スタブラ 銀河大冒険南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
シーダ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
2.7万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
10/25〜10/29
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●本文
きゅゅぅゆうう‥‥
ババッ‥‥
ずがぁぁぁ‥‥
パリィイイン!!
小惑星要塞ヘルスターが爆散し、巨大戦艦ディスティニー3番艦が誘爆する。
モニターに映し出される共和国連邦軍艦隊の姿に大衆の歓声が上がる中、超高速船セレニアムホークを始めとするアストロスターたちの宇宙船が戦場を離脱していく。
「どうした、これから新しい時代を作るんじゃないのか? 戦勝のパーティーだって、まだなんだぜ」
ゼンの騎士・ジュダスナイトの笑顔が映る。甲冑姿で腕組みする勇壮な姿とは裏腹に、その表情は光を放っている。
「悪りぃな。堅苦しいのは嫌いなんだ。どうぜ、勲章とかくれんだろ? 面倒くさい柵(しがらみ)は御免だぜ」
「ちっ、わかってたのか」
スクリーン越しの男たちは互いに不敵な笑みを破顔させた。
その間にもアストロスターの宇宙船の幾らかは銀河の中心へ、はたまた宇宙の深淵へと進路を一直線にとっている。
「どうしても行くのか?」
「あぁ、俺たちの新天地は、まだ見ぬ宇宙だ。この先に何があるのか? 俺が星の海を往く理由は、それだけで充分さ!」
アストロスターは、1人の女性を抱き寄せるとモニターへ小さく頷き、女性の瞳を見つめて熱い口付けを交わした。
「妹を頼む」
「兄さま‥‥」
男の腕の中で頬を染める女性は、モニターの中の騎士に微笑みを残した。
「任せておけって‥‥ じゃあ、またな!」
スクリーンの映像が消え、ヘルスターの残光が映し出される。
そして‥‥
騎士の見つめる先に、ソルブースターの強烈な光が輝いた。
〜 スターブラスター・EP6 星王の帰還 より 〜
ハミルトン・フィルムのジョーイ・ブラッドストン監督作品・スターブラスター。
その人気といえば、やはり、ゼンの騎士・ジュダスナイトたちの光剣スターブラストセイバーによる殺陣が挙げられるだろう。
一方で人気の一翼を担うのが、アストロスターたちの煌めく光銃コスモブラスターによる銃撃戦である。
辺境惑星での西部劇のようなエピソードがあるかと思えば、星系主要惑星でのガンアクションのエピソードからハードボイルドなエピソードまで、シナリオタイプは多種多様。取り扱いの容易さから、同人の世界で最も活発な分野といっても過言ではない。
彼らアストロスターの人気を不動にしているのが、彼らの操る宇宙船、つまりスターシップの存在だ。
彼らは様々なタイプのスターシップをスターブラスターの劇中に登場させている。
今、ブラッドストン監督は、スターブラスターを題材として、自身のやりたかった作品を撮ったり、後輩の育成のために作品監督を任せたりしている。
各地で催されるアトラクションも、その1つだ。
「おめでとう。試乗会に招待された幸運な者たちよ」
獣人たちの前に現れた、アトラクションのデザイナーの台詞が芝居がかっているのは置いておこう。
「キミたちにはアトラクションを楽しんでくれ。そして感想を聞かせてほしい」
熱く語り始めたデザイナーの手元にある台本には、次のような設定とストーリーが記されていた。
【アストロスター】
宇宙を旅する銃士。
主要武装はコスモブラスターと呼ばれる光線銃だが、稀に実剣を使う者もいる。
傭兵、商人、宇宙海賊、冒険家、などなど、生業は様々である。
独立の気風が強く、特定の組織に所属するというよりは、特定の個人や主義に命を懸ける傾向がある。
【アトラクション・ストーリー・OP】
「ねぇ、どこへ行くの?」
「とりあえず、ダゴン星域へ。深遠なる宇宙の淵を覗きに」
「御頭! 新婚旅行なら、もっとロマンチックなところがいいんじゃないですか?」
「ばっきゃろう! アストロスターの冒険は、燃えるシチュエーションで決まりだろーが!!」
茶化す部下のアストロスターを怒鳴りつけながら、クスクスと笑う女性に気づいた男は、顔を赤くしながら頭を掻いた。
「セレニアムホーク、発進!!」
スターシップは噴射光を放ち、古の神の棲まう場所と伝説の残る深淵へと突き進んで行く。
●リプレイ本文
●ライドオン
「やっぱり、何事も形からですよね」
猫に半獣化した楼瀬真緒(fa4591)は、ヴァルキュリア・アウトローのドライバースーツを模したジャケットを借りてニコッと笑う。
「良いものだ。戦場の風は」
傭兵ランディ・ライルの青の戦闘宇宙服を模したジャケットを羽織った結城丈治(fa2605)も、腕組みでニヤリ。
シャンシャンシャンシャン‥‥
「警戒衛星出現。識別コードは帝国」
試乗者たちが搭乗を始めると、アナウンスと警鐘が響く。
「成る程、こう使うのか」
黒のロングコートを翻してシートに飛び込むと、取り扱い説明が表示される。
「スクリーンに出すぞ」
情報屋ブラック・ドックに成りきる飆(fa3115)が、コスモブラスターをレーザーポインター代わりにモニターの情報を開いた。
「帝国の警戒衛星だって? こんなところに残っていたとはね」
宇宙の運び屋に成りきる真喜志 武緒(fa4235)は、キャプテンシートに乗り込んだようだ。
「マキシパーパ、かっこい〜。あ、敵戦闘ポッド3機確認!」
小明(fa4210)も負けじと隣のコンソールに取り付く。
「格闘迎撃砲台・ガンナービット、射出準備完了」
アナウンスの声と共にブリッジ左右のシートが点滅を始める。
ガンナーシートに座った結城たちが画面の指示通りにコスモブラスターのグリップエンドを差し込む。
「青き凶星、出るぞ」
スラストペダルを踏み、グリップを捻ると僅かにシートが傾き、モニターの宇宙がガクンと揺れた。
「う、動くのか‥‥」
白の連邦軍ライダーのジャケットに身を包んだ仙道愛歌(fa2772)は、マニュアルを確認しながらグリップを押し込んでいく。
「私服でも場違いに見えないのは、いいかもしれないな」
白のハイネックセーターに黒革のパンツ、茶の革靴‥‥という普段着で参加してしまった鶤.(fa3351)は、ジャケットに目をやり、苦笑い。
適当な席に座ってモニターのボタンを押すと、収納されていた砲台が展開する様子がスクリーンに映る。
「操作は意外に単純か」
コンソールのモニターが主砲の射界となり、ポインターを当てるとスクリーンの主砲が連動する仕組みのようだ。
「ねぇねぇ、戦ったりするんだよね♪ 隣、一緒に乗っていい?」
「ああ」
これまたTシャツにジーパンにスニーカーと普段着の海鈴(fa3651)だが、ジャケットの御蔭で、それっぽく見える。
「撃つときは‥‥ こうか」
「あ、そうやって撃つんだ‥‥ やってみていい?」
「あぁ」
キラキラと瞳を輝かせて主砲を試し撃つ海鈴に、レジスタンス『革命家』マリューになりきっている夜野星冶(fa4455)は笑顔で小さく溜め息をついた。
「手の空いてる者、ガンナービットで出てくれ」
「Sir,Yes,Sir! 仰せのままにー!!」
長束 絢(fa4863)は空いているシートに飛び込むと、3機の戦闘ポッドに仲間のビットが攻撃していた。
「正確な射撃だ。それ故にかわしやすい」
「僕はあの人に勝ちたいよ」
結城に負けじと仙道のビームがBGMのリズムに合わせて敵ポッドに叩き込まれる。
「一気に片付けるよ」
「あぁ、やってやるさ」
追い討ちをかけるように、楼瀬たちのビットからビームが放たれた。
「マリー? ジャンプの準備はいいかい?」
「もっちろ〜ん♪ ガンナービットは帰還して」
真喜志の声に小明は打てば響く。ブラスターにポインターを撃ち込んで手順を消化していく。
「ソルブースター、オールチェック! 惑星霊の合を開始します! エーテルリアクター臨界点へ!!」
ナビゲーターの声に急くように帰還するビットの背後では2機のポッドが爆炎を上げている。
「うそっ、来ないでよ!」
敵のビームを防御磁場が弾き、楼瀬たちのガンナーシートに連動したパルスレーザーが警戒衛星からのミサイルを撃墜していく。
「ま、間に合わないよ」
「おっと、こんなこともできるのか‥‥」
思わず楼瀬の画面の敵を撃った夜野の様子に、海鈴たちも自分の画面の領分を越えて援護を始める。
「当船の位相を変換。術式の最終確認完了。ダゴン星域へジャンプ可能。キャプテン、承認を」
勢いを増す警戒衛星からの攻撃も、俄然、厚くなった対空砲火に阻まれている。
「承認。アドバンズド号、発進!」
真喜志のブラスターが、スクリーン中央を指差すようにポインターを撃ち込む。
「行っけぇええ」
誰の声となくブリッジに声が響き‥‥
ギュオオオオ‥‥
「まったく‥‥、この様子じゃ共和国の夜明けは、まだまだ先だな‥‥」
夜野たちを包むかのように星が走り、アドバンズド号は光の中に突っ込んでいった。
●ダゴン星域
「終わり?」
「いや、まだみたいだ」
ブリッジの画面が星々の光と怪しく光る星雲の輝きに満たされていく。
「宇宙が、きれい。星が手にとれるみたい」
しかし‥‥
だぁああ、だぁああっ‥‥
突如、重々しいBGMと共に映し出される異形の物体。
複数の発光体が不規則に連なる胴に、翼竜のような翼と、象の鼻のようなものが首のように付いている。
「うわぁぁ! な、何ですかこれっっ!?」
長束が眉を顰めている。
「帝国の新兵器!?」
「落ち着け、あれは奉仕種族というものだ」
息を呑む仙道に結城が突っ込み、2人はニヤリと笑った。
「銀河超獣アナスタシア?」
ポインターで情報を開いた飆のサングラスがキラリと光る。
「太古に群れを成して飛来したという伝説の生物。古の神の奉仕種族と言われている」
ナビゲーターの解説が流れる。
突如、画面の銀河超獣が、ブワッと羽ばたいた。
「アナスタシアによる宇宙嵐のブレス。本船に来ます」
妙に冷静なアナウンスの声に被るように、各員のコンソールパネルの表示が変化する。
全周モニターに怪物が迫ってくる。
「やるねぇ‥‥」
夜野がニヤリと笑う。
「総員、臨戦態勢!」
真喜志がモニターに映し出されたボタンに触れる。
警鐘の音と共に、全員がブラスターのグリップを握りなおした。
「シールドにエーテルを集中〜! みんなはポインターをレッドゾーンにお願い♪」
小明の声に合わせて、全員のブラスターのポインターが前面モニターの赤いマルに集中し‥‥
「衝撃、来ます」
シールドゲージが跳ね上がる。
「凄い‥‥ 5倍以上のエネルギーゲインがある」
驚いてみせる仙道をよそに、強風に煽られるような不規則な揺れが収まる。
「くっ‥‥ マリー、大丈夫かい?」
「損傷、軽微。航行に問題ありません」
小明に真喜志が大きく頷いた。
「続いて発光体が分離します。迎撃態勢を」
ナビゲーターの声が先か、ガンナービットが分離される。
「撃て!」
真喜志が叫び、トリガーの音と共に、迫り来る発光体をビームが迎え撃つ。
「ヴァルキュリアとは違うのだよ! ヴァルキュリアとは!」
「言わせないよ! ヴァルキュリア・アウトローの名にかけて!」
結城に触発され、ビットで加速しながら砲火の如き発光体の分散光を掻い潜り、楼瀬はビームランスを叩き込む。
「左舷、火砲が薄い! 回りこまれるぞ」
「了解。エレメンタラー・ファランクス(?)を使う」
2丁拳銃のように両手で情報ポインターを操る飆の指示に鶤.が対応する。
鶤.のブラスターから4つものポインターが画面に中り、トリガーを引くと4発が同時に発射される。
「まだだ、メインカメラがやられただけ!!」
被弾したビットのサブカメラの情報だけではノイズが多くて見にくいのか、仙道が叫んだ。
●決戦
激戦にアナスタシアの攻撃の手が緩んでいる。
「エレメンタラー・ブラスターキャノン、出力ゲージ上昇」
小宇宙のエネルギーにも匹敵すると言われる最大級の武器。
船を動かす精霊たち全ての合に加え、仲間たちの気持ちが一つにならなければ撃てない究極破壊砲。
この機に一気に決めるのだ!
「みんな。エネルギーを集中させて♪」
全員がモニターの中心の小さな円の中にポインターを収めると、ブラスターキャノンのチャンバー内圧力が上昇していく。
「あと、一踏ん張り♪」
海鈴が、思わず唇を舐める。
「たーのしいなぁっっ、何かど〜でも良くなって来ましたよ〜」
ぶれるように鼓動して膨れ上がっていくゲージのサークルを見て、長束は興奮したようにニヤリと笑う。
「術式チャンバー、練度120%。エレメンタラー・ブラスターキャノン、発射可能」
「いくぞ、皆!」
アドバンズド号の舳先から伸びた精霊の光は、アナスタシアを食い尽くすかのように消し去っていく。
「撃破‥‥ パーパ、さすがです!」
飛び上がる小明に思わず笑顔。
「僕には、まだ、帰れる場所があるんだ」
「ふぅ‥‥ 何とかクリアできたみたいね」
仙道も楼瀬もシートに身を預け、ほっと一息。
モニターにはエンディング・ロールが表示されていた。
「相棒に、いい土産にはなったかな」
アトラクション限定のストラップを貰った飆は苦笑い。
「貰っていいの? 嬉しい」
「アトラクション、すっごい楽しかったです!」
記念品のアドバンズド号のトイを抱えた海鈴や仙道は、顔を見合わせて笑っている。
「振動とか、スピードとか、もう、どきどきしました」
「親子で楽しめる物であって良かったです」
小明は真喜志の腕を取って満面の笑顔を見せている。
「結構、楽しめたな」
ストーリーや取り扱い説明など、他の試乗者も特に不満はなかったようだ。
本番では待ち時間が長くならないようになどと苦言を呈しながら、鶤.らは感想会を終えた。