アステカに眠る戦士南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
シーダ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/28〜06/02
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●本文
南米アステカの地‥‥
ジャングルと草原の広がる、この大地には神秘と遺跡が多く眠っている。
その殆んどが人の目に触れず、忘れ去られてしまっているものも多い‥‥
WEAの南米支部に召集された君たちの前にラフな格好の男が立っている。
「で、今回のキミたちの任務だが‥‥
アステカにおいてジャガーの戦士やコンドルの戦士と呼ばれる者たちがいたのは知っているかね?
アステカの戦士の勲章として、称され人々の尊敬を得たと言われているが。
生憎と記録は少ないが、獣人たちだったのだろうね。尤も人間たちは疑う者が殆んどだが」
男がパソコンを操作すると地図と現地の新聞の小さな一節が表示された。
「実は先だって遺跡らしきものが発見された。ジャガーの戦士の墓らしい。
崩れそうな気がすると言って、発見者は中へ入らなかったらしいな。
それでも男は自然物ではない5cmほどの石の棒を持ち帰っている」
更に操作されたパソコンに石の棒が映し出された。
その棒は奇妙な形をしており、幾つかの突起が見られ、穴が幾つか開いていて泥が詰まっているようだ。
これが何なのかは未だ不明である。
「俺なんかは墓の鍵なんじゃないかと思うが、何なのかは置いといて‥‥だ。
WEAは遺跡の探索権を政府から得ることに成功してね。
探索して、埋葬品とか遺物があれば持ち帰ってほしい。
‥‥で、ついでに資料として撮影を行うことになった。
WEAにとって重要な情報であれば、公開はしない。
大した遺跡でなければアステカ特集番組の素材ストックにでもなる予定だ。
どちらにしろ、資料映像になることは間違いないからな。探索にばかり気を取られないように」
男はメモリーとプリントアウトされたデータ、そして石の棒を机の上に置いた。
ぐるる‥‥
ジャガーは、深い闇の中、唸りを上げた。
●リプレイ本文
●遺跡
現地へ着いた一行は、各々準備に入った。
「始めに死、ありき‥‥か」
シェイドこと影刃(fa1705)は、アステカの文明や遺跡のレポートを読みながら呟く。
トラップのような危険なものはない傾向にある‥‥とはレポートにあるが、危険がないとは断定できない。油断は禁物である‥‥
「確かに、これは‥‥ 今にも崩壊しそウ」
入り口付近を草払いしつつ、ミカことミカエラ・バラン・瀬田(fa0203)は呟いた。
「さて、草払いからかな? これは」
ポーターバッグを置いたリンこと烏丸りん(fa0829)は、周辺を見渡す。
「ベースを作る方が先だよ♪」
ミカはバッグを解くと、テントを建て始めるのだった。
さて‥‥
改めて調べると、植物に覆われていたジャガーの頭の石像が発見され、入り口とみられる穴も、綺麗に草を払うと石門が姿を現し、奥への石の通路が続いているのがわかった。
「お休みの所すまないが、お邪魔するぜ、ご先祖様。怒らないでくれよ。俺たちは知りたいことが色々あるんだ」
石門のリンテルに刻まれた模様をカメラに収めながら、レヴことザ・レーヴェン(fa2681)は感慨に浸る。
「何が出るのかがとても興味深い反面、非常に怖いな‥‥ 特にNW(ナイトウォーカー)が出てきたら非常に厄介だしな」
一方、守山脩太郎(fa2552)は、改めて持参した剣を確認しながら、遺跡への入り口に目をやった。
「なにかオーパーツでも出てくるとやる気も違うんだが‥‥」
狼のマスクを着けた群青・青磁(fa2670)は、仲間のヘッドライトに小型カメラが付いていることを確認し、ランタンや携帯ライトを持った。今回のメンバーは軒並み撮影は得意ではない。だからこそ、いざとなれば、視界を捉え続けているであろう、この映像が役に立とうというものだ。
「予備の電池もOK」
リンは繋ぎのポケットの電池を確認して仲間を見やった。
●遺構
外気が十分に入ったのを確認して、一行は遺跡の中へと踏み込んだ。
「未踏の遺跡なのでしょうか‥‥ 床も壁も天井も石造りです。果たして地下に作られるべくして作られたのか、土砂に埋もれてしまっているのかはわかりませんが、我々の進む通路の石組みは所々崩れています。我々の進入には差し支えありませんが、長い年月の流れを感じます」
リンはカメラに向かって話す。
「動物の足跡かな‥‥」
コーニーは土埃の上の足跡を見つけて指差した。
探索隊の案内役として映像に映る2人は揃いの繋ぎにヘルメット、カメラ映りを良くするために少々メイクも施されている。
「よし、ここまではOKだ」
レヴがカメラで映像を残しながら、守山が紙にマッピングという方法で、徐々に歩を進めて行く。
「ここも違うか‥‥ 」
穴を携帯ライトで照らしつつ、レヴは石の棒を差し込めるところがないか探しているが、今のところは‥‥
さて‥‥
遺跡の中は石壁を隔てて地中と言うこともあって、シトッと涼しい。
「まさかとは思うが‥‥ この遺跡には『呪い』とかいうのはないだろうな?」
床から壁、天井と金属探知機で調べながら守山は思わず呟いた。
「気にしないでおこうと思ってたのに‥‥ 怖いこと言うなよ」
コーニーことコーネリアス・O(fa3776)は、確かニンニク、ロザリオ、十字架、和風お守り、変な顔のお守り‥‥、そんなものもナップザックに突っ込んだっけと探し始める。
「こうも一本道だと永遠に進まなきゃならないのかと不安になってくるよ‥‥」
「だから怖いこと言うなって」
地図的におかしなところがあれば、そこに何かあるはず。そう思って気にしている守山も、拍子抜けな分だけ不安が増しているようだ。コーニーと2人、はぁぁ‥‥と溜め息をついている。
「ちゃんと空気があるのが救いだな」
「だな」
群青はランタンの様子を見ながら先を照らした。これが燃えているうちは酸素は大丈夫。
有毒ガスが溜まっていないか心配だが、用意してもらった簡易用のガスマスクを使うような事態だけは皆も御免だ。
その時、奥に明かりの届く壁のようなものが‥‥
慎重に探索を続け、近付いてみると、それは石室への壁であることがわかった‥‥
●ジャガー
通路に比べて広く取られた空間は、三本足の壷のような物の前に背中合わせの2頭のジャガーの石像が置かれている。
恐らく翡翠や黒曜石であろう、埋葬品が納められている。
それを手に取ろうとして一行は動きを止めた。
「獣の臭い‥‥か」
「あの向こうよ」
レヴは低く喉を鳴らし、ミカは石像の向こうに動くものを見た。
ぐるる‥‥
唸りを上げ、ヒタ‥‥ヒタ‥‥とジャガーが石像の陰から歩み出る。
「NWじゃないのは一安心というか、がっかりというか」
「関係ないね。ジャガーとは戦ってみたかった」
レフ板片手に同行していたボンバー雛ちゃん♪(fa0373)は、出番とばかりに肘のサポーターを確認して腕を振る。
「オレサマ ジャガー マルカジリ ヨ」
トトッとリングにでも躍り出るように進み出た。
「殺さないでくれよ。普通の動物なんだから」
「向こうが手加減してくれるならね」
コーニーの声に、虎のマスクの下で雛ちゃんは笑う。
「戦えば遺跡が壊れるかもしれないわ。戦わないで済むなら、それが良いのよ」
そんな気は毛頭もない雛ちゃんの横に、ミカが進み出た。
「オトなしくしててクダさい‥‥」
必死に宥めるが、ジャガーは姿勢を低くして一気に飛びかかれるような状態で唸るのを止めない。
ガゥッ!!
しなやかな筋肉で一気に跳躍し、振り下ろされた爪の一撃を雛ちゃんは腕で受ける。
「やるねぇ」
血の滲んだ獣皮をペロッと舐めながら駆けると、雛ちゃんは姿勢を低くしながら刈り上げるようにラリアート!
雛ちゃんの格闘能力はジャガーを上回っているが、破壊神テスカトリポカを象っているジャガーも負けてはいない。空中で身体を捻り、天井に叩きつけられながらもダメージはそれ程ないようだ。着地すると、間髪入れずに突っ込んでくる。
「もっと戦い方があるでしょう!」
ミカが叫ぶが、戦いの血が燃え上がってしまっては戦士たちを止める術は残されていないのかもしれない。いや、ジャガーの戦士の魂が、彼らを戦いに駆り立てるのか‥‥
「呪い‥‥なんてことはねぇよな?」
「だから怖いって」
他に敵がいないか見渡す群青は俊敏脚足を発動させ、対処のタイミングを見計らっている。
「邪魔はしたくないけど‥‥ でも、邪魔しないと危ないですね‥‥」
リンはジャガーに虚闇撃弾を撃ち込む!
このままラリアートの応酬が続けば、遺跡自体が危ないかもしれない。
「ジャガー マルカジリ ヨ!」
ボンバー雛ちゃん♪のラリアート! 続けてラリアート!!
爪で果敢に応酬するが、ダメージの蓄積はジャガーだけにあるように見える。
「上手く戦いやがれ!」
レヴはコーニーにカメラを預けると乱闘の中に飛び込んで行く。
「まずいよ! 崩れるかも」
ミシッとかパキッとか不穏な音を聞いてコーニーが叫ぶ!
シェイドは辺りをデジカメで撮りまくった。
「どこ見てやがるっ! こっちだぜ、ウスノロ野郎!!」
「時間を掛けている暇はなさそうだ!」
レヴの爪がジャガーを切り裂き、俊敏脚足で背後に回りこんだ群青の木刀が討つ!!
ぅぐるるる‥‥
よろめいたジャガーは最後の力を振り絞るかのように石像の前に立ち塞がる‥‥
バラバラと土が流れ込み、天井の一部にヒビが入って欠片が落ちてくる‥‥
「退くぞ! 危険だ!!」
通路へと飛び込む仲間たちを横目に守山に引っ張られ、雛ちゃんも諦めるように出口へと走り出した!
走り抜ける一行の頭上から石が落ち、ゴツゴツとヘルメットにぶつかる音がする。
そして転がり出るように遺跡の入り口から脱した一行の背後で、通路が潰れる轟音が響くのだった‥‥
●帰還
「円筒型三足土器か。墓に間違いなさそうだ」
一行が撮影してきた画を見ながら、WEAのスタッフは感嘆の声をあげた。
時折、戦闘の様子が映るが、不適切な部分はカットすればいいと、コーニーがカメラを石室内の遺物に向けて回し続けた成果だ。
ジャガーに邪魔され、遺跡に倒壊の危険があったために探索は断念されているが、これまでの発掘の実績から言って、これがあるということは墓で間違いないだろうという結論に至った。この土器の中に戦士が葬られているはずだ。
「で、これ‥‥ 何だったんだ?」
「笛‥‥に、見エなくもなイ、わね?」
怪訝な顔で泥の詰まった棒を眺める守山に、ミカはあっからかんと言う。
綺麗にして守山が吹いてみると‥‥
ひぃぃぃぃ‥‥
やはり笛であったようだ。
遺跡にあったということは、遺跡で使う場があったのかもしれないが‥‥
「もう少し、上手くやってほしかったな」
遺跡の最深部にあったジャガーの上半身2つが背中合わせに1つになったチャック・モール‥‥
中央の窪みは、心臓を置いたのだろうか‥‥
兎も角も、遺跡ができるだけ無事であることを祈って発掘するしかなかった‥‥