WonderTalk〜王都〜アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 霜月零
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 1.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/09〜11/13

●本文

 王都レザラディカは蜂の巣をつついたような騒ぎだった。
 空から何匹もの魔獣たちが溢れ、カラファンのいたるところを襲撃しているとともに、王都には天を覆わんばかりの漆黒の大蛇が二匹、飛来してくる。
 赤い魔法陣が暗雲の中に浮かび、雷雨と共に人々を打ちのめす。
「ふぅん? 中々に厄介ねぇん」
 あふぅ。
 冒険者ギルドの眠たげな受付嬢は、慌てふためく人々とハンター達を見つめ、何時もの如く欠伸を漏らす。
「王国騎士団はどうしたんだ?! あんなのに総攻撃くらったらこの街は一巻の終わりだぜ!」
 百戦錬磨のつわものも、あまりの出来事に焦りをあらわにする。
「王国騎士団はぁ、王弟の命令で各地に散らばっちゃってるわねぇん。各地で魔獣たちに襲われてる民衆をほっぽって王都に戻って来いともいえないし? 王都はあたしたちで守るしかないっぽく」
「ないっぽく‥‥って、あんたなあ!」
 受付嬢に食って掛かるハンターの手を、別のハンターが止めた。
「ハンターギルドに保管されている武器防具、戦力になりそうなものをお借りしたい」
 ギルドには、長年保管されている魔法武器の類が多々あるはずなのだ。
 それを借りることが出来れば、戦況は幾分か楽になるだろう。
「もちろん、いいわよん。このギルドにあるものならジャンジャン借りてってねん」
 冷静に交渉するハンターに、眠たげな受付嬢は二つ返事でOKする。
 別の受付嬢が口を挟むとするが、それを目で制す。
「王都の命運は、あなたたちにかかってるのよーぅ。‥‥命、預けたわよん?」
 眠たげな口調のまま、軽くウィンク。
 ハンター達はお互い頷きあい、強敵との戦いに身を投じるのだった。


☆Wonder Talk出演者募集☆

 ファンタジー世界を舞台とした特撮番組、『Wonder Talk〜王都〜』出演者募集です。
 剣と魔法を舞台としたこの世界の住人になりきり、世界を救ってください。
 

☆モンスター情報☆

『ブラッディ・ダークスネーク』
 漆黒の大蛇です。
 二種類おり、魔法系と戦闘系に分かれます。
 どちらも飛行能力を有し、それほど機敏ではありません。
 ですが硬い鱗に覆われたその身体は生半な攻撃は通しません。

 魔法系は高い魔法耐性を持ち、3分の一の確立で受けた魔法を跳ね返します。
 また、風魔法に類する稲妻による攻撃を繰り出します。
 射程距離も長く、また、詠唱時間が長ければ長いほど威力と範囲を増します。
 
 
 戦闘系は、魔法系を主に補佐しています。
 長い尻尾から繰り出す体当たり攻撃と、口と尻尾に仕込まれている致死毒により敵を死に至らしめます。
 致死毒は高位プリーストによる解毒処置を5分以内に施さなければ死亡します。
 通常の毒消しを使用した場合、延命は出来ても完全な解毒は出来ません。
 
 また、この二匹の周辺には大量の蛇が湧きます。
 攻撃を繰り返すたびに湧く量は増加するでしょう。
 ただ、この蛇は通常の蛇を強化した程度で、毒は噛まれた部位に軽い麻痺を引き起こす程度です。
 飛行能力もありません。

 
☆地域情報☆
 今回の舞台は、ファンタジー世界カラファンの『王都レザラディカ』
 街の人々は王宮に避難し、王宮魔術師達が結界により保護しています。
   

☆選べる職業☆
 戦士 :戦いの専門家。主に剣で戦います。
 僧侶 :治癒魔法を得意としています。
 魔法使い:攻撃魔法を得意としています。
 踊り子:魅惑的な踊りで敵を翻弄します。
 召喚士:精霊を召喚し、使役します。
 吟遊詩人:歌い手です。呪歌を使えます。 
 シーフ:盗賊です。指先が器用で、罠の解除などが得意です。
 錬金術師:カラファンに存在する様々なアイテムを調合して薬や爆薬などを作り出します。

 なお、職業は参加者全員戦士や、僧侶と魔法使いのみなどといったパーティ編成も可能です。
 また、「こういった職業が欲しい!」などのご希望があれば採用の可能性もあります。
 

☆テンプレート☆
 WT参加者は、下記テンプレートを埋めてプレイングを送付してください。

【職業】『職業』の中から一つ選択
【心情】キャラクターとしての気持ちを書いて下さい
【戦闘】どのように戦うか
【台詞】各シーンで言いたい台詞
   〜台詞例〜  
  【挨拶】「俺達が生まれ育った場所を、汚させはしない!」
  【戦闘開始】「おやまあ、喧嘩を売る相手を間違えたようだねえ♪」
  【必殺技使用時】「どうだい? この俺様の剣の切れ味は!!」
  【勝利時】「ひゃっほーい!」
 *台詞例はあくまで例です。色々台詞や設定追加推奨です。
           
【その他】キャラクターの設定や口癖などありましたらこちらへ明記ください。
  
★重要★
 天空大陸に赴いている参加者様がこちらのシナリオに参加された場合、『天空大陸から罠にかかり地上へ転移された』などの設定を使用し、整合性を持たせます。
 ですがこちらのシナリオ参加者様が天空大陸に赴いたプレイングをかけることはできません。
「大蛇は他の冒険者にまかせ、天空大陸のハンター達と合流します」
 などといったプレイングは不採用となりますのでご注意ください。 
 
 

●今回の参加者

 fa0075 アヤカ(17歳・♀・猫)
 fa1299 春日 春菜(16歳・♀・虎)
 fa2132 あずさ&お兄さん(14歳・♂・ハムスター)
 fa3076 メイ・エル(20歳・♀・鴉)
 fa3090 辰巳 空(18歳・♂・竜)
 fa4079 志祭 迅(26歳・♂・鴉)
 fa4961 真紅櫻(16歳・♀・猫)
 fa5030 ルナティア(17歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文

●王都
 王都レザラディカの上空に暗雲が立ち込める。
「王都につくなりこの騒ぎとはな‥‥。厄介なことに巻き込まれたぜ」
 身の丈ほどある大剣を背負う旅の戦士・シマツリ(志祭 迅(fa4079))は空を見上げ呟く。
 暗雲の奥に、ブラッディ・ダークスネークの姿が見える。
 稲妻を帯びたその身体は大きく、今にもこの街を飲み込みそうだ。
「む〜‥‥怖いけど、私たちで何とかしなきゃいけないんだよねっ。そこのおにーさんも助けてっ!」
 葉巻を吹かすシマツリを見つけ、人形使いのお子様召喚士・アザー(あずさ&お兄さん(fa2132))が気づいて助けを求める。
 王都の一般市民は既に王宮に避難しているが、街を守るはずの王国騎士団は不在。
 王国魔導師団が王宮と各地の転移門を守っているいま、あのモンスターと渡り合えるのはハンター達だけ。
 一人でも多くのハンターが必要なのだ。
「面倒を起こさないでくれ、ったく‥‥。うぜぇんだよ、おまえ」
 アザーの頼みに、シマツリは葉巻を吐き捨て踏み躙る。
 その苦々しげな言葉はもちろんアザーに向けられたものではなく、空を覆うブラッディ・ダークスネークに向けてのものだ。
 最前線で戦うハンター達の下へ、アザーとシマツリは全力で駆け出す。
  

●ブラッディ・ダークスネーク
「雷とかも放ってきたりするのが鬱陶しいニャね〜」
 猫獣人の踊り子・アヤカ(アヤカ(fa0075))は魔法系のブラッディ・ダークスネークの撃ち放つ稲妻を華麗に避けながら呟く。
「うぅん、他の国にいっている間に大変なことになってるってカンジィ。でも、いっぱいたたかっちゃうってカンジィ!」
 魔光銃を巧みに操り、ハンターギルドから大量に借りた魔導石で威力をブーストし、メイ(メイ・エル(fa3076))は湧き溢れる蛇達に散弾光線を撃ち放つ。
 通常の蛇を少し強化しただけの雑魚は、メイの攻撃の前に次々と吹っ飛んだ。
「風の精霊も面倒な事頼んできたもんだ」
 召喚士・フローレス(真紅櫻(fa4961))は右半身の頬から足まで不可思議な紋様のような痣に触れる。
 すぐ側には真っ白い子犬を思わせる聖獣が彼女を守るように蛇に吼えた。
 魔法を操るモノと、力に物をいわせるモノ。
 二匹のブラッディ・ダークスネークは見た目こそ同じながらその攻撃方法で見分けがついた。
 大空から急降下してきた敵の太く長い尾がハンターたち目掛けて薙ぎ払われる。
「もう! 早く、ケーナ達に合流したいのに!」
 シーフのフィオナ(ルナティア(fa5030))が高く一つに結い上げた黒髪をなびかせてそれを避ける。
「人と竜の盟約‥‥あの程度の魔物、竜になれれば一発なのに。これも平和の為です」
 竜神官であり、自らを竜に変身させることのできるノア(辰巳 空(fa3090))はその背に生やしたドラゴンの翼で飛翔し、『秋の月影』を仲間達に発動する。
 秋の名月を思わせる優しい輝きを発する光の障壁が仲間達を包み込んだ。
 これで戦闘終了後まで仲間達には魔法体制が付与される。
「お久しぶり‥‥とのんびり挨拶してる暇がないのは残念だわ」
 シマツリをつれて駆けつけてきたアザーを見て、虎人族の召喚士・ヴェーナル(春日 春菜(fa1299))は微笑む。
 一年ほど前、二人は同じ依頼を請け負った仲間なのだ。 
「‥‥やるしか、ないんだよね‥‥? でも、ヴェーナルさんその身体どうしたの?!」
 懐かしい顔にアザーの顔もほころびかけるが、異変に気づいて目を見開く。
 ヴェーナルのその身体には、以前にはあった虎人族の象徴ともいえる虎耳と尻尾が消え去っていたのだ。
「新たな知識を得れば、それを我が物にしたくなるのが人の常、よね。どんな代償を払っても‥‥精霊たちよ、風の流れを止めて。願う声は届かず、呼吸すらできない」
 ヴェーナルはそう答え、いままさに稲妻を撃ち落そうとしていたブラッディ・ダークスネークに風の精霊を召喚、使役し、その呪文詠唱を打ち消した。
 元々深遠の魔術師の魔力で作り上げられた敵に呼吸などない。
 だが風を魔力で練り上げ、稲妻を作り出すブラッディ・ダークスネークにはヴェーナルのこの攻撃は有功だったようだ。
「蛇相手ニャと魅了とか全然意味無いからニャ〜。必殺ローリングソードニャ〜♪」
 アヤカがメイの攻撃から逃げ延びた雑魚をヒラヒラと軽やかに切り刻んでゆく。
 空を舞うブラッディ・ダークスネーク本体には中々攻撃を当てられないものの、止め処もなく湧き出す雑魚が仲間達に襲い掛かる前に切り刻むのは容易だった。
 だが雑魚は本体を傷つければ傷つけた分だけその数を増してゆく。
 本体と違い殺傷能力は低くとも、数の暴力は否めない。
「お前の攻撃はこんなものか? もっと俺を楽しませてくれよ!」
 シマツリの剣が、再び魔法を唱える片割れを守るように体当たりを繰り出してきたブラッディ・ダークスネークに炸裂する。
 毒牙を剥き出しにし、シマツリを飲み込もうとするそれは、けれどシマツリの大剣に遮られギリギリと力を込めて来る。
「あんた、そのまんま抑えてな。‥‥我との盟約に従い力を解放させよ!」
 フローレスの盟約に答え、側に控えていた白い子犬がその真の姿―― 純白の翼を持つ獣へと姿を変えた。
 数倍に巨大化したその身体でシマツリに食い止められているブラッディ・ダークスネークの身体を噛み切る。
 噛み切られ、鱗の剥げ落ちたその場所からは血を思わせる鉄錆の臭いと黒と見紛う深紅の魔力が零れ散った。
「いけるってカンジぃ!」
 ひゃほーっと叫ばんばかりにご機嫌なメイの魔銃が緑の光を撃ち放ち、暴れ狂う敵を貫いた。
「ちょっと、みんなを守ってなんだよっ!」
『大丈夫、ちゃんとわかってるんだから!』
 先ほどまでとは比較にならない蛇を溢れさせた敵から、アザーは水の精霊をマッチョな人形に憑依召喚し、オカマ言葉の人形は即座に水の防壁を展開!
 波のように押し寄せてくる蛇達を押し留めた。
 だが、
「‥‥くっ、ゆ、油断しちまった‥‥」
 暴れ狂うブラッディ・ダークスネークのその牙が、シマツリの腕を裂いたのだ。
 それだけではない。
 勢いのままにシマツリは壁に吹き飛ばされたのだ。
 そして間近でそれを見ていたフィオナは即座に駆け寄り、毒消しをシマツリの口に流し込み頭上を見上げる。
 ブラッディ・ダークスネークの毒は、五分以内に浄化しなければ致命傷。
 並みの毒消しでは延命こそすれ、解毒は出来ない。
「創竜姫様、この私に力を‥‥」
 空高く舞い、味方の回復に努めていたノアは世界の果てで愛を祈り続けているといわれる創竜姫に祈りを捧げ、シマツリの浄化を試みる。
 意識の消えかけるシマツリを抱きしめるように光の繭が包み込み、それと同時にノアは舞い降り、シマツリに手をかざす。
 創竜姫の力を借りた女神の抱擁が重傷を即座に癒し、ノアの手から放たれる清涼な風―― 冬の朝の息吹がシマツリの身体を浄化する。
「大変ニャ、呪文詠唱が終わるニャっ!!」
 アヤカの叫びに、ハンター達ははっとして空を見上げる。
 地上で暴れる攻撃主体の敵に気をとられている間に、魔法主体のブラッディ・ダークスネークがその呪文詠唱を終えてしまったのだ!
 漆黒のその身体を稲妻が駆け巡り、ハンター達へと降り注ぐ!!!
「あっちいっちゃえーっ!」
『当然、防いでみせるわよっ♪』
 アザーが叫び、マッチョな人形が笑う。
 次の瞬間、水柱が出現し、避雷針の如く全ての稲妻を受け止めた!
「まだまだおわらないよっ、それーーーーーっ!」
 そしてアザーは押し寄せる蛇に稲妻を帯びたその水柱を思いっきりぶちまけた。
 高圧電流を帯びた水に押し流された蛇たちは感電し、一気に殲滅!
「やるってカンジぃ♪ でもちょっとしびれるってカンジィっ!」
 放電された稲妻にちょっぴり痛い思いをしながら、メイは空に向かって魔銃を撃ち放つ。
 不意を着かれたブラッディ・ダークスネークは平衡感覚を失い、地上に失墜、
「止めはさせなくても、いっくニャ〜。必殺ムーンサルトクロスソードニャ〜♪」
 アヤカが空中高くジャンプして、両手で持った剣から繰り出すカマイタチで敵を切り刻んだ。
「止めはわたしが頂くわ‥‥歯向かう者は‥‥全て消して」
 ヴェーナルが風と闇を合わせた混成召喚を発動する。
 漆黒の風がブラッディ・ダークスネークを捻じりあげ、その命を絶った。
「こっちは俺が貰う。いくぜ! 秘剣、山颪!!」
 完全に意識の回復したシマツリが暴れ狂う攻撃主体のブラッディ・ダークスネークに必殺技を繰り出す。
 気をこめた大剣はブラッディ・ダークスネークの身体を真っ二つに切り裂いた。


●エピローグ
「どうだ? 大山鳴動の切れ味は。手こずらせやがって、意外に手強い奴だったぜ」
 シマツリは大剣を担いで笑う。
「誰か天空大陸行きたい奴いるかぁ!!」
 そしてフローレスはその銀髪を逆立てんばかりに切れている。
 キツイ性格の彼女のこと、きっと天空大陸にいるであろう黒幕を一発殴りたいのだろう。
 そしてもう一人、天空大陸へ何が何でも行こうとしている者がいるようだ。
「ちょっと、手伝ったんだから私を天空大陸に転移可能な人を紹介してよね!?」
 シーフのフィオナは受付嬢に食って掛かる。
 だが受付嬢はのらりくらりと受け流している。
 元々この依頼には天空大陸への移動は含まれていないのだから、今すぐ移動できないのは当然。
 もちろん、状況さえ整えば行くことは出来るのだから、彼女達の努力と根性で道が開けることもあるだろう。
「しっかしぃ、トール達は中々帰ってこないってカンジィ」
 メイは天空大陸に渡った弟を思い、空を見上げる。
 暗雲が立ち込めていた空は、ゆっくりと晴れ間を覗かせるのだった。