SB�Vストームフェスタ0南北アメリカ
種類 |
ショート
|
担当 |
シーダ
|
芸能 |
フリー
|
獣人 |
フリー
|
難度 |
やや易
|
報酬 |
なし
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
12/26〜12/30
|
●本文
『 スターブラスター�V 〜 サイの初源 〜 』
この映画が一応の完結を迎えたのは初作品エピソード4が公開されてから約30年も経った今年のこと‥‥
ウォン‥‥ ブン‥‥ ブォン ジャッッ! カバババ‥‥ ジャジャッ!! ブゥオン‥‥
唸る光剣スターブラストセイバーを操る光の騎士ジュダズナイトたちによる圧倒的な殺陣‥‥
ビシュン‥‥ ズバババババァ‥‥
煌めく光銃コスモブラスターを操るアストロスターたちによる目くるめく銃撃戦‥‥
負の力を操り、人の心を蝕む闇の騎士サイたちの暗躍とジュダスナイトたちとの宿命の対決‥‥
銀河帝国と共和国連邦軍との銀河を舞台にした宇宙戦争‥‥
帝国皇帝の出自の秘密‥‥
共和国を構成する王家の姫とジュダスナイトの宿命‥‥ そして姫とアストロスターとのロマンス‥‥
銀河の深淵に潜む闇の策動‥‥
宇宙の希望となる一条の光‥‥
様々な要素がスペースオペラの王道ともいえるものでファンはエピソード7以降の映画化を望んで止まないという‥‥
とはいえ、初作の4に連続して数年掛けて発表されたエピソード5、6に次いで近年公開された1、2とSFスペースオペラの人気シリーズは最強のサイ・ネクロスベイダーの誕生エピソードを記したエピソード�Vの公開を以てジョーイ・ブラッドストン監督曰く映画のエピソードとしては完結した。
この度、既にDVD化されている過去作5作品に次いでリリースされるエピソード�VのDVDの発売イベントが発表されることになっている。
イベントタイトルは『ストームフェスタ』。
その内容はショーイベントから番組特番までタイプは様々。全米で開催後は世界各地でイベントが行われ、スターブラスターの打ち上げ的なものになると専らな噂である。
さて‥‥
この映画の魅力の1つが登場するキャラクターたちの存在だ。
猛きドラグ星の戦闘民族である竜人、惑星ダゴンの海に潜む深き者ども蛇人、惑星を渡る飛翼の民たち鷹人など‥‥ 独特な存在感を醸し出している各惑星の生命体たち‥‥
主人公ではない彼らの生き様こそがスターブラスターの数限りないエピソードの1つなのだから‥‥
●リプレイ本文
●ストームフェスタ・ゼロ
「おや、どういうことだね? これは」
「あなたにはコスモのダークサイドに堕ちてもらう」
ククと含みのある笑いをしたスタッフはジョーイ監督の目の前で蝙蝠人に獣化した。その手には帝国軍のブラスターが‥‥
パパパパーパーーパーパパ‥‥
突如流れるトランペットの音はベイダー登場のテーマだ‥‥
「誰だ!」
展開を予想しつつも監督は叫ぶ。
『私を知らぬとは銀河も狭くなったものだ』
コパー、コパーと呼吸音をさせながら変声された声で黒い甲冑の人影が現れる。
悪の権化‥‥ 最強のジュダイであったサイ・ネクロスベイダー‥‥
『マイハニー‥‥ ダァイ‥‥』
スタブラの名台詞に監督も笑いを堪えるのに必死だ。その時、パッと天井に照明が!
「覚悟!」
『ジュダイか‥‥』
背中に生やした翼を折りたたみ、二刀流で急降下する鷹人の剣をベイダーは軽く受け流す。
「サムライの名にかけて、お主を野放しになどできぬ! ゼンの心を忘れたとは言わせぬぞ!!」
翼を広げるように構える天音(fa0204)。面頬の額の部分には菊の紋、ジュダイの証だ。
着物羽織姿は、忠誠や信義、礼節や情愛を重んじる『ブシドー』を守る典型的なサムライ星人である。
ビュバッ‥‥
光剣が重ねられる度に効果音が重ねられる。
説明せねばなるまい。
求道者の多い惑星サムライはジュダイナイト発祥の地だけあり、共和国連邦軍に属する。長く宇宙の守護者であり、共和国の繁栄を陰から支えてきた。
一方で一途な求道者がゼンを見失い、自らの内なる宇宙・コスモのダークサイドに堕ちてサイとなっている。共和国連邦を滅亡に導かんとする敵もまた『ブシ』であるのだ‥‥ 心の内にある光や闇を反映する剣‥‥ スターブラストセイバーは使う者によって光の剣にも闇の剣にもなるのだった。
「お主にやれんのなら俺が片付けてしまうぞ」
そこに現れたのは光の長剣を構えるドラゴン。猛きドラグ星の戦闘民族である竜人のジュダズナイトとして完全獣化した龍田羅漢(fa0210)である。
『お前如きに負けはせんよ』
コパー‥‥ 笑っているかのようなベイダーのマスクを狙う一閃は見切られてしまう。
「それも今日までのこと」
光剣を携えた黄金色の毛に覆われた雌獅子ベリル・ライアン(fa2585)が闇の中からスポットライトの光へと歩み入る。
誇り高き獅子人、レオノス星人はドラグ星の竜人と同じく戦闘民族である。誇り高く、プライドの高いレオノスの戦士と言えばジュダスナイツの中核的存在でもある。
雄獅子人のサムライアーマーを着けたその姿は勇壮そのもの。跳躍と同時に繰り出された攻撃をかわされこそすれ、篭手など軽装の部分鎧を着けているだけの雌獅子人であるベリルの姿もまた、別の意味で勇ましさを感じさせている。
「今日こそ逃がしません、ベイダー! 負の力は敗れ去るものと知りなさい!!」
惑星モノケロスの代名詞とも言える淡い色を帯びた額の角と神秘的な外見を持つ半獣の一角人。彼らは共和国連邦軍の前線指揮官を勤め、美形の登場人物が多かったことからもファンたちの人気も高い。
「かかれぇ!!」
陣羽織のような衣装を付けたブショウ役の凜音(fa0769)がグンバイと呼ばれる指揮杖を振るうと連邦軍の下級兵士アシガルトルーパー数名を率いて乱入する。
『光あれば必ず闇はある』
ベイダーのスタブラ名台詞と共に帝国軍の下級兵士ブラストトルーパーが登場して乱戦になった。
「やってやるさ!」
ベリルが光剣を振り回すたびにブラストトルーパーが倒れていく。
『やるな、レオノスの戦士よ』
ベイダーの剣をベリルは受け流した。
やがて美しい歌声が響き、剣戟が静まってゆく‥‥
「歌は銀河の波動‥‥ 波動は戦いを望んではいません。鎮まるのです」
戦闘民族であるドラグ星人のもう1つの姿、知を歌う穏やかなる竜人。それがキース・イレヴン(fa2455)扮する賢人『歌う竜』の姿だ。知識の番人、平穏の使者‥‥ 彼らの目指す未来は悠久の刻の流れの先にあると言う‥‥
「戦いは何も生みません。癒しこそ宇宙の意思‥‥」
治癒命光を用いて傷ついた者たちを癒してゆくのは、白い髪の間から覗く一角の美しい獣人ライラ・フォード(fa2162)。歌う竜に仕える隷属民のモノケロス星人というのは劇中パロディだ。
「星の光が集うこの場にようこそ」
ジュダイもベイダーたちも戦いを止め、ライラの声に耳を傾けている。
「銀河の深淵、遙けき地への扉、ジョーイ・ブラッドストン監督の生誕を祝う宴とご案内いたします」
薄いブルーのドレス姿でマイクを手に光の闇の陣営の中心へゆっくりと歩む。
シュバッ! スポットライトが当てられた先に浮かぶのは小惑星要塞ヘルスター!
その周辺には超高速船セレニアムホークやジュダイファイター、共和国連邦軍の機動兵器RXF78ガン・ウィングやRF06Zゼータ・ウィング、更にはサイファイターや銀河帝国軍の可変翼戦闘機ヴァルキュリア、戦艦カラミティに巨大戦艦ディスティニーまでがワイヤーアクションで吊るされ名場面を再現している。
市販のキットを並べただけだが、美術演出に携わる乾 隆之(fa2587)の手によるものとなれば迫力十分。細やかなモールドを浮き立たせるダーク系のグラデーションの微妙な色使いはスタブラファンのモデラーも納得の絶妙さ。ミキサーで効果音が重ねられ、懐かしいレーザー光が場内に飛び交い、これに臨場感を出している。
そして、感慨にふける監督に届くのは美しい歌声‥‥
「ハピィバースディ・トゥー・ユー‥‥」
キースの歌声にスタッフたちも声を合わせる。
「そういえば私の誕生日だったな」
ネクロスベイダーとベリルによってヘルスターへと導かれ、それがケーキだと気づいた監督は照れ笑いを浮かべる。
監督が超破壊光線発射口に立てられたキャンドルの火を吹き消した次の瞬間、会場に明かりがつき、スタッフたちの拍手が響く。
「たはっ‥‥ 照れちゃうね」
凜音が花束と祝いの言葉を贈ると、監督は照れ笑いを浮かべながら汗を拭った。
●パーティ、パーティ
「監督、気に入っていただけました?」
「私のためにありがとう。嬉しいよ」
シャンパンを注ぐキースに獣人姿の監督も上機嫌で答えた。
見れば、会場の殆どの者が半獣、完全獣化の違いはあるものの獣人の姿である。
「大忙しだわ。とほ〜」
ライラは獣化を緩めて半獣姿でケーキ配りに大忙し。監督にケーキを渡すとパッと走り去ってしまう。
「監督、楽しんでってくださいね。ほらそこ、取り合いしないで」
監督はブラストトルーパーにケーキを渡すブショウの姿の凜音に大受けである。
会場の別の場所では‥‥
カメラマンのロバート・キャリコ(fa2460)はスポンサーの許可を得てアシガルトルーパーのテストスーツの写真を撮っている。スタント用にしては中々の出来で、仕上げも上々だ。
「フィルムチェックが済めば、いよいよイベント開始だな」
今回のロバートの仕事はイベントの撮影である。一番の懸念であった鷹人・天音を吊るしていた偽装ワイヤなどの様子を確認してOKが出れば、イベントショーには本格的なGOサインが出るだろう。
「うまくいったな」
紺の着流しに雪駄履き。口には長い楊枝を斜に銜えた素浪人風で、ゆらりと乾が現れる。
「おい、パーティには参加していかないのか?」
「拙者、しがない特殊撮影演出家。名乗るのも憚られる未熟者なれば、表舞台などは似合わぬ。
手伝ってくれたキャリコ殿に礼の一つも言わねばと思って訪ねた次第」
声をかけるロバートに背中越しに視線だけ流すと僅かに笑みを浮かべた。
「寄る辺なき定めなれど、恩義は徒や疎かに出来ぬ。乾の名、知り於き頂ければ幸い。ではな」
乾は現れたときと同じように、ゆらりと影に姿を消して行くのだった。
さて‥‥
「ヘイ、監督」
ロバートの声にレンズに顔を向けた監督は悪戯っぽく笑う。
「いやあ、スタブラは子供の頃からの大ファンなんです。今回の仕事は自ずと気合が入りましたよ! サインを頂いて宜しいですか?」
「子供の頃からのファンか。嬉しいね」
監督はサインしてくれた。
「そうなんですよ。スターアドベンチャーも好きですがね。クラーク船長にDrマルコ、異星人の副官・Mrパロック。痛快な宇宙大冒険活劇に、三人のずれた掛け合いが楽しかったなァ。子供時代はスタブラ派とスタチャー派に分かれたもんです」
「スタチャーか。あれは良かったよな〜」
「わたくしもスペースオペラは好きでした。金竜の歌姫は今でも憧れの存在なんですよ」
「私だってレオノスの戦士に憧れて、この世界を目指したようなものですよ。今日は監督にお会いできて、本当に感激です」
熱く語るロバートにキースやベリルも負けてはいない。
暫くの間、楽しそうにスペオペ談義に花を咲かせるジョーイ監督の姿が見られたという‥‥