ベルトレスの旗南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
8.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/08〜03/12
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●本文
●ビーストソルジャー
――獣の遺伝子と人間の遺伝子を掛け合わせたバイオ兵士製造計画で誕生した兵士である。
公に出来ないのは非人道的行為に因るものだからだ。これは最新技術を誇るアルマイト軍に対抗するべく、基地潜入内部より壊滅を目的として実験された極秘プロジェクト。薬品の投与を一月以上続ければ効果は見られるという。
そして、テストを兼ねた実戦は実行され、敵基地で生き残ったのはビーストソルジャーのみとの結果が報告された。
だが、ビーストソルジャーは理性が崩壊する分、戦闘後は喪失した感情に酷く苦しむ事になる。
‥‥筈だった――――。
●見え始める欠陥
1人のビーストソルジャーがベルトレス軍から逃亡を果たして数日後から物語は始まります。
本来はシリーズではない連作の為、前回のアクターが出演していなくとも展開できるよう構成されていますが、視聴者も様々な伏線を匂わせて完結では消化不良を起こす事でしょう。
今回は逃亡を果たしたビーストソルジャーの捜索が街の中で展開されます。ビーストソルジャーの体内にはビーコンが埋め込まれており、SGまたはSGDで一定の距離に捕捉する事でキャッチ。逃亡兵を捕獲するべく、同種の匂いを嗅ぎ分けられるビーストソルジャー部隊が行動を開始するという作戦です。
しかし、ビーストソルジャー各人に様々な障害が発生し、突然理性を取り戻して混乱や戸惑いに戦意を失う者、破壊衝動から街の住民を手当たり次第に襲う者など、欠陥が見え始めてしまいます。この展開時は前回出演アクターの逃亡兵と軍事ジャーナリストの目の前で発生するとしても構いません。
この騒動を鎮圧するべく捕捉を担っていたSG(SGD)が動き出します。名目としては警察の対応できない武力の鎮圧として軍の介入が世間に知られる訳ですが、警察機関には圧力が掛けてあるので、現場に駆けつけたポリスマンに真相は露呈しません(不穏な影に憤りを覚える事でしょう)。
何とか無事に状況を治めるまでが今回の話です。
<シナリオの基本的な流れ(打ち合わせで変更・修正OK)>
01:逃亡兵捕獲の為、街で捜索を開始するSG(SGD)。ビーコンの反応をキャッチしてビーストソルジャーを解き放つ。
夜の街。捕獲に適した建物の中か路地裏で作戦開始。戦闘の中、痛手を負った逃亡兵は追ってを振り切るべく人の多い路上へ移動。しかし、ビーストソルジャーは追撃を続行。そんな中、次々と欠陥が見え始め、街は大混乱と化す。
02:軍事ジャーナリストのシャッターが切られる中、混乱を鎮圧するべくポリスマンが駆けつけるものの、モンスターのような戦闘力に成す術なし。そこにSG(SGD)が介入。軍指令部からの指示が入り、SGコクピットに改めて備え付けられたスイッチを押す(SGDの場合は未だ技術解析が遅れているのでテストシステム未配備)と首にオート機構で注射され、一時的に動体視力と反応力を飛躍的に向上させ、麻酔弾かスタンパンチでビーストソルジャーを鎮圧およびSGDで保護して撤退。
軍事ジャーナリストがいれば、負傷した逃亡兵を連れて路地に逃げ込み難を凌ぐのであった。
●キャスト募集
・役割:ビーストソルジャー逃亡兵/追撃兵/SG、SGDパイロット/基地指令官/軍事ジャーナリスト/ポリスマン(刑事)いずれかの選択。
・配役:階級明記。軍事ジャーナリスト及びポリスマンは必要ありません。
・役名:登場人物の名前です(本名で出演してもOK)。
・設定:どんなタイプのキャラクターを演じるか明記(設定なければ口調はアクター)。ビーストソルジャーはどんな欠陥を来たすかも明記。
・<シナリオの流れ>に合わせて演技及び台詞など。
*前回逃亡兵と軍事ジャーナリストを担当したアクターは、現在の状況(逃亡兵を探し回っているとか、既に気を失っていた所を助けており、騒動に巻き込まれるなど)を明記して下さい。
☆SGガーメントの主な仕様は以下の通り。
ベルトレス軍SG『ガーメント』の発展型。直角的なシルエットを模る鋼鉄の機体は、用途に合わせてフォルムがそれぞれ異なっており、衣服を意味する名称から、基本ベースに装甲を『着る』事で、様々な局面に対処できるよう設計されている。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・機体タイプ。
【索敵重視】ノーマルより性能は高い広域レーダー装備型。武装無。
【ノーマル】平均的な性能。肩:ミサイルポッドorビームキャノン砲or腕:ガトリングガン。
【装甲重視】機動性は劣るが装甲は厚い。肩:小型ミサイルポッド 腕:ビームガン。
【装甲排除】機動性は高いが装甲は無い。腕:ビームガン・スピア。
【SGD】(複数OK)
生身にメカニックな装甲と武装を装備して人型兵器を演じて頂きます(半獣化OK/獣化NG)。
外見はアクターのものとなります。
・機体名称:SGDの名前です(本名で出演してもOK)。
・搭乗人数:単座か複座(2名まで)か決めて下さい。搭乗者(NPC含む)も明記。
・搭乗場所:コックピットの場所が身体の何処か明記(CG合成されるので安心して下さい)。
・武装設定:スタイルに合わせて、どんな武装か設定して下さい(或る程度何でもOK)。
・機体外観:外観特徴です(どんな服状の装甲か、身体の何処に装甲があるか等)。
・機体設定:性能的な特徴を1つだけ(例えば飛行可能とか)。
・<シナリオの流れ>に合わせて演技及び台詞など。
☆SGDの主な仕様は以下の通り。
・搭乗型である。
・単座or複座。
・音声認識AI:パイロットと会話可能で台詞OK。但し、自律行動は不可能。
・スタイル制限:スタイルで性能が変化します(アクターのスタイルとなります)。
【細身】高機動型だが装甲は薄い。武装は格闘戦用のみ。
【標準】性能は平均的。武装は格闘戦と射撃戦用の計2。
【豊満】機動、装甲共、標準型より劣る。武装は格闘戦と射撃戦用と内臓兵器の計3。
【筋骨】機動は豊満に劣るが、装甲は厚い。武装は格闘戦と内臓兵器の計2。
【肥満】機動は最低だが、重装甲。武装は射撃戦用2と内臓兵器1の計3。
●サポート参加
大道具、小道具の設定及びSG(SGD)デザイン補足など。所謂裏方を担当して頂きます。
●リプレイ本文
●a flag the beltres――Mission06 in beast soldier
――漆黒の闇を堕天使が滑空してゆく。
鋭角的なフォルムの背部ウィングで風を切るはSGDファントム。暗闇に関節部を金色に輝かせ、蛍光グリーンのフェイスガード付ヘルメットが特徴的な人型兵器である。ツインチャクラムを装備した両手が胸部装甲と同スケールのコンテナを抱える中、鳥と掛け合わせたような青年の風貌が、眼下の市街地を捉えた。
胸部コクピットでSGDに見紛う風貌のケイ・K−シュバイツ参謀中佐(K・ケイ(fa4786))が口を開く。
「間も無く市街地上空に到着。ステルスシステム起動。索敵開始‥‥ビーコン反応キャッチ。発信源フィールド確認。路地裏ではSGDは動けないため待機。ビーストソルジャーは逃亡兵を追撃せよ」
人気の少ない地点へファントムが降下する。周囲の状況確認後、抱えていたコンテナが開くと、バイオレットバイオレンス(常盤 躑躅(fa2529))が愛らしいパンダの風貌で振り向く。
「よし、B班は俺のあとについて来い!」
常人なら視界に捉える事も困難であろう速度で、ビーストソルジャー部隊が夜の市街へ散ってゆく中、建物の影で身を潜める端整な風貌の少年が、黒い長髪の隙間から円らな瞳を研ぎ澄ましていた‥‥。
●狩りの夜
「くんか‥くんか‥くんくんくん。ぐひひ。匂う‥匂うぜ、美味しそうな牝の匂いがよぉ!!」
パンダ男が厭らしい笑みを浮かべ、愛らしい風貌が卑猥に歪んだ。周囲にハナを利かせ、駆け巡る先に人影を捉えると、黒い瞳が愉悦に染まる。視界に映るは疲弊を色濃く浮かび上がらせる金髪の女――ニコール・マックス(結城ハニー(fa2573))だ。同時に彼女へ近付く男を捉えた。
――あのときのカメラマンか‥‥ぐひひ‥丁度イイぜッ!
「見つけたぜ、俺のエンジェルちゃん」
行く当てもなく膝を抱えていたニコールが青い瞳をあげると、視界にニヒルな微笑みを浮かべるルーカス(代役:仙道 愛歌(fa2772))が映った。欠落した記憶なのか、彼女の口から洩れる声は戸惑い。
「あんたは‥‥ッ!?」
刹那、一瞬にして青い瞳がナイフの如く研ぎ澄まされ、金髪を靡かせて獣の気配へ端整な風貌を向ける。闇の中から迫る殺気を覚え、二コールは咄嗟に立ち上がると、ルーカスに身を寄せた。突然懐に飛び込んだ女の香りに、男は動揺の中に愉悦を感じたが、艶やかな唇が告げるのは警告の声。
「危ない! はぅッ!」
次の瞬間、仰け反った女の背中から鮮血が迸った。ルーカスは身体を張って護られたと知る。
「お、俺を‥‥おいっエンジェルちゃん! 大丈夫か!」
『こんな人間を庇うたぁ牝猫は盛りがついたのかよ?』
二コールの鮮血を浴びて浮かび上がったパンダの凶悪な風貌は、戦慄を覚えるに十分だったに違いない。引き連れた部下の獣兵が取り囲む中、バイオレットバイオレンスが続ける。
「もうどこにも逃げられねぇぜ。俺を倒さない限りはなぁ〜」
「し、しつこい男ね」
苦痛に眉を悩ましげに歪め、二コールがゆっくりとルーカスの胸から離れてパンダ男を睨んだ。
「しつこいのが俺の取り柄なんでな。集団で嬲るのは趣味じゃねぇ。タイマン勝負で踊ろうじゃねーか」
「いいわよ、そんなに死のダンスが踊りたければ楽しませてあげるわ!」
地を蹴ると同時、女の肢体が躍動と共に白虎へと鮮烈に変容する中、抜き手にオーラが滾る。
「白虎閃光掌!!」
「ぐはああぁッ!!」
肉を貫き鮮血が噴き出す中、苦悶の色を浮かべてパンダ男が断末魔を『重ねた』。刹那、バイオレットバイオレンスは更なる血を浴びながらニヤリと凄惨な笑みを浮かべる。
二コールが貫いたのは確かに人の生暖かい肉体。だが、驚愕に見開く青い瞳に映るは、パンダ男が自分の身代わりに引っ掴んで盾にした別の獣兵だった。
「そんなッ!?」
「残念だったなぁ、その技は前の戦いで学習済みだ。こいつも俺の役に立てて嬉しかっただろうぜ。ぐへへッ! お遊びはこれまでだ。いけ! 野郎ども!」
部下が一斉に襲い掛かる中、二コールが対処に追われる隙を突いて光学迷彩を展開させると、忍び寄り様に『金剛力増』で肥大した豪腕を振るい捲くる。容易く人間を肉片に砕く勢いの鉄槌を躱すものの、掠っただけでも鮮血が散った。白虎の表情が苦痛に歪む。
「くぅッ、卑怯者ッ!」
「卑怯だろうが勝ちゃあいいんだよ! それが戦争ってもんだ!」
一瞬の隙は連鎖を呼び、四肢の自由を奪われた刹那、奇声と共に統率が乱れた。或る者は民間人に襲い掛かり、或る者は野獣の本能に目覚め欲情し、或る者は咆哮をあげてパンダ男に飛び掛かる。
「バ、バカ野郎ッ! なに盛ってやがんだよ! チッ、暴走かよ‥‥」
「ちょっと、放して! んあぁッ」
柔肌を食い千切られそうになり、悲痛な声をあげた刹那、一瞬横殴りの突風を感じると共に、獣兵が激しい衝撃に宙を舞った。次いで闇の中で暴れる一陣の旋風が洗礼を浴びせ、次々と獣兵が吹っ飛ぶ。ようやく視界に捉えたのは、長髪の少年を模る黒猫――ビーストソルジャーだ。
「やれやれ、始まったかぁ仕方ないなぁ。大丈夫?」
軽い響きで少年は背中越しに二コールへ屈託の無い微笑みを浮かべるが彼女の反応は鈍い。
「俺はプロトJ、人呼んで黒猫ジョーカー! ヨロシク★」
ビッと二本指を額に当てて軽くウインク★
「プロトJ? ジョーカー? あんたが‥‥ッ!」
再び襲い掛かる獣兵の攻撃を躱し、ジョーカー(相麻 了(fa0352))と二コールは超絶的な戦闘を繰り広げながら言葉を交す。
「目だけに頼るな、五感全てを‥‥いや六感を使うんだ!」
「五感全て‥‥第、六感‥‥目に頼らず‥‥」
白虎が瞳を閉じる中、すぐさま明鏡止水の境地に至ると、拳に込めたオーラが炎を纏った。
「必殺! 白虎爆熱拳!」
灼熱の突きに貫かれ、肉迫した獣兵が断末魔を響かせてゆく。一瞬動きを止める残りの獣兵。暴走していても獣の本能が警鐘を鳴らしたのだろう。軽く口笛を吹いてジョーカーが感嘆の声をあげる。
「うっひょぉ♪ さっすが元13人衆だ。けど制御できてないな」
少年の言葉が示す通り、二コールは疲弊により膝を着く。グラリと倒れる瞬間、ルーカスの腕が彼女を受け止めた。少年が二人に軽く微笑む。
「さて、ここから先は足手纏いだ。巧く逃げてくれよ」
「任せな、美人を放っておくほど俺は野暮じゃないぜ」
ニコールに肩を貸し、ジャーナリストは路地へ急いだ。朦朧とする意識の中、白虎が口を開く。
「あ、アンタは‥‥あの時の‥‥アリガト」
ガクリと意識を失う女の端整な風貌は微笑みを浮かべていた。
「ちぃ‥‥惚れちまったかな」
小さな呟きを洩らし、男は自嘲気味に笑むと、夜の闇に消えてゆく。
ジョーカーは獣兵に向き直り、眼光を研ぎ澄ますと、指に鋭利な爪を生やして一気に力を開放する。
「ファイナルックラッシュ!!」
一気に衝撃を浴びた幾つもの肉片は鮮烈な程の華を満開に咲かせた‥‥。少年の冷めた瞳がパンダ男を一瞥する。彼は歓喜の血に塗れながら、暴走獣兵を叩き伏せるので精一杯らしい。
「チイッ! てめえらのせいで逃げられちまったじゃねえか! このクズどもがよぉ! ケッ! 脆過ぎるぜ! あん? SG部隊だとぉ? ま、待て! グッ! バッ‥バキャロウ! 俺の何処が暴走しているように見えるってんだ‥‥ッ」
放たれた麻酔弾にゴロンと崩れたパンダ男は、愛らしく映った事だろう。
●戦慄の街
民間人を襲うべき解き放たれた獣兵の一派により、街はパニックに陥っていた。彼方此方で凄惨な光景に断末魔と悲鳴が交錯し、風船のように容易く鮮血が乱舞する。
現場に急行したニコラス・コールマン(Uranus(fa5040))は、状況整理に戸惑った事だろう。思い切りの良さと強靭な体格からマフィアの取り締まりや街の治安維持でノシ上がった血気盛んな若き刑事は、捉えた獣兵にも変わりなく対処する。
「俺の街で結構な事してくれたじゃないか、なぁおい!」
何人もの悪漢をノックダウンした必殺パンチを食らわすものの、結果は彼の予想を大きく外した。豪腕を叩き込まれると同時、ニコラスは空を跳び、愛車のボンネットに落下すると、激痛に顔が歪む。
「がはっ‥‥ッく、バケモンかあいつは‥‥! ん、何だ? ありゃ軍のSGじゃねぇか!」
鈍い振動と共に飛来したSGDと姿を見せるSGを捉え、再び状況整理に脳が追われる中、部隊は次々と銃を放ち、暴走した獣兵を眠らせてゆく。
「『こいつらは僕達がやるので下がって下さい』殺さないでくれよ、我が軍の貴重な戦力なんだからな」
外部スピーカーから発せられたケイの声に、ニコラスが声を張り上げる。しかし、中佐から返った答えは濃霧の如く不鮮明だ。
(「軍は一体何をやっているんだ? 現場の人間にも言えないことって何なんだ? 上にも圧力が掛かっているようだし。くそっ、この国はどうなっているんだ」)
真相が闇の中に包まれる事を察し、軍や国に不信感を抱いた‥‥。
「ほう、あのプロトタイプが生きていたとは‥‥責任者は厳重に処罰しなさい。研究所から逃亡した実験動物の事故として処理したものの、厄介な事になったものですね‥‥」
ヒルデガルド・マイッツァー大将(仙道 愛歌(fa2772))は、巫女の如き神聖な雰囲気の漂う風貌に表情を顕さず、指令室を後にする。
どこかで乾いた銃声が響き渡った――――。