレットバイオレンス。荒い息を吐く二コールの眼光がルークへ流れるが、理性を振り絞って踵を返すと月へ跳んで掻き消えた。呆然と立ち尽くす軍事ジャーナリストが金髪を掻く。
「さて‥‥如何したもんかねぇ」
暫く考え込むが、答えは決まっていた。
何処へ行ったか解らない命の恩人の行動を記録に残す為に――――。
――ビルの狭間で、二コールは一糸纏わぬ姿でうつ伏せに倒れていた。
「アルマイトを捨てベルトレスに追われる‥‥それでも私は生きる‥‥」
彼女が目覚めた先に映るものは果たして――――。
「作戦はこれより第二段階へ移行します」
冷徹な響きで指示を与える少女の声を知る由も無かった‥‥。