冒険チーム・ユニコーン南北アメリカ

種類 ショート
担当 シーダ
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.1万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 10/23〜10/28

●本文

●TV・OPテロップ
『冒険チーム・ユニコーン』
 軽快なテーマ曲をバックにタイトルが拡大され、そこに現れた森林から浮かび上がるように飛び出した一角獣・ユニコーンが、大地を‥‥空を‥‥海を背景に疾走する。
 そこへ重ねられるのは男の声‥‥
「人道支援、動物保護のために設立された複合出資団体による組織・ユニコーン財団。
 彼らが派遣したエージェントたちは、今日も各地で事件を解決していく‥‥」
 スタッフロールが流れ、数頭のユニコーンが線画になるとそれぞれが別の人物の姿へと変わっていく。

●撮影打ち合わせ
「俳優は揃っているか?」
「手配は済んでいます。足りなかった演出家も呼んでありますよ」
 男2人が台本片手に何かを話している。
「OK♪ グレイトだ。それで今回のシーンは?」
「細かい部分は演出家と詰めなければなりませんが、ストーリーは大筋では決まってます。
 ユニコーン財団から派遣されたチームは、とある国有地で保護対象とされている山猫オセロットをハントしている4人組を追跡、捕らえられた山猫を救出するために行動を開始する。そこで‥‥」
 熱心に説明を始める男の話をもう1人はコーヒー片手に熱い視線で聞き入っている。
「‥‥というわけです」
「OK♪」
 2人はコーヒーを飲み干すと台本を片手に満足そうにテーブルを離れた。

●撮影現場
 森林の中に建てられた迷彩色の仮設小屋。
「よーし、昼休憩! もう少しで完成だ。気合入れていくぞ!!」
 上空から発見されにくいように屋根にはブッシュが被せられ、数人のスタッフがセットの作成に余念がない模様。
 流石に許可などの問題もあり実際の保護地域ではないが、周囲の森林地帯とその中に建てられたセットが今回の冒険チーム・ユニコーンの舞台というわけだ。
 しかし、ロケハンの甲斐あって雰囲気は上々。撮影が待ち遠しいってとこかな♪

●今回の参加者

 fa0109 楊・梅花(25歳・♀・猫)
 fa0124 早河恭司(21歳・♂・狼)
 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0269 霧島 愛理(18歳・♀・一角獣)
 fa0280 森村・葵(17歳・♀・竜)
 fa0319 天羽 霧砂(22歳・♀・蝙蝠)
 fa0872 風樹蒼護(24歳・♂・鷹)
 fa1136 竜之介(26歳・♂・一角獣)
 fa1723 大神 月斗(25歳・♂・狼)
 fa1771 由比美紀(20歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文

●喧騒
 撮影セットを建てた森の中は喧騒に包まれていた。
 スタッフに指示を出す助監督は忙しそうだ。そんな中‥‥
「監督、曲をアレンジしたんで聞いてもらえないですか?」
 サングラスに革ジャンで現れたのは撮影スタッフの助手として雇われた早河恭司(fa0124)だ。
 少ない時間を活かす。ダメ元でチャレンジする。新人にはそれくらいの覇気が必要だった。彼もその1人。
 CDを取り出して監督に差し出す。
「その辺に置いとけ。後で聞いてグレイトなら使ってやるよ」
 コーヒー片手に台本などをチェックしている監督はCDを受け取るとテーブルの上にポンと置く。
「本当ですか?」
「ちゃんと仕事しないとチャンスはないからな」
 ニカッと笑い、監督の歯が光った。早河の目にも光が宿る。
 さて、森での撮影予定だって何日もないし、制作費を無駄にしないためにも撮影は早いに越したことはない。
「早河! ケース持ってきて」
「ハイ!!」
 番組内で曲を使ってもらえれば‥‥ そう思うと自然と体も動くのだった。 
 さてさて、制作費と言えば‥‥ 今回一番ギャラがいいのがオセロットだ。
「可愛い‥‥」
「ホントね」
 小さな体に野生的な肢体、クリッとした瞳はキラキラと光を反射してる。
 天音(fa0204)はゲージに入れられたオセロットの虜である。
 網の隙間からオセロットにちょこっと触れた森村・葵(fa0280)も満足げに顔を緩ませている。
「この子ってば怪我してたところを保護されたんでしょ? 元気になって良かったよね」
 オセロットと見つめ合って天羽霧砂(fa0319)の顔に自然と笑顔がこぼれる。
 この撮影に使われるオセロットは怪我をしていたところを保護されたのだという。
 動物愛護団体から番組趣旨へ理解と寄付という名の出演料によって今回のキャストが可能になったのだ。
 元々保護対象の動物なのだから、根回しのために多少は制作費を食ったとしても仕方はないと言えるだろう。
「でも、台本には5頭のオセロットって書かれてるよね。1頭しかいないけど」
「その辺はカット割と小屋の中のゲージの数で何とでも誤魔化すんですよ。捕らわれているのが1頭だけじゃ盛り上がらないでしょう?」
 風樹蒼護(fa0872)が撮影の打ち合わせのためにスタッフを呼んで話を始めた。
 彼が演出を担当し、撮影の指揮もとる。これも制作費削減のためだ。
「それにしてもみんな楽しんで、それでいて一生懸命番組作りに参加してるよね。
 こういう雰囲気っていいな。きっといい作品に仕上がると思うよ♪」
「なんか懐かしい感じがする番組だよねぇ。こういうのってあたし大好きなんだ〜♪」
 霧島愛理(fa0269)は優しく微笑み、楊・梅花(fa0109)が明るく笑い声を上げた。
「ハハハ、グレイトな芝居を期待してるぜ」
「監督‥‥」
「よ〜し。それじゃあ、そろそろ撮影いってみようか! アーユーOK?」
 現場に応と声が響いた。

●モンタージュ(編集)Aパート・『ナイト オブ ユニコーン』
 広い部屋に大きなテーブル。
 一線を画して1人用の豪華な椅子にメイヤード役の森村が座ってフランス料理を食べている。
 どこからどう見てもお嬢様、どちらかと言えばやり過ぎな感があるが‥‥
 さて、メイヤードの隣にはサングラスをかけた執事風の男が立っている。
「お嬢様、来たようでございます」
 メイヤードに近付くと、礼をするように頭を下げて耳打ちする。
 吹き抜けの2階部分にはチャイナ服を着た女が1人。
「リンクスよ。よろしくね」
 よっと飛び降りるとテーブルのチェス盤に一角獣のナイトの駒を置いてウィンクする。
 リンクス役の梅花のアップからパンニング。彼女の後ろから現れる男に運よく太陽の光が差す。
「ラックだ、よろしく」
 ラック役の竜之介(fa1136)の歯がキラリと光る。
 キャップを目深に被り、ドライビンググローブにジャンパーという姿の小さな影がその光を遮る。マイラ役の由比美紀(fa1771)だ。
「マイラ」
 ラックの置いたユニコーンナイトの隣にマイラも同じ駒を置いた。
 カットがスライドして部屋の暗がりへ。
 そこから現れたのは和服姿の男‥‥ いや、男装の麗人、ホークアイ役の天音が静かに歩いてくる。
「ホークアイと申す」
 コンッと音を立てて4つ目の駒が並ぶ。
「そして、このミッションのリーダー、ビューティーよ。よろしくね」
 4人のエージェントが2:2で立ち並ぶ、その中央に見えるドアが開く。
 颯爽と現れた美女の黒髪がサラリと風に舞う。
 ビューティー役の霧島が最後のユニコーンナイトを盤上に置くと、カードを取り出してメイヤードの前に差し出した。
 メイヤードは席を立つと、ファサッとソファーに身を沈めた。
「こちらの方が依頼人からの目付けでメイヤード。スポンサードとの折衝が俺の仕事です。
 ミッションで御用意する物があれば俺、ボスに伝えてください」
 メイヤードの執事、ボス役の大神月斗(fa1723)のミッション説明のセリフが続く。
「そして、こちらがミス・グリーン。自然環境学者でミッション・オブザーバーです」
「まずはオセロットの生態を簡単に‥‥」
 ミス・グリーン役の天羽のセリフに合わせてボスが画面を切り替える。
 モニターに映し出された映像が次々と切り替わる。
 ペットにされていたところを保護されたオセロット。
 毛皮を押収している場面‥‥
「野生のオセロットをハントするなんて許せません」
「それを阻止するためにハンターを捕らえるのです」
 憤慨するミス・グリーンの肩に手を当ててボスが椅子に座らせた。
 一段落したのを待って、ふさふさした猫の毛を弄びながらメイヤードが口を開く。
「皆サン、判っていますネ。合い言葉は、経費節げふんげふん‥‥ 『愛と勇気と友情』デス」
「死んで花実が咲くものか、というわけで頑張ってください」
 メイヤードのセリフをさらりと流すと、ボスはリモコンを操作してモニターの画像を消した。
「それでは出動デス〜」
 メイヤードのセリフに合わせるようにビューティーたちが踵を返して部屋を出て行く。フィックスで捉え、スローで暗転‥‥

●モンタージュAパート・『ピケットライン』
 リンクスが木の蔓を器用に使いながら軽々と木を登った。
 チャイナ服から覗く健康的な肢体と東洋系の神秘的な美しさが画面に映える。
「はーいこちらリンクス。ハンターのベースキャンプを見つけた」
 双眼鏡を覗きながらインカムで状況を報告していく。
「ここじゃオセロットを確認できないから、もう少し接近するよ」
「了解。気をつけてね」
 ジープトラックの幌の中でビューティーがヘッドホンを押さえながらマイラに合図すると車は振動に包まれた。

 ハンター2人がゲージを抱えて森の中を歩いている。見張りの男たちとは別人だ。

「敵さんの情報色々仕入れてきたわよ〜。オセロットの入ったゲージは4つ。
 ツーマンセルで片方が狩りに出てるときには片方が見張りをしながら休息をとってるみたいね」
 リンクスが手書きの地図を広げる。
「全員捕らえないと意味がないのう」
 リンクスの情報にホークアイが呟く。
「見張りを確保。オセロットを救出して、狩りに出ているハンターが帰ってくるのを待って一網打尽にします。作戦は‥‥」
 ビューティーが通信機を片手に立案したミッションの詳細を話し始めた。

 デザートを頬張りながら幸せそうなメイヤードと必死に説明するボスの姿がカットイン。

『了解です。メイヤードが成功を祈っていると伝えてほしいと』
『違うワ。ファイト〜☆よ』
『メイヤード‥‥』
 通信機の向こうからは何やらバタバタと‥‥
「さてさて、同じ猫科の名前持ってる者同士助けてあげないとね」
「僕らが来たんだから大丈夫さ」
 リンクスとラックが互いの顔を見つめた後、仲間たちを見渡してサムズアップした。

●撮影休憩中
「可愛い〜☆」
「え、えっと‥‥」
 女性スタッフに囲まれて竜之介がしどろもどろになっている。
 彼を始めとして今回のエージェント役には美形が揃っていた。
 キリサの周りにも男どもが纏わりついているが、その目は霧島など主に女性に向けられている。
「飲み物、どうですか?」
 無言で飲み物を受け取ると口をつけた。
 尤も男たちにしてみれば、この無視っぷりもどこかそそられるものがあるのかもしれない‥‥
 さて‥‥
 次はオセロットをゲージから出しての撮影シーンだ。逃げられたら厄介だが、瞬速縮地を使える楊がいれば何とかなるだろう。
「忙しそうね。片づけのお手伝いするわ」
 とと‥‥ 森村が消え物を持ち帰ろうとしているのに誰も気がついていない‥‥
「エンゲル係数♪ 下げて〜♪ あなたの胸に飛び込むの☆」
 おかしな歌を口ずさみながらバックの中のお持ち帰りセットを取り出すのだった。
 それは兎も角、セット班は忙しそうに何かを作っている。
「台本変更?」
「ハイ、監督。セット脇にあった携帯発動機を使って仕掛けを作れないかって。
 網とロープ、あと滑車を使ってハンターを宙吊りにするんです。ミキの発案なんですがね。
 ソウゴも急遽それ用の台本を書いてます」
 見れば、絵を描きながらスタッフたちに説明する由比と必死に台本を直している風樹がいる。
「テストのときは呼んでくれ」
 監督は助監督の肩を叩くと早河を呼んだ。
「曲、聞いたよ。でもな、OPとEDの曲を変えるとなると作曲家との契約もあるからな」
「そうですか‥‥」
「でもな、センスは悪くない。使える機会があれば考えとく」
 監督の言葉を信じるしかない早河だった‥‥

●モンタージュBパート・『ハンティング』
 物陰を利用しながら息を殺してマイラとホークアイの2人が見張りに近付く。
 ハンターの1人は酒を片手に別の方を向いている。気絶させることができれば‥‥
 ホークアイの手刀がハンターの首筋に決まり、崩れ落ちる。
「フッ‥‥ 他愛ない」
 ガシャンと音を立て、もう1人ハンターが振り向いた! ハンターの銃口がホークアイを狙う!!
「何やってるの!」
 咄嗟のマイラの投げナイフが銃口を逸らした。
 ダンッッ!!
「良かった、無事だった」
 マイラのキャップがクルックルッと回りながら落ち、頬に血の跡が‥‥
「済まぬ」
 残るハンターにホークアイが手刀をキメる。
「まったく‥‥ ハラハラさせないでよ」
 溜め息をつきながら背を向けるマイラは、それまでの無表情ではなくホッとした笑顔をしていた。
「ユニコーンの角は、どんな悪事も見逃さないわ」
 物言わぬハンターたちに言い放つビューティーへのアップ。
 ロングからズームアップしてピントがあったその画にはエージェント以外の人の姿も映っていた。
「おっと、そこまでだ」
「ごめ〜ん‥‥ 失敗・・・しちゃったみたい?」
 苦笑いするラックの首筋にナイフを突きつけたハンターが冷酷な笑みを浮かべている。
 ビューティーは咄嗟にミス・グリーンの服を引っ張ると建物の影へと隠れた。

 ホークアイとマイラは丸腰でハンターの前を歩かされている。
「この辺でいいだろう」
 ハンターがククッと笑う。
「くしっ!」
 絶妙のタイミングでラックがくしゃみをして驚いたハンターの動きが止まった。
「ラック♪ 頭、上げちゃ駄目よ!」
 逆光でリンクスの飛び蹴り一閃! ハンターのナイフが飛び、慌てて構えようとする銃も蹴りで弾き飛ばし、そのまま回し蹴り。
「あなたの相手は私よ!!」
 残るハンターがビューティーの姿に気をとられた一瞬にマイラの足払い。体勢を崩したところへホークアイの当身がキマる。
「窮鼠猫を噛むならぬ、猫がハンターを噛むってね。たかだか猫だって舐めないでよね♪ ほら! ラック走って♪」
 ドサッと倒れる2人のハンター。その姿が画面から見切れる代わりに回し蹴りの着地態勢で登場するリンクスから素早くパンニング!
 発動機の音がしてベルトが外された軸がロープを巻き取る。
 パンアップ。ロープを通した滑車がキュリキュリ鳴っている。
 カットチェンジ。バサァッと地面の木の葉が舞い上がると数本のロープが現れた。
「ちょちょ、ちょっと待ってくれよ〜! たぁすけてぇぇぇぇぇ〜」
 逃げ遅れたラックがハンターごと網に絡まれて吊り上げられる。
「計算どおりね。ラックは余計だけど」
 ミス・グリーンは携帯発動機を止めると満足げに頷いた。
「良かった、無事で‥‥」
 ミス・グリーンはオセロットのゲージを愛おしく見つめる。これもチーム・ユニコーンのお陰だ。
 ふと振り向くと、慌てて視線を逸らすホークアイや時々照れ笑いを浮かべるマイラがいた。

●オンエア
 OPが始まって自分のアレンジが使われていないのにガッカリした早河だったが、スタッフロールの音楽のところに自分の名前が載っているのに驚いた。
 『ユニコーンの角』という副題の後にナレーションからオセロットが捕らえられるシーン、ハンターたちの下卑た会話、高笑い、ゲージに閉じ込められたオセロットたちが暗闇に包まれていく‥‥
 一転してエージェント登場シーン。
 ナレーションと共に撮影の雰囲気を見ながら作った別バージョンのOPアレンジがBGMとして流れている‥‥
 早河は小さくガッツするのだった。