まほぷり☆旅立ちの日アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
霜月零
|
芸能 |
1Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
やや易
|
報酬 |
1.1万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
05/29〜06/02
|
●本文
七つの虹を超えたその向こう。
色とりどりの花が咲き乱れる場所にその国はありました。
夢と希望と魔法で出来たそのハッピー王国の、今日は王女様のお誕生日。
お城では盛大なお誕生パーティーとともに、王様から王女様へ、ある試練が課せられるのでした‥‥。
「王女や、お前ももう12歳。この王家の決まりは知っているね?」
「はい、お父さま」
小さな冠をつけたお姫様、一歩前に進み出る。
「王女に、例のものを」
「はっ」
王様に指示され、側に仕える爺やが豪華な装丁のノートを王女に手渡す。
「これが‥‥ハッピーノート!」
王女が興奮気味に中を開く。
ハッピーノートと名づけられたその魔法のノートは、世界中の人々を幸せにする力があるといわれている。
「あら?」
だが期待に反して、中は真っ白。
何の変哲もないノートだ。
小首を傾げる王女に、王が告げる。
「そのノートは、まだ力を失っているのだ。お前は、これからそのノートをハッピーマークでいっぱいにしなくてはならん」
「でもお父さま、こんなに真っ白なのにどうすればいいの?」
「お前がこれからの旅で出会う人々を、幸せにすればいいのだよ。そのハッピーパワーが結晶となり、ノートにハッピーマークが溜まってゆくのだ」
王様がくるりとステッキを回すと、空中に星と虹のマークがきらきらと現れる。
「このマークでノートがいっぱいになった時、世界は幸福に包まれるのだ。王女や、ハッピー王国の姫として、見事ノートをハッピーマークで満たしておくれ」
「王女に、これを授けましょう」
爺やと同じように側に仕えていた王妃が、王女に魔法のステッキを手渡す。
ピンクと白のパステルカラーのステッキの先端に、ハッピーマークと同じくお星様がきらきらと輝いていた。
「世界には、悲しみに苦しめられている人々が大勢います。王女や、必ずや世界を幸せに導くのですよ」
「はい、お母さま。世界をハッピーにするために、わたし、頑張ります!」
魔法のステッキとハッピーノートをぎゅっと抱きしめて、王女様の旅は始まるのでした。
「あら〜?」
てくてくてく。
城下町を歩いていた王女は、暗い路地裏にたむろす人々に目を留める。
「かえしてくださいっ、それは、僕のなんですっ」
「へへっ、返せといわれて返すバカがどこにいるんだよ! ガキがこんな大金持ち歩いてちゃいけねぇなあ」
町のゴロつきなのだろう。
年端も行かない少年からお金を巻き上げている。
「こらー、あなたたち何をしているの! そのこから手を離しなさい!」
バーンっ!
そんな効果音がしそうなほど大胆に、王女、ステッキをかざしてゴロツキ達に立ち向かう。
「なんだおめぇ!」
「ふふんっ、わたしはこの国の王女よ! あなたたち、覚悟なさーいっ!」
えいっ☆
王女が呪文を唱えて魔法のステッキをくるっと振りかざす。
「あーーーーれーーーーーー!!!」
成す術もなく吹っ飛んでゆくゴロツキたち。
「さあ、君、大丈夫?」
「うん、お姫様、ありがとう!」
助けられた少年が、嬉しさのあまりか王女に抱きつく。
その左手が、すすっと奇妙に動いた。
けれど王女は気づかない。
笑顔でその場をあとにし、城下町の旅の宿でハッピーノートがなくなっていることに気がつくのだった‥‥。
☆出演者募集
魔法のプリンセス☆、略してまほぷり☆、出演者大募集。
世界をハッピーにする使命を負った王女様ご一行を、楽しく演じてください。
☆募集役
王女―― この物語の主役です。
ハッピー王国王女。
12歳。
まだまだ世間知らずです。
魔法を使う事ができますが、まだ少しコントロールが曖昧です。
少年―― ハッピーノートを奪っていった少年です。
城下町にすんでいると思われます。
スリの特技と、逃げ足が速いようです。
お供の人―― 数名。
王女様と共に旅をする人々です。
王宮勤めのクレリックや、OPに出てきた爺や、旅の商人などなど、 王女様を手助けする人々です。
参加者に応じて臨機応変に対応してください。
以上3役は出来る限り埋めてください。
また、希望役がかぶった場合は、『王女は二卵性の双子であった』や、『王女様の妹(または姉)も一緒に旅に出た』などで対応できます。
そしてライバル国のお姫様をつくってみても良いですし、王女様の命を狙う悪者集団なども設定可能です。
参加者にあわせて役を増やしてください。
☆ストーリー
奪われてしまったハッピーノートを、少年から取り戻してください。
少年には何かつらい事情があるのでしょうか?
ノートを取り戻し、少年も幸せにしてあげてください。
ストーリーは参加者みんなで相談して決めてくださいね。
ただし、『まほぷり☆』はお子さま向け特撮番組です。
その為、余りにも複雑に込み入った数話に及ぶ設定や、バッドエンドなどは採用できない場合があります。
基本的に一話完結のお話でお願いします。
☆成長傾向
芝居、容姿
●リプレイ本文
●旅の始まり
世界をハッピーにする為に旅に出た王女達。
構成メンバーは見習い神官・サーヤ(咲夜(fa2997))、盗賊のマリク(瑛椰 翼(fa5442))、王女の兄・ジョルト(相麻 了(fa0352))、そして王女(姫乃 舞(fa0634))。
「これからどうしたらよいのでしょう?」
ハッピーノートをポシェットから取り出して、王女は首を傾げる。
「まずはこの町をよくよく見て回りましょう。‥‥っと、危ないっ!」
王女の揺れるツインテールを愛おしく思いながら語るサーヤの目の前で、ジョルト王子がものの見事にすっころんだ。
石畳の僅かな出っ張りに足を引っ掛けたらしい。
「く〜っ、こんな所に出っ張りがあるとは! やるな石畳!」
いててと膝をはたきながら、ジョルトは苦笑する。
「ジョルトはほんと鈍くさいな。寝ぼけすぎなんじゃね?」
小石を数個、器用に片手でお手玉しつつ、マリクが笑う。
そしてそんなマリクをすぐさまサーヤがとがめた。
「こらっ! 王子になんて口の聞き方ですか。大体あなたときたら城に泥棒に入っておきながら、今日まで厨房で働かせてあげた王様のご恩を蔑ろにしすぎです!」
「好きで捕まったわけでも芋の皮むきが好きなわけでも何でもねぇ! ‥‥ちょ、暴力反対っ!」
サーヤが手にしたメイスに力を込めるのを見て、慌ててマリクは走り去る。
「まあまあサーヤ、長い旅なんだしそう目くじら立てずにまったりいこうぜ?」
「そもそも王子がしっかりしてくださらないからいけないんです。おっとりしているフィレ王女だって、ジョルト様に比べたらしっかりしていらっしゃいます。もっと第一王子としての自覚と責任を持ってくださいませ」
ぷりぷりぷりっ。
眉間にほんのり皺を寄せて、真面目なサーヤはおかんむり。
王女の姉であり、ジョルトの妹に当たるフィレ王女(大海 結(fa0074))は今回の旅には同行していない。
妹王女をこよなく愛する彼女が同行しなかったのはかなり不思議だったのだが‥‥。
「わ、わ、わ、そんな事より、ほら、ねえ、あれあれ!」
やぶ蛇になってしまったジョルト王子はあわててあらぬ方向を指差した。
「そんな誤魔化しは‥‥あら?」
ひょうたんから駒。
ジョルト王子がたまたま(?)指差した路地裏には、いままさにいたいげな少年・ラモン(マリアーノ・ファリアス(fa2539))が悪者達に捕まろうとしていた。
「大変です、お助けしなくては!」
王女とジョルト、そしてサーヤは少年を助けるべく走り出す。
ひょこん。
そんな王女様ご一行の様子を、こっそりひっそり、壁に隠れながら見守る謎の少女@フィレ王女が絵日記片手にメモを取る。
●あれあれっ? ノートがない?!
「大変、大事なハッピーノートがなくなっているの! 確かにここに入れておいた筈なのに」
サーヤがとった旅の宿の一室で、王女が涙ぐむ。
ポシェットに入れておいたハッピーノートが無くなっているのだ。
「こらこら、あんな目立つもの、早々なくすものじゃないだろう? よーく探してごらん?」
ジョルトがお兄ちゃんらしく一緒に探し出す。
だがポシェットの中にはもちろんの事、部屋中を探してもどこにも見当たらない。
「うーん‥‥城下町に出た時には確かにあったし。宿に来るまでにあった事と言えば‥‥まさか?」
今日一日の出来事をあれこれ思い起こしていた王女が、はっとする。
「疑いたくはないけど‥‥話を聞くだけでもした方が良さそうね。皆、あの子を探しに行きましょう!」
「わたしが付いていながら、この失態。必ずやわたしが取り戻して見せますから」
ラモンを探そうという王女に、自責の念に駆られながら頷くサーヤ。
「ん? マリク、顔色が優れないな。体調でも悪いのか?」
なぜか青ざめているマリクにジョルトが声をかける。
「あ、ああ、いや、なんでもない。昼間の少年を探しに行こう」
曖昧に首を振り、マリクは部屋を出る。
(「まさかあいつ‥‥?」)
マリクは昼間の事を思い出す。
サーヤの怒りの鉄拳から逃げて、少しして一向に戻ったマリクは、王女に礼を言って走り去る少年の後姿に見覚えがあったのだ。
遠目で顔は見えなかったものの、たった一人の肉親を見間違えるとは思えない。
だからマリクは迷った振りをして、王女達を思い当たる場所へと導いてゆく。
●忍び寄る黒い影
「ふっふっふ、良い感じに事が進んでいるわね」
ハッピー王国のライバル王国『セレブリア』の王女、エカテリーナ・グリューネワルト・エッシェンバッハ・セレブ(銀城さらら(fa4548))は魔法の鴉が寄せた情報にうっとりと微笑む。
その麗しの微笑に悪の軍団の頭目・シルト(鬼門彩華(fa5627))はメロメロになりながら頭を垂れた。
「いい? 手段は選ばず本を奪ってきなさい」
豪奢なソファーに優雅に腰掛けて、エカテリーナはツンと顎を逸らしてシルトに命じる。
有り余る富と権謀で世界を操るセレブリアにとって、世界を平和で包もうとするハッピー王国は目の上のたんこぶ。
世界中が平和になったら、セレブリアの出番がなくなってしまう。
「姫様、どうかお任せ下さい」
エカテリーナに負けず劣らずの美貌を誇るシルトは、けれどエカテリーナには決して逆らえない。
セレブ家の女性はすべからく魅了系の魔法に長けているのだ。
その効果たるや、同性であろうと魔族であろうとお構いなしに発動しまくり!
だがその効果以上に強烈に、シルトはエカテリーナに恋しているのだ。
ぱちんとエカテリーナが指を鳴らし、シルトの背後にずらっと手下どもが並ぶ。
無論全ての手下がエカテリーナとシルトにメロメロだ。
再び頭を垂れて部屋を出てゆくシルト達を、エカテリーナは満足げに見送り、そして馬車の手配を執事に命ずる。
●少年の事情
「これ、どうしよう」
助けてくれた王女から咄嗟にスッてしまったハッピーノートをみつめ、ラモンは溜息をつく。
中を見ても真っ白で、何故王女がこのノートを大事に持っていたのかわからない。
けれどラモンは捨てる事はせず、ぎゅっと抱きしめる。
唯一の肉親であるマリクが行方不明になって以来、ずっと一人で生きてきた。
身元の不確かな自分を雇ってくれるようなところはなく、生きていくためにスリを覚え、逃げ足の速さも身につけた。
ラモンを追いかけてくるのは、いつも捕まえようとするやつらばかりで、王女のように助けてくれる人などいなかった。
「これを持っていたら、きっとまた追いかけてきてくれるんだよ」
また、逢いたい。
―― 王女への思いを胸に夜の街を彷徨うラモンの背後に、黒い影が忍び寄る。
●悪の軍団vs王女様ご一行! ハッピーノートは誰の手に?!
マリクに導かれ、街はずれの船着場にたどり着いたときだった。
「な、何だよお前達!」
ラモンの恐怖に引きつった声があたりに響き渡る。
「今の声は?!」
「王女、急ぎましょう!」
「うわっと?!」
べしゃん!
サーヤは王女を守るように先陣を行き、後を追うように走り出した王子がまたもやすっころんだ。
「ジョルト? おいジョルト?!」
マリクがジョルトの頬をたたくが反応なし。
打ち所が悪くて気を失ったようだ。
チッと軽く舌打ちをし、マリクはジョルトをひきずって安全な場所へ移動させ、すぐさまラモンの声のしたほうへ走り出す。
「返せ、それは大切なものなんだよ!」
「他愛もない‥‥鎧袖一触とはこの事か」
自ら手を煩わすことなく、部下の手によりあっさりとハッピーノートを奪ったシルトは拍子抜けした表情でノートを見つめる。
と、そこへ王女達一行が駆けつけた!
「あなた達、何をしているの! さては、ノートを狙う悪者軍団ね?! 子供を苛めるなんて許さないんだから! 覚悟しなさいっ!!」
ばばーん!
魔法のステッキ片手に、王女がドンと構える。
どんな悪者だって、魔法で吹っ飛ばす!!
「‥‥あれっ?!」
「姫さま、どうなさいましたか?」
魔法の呪文を唱えてステッキをかざしたのだが、魔法が発動しないのだ。
ぶんぶんとステッキを振ってあわてる王女を、シルトはくすくすと嘲笑う。
「お嬢ちゃん済まないねえ、魔族の血を引く私には魔法は効かないのさ」
パチン!
シルトが指を鳴らすと、王女のステッキが吹っ飛んだ。
咄嗟にサーヤが防御結界を張り、王女を守る。
「くっくっく、中々にいい結界だねぇ? けれどその中にいたらいつまでたっても私は倒せないよ!」
勝利の予感に酔い痴れ、高笑いをかますシルトをサーヤはギリギリと歯軋り交じりに睨みつける。
悔しいが、シルトの言うとおりだ。
結界の中にいれば安全だが、このままでは攻撃できない。
「弟を、離しやがれっ!」
ラモンの腕を押さえつけている部下Aに、マリクが結界から飛び出して石礫を投げつける。
狙い違わずラモンの腕を掴んでいた部下Aの腕に当たり、部下Aは痛みのあまりラモンを突き飛ばした。
「ラモン!」
「兄貴?! なんで、ここに‥‥うわっ?!」
ドン!
マリクとラモンを見えない何かが吹っ飛ばした。
「小癪な真似をしてくれるじゃないか」
シルトがニヤリと口の端を歪める。
その手には、風の渦が舞っている。
「それはウィンドミサイル! 二人とも、逃げてっ!!」
王女を守る結界で手一杯なサーヤが叫ぶ。
楽しげに放たれたそれを、マリクは弟を横抱きにして飛び避けた。
だが次々に放たれるそれを避け続けるのは困難だ。
次第に、二人は追い詰められてゆく。
「もう終わりかい? 私に逆らった事をせいぜいあの世で後悔するんだね!」
今までの比ではない大きさに膨らんだウィンドミサイルがシルトの手の平に出現する。
絶体絶命。
そう思った瞬間、
「っ!!」
シルトの手にトランプが突き刺さる。
「悪者ども! この盗賊王子が来たからには悪事は許さないよ!」
「あれは‥‥盗賊王子!」
月を背にマントをはためかせ、屋根の上から悠然と見下ろすその青年は、巷で話題の盗賊王子。
弱きものを助け、貧しきものに尽くす正義の盗賊だ!
『きゃー、盗賊王子様ぁ、素敵〜』
どこか遠くから、黄色い声援が飛んでくる。
それはオペラグラスを片手に馬車の中から様子をうかがっていたエカテリーナの声だ。
シルト達がにっくき王女をこてんぱんにやっつけるのを見物しに来たのだが、憧れの盗賊王子に出会えるとは!
思わず豪奢な馬車の窓から身を乗り出して投げキッス。
もちろん、盗賊王子からは見えていないのだが。
「盗賊王子? チャンチャラ可笑しいねぇ! お前達やぁっておしまい!」
手に突き立てられたトランプを払いのけ、シルトが部下達に命ずる。
「おっと、こいつはキミ達のものじゃないよね?」
ひょいっ。
わらわらと屋根の上に群がってくる敵達をひらりとかわし、盗賊王子はシルトの手からハッピーノートを取り戻す。
「こしゃくな小僧め!」
シルトが怒りのままにウィンドミサイルを撃ち放とした瞬間、
「えいっ!」
どこから現れたのか、顔を仮面で隠し絵日記をかかえた少女がシルトを突き飛ばした。
もんどりうって倒れたシルトは自分のつくったウィンドミサイルに吹っ飛ばされて夜空の彼方に消えてゆく。
「ぐはぁぁ!!」
シルトの断末魔の叫びに、シルトの部下達も大慌てで逃げてゆく。
●エピローグ
「ハッピーノート、戻ってきました!」
『小さな乙女よ、コイツはもっと大切にしないと』
そういってウィンクと共に盗賊王子から手渡されたハッピーノートを、王女はぎゅーっと抱きしめる。
「ラモン〜! 兄ちゃん逢いたかったぞおおおおっ!」
そして危険の去ったその場所では、数年ぶりに再会した兄弟がぎゅーっと愛の抱擁。
「うわ、離せよっ!」
行方不明だった兄との運命の再会に素直には喜べないラモンは、真っ赤になりながら兄の腕から逃れようとする。
「あら? 助けてくれた少女と盗賊王子は‥‥」
サーヤがお礼を言おうと辺りを見回す。
だが、謎の少女と盗賊王子の姿はどこにも見つからない。
そしてその代わりに気絶していたジョルト王子があたふたと駆けつけてきた。
「へ? ボクが気絶している間に盗賊王子が来たの?」
「ええ、王子と違って本当に頼りになる方でした。盗賊を見習えというのもどうかと思いますが、王子ももう少し彼ぐらいの機敏さを持ち合わせてください」
全てが終わってから現れた王子にサーヤはついつい小姑口調。
「あの‥‥」
おずおず。
兄の抱擁から逃れたラモンが王女の前に一歩、進み出る。
「君が拾っておいてくれてたんだね、有り難う!」
「えっ?」
にこにこ。
王女が太陽のような笑顔で礼を言う。
ほんとは、王女にだってわかっているはずなのだ。
大事にポシェットにしまっておいたノートが、そう簡単に落ちるはずがない。
けれど決してラモンを責めることなく、王女は「ね?」とウィンク。
言葉に詰まるラモンに、さらに王女は提案する。
「ねぇ、もし良かったらお城に来ない? お父さまに頼めばお仕事も貰えると思うの。ね?」
「王女、それではあまりに甘いのでは‥‥」
サーヤも口では咎めるような事を言いつつ、その表情はもうとっくに許している。
「僕‥‥僕は‥‥っ、ありがとう!!!」
ずっと欲しかった居場所を与えられ、ラモンは嬉し涙をこぼす。
その瞬間、ハッピーノートが光り輝き、白紙のページにハッピーマークが浮かび上がる。
ピカピカと光るそれは、みているだけで幸せになれそうだった。
こっそり見守っていたフィレ王女は絵日記に色をつける。
色鉛筆で塗られた絵日記には、ラモンの幸せそうな笑顔が大きく描かれているのだった。