ワルキューレクリエイトアジア・オセアニア
| 種類 | ショート |
|---|---|
| 担当 | 切磋巧実 |
| 芸能 | 3Lv以上 |
| 獣人 | 3Lv以上 |
| 難度 | やや難 |
| 報酬 | 9.9万円 |
| 参加人数 | 8人 |
| サポート | 0人 |
| 期間 | 03/13〜03/17 |
●本文
●ＴＶＣＭ――ワルキューレリーグ。
これは立ち技のみの女子格闘技である。
これまで多くの戦乙女を誕生させた番組が、リーグ戦たる新たな局面を迎えた。
さぁ、最強を決める戦いは始まった！ ワルキューレ達よ、戦に身を焦がすがいい！
只今、ワルキューレリーグでは舞台や乙女達を飾るクリエイター募集中！！
――ワルキューレクリエイト。
これは、ワルキューレリーグの舞台や乙女達を飾るクリエイターを描いた記録である。
ワルキューレクリエイトとは、『コスチュームデザイナー』『入場音楽担当』『番組演出』『舞台装飾』等の言わば裏方を示す総称だ。
ＴＶ放映の場合、視覚的に彩る事も重要であろう。これは前回のライブビデオで殆ど舞台的な部分など演出されていなかった事からも分かって頂けるかと思う。
クリエイター達は如何にしてワルキューレ達や舞台を染め上げるのか！？
ワルキューレクリエイト。
是非御覧下さい――――。
●３月３日に企画されていた
ワルキューレリーグＲ２の企画の話である。急遽スタッフは募集を開始しようとしたが、ＷＥＡの情報を検索した結果、既に選手でスケジュールが入っている者が数名いた為に変更。桜や卒業等をテーマに出来るかもしれない。
今回、ワルキューレクリエイトは実験的に試合番組前か後のいずれかに放送される。
つまり、ワルキューレリーグＲ２試合番組の前か後で映し方を変える必要があるかもしれないのだ。その点を踏まえて、映像を撮って欲しい。
●募集区分
・コスチュームデザイナー（１〜）
選手のコスチュームを製作する方です（担当選手名明記（複数ＯＫ））。
アピールポイント明記。
尚、試合前放映であっても、誰の衣装かは語れませんので注意して下さい。
突起物（柔らかいものはＯＫ）や鉄製のものは止めましょう。
選手と打ち合わせて要望に添いながら個性を演出して下さい。
・入場音楽担当（１〜）
ワルキューレリーグオープニング音楽やエンディング音楽、選手の入場シーンの音楽を担当する方です。但し、既に出している音楽は却下です。
アピールポイント明記（選手の何をイメージして作った曲か、どんなリズムでどんな雰囲気の曲か等）。
・番組演出（１〜）
ＴＶ演出や選手入場からリングにあがるまでの花道の演出を担当します。言うなれば、ワルキューレリーグがどんな雰囲気の格闘番組かを決定する重要な部分です。タイトルの雰囲気や視聴者に魅せる部分を構成して下さい（イメージは月ごとに開催されるＫの番組参照）。
また、スポットライトの当て方などを分担するのも良いでしょう。
・舞台装飾（１人〜）
大道具・小道具に相当します。演出と相談してどんな雰囲気の舞台を作るのか決めた上で作成に入ります。
○ノーリンク募集区分
・声優（１人〜）
ワルキューレクリエイトはナレーションで展開される予定です。どの区分のどんな部分にスポットを当てるのか、構成も考えて頂きます。
今回の手法で最も変化が必要な部分かもしれません。試合前の放送なら、クリエイト後に視聴者のテンションを上げるように構成する必要があれば、試合後の放送では、余韻を楽しませるような構成となるでしょう。
台詞歓迎☆ ナレーション時の口調など重要です。
声優には荷が重い場合を考慮して、クリエイト番組構成も募集します。相談して打ち合わせて下さい。
・クリエイト番組構成演出（１人〜）
上記したように声優の方が構成演出まで出来ない場合、担当して頂きます。相談して打ち合わせて下さい。
・リポーター（１人〜）
クリエイター達のリポート担当です。こんな事を質問するので宜しく――と、クリエイター達と打ち合わせしておきましょう。
・番組音楽（１人〜）
クリエイター達の静かなる戦いを彩るＢＧＭ担当です。オリジナルの音楽を作成して下さい。
○その他
・ワルキューレクリエイトを盛り上げられる事があれば、手伝ってあげて下さい。
●リプレイ本文
●Ｃｕｅ ＩＮ花びらを舞い散らせる如き涼やかな風をイメージしたバラードが横笛で奏でられてゆく。
タイトルは『静かなる合図』。穏やかな風を連想させるオープニング曲は門屋・嬢（fa1443）に依るものだ。
旋律に合わせ、ナレーションを務める梁井・繁（fa0658）の安定した声が重なる。シゲさん曰く、今回は教育番組っぽい雰囲気で進行するらしい。
『さぁ、いよいよ始まったワルキューレリーグ！ その舞台裏を今回は紹介していこう！ 勿論、こういった舞台を設営するには、沢山のスタッフの協力が無くては成り立たない‥‥では、その一場面を紹介していこう』
――流れるＢＧＭが琴オンリーのスローテンポな和風な旋律に切り換わる。
タイトルは『篝火』。戦乙女を照らし出す緩やかに燃える薪の炎をイメージした照明を照らし出す場面を想定した曲だ。
『工具の音が鳴りやまない‥‥そう、ここは舞台設営のまっただ中。棗ちゃん？ 気をつけてね？』
会場を映す中、カメラが真っ赤なチャイナ風ブラウスの柊棗（fa4808）を捉える。優麗に波打つ銀髪に清純そうな風貌で、一寸垂れた円らな青い瞳が控えめな雰囲気を漂わす。裏腹にブラウスの胸元は大きく盛り上がって魅惑的だ。偶然ＴＶを点けた視聴者も愛らしい少女に瞳を奪われた事だろう。
「こういう格闘系のリポーターというのは一度やってみたかったんですよね〜☆ え？ 今回は裏方‥‥そうですか‥。で、でも、今回は一生懸命お仕事頑張ります！」
満面の笑みを浮かべたかと思うと、しょんぼりと顔色を曇らせ、再び両手を胸元で固めガッツポーズ！ たわわな膨らみを弾ませると共に意気込みを瞳を宿し、早々に百面相を披露した。
ここはカットする部分では？ と焦る繁ではない。
『おやおや？ 棗ちゃん、選手へのリポートならそっちに志願しなきゃ（笑）』
ゆっくりと近づいて行く棗の後ろ姿をカメラが追う。ややローアングルなのは彼女の魅力を映す演出らしい。何度かコケそうになりながら、指示を下す細身の青年を捉えた。スーツ姿に理知的な眼鏡が近寄り難い雰囲気を醸し出す故か、少女はそろりそろりと傍に寄る。
人の気配に巻 長治（fa2021）が眼鏡の奥で茶の瞳を和らげ口を開く。
「ようこそ、リポーターの方ですね。番組の構成や演出を担当しています」
「宜しくお願いします！ 今回のテーマをお聞かせ頂けますか？」
「テーマは春の花です。そうですね、メインテーマは『華』とし、『梅』から『桃』へ、そして『桜』と、徐々に演出を変えていく感じにします。『戦い』のイメージにつなげやすい『桜』で行く予定だったのですが、暖冬とはいえ、さすがにまだ少し早いですからね。いずれのパートも、あくまで格闘技の番組であることを意識して、あまり軽く、もしくは柔らかくなり過ぎないように気をつけます。花道などを担当する藤田さんとは特に綿密に連携をとり、統一感のあるものになるよう務めていますよ。あー、ほら、あそこで花道に絵を描いている方です。リポートしてはいかがですか？」
さすが脚本家であり演出を担うだけはある。エールを送り、棗は早速向かった――――。
――旋律は少しテンポの速い和風ロックへ変わり、画面の端に『いざ花道へ』と曲のタイトルが映る。
三味線、琴、篳篥などの和楽器、雅楽楽器を用いて奏でられるロック風のメロディは、『梅』をイメージして作曲されたものだ。
花道で小太りな身体を丸めるツナギ姿の人影を捉え、少女がカメラに振り向く。
「花道に絵を描いてます☆ 邪魔にならないよう近付きます！」
『花道の仕掛けも選手個人で演出が違うので、その辺も調整が大変とのこと。おっと棗ちゃん慎重にね？』
カメラが映し出すのは藤田 武（fa3161）。一連の試合や番組を観ている視聴者には馴染みの顔だ。子犬のような瞳がリポーターに気付く。
「春と言うことで花をメインにした演出にするよ。梅、桃、桜なんか描きたいね」
「わぁ〜☆ 綺麗ですねー♪ 何か気をつけている事はありますか？」
「春を感じさせ、それでいて今から戦いが行われるにふさわしいようにナヨナヨしないよう気をつけたいね。選手たちは闘う者である以前に女性だからね。優美さを感じさせることで、女性らしさを引き出して、より戦いを盛り上げたいな」
エールを送り、コケないよう恐る恐る花道を離れる少女。当然転んだりしたらＮＧだ。尤も、映っていないだけで、実はコケたかもしれないが、さて。
続いて通路を歩き、辿り着いた部屋の前で振り向く。
「衣装製作現場に入ります！ どんな感じのコスチュームを作っているのでしょう☆」
――旋律は『桃』をイメージした明るめのポップス調の曲へ変わる。
タイトルは『桃の舞い』。桃＝ワルキューレ達を彩る花というイメージで作曲したものだ。
『コスチューム‥‥選手達の「色」を飾る物。激しい動きをするので縫製の方はしっかりとやらねばならず、生地の方も丈夫なので、かなり難しいとのこと。また、個人個人デザインが違うので、かなり大変なんだそうだ』
カメラが館林 隼人（fa1816）を捉える。青年がリポーターに気付くと携帯の着メロが流れ出し、ペンを手に忙しそうに打ち合わせに入った。棗はカメラに顔を寄せ、ヒソヒソと小声で伝える。
「忙しそうです。どうしましょう？ コスチュームだけ撮っていきますか？」
「リポーターだな？ 番組の事は承知している。少しなら構わないぞ」
思わずビクンと肩を跳ね上げる少女。覚悟を決めて満面の笑顔で振り返り、マイクを向ける。
「あ、すみませ〜ん☆ 苦労した点とかお聞かせ頂けますか〜？」
「そうだな。何が大変って先ずは選手との打ち合わせだ」
隼人を映すと共に、小さな画面が割って入り、今回の試合ＶＴＲを映し出す中、苦労話は続く。
「ある程度の要望は掴めるがコッチも発注屋じゃないからな。プラスαを如何に選手のイメージを崩さずに取り入れるかが難しい。余計な事をして士気を損なわせてはならないだろ？ 後は素材だな。例えば黒騎士をイメージした衣装と言われても、甲冑なのか黒いエナメルでそれっぽいものを作るか、とかな‥‥おっと、スマンが電話が入ったッ」
慌ててマイクから離れて背中を向ける隼人。カメラは少女を捉える。
「なるほど〜、確かにオリジナルなら伝えるのが難しいですよね。私の衣装も頼んでみようかな？ と、それでは最後に入場曲の現場に行って見ましょう☆」
『さて、こちらは‥‥入場行進曲の作成しているところだね？』
「はい☆ 到着しました！ 邪魔にならなきゃいいのですけど〜」
ドアをノックする不安げな棗。流れて来たのは少女のような声だ。
『どうぞ☆』
一瞬安堵の色を見せるが、再び顔を引き締め、カメラマンを背にドアを開ける。映し出されたのは瑞雲 カスミ（fa5440）。革ジャンを羽織っており、ベースギターを肩から下げたベルトに胸元が締め付けられ、膨らみが強調される様は魅惑的だ。円らな青い瞳は愛らしく、裏方にしてはレベルが低くない。早速、棗が訊ねる。
「入場曲の方はいかがですか？」
「今回のテーマは春でしょ？ 和楽器を用いるという事で三味線を一応用意したけどねえ、三味線だけでは事足りなさそうだから、ベースと分けるつもりよ。雅楽使用前提の注文も入って来てるから、あれば借りた上で荘厳なイメージの曲も作りたいわ」
衣装と同様に小さな画面のＶＴＲが割り込み、入場曲と共に褐色の選手が花道を歩いてゆく。
『選手によっては荘厳な物だったり派手な物だったり‥‥大変ですなあ』
エールを送ると場面は一転。通路の一郭のようだ。
「はい☆ これでレポートは終わりましたが、ここでゲストで〜す♪」
カメラの視界に収まるは、ボーイッシュな風貌の少女だ。一見少年に見紛う程に短い黒髪が似合っているが、胸元は豊かに盛り上がり、腹部を曝け出した衣装がセクシーで艶やかに彩る。
「番組の音楽を担当させて頂いた門屋です。ゲストって程じゃないんだよね」
ポリポリと髪を掻き、赤い瞳を困惑気味に和らげる姿が気さくそうだ。
「今も流れていると思いますが、いかがでしたか？」
「久々の作曲活動だから、力入れすぎたかな？ 番組に華を添えられればいいんだけどね」
『おやおや自信なさ気ですねえ。大丈夫、しっかりと華を添えてますよ』
「それでは、製作現場から失礼しま〜す☆」
ブンブンと手を振る笑顔の棗と対照的に嬢が控えめに手を振りはにかむ中、三味線、横笛、鼓の音色で『桜』をイメージしたハイテンポロックが刻まれてゆく。タイトルは『桜花六句』。六句はロックをかけたものだ。
戦乙女の激しく華麗な戦いを思い起こさせる旋律の中、エンドロールが流れ、繁の声が締め括る。
『様々な協力者の力によってできるワルキューレリーグ！ 次回はいったいどのような舞台を演じてくれるのか！ こうご期待！』
「こんな感じでどうだね？」
アフレコを終えると、銀髪をオールバックに流した壮年の男はガラス越しのスタッフに顔を向ける。
ＯＫのサインを眼鏡に映し、繁は二カッと微笑みながら、細い顎に手を伸ばした――――。
