ワルキューレクリエイトアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 難しい
報酬 10.4万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/01〜05/05

●本文

●TVCM
 ――ワルキューレリーグ。
 これは立ち技のみの女子格闘技である。
 これまで多くの戦乙女を誕生させた番組が、リーグ戦たる新たな局面を迎えた。
 さぁ、最強を決める戦いは始まった! ワルキューレ達よ、戦に身を焦がすがいい!
 只今、ワルキューレリーグでは舞台や乙女達を飾るクリエイター募集中!!

 ――ワルキューレクリエイト。
 これは、ワルキューレリーグの舞台や乙女達を飾るクリエイターを描いた記録である。
 ワルキューレクリエイトとは、『コスチュームデザイナー』『入場音楽担当』『番組演出』『舞台装飾』等の言わば裏方を示す総称だ。
 TV放映の場合、視覚的に彩る事も重要である。
 クリエイター達は如何にしてワルキューレ達や舞台を染め上げるのか!?
 ワルキューレクリエイト。
 是非御覧下さい――――。

●それはGWに開催される
 ワルキューレリーグR3もWEAの情報を検索した結果、既に選手でスケジュールが入っている者が数名いた為、今回もスケジュールが若干変更となった。
 今回のワルキューレクリエイトも大会前か後のいずれかに放送される。勿論撮影は大会前だ。
 つまり、前後で映し方が変わるのである。その点は前回の放送で違いは理解して頂けたと思う。
 さて、今回はGW。男の子の日でもあるが、子供の日を演出して見るのもいいかもしれない。
 ‥‥乙女の闘いではあるが――――。

●募集区分
・コスチュームデザイナー(1〜)
 選手のコスチュームを製作する方です(担当選手名明記(複数OK))。
 アピールポイント明記。
 尚、番組の展開上、試合前放映の場合、誰の衣装かは語れませんので注意して下さい。
 突起物(柔らかいものはOK)や鉄製のものは止めましょう。
 選手と打ち合わせて要望に添いながら個性を演出して下さい。

・入場音楽担当(1〜)
 選手の入場シーンの音楽を担当する方です。但し、既に出している音楽は却下です。
 アピールポイント明記(選手の何をイメージして作った曲か、どんなリズムの曲か等)。

・番組演出(1〜)
 TV演出や選手入場からリングにあがるまでの花道の演出を担当します。言うなれば、ワルキューレリーグがどんな雰囲気の格闘番組かを決定する重要な部分です。タイトルの雰囲気や視聴者に魅せる部分を構成して下さい(イメージは月ごとに開催されるKの番組参照)。
 また、スポットライトの当て方などを分担するのも良いでしょう。

・舞台装飾(1人〜)
 大道具・小道具に相当します。演出と相談してどんな雰囲気の舞台を作るのか決めた上で作成に入ります。

○ノーリンク募集区分
・声優(1人〜)
 ワルキューレクリエイトはナレーションで展開される予定です。どの区分のどんな部分にスポットを当てるのか、構成も考えて頂きます。台詞歓迎☆ ナレーション時の口調など重要です。

・リポーター(1人〜)
 クリエイター達のリポート担当です。こんな事を質問するので宜しく――と、クリエイター達と打ち合わせしておきましょう。

・番組音楽(1人〜)
 クリエイター達の静かなる戦いを彩るBGM担当です。オリジナルの音楽を作成して下さい。

○その他
・ワルキューレクリエイトを盛り上げられる事があれば、手伝ってあげて下さい。

●今回の参加者

 fa0126 かいる(31歳・♂・虎)
 fa0311 木場修(34歳・♂・虎)
 fa0658 梁井・繁(40歳・♂・狼)
 fa0669 志羽・武流(21歳・♂・鷹)
 fa1443 門屋・嬢(19歳・♀・狼)
 fa1774 味鋺味美(26歳・♀・蛇)
 fa3161 藤田 武(28歳・♂・アライグマ)
 fa4808 柊棗(17歳・♀・小鳥)

●リプレイ本文

●Cue IN
『さぁ、またまた始まったワルキューレリーグ! その舞台裏を今回は紹介していこう!』
 視聴者にはお馴染みである梁井・繁(fa0658)の安定した声が紡ぎ出されてゆく。
 今回もシゲさんは教育番組っぽいナレーションで進行させるらしい。
『こういった舞台を設営するには、数多くの専門のスタッフの協力が無くては良い物ができあがらない‥‥では、その制作場面を紹介していこう』
 通路を突き進む中、人影が捉えられた。波打つような銀髪に透き通るような白い肌、対照的に肢体を包む衣装は、鮮烈な赤いチャイナドレスの柊棗(fa4808)だ。初々しい少女らしい風貌に、不釣合いな程に魅惑的なボディラインが清純な中に危うい色香を放つ。
『今回もその裏側を紹介してくれるのはチャイナドレス姿が麗しい柊棗ちゃんだ。棗ちゃん、こんにちは〜☆』
「はい、こんにちわ☆ 今回もわたくしがリポーターを務めさせて頂きます。では、行ってみましょう」
『おや? 左手に持っている箱は何かな?』
「あ、皆さんに差し入れとしてドーナツを用意して来たんです♪ 力仕事や頭を使っての作業は甘い物が欲しくなるときがありますからね☆ もちろん買ってきたものです。手作りも考えましたが、万が一おなかを壊したりすると困りますので‥‥」
 軽く箱を持ち上げて説明した後、苦笑して見せる棗。改めて通路を歩いてゆく後ろ姿をカメラが追う。当然ややローアングルだ。次第に工具類の奏でる騒音が聞こえ出し、設営現場が近い事が分かる。
『ここは舞台設営のまっただ中。棗ちゃん? 足下に気をつけてね?』
「あ、作業現場が見えて来ました☆ 邪魔にならないように‥ぃやん☆」
 ちょっとワザとらしく躓いて見せたが、生憎彼女は演技の才能に恵まれていない。声は愛らしいが失笑ものだ――――が。
「と、とと‥‥えっ? え? ひゃあぁんっ☆」
 それはもう罰が当たったのかと思うほど前のめりで派手に転倒したのである。当然ローアングルカメラにはチラリと愛らしいヒップラインが映ったらしいが、カットされていない。彼女が飲み物でも口に含みながら放送を観ていたら、大変な事になっている事だろう。
「ちょっと大丈夫?」
 腰を浮かせたような恰好で倒れた棗を見掛け、ツナギ姿の女性が駆け込んで来た。黒縁眼鏡がやたら分厚いらしく、味鋺味美(fa1774)の瞳は映っていない。
「TV局の方よね? 怪我とかしてない?」
「あ、はい‥‥すみません、お仕事の邪魔をしてしまって‥‥気をつけていたのですが‥‥」
「邪魔にはなってないわよ。まだ入り口でしょ? 花道で転ばれたら絵描きさんが泣くかもしれないけどね」
『おーい! マイクの配線やら照明の配線を頼むぞー! 人数が足りないんだ、リング設置に回ってくれ』
 奥から聞こえて来た男の声に、味美が大声で返す。棗も折角なので彼女の背中を追う事にした。
 映し出されたのは筋骨逞しい青年だ。大胸筋はツナギをハチ切らんばかりに盛り上がっている。かいる(fa0126)は場違いな少女をポカンと見下ろした。ちょっとタジロいでしまう棗だが、自己紹介を済ますと納得したようだ。早速インタビューを始める。
「今回苦労なされたところはありますか?」
「力仕事以外だな。‥‥や、ほら、俺、腕太くてそこの柵とか手が通らないから」
 豪腕をズィと突き出して見せるかいる。棗を片手で一つまみ出来そうな迫力だ。
「えっと、見所は何処でしょうか?」
「そうだなぁ、演出担当が忙しくなったらしくて今回いないんだ。電流とか爆発とか有刺鉄線とかコッソリ仕込もうかと思ったが、一切いらないって釘刺されちゃ仕方ないよな。コーナーポストをパステル系とかリボンとか巻く位はいいかなと考えたが‥‥ショー要素は華のない俺等ムサ男の特権ってやつだな‥‥」
 かいるは太い腕を顎に当てながら”ふふり”と笑みを浮かべた。ビクッと豊かな膨らみと肩を跳ね上げ一歩退いてしまった棗は、思い出したように白い箱を差し出す。野獣には餌だ!
 その後、変なスイッチが入ったらしく、リングの色があのようになったらしい‥‥。
 エールを送りながら少女は花道へ向かった。カメラが捉えるは、照明を弄る味美と、ベストを纏い、花道に躯を丸める小太りな青年だ。前回も伺った藤田 武(fa3161)である。早速少女は挨拶を済まして訊ねた。
「今回は子供の日ということで、鯉のぼりを花道に取り入れたいと思うよ。選手を主役としつつも、戦いの予兆を感じさせる雰囲気作りの為に、選手が入場した上での調和を重視した絵を描きたいね。衣装や入場曲に合わせて臨機応変にアレンジを加えて、変に花道が浮くことがないようにするよ。全体で一つの舞台なんだから、花道だけがよければいいって物でもないしね」
『花道の仕掛けなども、選手個人個人演出が違うので、その辺も調整が大変とのこと』
 武はその他にも積極的に動いており、適時休憩を提案して無理をしないよう呼びかけていた。全体のチームワークと総合しての成功を願う姿勢は、生粋のクリエイター魂といえよう。
 次いで傍で調整に余念が無い味美へ同様にマイクを向けた。
「選手サイドからあまり要望がないので取り敢えずは、基本的な特殊効果は作っておいたわ。ドライアイスのスモーク効果とか、煌びやかな電飾とかね☆ 今回苦労したところは、初めての現場なので、若干とまどったことかな? 後は、舞台が大きいから、その調整とかが難しかったところかしらね? 見せ場の方は、やはり電飾かしらね〜☆ 今はコンピューターで制御ができるけどそのプログラミングも大変なのよ〜☆」
 流石に専門用語が並べられると、清純派アイドルとしては人差し指を口に当て、はにかむしかない。試合番組を自宅で観れば、何となく分かった事だろう。
 棗は二人にエールを送ると、次の舞台へ向かった。
『コスチューム‥‥選手達の「色」を飾る物。激しい動きをするので縫製の方は生地がそれなりに丈夫な為、縫製がかなり難しいとのこと。また、個々にデザインが違う為、かなり大変なんだそうだ』
 カメラが捉えたのは志羽・武流(fa0669)。眼鏡が知的に窺える青年脚本家兼俳優だ。相変わらず現場は打ち合わせの電話対応で火の車である。若干落ち着いた所で差し入れと共にインタビューを試みた。
「ドーナツですか、頂きます。苦労した点ですか? 御覧の通りですよ。俺は仕事柄衣装に関しては『これ』が頼りです」
 少女に見せたのは並べられた本の一冊だ。活字中毒だけあり、文字でびっしり埋め尽くされた解説書に棗が苦笑い。頭の上に大きな汗マークでも浮かんでいそうな表情だ。
「見所は衣装演出でしょうか。選手の要望と合わせて見栄えを考慮しました。例えば、菖蒲柄の羽織は、脱ぐ時に見栄えが良いように大きめに注文してあるんです」
 小さな画面が割って入り、褐色の少女が勢い良く羽織を脱ぎ捨てるシーンが映った。続いて熊をイメージしてコーディネートした衣装や、小柄な少女が花道を歩くシーンが続く。
「ツキノワグマは動物図鑑で特徴を調べましたし、それぞれ選手の衣装もカラーリングバランスやアクセントに配慮したつもりです。脚線美を強調したりね。あとは、緋鯉イメージのガウンや、アラビアン女騎士など、細かな部分を見て頂けたら嬉しいです‥‥おっと電話だ、この辺で失礼しますよ」
 再び忙しくなったようなので、小声でエールを送り、現場を離れた。
『さて、こちらは‥‥入場行進曲の作成しているところだね?』
「はい☆ このドアの奥で入場曲が描かれています♪ ここに入るのは緊張します‥‥」
 胸元で拳を握り、不安げな挙動でドアをノックする。聞こえて来たのは女性の声。以前にも聞いた声に少女の表情が和らぐ。カメラに映し出されたのは、革ジャンを羽織り、露出の多い衣装から豊かな起伏を覗かせる、ボーイッシュな魅力を漂わせた門屋・嬢(fa1443)だ。前回は番組BGMを担当していたが、今回は入場曲に回ったらしい。少年のような短髪に相変わらずラフな恰好の嬢に、クスリと微笑む棗。
「前回同様セクシーですね〜」
「あ、あぁ、そうか? あんたに言われると複雑だけどね」
 嬢はポリポリと黒髪を掻く。対照的な衣装ではあるが、肉感的な肢体をチャイナドレスで包んだ少女に言われても微妙だろう。
「苦労した点は各々のイメージを壊さないようにしたことだな。でも、色々想像して曲を作るのは楽しかったよ」
 ベースギターを掻き鳴らして『誰にも負けない!』の旋律を奏でてみせた。見所も衣装と選手のイメージにシンクロさせた音作りとなるだろう。
『選手によっては趣味があるから、制作サイドも大変ですなあ』
「ありがとうございました☆ 試合でどのように奏でられるか、楽しみにしています♪」
 これまで同様エールを送る棗に応える嬢を捉えながら、エンドロールが流れる中、クリエイター達の映像が次々と重なってゆく。
『様々な協力者の力によってできるワルキューレリーグ! 次回はいったいどのような世界ができあがるのか! こうご期待!』

「会話をするような演技をしてもらうよう棗ちゃんとあらかじめ打ち合わせたが、こんな感じでどうだね?」
 アフレコを終えると、銀髪をオールバックに流した壮年の男は細い顎に手を伸ばした。
 眼鏡にガラス越しのスタッフがOKサインを示す姿を映し、繁は二カッと微笑んだ――――。