雪上のブラッドダンサー南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
8.6万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/10〜03/14
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●本文
●イントロダクション
雪を覆われた世界スノエルでは二つの陣営が長きに渡る内戦の歴史を刻んでいる。
古き伝統と規律を重んじる貴族主義のプリンシパルに対し、改革を謳うリバイズはプリンシパルの王都陥落を目標として侵攻。
カリアッハ山脈を越えねばならない状況下を強いられたリバイズは、駐屯基地を築き、プリンシパル防衛拠点『イグルー』を落とすべく動き出すが‥‥。
●陣営の簡単な設定
【プリンシパル】任務:イグルー基地防衛。
中世の騎士をイメージとして捉えて下さい。服装も優雅で気品が漂うものが用意します。実用性より機能美を優先する傾向。
◆配備人型兵器SG=SteelGrave(最大人数までOK)。
8mの人型兵器です。防衛用として短時間使用に特化されており、ホバリング機構を持つ機動性重視の短期戦タイプ。基本外観はシャープな造形で、高貴さが漂う鎧のような感じです。装甲は薄く、燃料消耗が激しいのが弱点。基本装備として格闘戦用武器(剣)、銃器(銛のようにワイヤーの付いた射出アンカー機構あり)があります。
【リバイズ】任務:イグルー基地攻撃。
プリンシパルに反乱する形となっており、同志の集団的なイメージとして捉えて下さい。野外活動が多い事から、実用性重視の防寒着を用意します。
◆配備人型兵器SG=SteelGrave(1機または副座型か2機まで)。
8mの人型兵器です。基本外観は流線型なフォルムの傘状上半身下に、武骨な腕部や脚部があります。このデザインは雪上行動の特殊性とリアルさを強調しており、雪が機体に積もらず、腕や脚を風雪から守るようなイメージとなっています。脚部は長いスキー板のようになっており、安定性を保つ為に杭上の突起が施されています。装甲は強固ですが、機動性は鈍いのが弱点。基本装備として格闘戦用武器(腕部から射出する杭)、銃器があります。
・ブラッドダンサー
リバイズの特殊部隊名です。SGの機動力不足を補う為、スキーやスノーボード(ときにはスケート)を駆って機動戦を繰り広げるエキスパート。生粋の軍人より、スカウトされた学生等の若者が多いらしいです。
●シリーズの行方
個性豊かなアクターの参加により番組は放映された。両陣営共魅力的に映し出された事だろう。
しかし、監督は構成するに当たり、幾つか問題を抱えているのも事実。
――連作として展開させるかシリーズとしてアクターを固定させるか。
一概に言えるものではないが、一つの物語として描く場合、アクターは固定されていた方が楽である。だが、アクターにも当然ながら都合があるだろう。
「シリーズになるなら最低限『全何回を予定しているか』は出してもらいたいですね」
アクターは言った。監督の意図は宿敵同士のエピソードを描きながら物語に深みを与える事である。
「要望を出して頂いたエピソードから選択して、話数を決めようと考えていました。宿敵同士をピックアップさせる為、1話にメインを2名とすると、シリーズなら、4、5話となるでしょうか」
勢力:リバイズX5名。プリンシパルX3名。予定構成は――――
――――【希望エピソードから予想される話数順(監督希望とスポットが多く当たる人数)】――――
1:氷湖での戦闘(ライバルと認知する両陣営各1名)。
2:障害物の少ない雪原で、偶然の遭遇戦(戦闘中に雪崩に巻き込まれる両陣営各1名)。
3:新兵器か機体導入、破壊作戦の中、仇や士官学校を出た兄姉の存在を見つけ対峙(ブリンシパルに新型機。前話まで小出しに伏線を張りつつ両陣営各1名または計3名。取り敢えず計2名と予定)。
4:追加兵器実装と新戦法訓練(主に訓練で展開し、決戦の出撃まで。両陣営各1名)。
最終回SP:両陣営の再対決(宿敵同士の清算。現在どちらが勝つか勝敗が決するか未定)。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1話は純粋に戦闘の中で宿敵を描き、2話は洞窟に閉じ込められ、互いの陣営の思いを描きながら救出されるまて、3話は密度が濃いのでSPにしたいとは監督の希望らしい。4話は半分に分けて、新型機を3話で扱いきれない者、新戦法『デッドダンス(仮)』のタイミングが合わず、特訓を受ける者を描き、互いに克服する中、出撃となる。最終回はこれまでの経過から相手をどうしたいかで決まる予定だ。
つまり、雪上のブラッドダンサーという作品は、軍ではない為、命令に絶対性は無いとして個々を描きながら結局は人と人、掲げる思想を上回る人間の感情と想いを綴る娯楽作と言えよう。
「作品は6月で終わらせたい事もあり、この計算だと4月から2話ずつとなるかもしれませんね」
全てはアクターに委ねられた。
●tactical02
イグルー基地侵攻経路である一つが大規模な雪崩により閉ざされたリバイズは、残った二つの経路から「アイスリンク」を選択した。「クーノ」は雪原だが頻繁に雪崩が起きる為、侵攻経路としては危険と判断したのである。
アイスリンクは広大な湖が厚い氷を覆われた氷上だ。ブラッドダンサーは装備をスケート用に換える必要もあれば、SGは支援射撃しか出来ない。しかも、いつ氷が砕けるとも予想できないのだ。
●募集区分と提出資料
このドラマは8名を二つの陣営に分けて展開します。4対4が望ましいですが、偏っても構いません。基本的に、リバイズのイグルー基地攻撃に対処するプリンシパルという知恵比べ的な展開の中で、互いに宿敵を感じてゆく物語となっています。
――――――――テンプレート――――――――
【勢力】プリンシパルかリバイズ。
【名前】役名または芸名そのままでも構いません。
【設定】どんな立場で、どんな性格のキャラクターを演じるのか。
【役割】双方のSG乗りか、リバイズのブラッドダンサーか、プリンシパルの白兵部隊か選択。
【補足】機体名や装備、服装、得意、苦手など補足する設定がある場合に活用して下さい。
【演技】今回の主なプロットです(打ち合わせで変更OK)。台詞や行動を明記して下さい。
・起:アイスリンクから侵攻するリバイズ。対する為に出撃するプリンシパル。
・承:優勢に展開するプリンシパルに苦戦するリバイズ(誰が誰を攻撃してどうなるのか明記)。
・転:プリンシパルSGの弱点は稼動時間の短さ。戦闘で氷が砕け仲間達が戦闘不能になる中、テクニックを活かして翻弄するブラッドダンサー。
・結:稼動限界からアイスリンクを破壊し撤退するプリンシパル。互いに宿敵を感じあう中、次回へ。
――――――――――――――――――――――――
●サポート
裏方担当。フイルムに余裕がある場合、サポートしたアクターとのシーンが流れるかもしれません。
例)サポートしたアクターへ衣装(脚本/弁当)を渡して激励。演技指導をするなど。
但し、初日のみですから、ニュアンスを間違えないで下さい。
●リプレイ本文
●tactical02
「え? 私達だけで攻撃って、そんな! 新兵器、ですか。了解、イグルーを陥しに向かいます!」
リバイズ本部出向中の上司から指示を受け、サラ――サユリ・ナラシノ(森里碧(fa4905))は通信を終え、ヘッドセットを外して背凭れに身を委ね仰け反ると、溜息を洩らす。少女は暫しの沈黙後、弾けるように椅子から立ち上がった。
今は私しかSGを動かせない‥‥頑張らなきゃ――――。
『親愛なるまいすぃーと、お元気ですか。カリアッハ山脈付近はとても寒くて、早く帰ってキミの作った暖かいポタージュを飲みたいです。これから氷の上を滑って攻めるんだけど、アイスリンクって名前で‥‥』
「アキラさん、そろそろ出ますよ。‥‥手紙、ですか?」
背後から響くラグナ・アルフェロフ(長束 八尋(fa4874))の声に、アキラ(北沢晶(fa0065))のペンが止まる。青年は腰をあげ、白いスキーウェア風の衣装に袖を通しながら、少女に見紛う少年へ微笑む。
「故郷の婚約者にね。おや? 彼女からですか?」
今度はアキラが興味深げな声で、ラグナのガンベルトに括りつけてある短剣を眺めた。
「このスティレットですか? 自分にとって‥‥御守代りなんです。それより急いで下さい。隊長が不在だからって、サラに叱られても知りませんよ」
美人の怒った顔も魅力的かもですね★ なんて言いながら赤いバンダナを締めると、格納庫へ急いだ。
ドアを開けると視界に飛び込んだのは、両手を腰に当て、やや前屈みに苛立ちも露な少女の不機嫌そうな顔だ。アキラとラグナが表情を崩す中、瞳を泳がせると既にナシアス・フロイト(Even(fa3293))は待機中で、両手を頭の後ろで組み、真っ白なSG『イスカリオテ』の脚部に背を預けながら飄々とした笑みを浮かべる。
「これで全員ですね」
「遅いです! 子供だと‥‥女だと‥ッ」
聞き慣れた名言が響き渡った――――。
――プリンシパル防衛拠点イグルー。
リバイス部隊が防衛線を越えた事で基地内に警報が鳴り響く。進行経路はアイスリンク。直ちにSG部隊は迎撃に赴く事となるのだが‥‥。
「ふう、自由を愛するならこちらの自由も用意してくれないかなあ」
ゆったりと椅子に背中を預けるオスカー・フォン・ケンプ中将(鬼道 幻妖斎(fa2903))は、暢気な調子で紅茶を飲み干した。相変わらず速度が要の防衛を担う隊長としては悠長この上ない。
格納庫では既にパイロットが出撃準備を進めていた。
「へー、アイスリンクかぁ。シリアー、あそこ押さえられるとキツいんじゃなーい?」
愛らしい風貌と不釣合いな程の魅惑的な肢体をパステルピンク基調の過剰な装飾のロリータ風パイロットスーツに包み、クロセル・クロチェット(堕姫 ルキ(fa4852))は緊張感のない声で小悪魔的な微笑みを向けた。前回の戦いで痛手を負ったシリア・イェンネフェルト(シーヴ・ヴェステルベリ(fa3936))は、入念な機体整備に余念がない。
「よし、システムオールグリーン。前みたいに舐めてはかからないわ‥‥矜持、取り戻させてもらうわよ!」
深紅に彩られたSG『スティンガー』が先陣を切って出撃する。あーん、待ってよー! と眉をハの字に、クロセルも慌ててコクピットに滑り込むと、スノーホワイトとパステルブルーに染められたシャープなフォルムのSG『ネージュ』がカタパルトに乗った。
オスカーが姿を見せると同時、クロセル機も宙を跳ぶ。
「やれやれ、死に急がないでくれよ」
――雪飛沫をあげてSGはホバリングしながら雪原を滑走してゆく。
シリアの視界がスノーモービルを捕捉。ラファエル二等兵(ラファエロ・フラナガン(fa5035))だ。
「確か、見習いで配属されたのよね。安心して待ってなさい」
スティンガーの手でサインを送ると、機体はシュプールを描いて先を急ぐ。次いでネージュが通過し、遅れてオスカーの駆る『ロキ』が過ぎる。
「けほっけほっ」
散々雪飛沫を浴びたラファエルは、少女のような風貌に涙を浮かべ、心配そうに見送った‥‥。
●アイスリンク侵攻
鈍い機動音を響かせ、スキー板のような脚部を駆動させるイスカリオテの動きは何時にも増してぎこちない。機体ボディから下ろされているブラッドダンサー運搬用ポケットの揺れも激しく、何度となく転げ落ちそうになったものだ。度々、サラの焦った声が飛び込む。
『すみません! しっかり掴まってて!』
「大丈夫。サラなら出来るよ★ 前も、助けてくれた」
ポケット上部に備え付けられたカメラに微笑むラグナ。ナシアスの口から愚痴が洩れる。
「クーノ雪原からは、こちらが生身である以上、リスクが高すぎますからね。『上』も、こちらにSGを回してくれればいいのに‥‥あ、あー、別にサラちゃんの操縦に文句がある訳じゃないですよ」
本当ですよー! とカメラに慌てて手をパタつかせる青年の姿に、少女はクスリと笑う。
「‥‥でも、アイスリンクは重要な交易路でもありますから‥‥ッ! 敵機確認! もう来た!」
捉えた熱源は3つ。内2つが更に前進する。直ちにイスカリオテの足に脛の装甲が被さり、砲撃モードに展開すると共に、運搬ポケットを降下させた。陽光に反射する氷湖は直ぐ先だが、敵機との距離は遠い。
「ホーミングの限界‥‥。皆、頑張って!」
視線をモニターに向けると、ブラッドダンサーが各々の足で展開する所だ。
「それじゃ、僕はスノーボードで援護しますか。あんまり出過ぎちゃ危ないですよー」
無反動砲を肩に、赤いバンダナを棚引かせて青年が後方へ滑走してゆく中、ラグナとナシアスはスケート靴でアイスリンクへ侵入。ロキとスティンガーが彼らを捉える。
「隊長、私は赤いスケート靴を抑えます!」
シリアの瞳が愉悦にも似た色を湛え、口元が不敵に笑む。一気に加速すると、ナシアス目掛けて銃声を響かせた。氷粒を舞い上げながら滑走する青年が微笑みながら通信機に割り込み軽口を叩く。
「おやおや、この前のプレゼントはお気に召しませんでした? ‥‥うわっとッ」
慌てて洗礼を逃れるべくブースト機構を駆動させる。残像を描いて掻き消えた氷上に銃弾が集束し、シリアは慌てて銃口をあげた。
「器用な事を‥‥。ねぇ、スリーサイズを聞いてたわよね‥‥私を捕まえて引き摺り出せたら、教えてあげるわ。何なら触ってもいいわよ?」
「魅力的な挑発ですね。約束は守って貰いますよ!」
急加速や急制動で回避に転ずるSGを、ブースト機構を駆使して追う青年が拳銃を構える。シリアとて容易に洗礼を浴びたりしない。
「前みたいに、いいように攻撃できると思わないでっ!」
叩き込まれる銃弾を僅差で躱すものの、洗礼を浴びた氷湖が砕氷を飛び散らし、ナシアスに鮮血が舞う。
「クッ! 自然が敵に回りますか‥‥ッ。なら男と女の駆け引きしかありませんね」
「ふふ♪ どうしたの? 逃げてちゃ触らせないわよ☆ !? ‥‥エネルギー切れ?」
ナシアスは攻撃する振りをしつつ、回避を優先させたのだ。警戒し過ぎたシリアは無駄に出力を消耗し、撤退を余儀なくされる。
『今日のデートはここまでよ☆ 私が倒すまで持ち堪えるのね』
スティンガーは一気に加速し、戦線を離脱する中、ネージュを確認。
「はいはーい♪ 二番手クロセル、いっきまーす♪」
派手に飛沫をあげて出撃するクロセル機を見つめ、ラファエロはスープ作りに勤しむ。ふと、視線を流せば氷湖ではロキが対人戦中だ。
「FireWalk with me‥‥ラグナ行きます!」
祈る様に呟き、少年はブーストで疾駆しながら二挺拳銃を構える。氷上で派手なアクロバットを駆使する様は正にダンサー。オスカーが感嘆の声を洩らす。
「ほう、やるねぇ‥‥ん?」
『あなたに聞きたい事がある。3年前の事件‥‥何があったんですか?』
「戦闘中に回線に割り込んで訊く事かね? 少年」
『誤魔化しはもう沢山だッ! 俺は‥‥俺は‥‥ッ』
「何の話かな。戦闘に集中しないなら‥‥うッ! 伏兵か?」
コクピットを強襲する揺れに、オスカーが視界を泳がす。捉えたのは無反動砲の硝煙を燻らすアキラだ。
「んー、我ながら援護射撃の手本のような手際。直撃しないのは多分パイロットが女性じゃないからですねー。おっと、もう1機ですかー」
青年の瞳がネージュを捕捉。機体は複雑な蛇行旋回を繰り返しつつ、グレネードの榴弾をバラ撒き捲くる。負傷したナシアスが躱すものの氷湖の所々に風穴が空く。
「それそれー♪ 逃げろや逃げろー♪」
歓喜を十分に顕して鉄槌を叩き込むクロセルだが、調子に乗る余り、アキラとサラの存在を忘れていた。無反動砲の洗礼が機体に黒煙を噴かせ、イスカリオテの腕部銃口が火を吹く。
「あたしが落とされたのー? ‥にしても面白いなー、あの人達☆」
無邪気過ぎる機体はホバー機構を大破し、氷上に落下した。軽量化されたSGとはいえ、一気に氷湖に亀裂が疾る。焦りの色を浮かべた、ラグナ、ナシアス、クロセル、オスカー、サラが戦慄く。直ちにブーストを駆動させ、氷上から離脱してゆく中、ネージュが沈み出す。
「うそッ!? えーい、こーなったらっ!」
ハッチが開くと共にシートごと射出されるメルヘンなパイロットスーツの少女が捉えられた。刹那、ネージュは爆炎に染まり、氷湖を一気に砕き溶かす。
「機体が幾らすると思っているんだか‥‥ショータイムの必要も無かったか。リバイスの侵攻は凌いだものの、貿易路破壊‥‥。痛いな、撤収する」
ロキが滑走する姿を捉え、ラファエルが瞳を潤ませ微笑む。
帰って来たら「おかえりなさい★」と言ってスープを振る舞おう。基地じゃないけど――――。