ヴァルキリーインパクトアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 切磋巧実
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/18〜01/22

●本文

●TVCM
 ――今、世界には様々な格闘技が溢れ、TVで放送されている。
 男達は鍛えた拳や技を酷使し、最強という称号を得る為に闘い合う。
 だが、戦う戦士は男ばかりではないのだ。今や女がリングに上がり様々な格闘技に身を投じている。
 そう、時代は戦乙女を必要とし、現代に甦らせたのだ!!
 ヴァルキリーインパクト。これは2ラウンド制による立ち技のみの格闘技である。
 白魚の手をグローブという武具で固め、魅惑的なボディを様々なコスチュームが彩りを与え、艶やかな長髪が揺れ、しなやかな白い足が薙ぎ振るわれ、スカートが舞う!
 彼女達が2006に再び降臨! 今度のヴァルキリーは果たして!!
 近日、TVスポットが当らなかった戦乙女達の肢体が公開される!!
 只今、ヴァルキリーインパクトでは出場者募集中!!

「新春の番組スかッ!?」
「前回は素人の娘たちがマジで闘ってくれて悪くない出来だったぞ」
「レギュラー番組への道は遠いけど、特番の枠が確保できたわ。2006年に再降臨よ☆」
「しかし、新春とは言え、多少ズレますがね。仕方がありません」
 どうやら去年放送された『ヴァルキリーインパクト』は悪くない視聴率を弾き出したらしい。
「だが、TV局から条件を出された。募集する対象でプロの格闘家はお断りだ」
「選手は構わないのよ、女性だし。実況や解説が問題なの」
「つまり、選手となる逸材を試合に出さず、実況や解説に回されるのは控えて欲しいとの事です」
 プロレスラーは試合をしてこその存在だ。いざ試合が近い時期に打ち合わせでスケジュールが取れない、または試合に出場できない選手を危惧しても条件らしい。
「選手に制限が掛かった訳じゃない。実況も解説も全て女にすりゃ良いじゃないか。番組は見栄えだよ。コッチは格闘技なんて興味無いって人々を中心に見せれば良い」
 こうして2006年、ヴァルキリーインパクトは再び動き出したのである――――。


●試合形式
 グローブを嵌めての1R2分2ラウンド制。
 2ノックダウンシステム。
投げ、関節技は無し。膝蹴りOK。手足以外での攻撃、及び背後からの攻撃は反則。
 勝負はKO・TKO・判定で決定。
 エンターテイメント性を高くしており、衣装は組み技が無い為自由(但し金属物が付いたものは禁止)。

●募集区分
・ヴァルキリー(若い女性であれば格闘技未経験者でも参加OK)
 試合を行う選手です。コスチュームは自由。
 格闘スタイル・得意技(コンビネーション等)・自己PR・どのように試合を組み立てるのか明記。

・コスチュームデザイナー
 選手のコスチュームを製作する方です。アピールポイント明記。
 選手紹介時に記録映像としてデザイナー紹介が流されます。
 注意点:突起物や鉄製のものは止めましょう。

・入場音楽作曲家
 選手の入場シーンの音楽を担当する方です。但し、既に出している音楽は却下です。
 アピールポイント明記(選手の何をイメージして作った曲か、どんなリズムの曲か等)。

・実況
 状況を視聴者に伝える方です。選手のキャッチコピー等明記。
 殆ど実況で状況が伝えられます。自分の個性を出せるよう台詞を決めておくのも一興です。

・控え室リポーター
 選手の控え室をリポートする人です。普通は遠くから様子を窺うのみですが、勇気があれば突撃して見ましょう(笑)。後は選手との駆け引きです。

・番組演出
 TV演出や選手入場からリングにあがるまでの花道の演出を担当します。言うなれば、ヴァルキリーインパクトがどんな雰囲気の格闘番組かを決定する重要な部分です。タイトルの雰囲気や視聴者に魅せる部分を構成して下さい(イメージは月ごとに開催されるKの番組参照)。

・解説者
 格闘技を生業としている女性で、試合の状況に解説を入れる方です。
 ヴァルキリーインパクトは素人も参加可能な格闘技ですので、無名でなければ担当できます。

・セコンド
 選手につくセコンドです。出番は少ないですが、セコンドがいると1R目の闘いによりアドバイスを受けて有利に展開できるかもしれません。

・ラウンドガール
 2R戦ですので1R終了時に登場します。コスチュームは自由。アピールポイント明記。当然ながら台詞はありません。笑顔で目立ちましょう(笑)。

●今回の参加者

 fa0406 トール・エル(13歳・♂・リス)
 fa1385 リネット・ハウンド(25歳・♀・狼)
 fa1449 尾鷲由香(23歳・♀・鷹)
 fa1679 葉月竜緒(20歳・♀・竜)
 fa2196 リーゼロッテ・ルーヴェ(16歳・♀・猫)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa2361 中松百合子(33歳・♀・アライグマ)
 fa2584 遠坂 唯澄(18歳・♀・竜)

●リプレイ本文

●戦乙女再来
 四角いリングを頭上のカメラから捉え、ゆっくりと会場全体を映す中、実況を務めるリネット・ハウンド(fa1385)の声が響く。
『間も無くヴァルキリー達の戦いが行われようとしています』
 画面が切り換わり、黒い長髪の凛とした風貌の女性が映し出された。
「ヴァルキリーインパクト2006。実況をお送りするリネット・ハウンドです。それでは控え室の状況を見て頂きましょう」
 実況から振られると共に『ロッテの☆突撃レポート♪』と書かれた看板が映り、赤い瞳の銀髪少女、リーゼロッテ・ルーヴェ(fa2196)が口を開く。
「前回この番組を観た方はお久し振り☆ 今回始めて観る方は初めまして♪ 前回に引き続き、レポーターのリーゼロッテ・ルーヴェが試合前の選手に突撃レポートを敢行します」
 早速駆け出した細い背中をカメラが追い、トール・エル(fa0406)を映し出す。刹那、金髪ツインテールの少女はカメラに青い瞳を流し、お嬢様風な高笑いを響かせた。
「わたくしの優雅さをとことん見せてさしあげますわ! おっほっほ!」
 困惑の笑みを浮かべつつ、ロッテはエールを送ると再び走り出す。忙しい役回りだ。
「今、対戦相手の控え室に向かっています。早速意気込みを訊いてみます!」
 ブリッツ・アスカ(fa2321)が拳を滾らせてインタビューに答える。
「『稲妻』の名前はダテじゃないって納得してもらえる戦いをします!」

●第一試合:トール・エルvsブリッツ・アスカ
 二人の戦乙女を映した画面が左右に割れると共に実況席が映り出す。隣の席に今回の衣装とメイクを手掛けたスタイリストの中松百合子(fa2361)を捉え、リネットの紹介後、口を開く。
「美しく戦うヴァルキリーをより美しく華やかに彩ったわ。美しきヴァルキリーの戦いを脳裏に焼き付けてね!」
『(只今より、ヴァルキリーインパクト第一試合を行います! 選手、入場!!)』
 歓声が響き渡る中、優雅さを感じさせる旋律に奔放さを表す伸び伸びとした音色を挟んだ曲が奏でられてゆく。画面下半分が割れ、今回の音楽と演出を務めた、遠坂 唯澄(fa2584)の名前と共に、黒いセミロングヘアの少女の写真が映された。そんな中、優雅に踊りながらトールが入場して来る。
「おっほっほ! わたくしの美しさをとくと味わうがよいですわ」
『高飛車な態度と、いわゆるお嬢様のような雰囲気を持っている異色の選手! 今回の選手の中で最も身長が低い為、ウェイトやリーチの関係で不利になりそうだが、小柄な体格と素早さをうまく利用すれば勝てるか! ダンサーという職業柄、足腰は強そう!』
『黒とシルバーで高飛車令嬢をイメージしたわ。黒地ハイネック、黒エナメルのコルセット。鋭角的なデザインの黒ボレロ上にグレーのレースをあしらい、ダークグレーのホットパンツにミニスカートね』
 続いて響き渡ったのは雷鳴だ。迸るフラッシュライトの中、アップテンポな激しい旋律が掻き鳴らされ、アスカが花道を歩いてゆく。
『アイドルでありながら格闘技の心得もあり、何度か試合をこなした事があるという経験が、今回の試合で大いに有利でしょう。キックを得意とする稲妻のような素早い動きが持ち味のようだ! アイドルということでルックスも武器か!』
『スカイブルーのセパレートで、ボトムスはホットパンツ。Vネックと胸の切り替えを使って彼女のイメージである稲妻をホワイトシルバーで走らせたわ』
 軽やかに短髪を揺らし、ロープを越える。リングに着地すると豊かな膨らみが揺れ、同時に響き渡るは落雷のような音響効果だ。
『(Round1 ready Fight!!)』
 ゴングが鳴り響き、試合は開始された。
『トール選手、ゴングと共にリングを動き回ります! いえ、これはダンスでしょうか? 優雅に舞っています! 対するアスカ選手は、空手の構えのまま、動きが素早いのか、攻める様子は見られません! このまま翻弄し、相手の足を狙って動きを鈍らせれば勝機は十分か!』
「あら、わたくしの美しさに見惚れてしまいましたの?」
 フフン♪ と微笑み、一気に間合いを詰めると、ミニスカートを翻して飛び蹴りを放った。だが、アスカは腕でガードして洗礼を防ぐ。衝撃の後、顔色が変わる。
 ――!? あんた‥‥。
『あぁッ、アスカ選手が動きました! 素早い1、2のパンチと左ミドルキックのコンビネーションにトール選手がバランスを崩します! そこに左右のローキック! 避けようとするが、ダメージを蓄積させてゆきます! 速いッ、まさに一瞬の稲妻の如く間合いに入り込み、細い足を執拗に狙う!』
 続く第2ラウンドもアスカの有利な状況で繰り広げられた。スピードが自慢のトールだったが、アスカが上回っていたのだ。白い足が次第に赤みを帯び、自然と庇ってしまう形となる。刹那、黒い瞳が眼光を放つ。
 ――そこだッ!!
 大きく腰を捻り、振り上げた足から薙ぎ放たれるは左ミドル‥‥否、アスカの足はグンと延び上がり、青い瞳のあどけない風貌を捉えた。全ては伝家の宝刀左ハイキックへの布石だったのだ。
『あぁッ、トール選手まともに食らった! 細い身体が折れるように崩れた!』
 その後、試合は続いたが、ダウンを取ったブリッツ・アスカが判定で勝利した。
「ひ、久しぶりに、本業をまっとうできましたわ☆」
 負けたものの、トールは満足気な笑みを浮かべていたという。

「はい☆ ロッテです。やはり経験の差という感じでしたね。では、次の試合を控える選手に突撃レポートを敢行します。意気込みをどうぞ☆」
 マイクを向けられたのは、2回目の出場となる葉月竜緒(fa1679)だ。グッと拳を握り締める。
「初勝利目指して突き進んだるで!」
 エールを送ると、ロッテの背中が走る。辿り着いた控え室に、尾鷲由香(fa1449)を捉えた。彼女はふてぶてしくマイクを奪い取ると、緑色の眼光鋭く画面を指差す。
「首を洗って待っていやがれ! 再起不能にしてやる!」

●第二試合:葉月竜緒vs尾鷲由香 
 第二試合のアナウンスが響き渡り、客席から歓声が沸き起こった。
 重苦しいテンポの旋律が流れ、スポットライトに俯いた少女が照らされる。次第に旋律は雄雄しいテンポへ移行し、肩までの束ね髪を揺らして顔をあげた緑色の瞳がリングを射抜く。
『前回のヴァルキリーインパクトの試合によれば、プロレスラー相手に一歩も引かず善戦した模様。今では対戦選手と良い友達だとか。今回も良い試合を展開してくれるのでしょうか! 不屈の精神をイメージした音楽に合わせ、葉月選手がリングへ向かいます! 勝利を願う強い意志は、十分な勝因になるでしょう』
『緑がかった光沢控えめの白地でフェミニンなワンピース。胸元は少し幅がある肩紐に小さくワントーンの暗い布地のフリルをあしらい、左肩から右腰へフリルを繋げ、腰にターコイズグリーンのリボンを巻いて、フリル加工のミニ巻きスカートで纏めたわ』
 続いて流れるは、悠然とした旋律だ。上部カメラが大空を舞う猛々しいイーグルを演出し、俯瞰から覇気と力強さを表現した視界が茶髪の娘に迫る。
『今回もっとも高い身長を持つ選手。体格もさることながら、スタントマンという体捌きの上手そうな職業も有利か! 相手に向かって一直線に突進するパワータイプのようで、うまく巻き込めれば強力。しかし力押しだけでは、動きを読まれやすく、油断すれば足元をすくわれる可能性も十分あるでしょう』
『黒がメイン地のセパレートのワンショルダーカット。右肩から左胸にかけては藍色でアクセントを与え、二の腕から手首近くまで黒レザー生地のアームウォーマー。エナメル光沢の黒のパンツスタイルね』
 ゴングと共に、由香がテコンドー独特のバネを利かせたフットワークで間合いを取ってゆく。対する竜緒は、軽快なフットワークで相手の周りを回る。
 ――先ずは軽い身のこなしで相手の攻撃を躱して‥‥ッ! なんやてッ!?
『尾鷲選手が先に仕掛けました! 速いッ、猛攻の廻し蹴りが連続で放たれてゆきます!』
 竜緒の戦術は一気に崩壊した。相手の素早さが上だったのだ。ガードも侭ならない彼女は強烈なインパクトにロープへ吹っ飛び、カウンターさえも覚悟した多彩な蹴り技のラッシュに肌が赤みを帯びてゆく。由香の闘気に満ちた瞳は戦慄を覚える程だ。叩き込まれる連撃に、腕は力を失い、足が戦慄き、遂にリングに崩れた。続く第2ラウンド――――。
『葉月選手ダウンッ! まだ立ち上がります。不屈の精神は逆転を生むのでしょうか?』
 ――あかん‥‥ローを蹴るにも追い着かへん‥‥なんてスピードや‥‥。
 ――ヴァルキリーか‥‥あたしの場合はバーサーカーかもしれないな‥‥。
『葉月選手、何とか反撃に出ます! しかし‥‥ダメージは少ない! 痛手を負って十分な攻撃を繰り出せません! あぁッ、またロープに押された!』
 勝敗は誰の目にも明らかだ。何とかKOを取られずに済んだものの、竜緒の初勝利は叶わなかった。
『再起不能とまではいきませんが、予告通りの圧勝を尾鷲選手が飾りました。しかし、不屈の精神を見せた葉月選手にも、観客達は敗者の浪漫を見たのでしょうか。拍手と声援が惜しみなく注がれます。それでは、次の試合の前にCMです』
 その後も様々な衣装を纏った戦乙女達が闘い、筋書きのないドラマを描いて番組は幕を閉じた――――。