努力と根性だぁ!!南北アメリカ

種類 ショート
担当 シーダ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/25〜08/29

●本文

「よく来てくれたな。今日からキミたちには特訓をしてもらう」
 しかし、色んな依頼があるもんだ。
 獣人タレントを鍛えるためのトレーニングメニューを作るためのデータを取らせてほしいなんて‥‥
 しかし、彼らに示されたのは‥‥

 ヒンズースクワット10000回‥‥
 腹筋10000回‥‥
 24時間耐久空気椅子‥‥
 100mダッシュ10000本‥‥
 腕立て伏せ10000回‥‥
 懸垂10000回‥‥
 フルマラソン10セット‥‥
 などなど‥‥

「いくら何でも、ちょっと無茶なんじゃ?」
 という獣人たちに浴びせられたのはタダ一言。
「努力と根性で何とかするのが獣人だ。ガッツさえあれば大丈夫。壁は乗り越えるためにあるのさ」
「やっぱ無茶だ〜!」
 という獣人たちに、ニカッと笑って歯を光らせながら教官のミスターG3がサムズアップ。
「ガッツが足らんぞ。仕方ないなぁ。もっと根性のあるやつらをWEAに紹介してもらうとしよう」
 というわけで‥‥

●今回の参加者

 fa0203 ミカエラ・バラン・瀬田(35歳・♀・蝙蝠)
 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0361 白鳥沢 優雅(18歳・♂・小鳥)
 fa0365 死堕天(22歳・♂・竜)
 fa3014 ジョニー・マッスルマン(26歳・♂・一角獣)
 fa3225 森ヶ岡 樹(21歳・♂・兎)
 fa4035 尚武(20歳・♂・牛)
 fa4120 白海龍(32歳・♂・竜)

●リプレイ本文

●鍛え鍛えて
「皆、よく来たな! 努力と根性で、このメニューを頼んだぞ!」
 竜に完全獣化したミスターG3が、自己紹介がてら、メニューを配り始める。
「返事は!」
「ハイッ!」
 メニューに見入って、いささか引き気味の白鳥沢 優雅(fa0361)たちだが、鍛えられた体を見せ付けるようにしているG3を見ていると、このメニューで、あんな風に逞しくなれるのかとも、ふと思ったり。
「ワタシのとりえは、この歳プラス女性とイうハンデの上でノ体力。これを伸ばさなきゃ何ともナラナイわ‥‥」
 ナイトウォーカーバスターを目指している彼女にとって体力強化は重要課題。
 速さ及ばず敗戦‥‥なんていう苦い記憶もあるが、何はともあれ efforts & spirits!
 ミカエラ・バラン・瀬田(fa0203)が決意を込めた視線を向けていると、G3はニカッと笑って歯を光らせた。
「やるね、ミスタG3」
 白鳥沢もキラキラと存在感を示すが、体育会系の状況では分が悪い。
「では、始めよう」
「荷物くらい置かせてくれぬのかな?」
「ハハ、ブーたれるな。特訓というのは、いつ、いかなる時にでもやるものだ」
「そんなものか。最近、何かと物騒じゃからのぅ。そういった意味でも、ここで一つ、自身の限界を見極めるべきじゃな」
 天音(fa0204)だけでなく、やる気になっていた白鳥沢らも苦笑いを浮かべている。
 というか、特訓? トレーニングメニューのデータ収集じゃなかったのか? という突っ込みは‥‥ 雰囲気的にNGのようだ。
 やけにG3の笑顔に光る歯が眩しい。有無を言わせぬ‥‥ プレッシャーか。
 それでも勇気を振り絞って森ヶ岡 樹(fa3225)が手を上げた。
「え〜と‥‥ このトレーニングメニューって冗談だよね? 兄さんなら喜んでチャレンジしそうだけど」
「やる前から諦めてどうする。」
「教官? トレーニングメニューを作るための実験だよね? これって‥‥」
「うむ、だからこそ限界を突破しなければ見えてこないものもあるんだ」
 無茶だぁ、というジェスチャーは通じないようである。
 G3教官の逞しい体には憧れるけれど、こんなすごい筋肉、ただ無茶しただけだと付かないよね‥‥と思わず乾いた笑いが‥‥
 何を言っても無駄だと早くも悟ったのか、各々、荷物を床に置いて体を動かす準備に取り掛かっている。
 そんな中‥‥
「G3教官、いっちょ、やりますか♪」
 モウイングの鎌とファントムの黒マントで死堕天(fa0365)が爽やかな笑顔を浮かべている。
「お、なかなか気合が入っとるな。‥‥で、その鎌は腕立て伏せに何か意味があるのか?」
「ん〜‥‥ 特に意味は無い!」
 大威張りで根拠のない自信を満ち溢れさせていたのだが‥‥
「それでは、腕立て伏せ10000回だ」
 突っ込みもナシかい!
「よ〜し、行くぜぇ! 腕立て一万回!!」
「いいぞ! それでこそ男だ!!」
 掛け声と共に全員で腕立てを始める。
「始まったな。どうなることやら」
 記録映像のために尚武(fa4035)がカメラを回しながら笑っているとフレームにG3の姿が‥‥
「何をやっとるか。カメラは取るのは好きにして構わんから、お前さんも腕立てせんか」
「うぃっす。がんばるでやんす」
 力士になるのを断念したとは言え、流石にガタイが良い。
 片手で腕立てしながらカメラを構えている。
 後に記録映像を見た者たちの何人かが酔ったのは置いといて‥‥

「ま、まだやるんですかぁ‥‥」
「これくらいでへばるなぁ!」
 突然の特訓開始にも『良し♪ 頑張るぞ♪』などと入っていた気合が続いたのは、どれくらい前のことだっただろうか‥‥
 上半身は優雅なポーズをとりながら、白鳥沢は腕立てを続ける。
「うわ〜、負けるかぁ! 力つけて、鎌持てるようにするんだぁ‥‥」
 死堕天は張り切って腕立てをしているが、他の仲間に比べて余裕はない。
「馬鹿もん、まだ1000回にも届いておらんではないか」
「きゅ〜‥‥」
 へろへろになって倒れこんだ死堕天がG3の前を、真っ白に燃え尽きて、まるで西部劇の草の塊のように転がっていく。
 チーン‥‥
 ご愁傷様。
「白鳥沢は‥‥美しく死ぬ‥‥」
 華麗に倒れるつもりなのだろうが、無理してたせいで笑みは引きつっている。
 キラキラした空気だけ残して気を失ったのは根性の賜物だろうか?
「仕方のないやつ。しかし、ただ休ませておくのは勿体ないな」
 片手で死堕天を持ち上げると、G3はミカエラの背中に乗せた。
「ふっ‥‥ efforts & spirits!」
 等間隔で刻まれる合いの手に合わせて、腕立てを続けるが、はっきり言って自分よりでかい人間をウェイトに腕立て伏せは辛い‥‥
 劇団クリカラドラゴン『裏』裏方肉弾担当を名乗っている手前、こんなことで負けるわけにはいかない!
「ガッツを見せろ!」
「たりマエよ。せめて、アト十回は!」
 ブチッ、ブチッと筋肉が千切れる音が聞こえそうなとこを無理して根性を見せるミカエラ。
「カメラ、軽そうだな。片手腕立ても苦ではなさそうだし」
 G3は尚武の背中にポーズをとりながら気を失っている白鳥沢を乗せた。
「軽いちゃ」
 それでもメニューをこなし続ける怪力は流石。
「負けないNE!」
 ボディビル用に鍛えた、艶々筋肉のカットを見せつけながらジョニー・マッスルマン(fa3014)も腕立てを続ける。
 しかし、そこは観賞用筋肉と自覚しているだけはある。乳酸が溜まった腕は思うように上がらない‥‥
 ユニコーン獣人の悲しい宿命だ。
「まだまだ、これからだろ?」
 白海龍(fa4120)は仲間たちが潰れていくのを見ながら快調に腕立ての回数を重ねていくのだった。

 さてさて‥‥
「うむ、諸君らの腕立ての限界は大体分かった。腕立て1万回は、常獣人には結構無茶なメニューだということもな」
 確実に一桁減った回数で撃沈するようになった死堕天らを重り代わりにして、ミカエラたちの地獄の腕立ては終了した。
「然もありなん」
 天音は静かに溜め息をついた。
「確かに無謀だNE‥‥」
「うむ、良いデータが取れた」
 痛みに顔を引きつらせながらジョニーが歯を光らせると、G3も負けじと歯を光らせて返す。
「負けまセンわ。でも、今日はグンナーイ‥‥」
 ミカエラは思わず拳を握っている自分に、ほんの少し苦笑い。
「そうだな。飯を食って、旅で疲れた体を休めてくれ」
 疲れているのは腕立てのせいじゃい! とか突っ込む元気もない‥‥と思ったら‥‥
「あの‥‥ 不眠耐久とかもやりませんか?」
 白海龍の想像を絶する言葉を、途中で阻止しようと飛び込もうとするも、体が重くて動かない‥‥ 
「許可! やる気は買うぞ。疲れた体で、どれだけ起きていられるか。俺も付き合ってやる」
 G3の宣言の方が早かったようである。
「あ、あらぁ?」
 ジト目の視線を一身に浴びる白海龍は『失敗した?』と笑うしかない。ただ、不眠耐久に興味があっただけなのに‥‥

●チキチキ不眠耐久、優雅なポーズで空気椅子
 不眠不休に止めを指すように、栄養価を考慮した高タンパク低脂肪のメニューにフルーツや野菜ジュースに加えて、栄養補助と抗酸化作用のあるサプリメントにプロテイン入りのミルク‥‥ それが1日3食、人によっては5食‥‥
「こんな高価なものを食べさせて貰えるなんて幸せ‥‥ すごい幸せ、オェッ」
「慣れないとキツいものがありますからね」
 白海龍を笑いながら、森ヶ岡は美味しそうに食べている。
「日課なのに堪えるのは何故じゃ‥‥」
 天音は愛用の木刀で素振り1万回に挑戦しつつ、轟沈‥‥
 揺さぶっても起きてこない。
 まぁ、寝息を立ててるから大丈夫だろう。
 ミスターG3との激闘シャドウボクシング(ただのスパーリングとも言う)で疲労困憊しているのは知っているから、それ以上、起こそうとする者もいない。

 今日は、耐久空気椅子らしい‥‥
 なんか耐久トレーニングが多くない? というツッコミを入れる気力も残っていないようだ。
「ふぉっ‥‥にゅぅ‥‥ みんなごめん、みんなごめん、みんなごめん‥‥」
 腕立てなどでは最後まで粘る白海龍も相撲太りの体が災いしてか‥‥、いや、そもそも『不眠耐久・空気椅子』の前では誰もが屈強ではいられない。
「僕の優雅な空気椅子を見たまえ。ハハハ‥‥」
 頬をヒクヒクさせ、目の下に隈を作りながらも白鳥沢は、他の者たちよりも美しく空気椅子を続けている。
 このメニューに限っては、白鳥沢の筋力と体重のバランスが一番良いようだ。
「筋肉付いたかな‥‥ 体脂肪は落ちたかな‥‥」
 森ヶ岡の目は虚ろ‥‥ 白鳥沢の優位は、腕立てで飛ばしすぎた仲間たちが疲労の極から復活していないからとも言える‥‥
「俺、頑張ったよね‥‥」
「あ、コレ腰にくル‥‥ でも、motto、motto、頑張らないTO‥‥ efforts & spirits‥‥」
「Oh、GUTSだけは負けなイ〜〜」
 死堕天が、ミカエラが、ジョニーが‥‥撃沈。
「教官‥‥ どれだけ長く眠られるか‥‥ 耐久睡眠をしませんか?」
「う‥‥ うむ‥‥ 採用だ‥‥」
 立ったまま、腕組みをして、目を開けながら、ミスターG3までもが自沈。
 提案が通って安心したのか、森ヶ岡も寝息を立てながら爆沈だ。
 カメラを構えたまま寝息を立て始めた尚武の撮った映像には、幸せそうな獣人たちの寝顔が写っていた‥‥